2014年07月15日
『迎撃せよ』 福田和代
この作家の作品は 今回初めて読みました。 表紙とタイトルで購入、所謂 ジャケ買いでした。
スピード感や緊迫感はあり、最後まで一気に読み進めるだけの面白さはあります。 テロリスト達がスーパーではない事に共感もしました。 ただ、あちこちに物足りなさや それはどうなの?と思わせる部分があり、読後感は 今ひとつ。 アイデアは良いと思うのですが、いろいろな要素を詰め込み過ぎて 消化不良というところでしょうか。
田母神さんを思わせる元航空自衛隊幹部が、北朝鮮の工作員と結託して最新鋭のミサイルを装備したF-2戦闘機を強奪し、亡き息子の遺志を継いで 平和ボケした日本を目覚めさせるためにテロを起こし、元の部下である現役自衛官が命を賭けてそれを阻止するという展開は、どこかで何度も見たような 聞いたようなストーリー。 そこに メンタルヘルスや警視庁公安部、北朝鮮のミサイル問題や政治問題、中国の東海艦隊など、今時の話題を絡ませているのですが、欲張り過ぎたのか、どれもこれも詰めが甘く 中途半端な印象。 結果的に 今の自衛隊のあり方に関する問題提起も中途半端に終わったような気がします。 専守防衛を標榜する自衛隊の限界やジレンマを描くことで その存在意義を問おうとする作品は数多く存在しますが、残念ながら これはハズレの方かな。 集団的自衛権が騒がれている今、自衛隊の存在自体を もっと真剣に考えないといけないと思います。 解釈改憲を批判する声が多く聞かれますが、そもそも 戦力の不保持を謳っている日本国憲法第9条の条文を文字通りに読めば 自衛隊は違憲ではないですか? そこを解釈改憲で 保安隊を作り、自衛隊に改組して来た訳で、解釈改憲を批判するのであれば、自衛隊の解散を訴えるべきではないでしょうか。 自衛隊の駐屯地を整理統合しようとすると 人口減を懸念する自治体から 我が町から自衛隊を無くすな という声が沸き上がり、自衛隊が何か(例えば 大災害に備えた訓練)をしようとすると 反対運動が沸き起こる。 いろいろな声があるのは当然ですが、それに振り回される自衛隊は大変です。 明確な存在基盤が確立されておらず、いつまでも中途半端な存在の自衛隊で 良いのでしょうか。 解釈改憲による集団的自衛権行使には反対です。 そんな中途半端な対応で 一番振り回されて困惑するのは 当の自衛隊員たちです。 戦争を起こさない事が 何よりも大切なのはもちろんですが、外交努力だけで それは叶うのですか? 自衛隊の存在を認めるのか 認めないのか、まずそこから考え直し、認めないのであれば いざ攻められた時には 白旗を上げて降伏する覚悟をするか、米国の属国のようになって 多額の経済的負担と基地を提供して 守ってもらう道を選択するか、認めるのであれば いざという時にきちんと対応できるように 改憲するべきだと思います。
posted by aozora |21:34 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(0)
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