2009年01月15日
コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
前回と前々回で大分と札幌の共通点と異なる点を語りました。 http://www.consadole.net/mut18/article/94 http://www.consadole.net/mut18/article/95 ↑です。 共通点も多くありますが、そこはやはり大分と札幌では異なる点が多く、参考にはなりますが状況が違います。 では、コンサドーレ札幌の目指すべきクラブ・参考になるクラブがどこか。 その点を語ります。 私が思う、参考にすべきクラブは「川崎フロンターレ」です。 参考になる点を先に書いておきますと ・人気を得るのが難しい中人気を得た ・活動区域を地元に特化し、積極的に活動を行なった ・試合を楽しめるように、次々とイベントを行なっている ・確かなスカウト網で地道に戦力強化 観客動員数も上昇中。2度目のACL出場を果たすなどJリーグの強豪クラブへと変貌をとげている川崎フロンターレ。 このクラブは、非常に参考になると思います。 共通点として、互いにライバルが多かった。人気を得るのが難しかったというのが上げられます。 両クラブの人気獲得の面で置かれていた状況 コンサの場合、ファイターズの存在があり、メディアの露出の差があります。 そのため、注目を集めるのが難しく、人気をもっと得ていくのが難しいということがあります。 他にも、サッカー自体への関心が道内として低かったり、馴染みが薄いというのがあります。 一方川崎フロンターレは、神奈川県第2の都市であり。同じ県内に横浜という存在があります。 また、東京にも非常に近く。川崎は人の出入りは非常に激しくて、川崎市自体への帰属意識が非常に低い地域でした。 また、神奈川県内に3つの他Jクラブ、近隣の東京には、2つのJクラブ。 プロ野球も横浜にあり・東京にも2つあり、非常にライバルが多かったわけです。 そんな中、川崎の象徴となる存在になるのは非常に難しく、人気を得ていくのが難しい状態でした。 事実、「プロスポーツが根付かない街」と言われていました。 地方クラブではありませんが、だからこそ難しい問題が山積していたわけです。 都市型クラブであるがゆえの苦しみです。 後発であり、浦和・FC東京・新潟のような全県的人気を目指すのも、難しい状態でした。 この点で、現在のコンサと非常に似ているといえます。 川崎の現在の人気度 しかし、それでも川崎は必死に努力を重ねました。 根付かない街と言われた街のクラブが、咋年1試合平均1万7565人を動員しています。 2001年には1試合平均3784人だったクラブがです。 リーグ終盤では満員となる試合が多く、確かな人気が伺えます。 実際、私も行きましたが、相当な人気を得ていますね。 まず、駅では川崎のポスターが普通に貼ってあります。 中でも人気があるのは、中村憲剛です。すごい人気です。 駅から、スタジアムへの道(徒歩20分ぐらいの距離なので複数ルートあり)しか歩いていませんが 電信柱に、川崎フロンターレのタンペストリー(旗というかのれんのような物)が、あちこちにありました。 また、商店街の多くの店でも川崎フロンターレのポスターなどが張っている店もありました。 さらに、一般のマンションでも試合の日はベランダに川崎の旗を飾っている所を複数見ました。 スタジアム周辺では、キックオフ前のイベントがスタジアム外でも盛りだくさんで、どんな人でも楽しめるようになっていますね。 スタジアムがある等々力公園内で、スタジアムの横で出店やキックターゲットなどの遊びコーナーもありました。 また来たいと思わせるように必死に努力している姿勢が印象的でした。 さらに、選手がバスから降りたり乗ったりする場所が、メインスタンド裏にあるので 特に帰り際は、選手を見たい人であふれます。選手の中にはサインをしてくれる人もいるので 多くの人が待っていますね。 活動区域を地元に特化 川崎がやったこととして、まず活動を川崎に特化したことです。 そしてさらに、中原区、高津区、宮前区を重点地区に指定し 徹底的な営業活動を行ないました。 その結果地元商店街の、熱い支援を受けることが可能となり川崎に根付くことが出来る様になりました。 一点突破を目指したわけです。 他にもガンバ大阪も、吹田市など周辺の活動に特化したことで観客動員を上げることに成功している模様です。 この方式は、コンサも是非取るべきだと思います。 具体的にはスタジアムに近い、豊平区・清田区・厚別区が候補としてあがると思います。 札幌に特化することで最終的に全道的人気に繋がるかもしれません。 ちょうど浦和も浦和を中心とした一点突破で全県的人気を得ています。 イベントを中心とした、試合を楽しんでもらう姿勢 そして、川崎がスタジアムに人を呼ぶ為にやった方法は徹底的なイベント作戦です。 代表的なのは、清水エスパルスを倒す為に行なった「エスを狙え」作戦など楽しんでもらうイベントを続々と行なっています。 また、甲府が有名な話ですが選手が地域のイベントに参加や訪問を積極的に行い愛着を持ってもらうようにしています。 これは、ファイターズも行なっていることですし、是非積極的にやってもらいたいと思います。 回数だけが問題ではありませんが、ただやればいいということではなく本当に多く「積極的」にやることが重要だと思います。 多くのクラブが、これをやっていますが効果が出ているクラブに共通しているのは 「回数がすごく多く・選手とスタッフ共に積極的にやっている」ということですね。 この点が非常に参考になると思います。 川崎の卓越したスカウト網と優秀なコーチ陣 戦力強化の点でも、川崎は戦力外選手・ユースに上がれなかった選手・無名の選手・チームの戦略に見合った外国人を獲得して強化をしました。 川崎スカウト陣の目の確かさが表れていると思います。 この場合、森・谷口・中村憲剛・ジュニーニョが代表的な選手です。 コンサもスカウトには定評があるわけですし、あとは川崎のように優秀な監督とコーチを 見つけるができれば、川崎のような戦力を持つことも可能だと思います。 まとめと札幌に特化のすすめ このように、現在のコンサと同じように非常に人気を得るのが難しい状況であった川崎フロンターレですが 現在、「プロスポーツが根付かない街」といわれた川崎に確かに根付いてきています。 支援となる大きな企業があるという点で違いはありますが、これらの活動は非常に参考になると思います。 重要なのは、当たり前ですが地元を大事にすることですね。 どこまでが地元という話になりますが やはりスタジアム周辺地域は徒歩でいける方もいますし、非常に重要ですね。 正直に言いますと、コンサは札幌のチームになるべきだと思います。 北海道のチームではなく・・・・ 北海道は非常に広大ですし、その中で人気を得るのは大変だと思います。 そこはやはり、札幌に特化した上でその波及効果として北海道内で人気を得るべきだと思います。 浦和のように、札幌に特化したことで結果として、北海道内での人気が高まることもあります。 全県的に人気を得ようと多くの地域で活動したチームが結局どこのチームとも思われないで、解散してしまったという話もありますので。 まずは、札幌内での人気を得ることに特化すべきだと思います。 また札幌は地方クラブであるという認識がありますが、私は違うと思います。 確かに北海道という地方ではあります。 しかし、スタジアムのある札幌は日本有数の大都市であり、様々な娯楽や文化があります。 この点で、札幌と福岡は非常に似ておりおかれている状況も似ています。 甲府・大分・新潟などの地方クラブとはまた違う苦しみがあるわけです。 その点で、地方クラブよりも都市型クラブの川崎の方が参考になると思います。
posted by mut18 |22:00 | コンサドーレ札幌 | コメント(7) | トラックバック(2)
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大分との違いはなんだろう 【当然!B自由席です。】
遅蒔きながら先日のEスポーツの,ののさんの大分取材を録画で視ました。 これまでいくつかの番組で紹介されていたことと重複する点もありましたが,違っていたのは, 1.シャムスカマジックについて触れたこと 2.サポーターとの対話集会を紹介していること 3.社長インタビューで札幌について語らせたこと の三点でしょうか。
大分、川崎、札幌 【コンサドーレ札幌応援ファンド】
以前ブログを拝見させていただき、このブログにコメントをくれた事もあるJ観さんが、面白い記事を書かれています(こことこことここ)。 大分は同じ貧乏地方クラブなのにJ1で最後まで優勝争いに絡んでいたりしたので意識していましたが、川崎フロンターレについてはそれほど意識していませんでした。 フロンターレも確かに存在感があまりないけどいつの間にか強豪ですよね。昔はJ2にもいたんですよね、確か。 大分だって札幌より商圏は小さいですしね。 J観さんの意見には僕も基本的には賛成ですが、事業という面ではHFC自らがキャッシ
この記事に対するコメント一覧
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
はじめまして。
かなりの分析力、説得力のある文章に感嘆し、また同感です。
もし、まだでしたら、これと同じ内容のものをHFCにメールしてみてはいかがでしょうか?
posted by きなこ| 2009-01-16 12:46
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
>きなこさん
どうもありがとうございます。
川崎は人口の多い都市のクラブには非常に参考になると思います。
メールですか。最近は問い合わせがメールアドレスと名前だけで言い見たいので検討しときます。
ただ、このままではメールとしては文が変だと思いますので直したいと思います。
尚、この記事の内容を参考に、きなこさんがHFCにメールしてみてもいっこうに構いませんよ。
posted by 管理人| 2009-01-16 20:44
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
はじめまして。面白い思考実験ですね。ブログで記事を3回見直したのは初めてです。
管理人さんとは真逆の視点ですが「今の土台をベースにどんな顧客を取り込むか」という観点で等々力での川崎サポを見ると、共通するような「温い熱さ」という点で、かなり参考になると思います(あそこには「職業応援家」こと野崎氏がおり、こなた昨年末のusとのあれやこれやを並列に考えると、また興味深い)。甲府も同類かと思いますが。
視点をちょっと変えると、大分は市町村どころか谷が違うと大喧嘩する(それで大友家が最後まで豊州を統一できなかった)特殊な気質のため、トリニティはWC後お釈迦になるという見方が強かったです。そんな県民性でサッカーに限ってはオール大分にできたのかというと、断定はできないけどどうも溝畑氏のギャンブル以上に中津江村の存在が大きいらしい。あれで「トリニータは単純な道楽ではない」ことに、気がついたところもあるように仄聞しています。
溝畑氏の働き方(離婚という自分の幸せを放棄してまで、灰になるまで)というのは、霞ヶ関界隈でよく見聞きしますし敬服はしますが、それでたかがスポーツに人生をささげるのは正直どうかなぁと思うのです。何にせよある特定の人の人生を犠牲にしてよっかかる構図というのは、見てて気持ちよろしくはない。フジテレビの「めざにゅー」で杉崎美香さんがよろこんでいたのは、よかったですが。
北海道は一般的に「札幌」対「札幌以外」なので、それで何で僻地サポが多いのか、考えると面白いことが見えるかもしれませんね。
川崎の場合(南武線で統一されてなく、通勤に使う私鉄によって意識が分断されている。宮前と川崎では、菊水と宮の森ほど離れている、っていえば良いでしょうか)も一つにまとまらないことに危機感を持った阿部市長(この人も自治官僚だった)が、フロンターレに乗っかったということもできる。なんとなく「市町村区」というけど、地方によって事情や広がりがかなり違うんですよね、働いたものの実感ですが。
posted by さいとー@横浜| 2009-01-17 21:32
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
どうも、大分の田舎者です。管理人さんはコンサさんと大分の両方応援されているそうですが、大分の抱えている問題点がよく炙り出されていたので興味深かったです。ただクラブを存続させていくというだけならJ2でも構わないわけです。余程福岡の方が名前、市場の点で九州のリーダーなんですから、
大分県は全人口で漸く120万人、札幌市の人口よりも劣ります。そんな中でクラブ運営していくのは苦しいだけでしょう。でもクラブを止めれば残るのは何かと言えば県民の失望でしょう。大分県から公金2億借りているし、最早クラブは公共の物なんですから途中で止めたではなくコツコツ運営していくしかない。
ただコンサさんを見ていて残念だったのはクラブの為に汗をかく方が表に出てこない点です。
これが大分だったら2007年の降格危機に際しての「リベンジ3戦士」だったり、2005年FC東京からオファーも有ったシャムスカ監督を大分に来て助けてくれと頼んでくれた元通訳さん、マルハンの名前復活の為に35万人分の署名を集めて行動したサポ有志達
宮明先生や大分トリニータ後援会会長坂本元中津江村長は東京まで出掛けて署名をJリーグ側の担当者に手渡してくれました。
森重選手や西川選手等も鳥天の一日店長として活動したり、小学校や病院に訪問しています。それだから
大分の高齢者が「サッカーはどげなもんか知らんけど、こん前病院で見た西川ちゅう若い衆がえらしいけん、応援するで、」と言って九石まで観戦に来るという事が現実に起こるんでしょう。
大分はJ1残留が前提のクラブですからどうしても苦しい戦いを強いられる事でしょう。まあそれでも応援するしかないんですけど
ノブリンがコンサさんに来てノブリンの念願が叶って喜ばしいのと同時に一抹の不安が有ります。それはノブリンの監督時代にコンサさんがJ1に昇格できるのかということです。クラブの基礎作りに卓越した方ですが、J1昇格の旨味は柏でしか味わえていません。他の大分、川崎では1歩及ばず成績不振で辞任の憂目を味わせてしまいました。何よりも今年は51試合ですし、ノブリンと言えばハードワークが代名詞ですから選手は厳しい戦いを強いられそうですし、大変です。それとコンサさんがノブリンのクラブに成らない事を願います。クラブやサポが優秀な監督に頼りきってしまい監督が去ると又ゼロからスタートするという過去の大分が陥った事態にならないように、
色々書き連ねましたがご不快なら削除をお願いします。
posted by ざびえる| 2009-01-18 22:43
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
>さいとー@横浜さん
ずいぶんとお詳しいですね。
ホームタウンの地域というのは、Jは最大で都道府県単位までといっていますが
福岡の北九州と山口県の一部の地域はむしろ県を越えた地域のほうが交流があるんですよね。
その辺の区域設定と言うのは結局クラブ側に一任されますよね・・
posted by 管理人| 2009-01-18 23:10
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
>ざびえるさん
大分の地元に愛される為の活動は素晴らしいと思いますね。
サポーターとクラブがすごく近いというか、あれこそが地元のマイクラブなんだろうと思いますね。
「大人の為のサッカー教室」などは、非常に素晴らしいと思います。
クラブのコーチに大人でも教えてもらえるんですから、金を払ってでもやりたいと思うはずです。
マリノスも最近やっているようですが、是非コンサでもやってもらいたいです。
コンサドーレの場合は、ずるずると現状維持のままに進んでいる感じです。
沖縄と共に他県が陸で繋がっていない県(道)なので、他県を気にすることがないんですよね。
東京が一番身近なくらいです。
コンサに必要なのは、サッカーでのライバルクラブだと思います。
尻に火をつけるといいますか。
コンサは東芝の落下傘クラブなので、地元から上がってきたクラブがきたら
顔色が変わるのかなと思います。
石崎さんに関しては、私はそこまで評価はしていないんですけど
彼の手腕に頼ったクラブになるかは、フロント次第だと思いますね。
やっぱり重要なのはクラブのビジョンだと思いますね。
posted by 管理人| 2009-01-18 23:36
Re:コンサドーレ札幌の目指すべきクラブとは?
はじめまして。フラッ太と申します。
今回、ブログの更新にあたり、このエントリーを参考にさせていただきました。
事後報告ではありますが、挨拶に代えさせていただきます。
posted by フラッ太| 2011-04-05 00:46