2009年02月15日
『世界の終わり、あるいは始まり』 歌野晶午
“世界の終わり” とくれば “ハードボイルドワンダーランド” と続くはずなのだけど、今回は “あるいは始まり” です。
“葉桜の季節に~” が割と面白かったので、歌野晶午作品の2冊目に選んだのがこの本です。
幼い小学生を狙った連続誘拐殺人事件。誘拐された子供達は皆、銃殺死体で発見された。その残虐な手口の犯人は、、、、、、、、
主人公は 小学6年生の息子の部屋から 被害者の父親の名刺など、息子が犯人かもしれないと疑わせるものを発見してしまう。一度抱いてしまった疑惑はどんどん膨らんで行き、疑惑を否定するために息子の部屋を調べることで、更に疑惑を固める証拠を見つけてしまう。
以下、ネタバレあります。注意!
息子が犯人かもしれない となったとき、親として どう対処すれば良いのか。 主人公は 様々なケースを想定して悩みます。その様々なシュミレーションというか、妄想というか、葛藤というか、悶々としたロールプレイングを 書き連ねたのが後半です。 これが結構リアルで、そこそこ共感できるものもあれば、とても出来ないものもあり、なかなか面白いところです。 これほどの大事件ではなくても、親は子供を信じて良いのか悪いのか、子育てをしていく中で悩むケースは非常にたくさんあります。だからこそ決して他人事ではない、身につまされるような思いで読み終えました。 ただ、実際にこんな場面に出くわしたとしたら、とてもこんな悩み方ではすまないだろう、これではまだ甘いとも思います。 主人公は 散々悩んだ挙句にやっと答えを出しますが、その答えの内容は書かれていません。 果たしてどのような答えを出したのか、きっと読者により その答えは微妙に違うでしょう。 僕は きっとストレートで常識的な答えを出したのだろうと、だからこそまっさらな青空の下で息子とキャッチボールをしたのだ と思います。
posted by aozora |11:45 | 本の話 | コメント(2) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
Re:『世界の終わり、あるいは始まり』 歌野晶午
青空さんと近い感覚で本や映画をチョイスするのは、年齢が近いせいなのか?ではないと思いますが、世界の終わり~もひと足早く読み終えておりました。
不思議な世界に引き込まれていきますね。
本当のラストはどこに正解があるのでしょう。
次に手にした本は『ジェシカが駆け抜けた七年間について』です。
posted by CVS仲間| 2009-02-17 11:29
Re:『世界の終わり、あるいは始まり』 歌野晶午
>CVS仲間さん
今季もよろしくお願いします。
さて、僕は お天道様に恥じない選択をしたと思いたいですね。
特に昨今のいい大人たちの往生際の悪さを見るに付け、人間は引き際が大事なのだと痛感していますし、おかしな駆け引きをせずに正々堂々と対処して欲しいと思います。
『ジェシカ』も歌野ですよね。面白かったですか?
歌野の3冊目は、正直どうしようか迷っています。
posted by 青空| 2009-02-18 00:02