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2008年05月09日

『スイッチ』  さとうさくら

芥川賞 や 直木賞 など 既成の文学賞に 対抗しようと 
このミス や 本屋大賞 など 様々な賞が 設けられているけど 
このミスと同じ 宝島社が主催しているのが 日本ラブストーリー大賞 
他の賞が 既刊の本を対象としているのに対し この賞は 公募方式
大賞受賞作品は 出版され 映画化されるらしい
出版社も 必死だな 

2006年の 第1回大賞受賞作は 原田マハ 『カフーを待ちわびて』 
同じ年の 審査員絶賛賞受賞作が この本です 

20080501-00.jpg


宇野亜喜良のイラストにひかれ 表紙買いしました 




こうやってスイッチを押すたび、人が消えればいいのに。
カチ。
カチッ。
カチリ。
カチッ、カチカチカチッ、カチッ。 


そんな風に思う時って 誰にでもあるのじゃないかな


晴海苫子は 現在26歳で フリーター 処女 
無愛想で 無表情 マイペースな性格で 友達はいない 
幼い頃から 勉強が好きで 成績は良かったが 
本番に弱いため 三流のギャル短大に 進学 
主席で卒業するも 就職活動に ことごとく失敗 
苫子の首の後ろ (スイッチのある場所) は赤い痣になっている


そんな苫子の周囲にあらわれる 
おしゃべり好きな 掃除婦のおばさん 中島さん
家具オタクの 喫茶店マスター サル男
実はアニメオタクの デザイナー 川瀬 
元キャバ嬢で オヤジ専門の 瑠夏 
大学の同級生で 八方美人の営業マン 結衣 
苫子のトイレ掃除を褒める 謎の老人

ちょっと風変わりな人達との出会いの中で 少しずつ苫子は変わっていく


それぞれのキャラクターが 生き生きと描かれていて 魅力的 
ダメ人間・苫子の 卑屈な劣等感だけでなく 
要領良く 上手くやっているような 彼らが抱える悩みや不安も きちんと描かれていて 
それが それぞれとの人間関係に 深みと 味わいを与えている 
それぞれと交わされる会話や 言葉も なかなか面白い


各章の初めに スイッチの画が 描かれているのだけど 
ずっと OFFだったスイッチが 最後の章で ONになる





でも 苫子って 自分で気付いていないだけで 本当は 結構 魅力的だ 
古着しか買えなくても おしゃれそうだし 
頭は良くて 多分 外見も 決して悪くないはず 
安易に妥協せず 自分の世界を持っているのも良い 

ここまで行けない女の子が 本当は 圧倒的に多いのが 現実だろう 
それでも みんな明るく 楽しく 生きている   多分 


posted by aozora |00:58 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(1)

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さとうさくら 『スイッチ』 【ゼロから】

他人との接点が少なく、孤立している主人公。バイトも長く続かず、人間関係のいまいちだけど後ろ向きな彼女にも、少しずつ他人を変えて自分が変わってゆく、様子が旨く描かれておりすっきりした小説となっていました。

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