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2015年12月15日

【映画】 リトルプリンス 星の王子さまと私

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サン・テグジュペリが 「星の王子さま」を発表したのは 1943年、72年も前の事。
以来、世界中で多くの人に読み継がれてきた名作です。
日本では 内藤濯訳の岩波書店版が定着していますが、2005年に著作権の保護期間が過ぎて以降は 多くの作家による新訳が出ています。
僕も何冊か読みましたが、基本的に同じ本を翻訳している訳ですから、辛酸なめ子のトンデモ訳のような本を除けば、大きな差は無いというのが実感。

ただ、好きなセリフを どのように訳しているのかは 気になるところで・・・・・ 

キツネが王子さまに言います
「あんたが、あんたのバラをとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」 (内藤濯 訳)

「あんたのバラがあんたにとって大切なものになるのは、そのバラのためにあんたがかけた時間のためだ」 (倉橋由美子 訳) 

「きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ」 (池澤夏樹 訳) 

「君のバラが君にとってかけがえのない存在なのは、それだけ時間を費やしたからだ。エネルギーを注いだからだよ」 (辛酸なめ子 訳) 

「君がバラのために時間をついやしたからこそ、君のバラはあんなにたいせつなものになったんだ」 (石井洋二郎 訳) 

この前に 「大切なものは 目に見えないんだ」 という 有名なセリフがありますが、このセリフの訳には 殆ど差異がありません


という事で、本題。

昨晩、札幌駅の上で 2D吹き替え版を観てきました。
月曜日の夜という事もあり、3番シアターの観客は7名だけでした。 



注意! 以下、ネタバレがあります


偏差値の高い良い学校に入って 良い会社に就職するのが一番だと信じ、自分の価値観と人生設計を 一人娘に押し付けるシングルマザーの母親。娘は母親のいう事を信じて頑張るのだけれど、良い学校に入るために引っ越した家の隣に住む 風変わりな老飛行士の影響で、人生に対する見方が変わっていくというストーリー。
老飛行士は アフリカの砂漠に不時着して王子と出会った まさにその人。しかし、その話を誰にも信じてもらえず、不遇な人生を歩んでいた。老飛行士は少女にその思い出を伝える というのが前半で、ここで原作の “あらすじ” が紹介されます。
後半は、病に倒れた老飛行士の為に 少女が自ら飛行機を操縦して 王子を探しに行くという冒険談で、ここで王子の後日談が展開されるのですが、原作が好きな人には それぞれのイメージがあるでしょうから、ここは賛否の別れるところでしょう。僕は悪くないと思いましたが、正直、・・・・・・と感じるところが無かった訳ではありません。 
それでも  “大切なものは 目に見えない” という原作の世界観に対する愛、リスペクトが溢れていて、良い作品に仕上がっていると思います。


オリジナルストーリーの世界は CGアニメで描かれ、原作の世界は 紙や粘土の人形によるストップモーションアニメで描かれますが、その質感の違い、対比が良かったですね。

その昔、チャップリンは “モダンタイムス” の中で 工場で働かされる労働者を機械の歯車に象徴させましたが、この映画で描かれる街並みやビル街は まるで電子回路の基板のようであり、時代の流れを感じます。

王子様がビルの屋上で働くシーンでは “メリーポピンズ” の1シーンを思い出したのだけれど、本作はディズニー作品ではないから 無関係なのでしょうね。

別れた父親からのプレゼントは 毎年 ビル街を模したスノードームらしく、父親の価値観も母親と似たようなものなのだと思うと 寂しくなります。

音楽も良かったと思います。ただ、日本語吹き替え版の主題歌は 松任谷由美が歌っているのですが、どうでしょう? ビッグネームに頼る必要は無いと思います。

posted by aozora |20:18 | 映画 | コメント(0) | トラックバック(0)

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