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2017年04月03日

『鹿の王』  上橋菜穂子 

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2015年の本屋大賞 第1位です。
「精霊の守り人」 シリーズ、「獣の奏者」 シリーズの 上橋菜穂子作品という事で、やっと今頃なのですが 期待して読み始め、一気に読み終えました。

面白かったです。

陰謀が渦巻く国盗り物語と 民族の対立、葛藤、その一方での 人と人の繋がり。
黒狼熱という感染症との戦いと、幕末の漢方医と西洋医学の対立を彷彿とさせるような医療アドベンチャー。
この二つを 二層構造で絡め シンクロさせるストーリーは壮大で、夢があります。

<ヨミダの森> に宿る谺主 (こだまぬし) は言います。
「人の身体ってのは森みたいなもんだ。おれたちの中には無数の小さな命が暮らしているんだ。」
天才的な医術師、ホッサルは言います。
「俺たちの身体は、ひとつの国みたいなものなんだ。この身体の中に、実に様々な、目に見えぬ、ごくごく小さなモノたちが住んでいて、いまも、私の中で休むことなく働いている。」

人間の身体も 国も、実は小さな命の集まりである。
それがこの作品の主題です。
国、人、病、自然、
非常に内容の濃いストーリーで、息をつかせぬ展開に惹き込まれました


ただ、
細部にまでこだわっている事がよく分かるのですが、いろいろ詰め込みすぎです。読み進めるのに体力が必要で、ちょっと疲れました。

また、
基本的にファンタジーは どこかにある架空の世界の物語なのですが、ここまで難しい当て字を使用する地名や人名、造語を使う必要はあるのでしょうか?
黒狼熱は ミツツアル、飛鹿は ピュイカ、東乎瑠は ツオル という具合です。
時々 ルビは振ってあるのですが、とても覚えきれないし、途中からは記号だと思うようにして読み進めましたが、時々 読み方が気になって集中が途切れるという事が何度もありました。

という事で、面白かったのですが、ちょっと消化不良気味です。


posted by aozora |19:19 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(0)