2017年07月07日
『陸王』 池井戸 潤
CVS仲間のNさんからお借りして読みました。 「陸王」 と言えば 昔の日本製ハーレーダビッドソン (昭和34年生産終了) や、札幌にあったオートバイ販売店 (平成20年12月倒産) を思い出しますが、この小説では ランニング用の足袋の名前です。 池井戸潤らしいストーリー展開で、楽しく、面白く、一気に読みました。 地方都市の創業 100年の老舗足袋メーカーが舞台。ジリ貧の業績を打開しようと ランニングシューズへの参入にチャレンジするというストーリーで、局面毎に生じる様々な問題を解決しながら 成功に向かって突き進むという いつものパターンです。 ただ、今回はひとつひとつの問題が小ぶりで、ここで更に大きな難題が降りかかるのだろうと思って読み進めると そんな事もなく、問題が比較的スムーズに解決されてしまうので、少々盛り上がりに欠けます。本当はそんなに簡単に解決できた訳ではないのでしょうが、それぞれの描写があっさりしているので、そんな風に読めてしまうのかもしれません。問題が小さくまとまってしまうと、それを解決した時の喜びや達成感も小さくなってしまう訳で、物足りなさが残りました。 大いなるマンネリとも言えるような安定した面白さではありますが、先の展開が予想できてしまい、それが殆ど外れないというのはちょっと残念です。こちらの予想を裏切るような大胆な展開があっても良かったのではないか、と思ってしまいました。 ところでこの 「陸王」、モデルが実在するそうです。 それは、「ランニング足袋 KINEYA MUTEKI(きねや無敵)」。 埼玉県行田市にある きねや足袋㈱ というメーカーの製品です。 会社のホームページは こちら 。 きねや無敵のコーナーは こちら です。 最後まで読んでもイマイチ 「陸王」 のイメージがよく掴めなかったのですが、モデルとなったのは こんな足袋なのですね。 50年と少し前、小学校低学年の頃の運動会では足袋を履いて走っていました。 底は厚手の布で、ちょっと高いのは皮が貼ってありましたが、普通の足袋でした。 高学年になると運動靴になりましたから、覚えている人は少ないでしょうね。
posted by aozora |20:20 | 本の話 | コメント(2) | トラックバック(0)