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2008年07月05日

勝ち点を1を得たのか。2を落としたのか。

atubetu


 反転攻勢を誓った厚別初戦。相手は清水エスパルスです。
 前半、中山を左サイドに置くという新しい布陣でしたが、これがさっぱり。元気自身もどう動いたらいいのか、戸惑いの中にあって、攻めることも、守ることも中途半端。

 チームメイトも中山のサイドは半信半疑らしく、まったくボールが回ってきません。なので、事実上10対11の試合になってしまい、対面する相手の6番マルコス・パウロは自由を謳歌していました。私は、監督に向かって、「お願いだから中山のサイドは止めて下さい」と懇願してしまいました。

スタンド
 そんな調子だから、風上に立った清水は、前半、縦横無尽に札幌を攻めます。そして失点は、毎度おなじみのコーナーから。さらに2失点目は、ゾーンの間に入ったボールが自由に繋がれて、ズドンと決められてしまいました。  この試合、札幌の生命線であるプレスがまったくといいほどかかっていませんでした。前線から追い回すはずの元気は、サイドにいてオロオロするばかりだし、クライトンやアンデルソンは、そもそもプレスをかける選手ではないので、プレス圧力が激減してしまったのでしょう。全体的に、全員が迷いながらプレーしているという感じで、見ていてもいらいらが募りました。  後半、柴田を池内に変えました。キックオフと同時の選手交代は珍しく、スタンドでは2点目を許してしまった懲罰ではないか、と噂していました。後半に入り、風上に立ったことと、アンデルソンを下げて、中山をトップにあげたことで、ゲームは落ちついてきたとよう思います。やっぱりダメだよ、中山のサイドは。 中山 寂しそうな元気


 それから、追い風に乗って、高さのある札幌が、清水に迫るという展開になり、25分に西谷が入ることで、いよいよ勢いが加速し、コーナーから池内が同点ゴール。前半のゴールもコーナーからのダヴィの得点だったから、ガンバ戦から続き、4点連続でコーナーからの得点じゃないでしょうか。
 
 前半は、中山のサイドを始め、頭で考えすぎて体が硬くなってしまった、という感じで、後半、昨年からの慣れ親しんだ布陣に戻ると、吹っ切れたのか勢いが出てきました。それでも、流れの中から点が入るという感じはしません。現地的には、ぐだぐだの展開ながら“厚別力”で2点をもぎ取った試合と思いました。



おまけ
 おまけです


posted by hm1644 |22:20 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2008年06月29日

【第14節ガンバ大阪戦】今日から新チームの始動

 今、テレビで見たばかりの試合について書きます。
 感想は「まだら模様」。
 これは新たな可能性と、克服しきれない課題が混在した状態という意味です。まずは、克服しきれない課題から。

 当然のことながら4失点。守備から鍛え直すと言っていたにもかかわらず、開幕戦に次ぐ大量失点はさすがにいただけません。これは思うに箕輪が入ってDFラインがゼロにリセットされ、ここに来てDFラインの作り直しが始まった、というところでの大量失点だったんだと思います。

 そもそも昨年、J2を制したDFラインから今日のレギュラーとして出ているのは西嶋だけ。中断前まではゼロでした。三浦サッカーのラインデフェンスは、そう簡単なものではなく、昨年は奇跡的にうまくいったけれど、今年は、怪我人が相次ぐ中で、新たなメンバーに教え込もうとしても、なかなかモノにならない、というところだったんだと思います。

 そして中断期間にもう一度、教え直そうとしたけれどもやっぱりうまくいかない。それで我慢の限界を超えて、「もう外部からの補強しかない」ということで箕輪の加入ということになったんでしょう。そんな事情から、加入数日で箕輪は先発レギュラーとなりましたが、さすがの元日本代表といえども、慣れないラインデフェンスを加入して数日で統率することは、さすがに無理でした。ということで客観的に見ると今日の4失点は、(認めることはできませんが)理解できます。

 可能性は、やはりアンデルソンでしょう。ゲームを決定づける大活躍とはいきませんでしたが、文字通り「可能性」を感じさせました。何がと問われると困るんですが、印象として「大人の選手」を感じました。ただ今日見た限りでは、アンデルソンは自分でゴールをこじ開けるというタイプの選手ではなく、ゴール一歩手前でお膳立てをする選手のように思いました。それなのに今日であれば、ダヴィが開いてアンデルソンにラストパスを送るというシーンが目立ち、アンデルソンをからめた攻撃の組み立ては、これからかなと思いました。

 反対に課題は、特にクライントンですが、アンデルソンが入ったことにより、いよいよブラジル人3人だけで試合をしようという感覚が(日本人選手も含めて)生まれてくると、ちょっとやっかいかなと思いました。アンデルソンをどう活かしていくのか、後半に見られた攻撃の停滞は、日本人選手も、ブラジル人選手も、さてどうしたモノかという戸惑いだったんだと思います。アンデルソンは全体の連携の中で生きる選手のようですから、攻撃の新たなイマジネーションの確立が求められると思いました。

 可能性のもう一つは、札幌の「高さ」はガンバという日本のトップクラスのチームにもある程度プレッシャーを与えるということが収穫だったと思います。中山を右サイド置いた組み立てと言い、これはこれで大きく可能性を感じました。

 おそらくまた監督解任論も沸き上がってくるかと思いますが、今日のチームは、昨年の札幌とは別なぐらい違うチーム、監督が替わったのと同じくらい違うチームなんです。課題は、このチーム作りが今新たに今日から始まったというところです。箇条書きにすると

 ・アンデルソンを加えた攻撃の形の新たな確立
 ・箕輪を加えた守備の新たな形の確立
 ・「高さ」という新たなストロングポイントの活かし方の確立

 まるで1カ月のキャンプを経て、今日からリーグが開幕したような感じです。
 果たしてシーズン終了までに新チームが機能するようになるでしょうか。

posted by hibari |21:25 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2008年06月08日

【ナビスコ杯第6節柏レイソル戦】J1仕様へのリフォーム

現地からです。忘れないうちに、観戦記です。
 
 結果は0-3の惨敗。開始早々に最終ラインの裏をポポに取られて1点。2点目は、久しぶりの登場となった西澤が、相手の早さについて行けず、ペナの中で不必要に足を出してPK(そして退場)。最後は終盤間際に投入されたデビ純が、これもペナの中で何でもないボールクリアをミスし、相手に渡して失点。結果だけを見ると、まったく良いところのない試合で、終了後のゴール裏からの大ブーイングも(私もしましたが)当然の試合でした。

 この試合は、評価の視点の置き方で大きく変わる試合だと思います。函館での千葉戦、アウェイの川崎戦、そして今日の柏の3連戦を、リーグ再開後に向けたあらたな再構築の課程として見ると、十分に手応えのあった試合だと思います。反対に、ナビスコの決勝進出という結果に注目すると、3連敗で、守備の崩壊は止まらず、得点も函館の1点止まりと、まさに監督解任を叫びたくなる内容でしょう。

 三浦サッカーは超守備的であり、守備でJ2を制覇し、J1での低迷を守備の崩壊に置く見方があります。そうした見方からすると、今日の3失点は守備崩壊がまったく修正されていない状況に写るでしょう。しかし、今日見て私が思ったのは、三浦サッカーの本質は「守備的」であることではない、ということでした。むしろ三浦サッカーの本質は「攻撃的」であると言ってもいいでしょう。

 かつて札幌の監督時代の岡田さんは、「J1で1失点はしょうがない。勝ち点を獲得するにはどうやって2点を取るかだ」と発言していました。この言葉の通り、今、ナビスコの後半3節を通して、三浦さんはまさにこの「2点を取るサッカー」を目指しているんだと思いました。

 失点しない、堅守を再建する、ということが目標ならば、昨日のバーレーンのように最終ラインを下げれば良いんです。札幌は高さがありますから、もっと下がって事実上の5バックにして高さで跳ね返せば、失点はきっと減ると思います。そうなればカウンターの切れ味も増すでしょう。

 ところが今日見た札幌のラインは非常に高く、引き籠もり、どん引きサッカーとは正反対のものでした。1失点目は、札幌がラインを上げた裏のキーパーとの間の広大なスペースを突かれたもので、こうしたラインを高く保つサッカーを目指す以上は仕方のない失点でした。

 反対に今日の札幌は面白いようにチャンスを作り出していました。J1になってから今日ほど相手陣内に肉薄した試合は初めてでした。ところが、これが何かに呪われたと思うほどゴールが決まらない。決定機を外す見本市のような試合でした。バーに嫌われたシュートは3回はあったんじゃないでしょうか。

 ナビの後半3節の記録を見ると、どちらがゲームを押し気味にすすめかのバロメーターになるというコーナーキック数では、今日と前節の川崎戦では札幌が上回り、函館の千葉線ではコーナーキック数こそ相手が上でしたが、シュート数がはじめて相手を上回りました。結果は散々でしたが、内容的にはこの3節は札幌が押し気味にすすめていたようです。そして今日も、途中で西澤の退場によってゲームが崩れ、撃ち合いとなって相手のシュート数が上まりましたが、こうした事故さえなければ、札幌が柏を圧していた試合だったと思います。

 今日のドームでは、守備の再構築が課題という世評とは裏腹に、三浦さんは「三浦サッカーの攻撃的側面」を高め「2-1で勝ち点を取るサッカーの構築をすすめている」ことが実感として感じられました。事実、これまでよく見られた中盤を放棄して、長い球を単純に前線に放り込む、またヘディングで簡単に跳ね返すという工夫のなさは影を潜め、パスを繋ごうという意識は高くなっていました。もっとも、失点を減らそうという意図はあまり感じられませんでしたが。

 では、なんで3連戦もして得点はわずかに1点なんだよ、との声もありそうです。それこそノナトに変わる新外国人FW次第なんじゃないでしょうか。いずれ能力の高い外国人FWが来る、来てからでは遅いので、今からトレーニングしておこう、というサッカーではなかったかと思います。今日は宮澤が早々にピッチから消えたため、4-6-0という布陣だったのです。確かに今日は、ゴールの手前でのFWがいないことから来る、戸惑いが目立ちました。

 さて今、札幌に絶対に必要なのは守備の再構築だというならば、専守防衛でラインを下げてカウンターに徹するサッカーにすべきでしょう。そしてこの転換には監督交代が伴うものと思います。しかし、J1でも2-1で勝ちきるサッカーを目指すのならば、今の三浦さんの取り組みは決して間違ってはいないと思いました。これが成就するためには、ノナトの代わりとなる外国人FW次第なのですが。
 
 ともかく、ナビスコ3連戦を通して、J2サッカーの延長線上では勝ちきれないと判断した三浦さんが、新たなリフォームに着手していることは確かです。

posted by hibari |19:34 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(1)

2008年05月11日

【第12節アウェイ大宮戦】奪う守備・守る守備

 まぁ、また首の皮が繋がったというところです。
 さて、以前読んだサッカー入門書に、なるほどなぁ、というのがありました。

 それは「守備の目的とは何か」という問いかけで、その本では「ゴールを守ること」と答えると×というのですね。では何が守備の目的なのかというと「ボールを奪うこと」というのです。

 なるほどなぁ、と思いました。キックオフと同時のゴール以外、点を入れるためには、どこかで必ず相手からボールを奪うという局面があるんですね。ボールが確実に奪えるならば、少々相手がボールを持っていようが、パスミスをしようが恐れることはないのですね。
 
 さて大宮戦をテレビで見ていて、この昔本で学んだ「守備とはなんぞや」という設問が甦りました。前半の札幌の守備はまさに、ボールを奪うための守備であり、後半の守備はゴールを守るための守備だったのです。
 
 前半だけを見ていると、守備的とされる三浦監督のサッカーが、実は「ボールを奪うための守備」であることがよくわかりました。ラインを上げて相手からスペースを奪い、タマの出し手にプレッシャーを掛けることによってパスをブラし、苦しくなった受け手にさらにプレッシャーを掛けることによって、横や背後にいるフォロアーがボールをかっさらうと言うことが良くできていました。
 
 しかし後半は途端に「ゴール守るため」だけの守備となってしまいます。そして案の定、大宮のきれいな崩しに1点を奪われます。後半40分にコーナーキックの流れ弾に必死に飛びついた柴田の頑張りがなければ、勝ち点1以下だったでしょう。
 
 J1に上がって早くも12節。「ボールを奪うための守備」ができていればJ1の強豪とも互角の戦いができることはハッキリとしました。一方「ゴールを守るための守備」を続けていても、必ず1失点以上することも明らかです。
 
 まったく同じメンツで前半と後半ではこうもサッカーが違ってしまう。こうした試合がこれまでもたびたびありました。この違いはどこあって、どこから生まれてくるのでしょうか。これがわかると、札幌のサッカーをもう少し理解できそうなんですが、ラインの高さということ以外に、実のところよくわかりません。
 
 ただ、ゴールを守るための守備ではなく、ボールを奪うための守備が90分を通して実現できないと、茨の道は続きそうだということだけは、確かなようです。

posted by hibari |23:29 | 試合の感想 | コメント(2) | トラックバック(0)

2008年04月29日

【第9節アウェイ浦和戦】組織 対 個

 札幌は前線が軒並み野戦病院送りという非常事態の中で、よく戦いましたが、試合を分けたのは闘莉王とエジミウソンの個の力だったんじゃないでしょうか。

 浦和の2点目、闘莉王のヘッドは、札幌から見るとゴールエリアの左端で、J1になってから何度か失点している魔のゾーンです。コーナーキックもゾーンで守る札幌では、ちょうどあそこが死角になるようなんですね。そしてJ1だとその死角に寸分違わず確実にボールが飛んでくると。
 しかし、失点の場面は、札幌もさすがに死角を潰すべくしっかりとマークしていましたが、闘莉王の強さと巧さの前にゴールを決められてしまいました。

 後半、試合を決定づけたのはエジミウソンの個人の力でした。これで1点ビハインドとなり、同点、逆転のためには攻めるしかなかった札幌が逆襲を受け、4点目を失うのは、まぁ、仕方がないでしょう。それにしても、エジミウソンが鮮やかに決めたゴールは、ダヴィが今シーズンになってからも何度もキーパーにぶつけたシュートでしたね。

 FW不在とは言え、立ち上がりから調子よく、早々に砂川がゴールを決めたのに、試合をコントロールしきれなかったのは、埼玉スタジアムのあの雰囲気に飲み込まれた部分があったのでしょう。久しぶりのj1となった札幌には、あの雰囲気を経験したメンバーが少なかったことが、多かれ少なかれ影響したのでしょうね。明らかに高木の動きは変でしたしね。

 前回の昇格の時には、札幌には動員力があり、たとえ浦和とは言え、それに動じないだけ雰囲気をホームでつくり出していましたから、浦和とも堂々と渡り合っていました。しかし、今回、せっかくの昇格であっても、これまでJ2と変わらない動員で、選手に免疫を付けることができませんでした。

 一方、浦和は日本ナンバーワンのビッククラブとして常勝を義務づけられているんでしょう。代表クラスが綺羅星のように並ぶ選手たちが、J2のような負けないサッカーをやっては、うちのようなチームは勝てませんよ。開幕で戦った鹿島の方がはるかにチャンピオンにふさわしいチームだったというのは、負け惜しみです。

posted by hibari |22:25 | 試合の感想 | コメント(5) | トラックバック(0)

2008年04月20日

【第7節ヴィッセル神戸戦】半歩前進

 首の皮一枚で、勝ち点1と繋がった試合でしたね。
 中二日のアウェイ連戦で、負けなかっただけで良しとしますか。

 ラインを高く保ち、ゲームを均衡させるという札幌らしい展開は前半の半ばに少しあったぐらい。全体的には、神戸に圧されラインを下げさせられ、防戦一方。数点失ってもおかしくなかった試合でした。
 
 ゲームを支配されてしまったのは、連戦の疲れもあるのでしょう。それと、何度も言われていることだけど、やっぱりクライトンはボランチ。前に持ってくると、中盤でタメがつくれません。

 後半早々のダヴィのゴールは、すばらしいクライトンとのコンビネーションでしたが、その後はいよいよ防戦一方。監督も中盤にタメを作ろうとしたのか、西谷を入れましたが、まったく機能しませんでしたね。

 それでもデフェンスラインが体を張ってゴールを死守。J2だったら守りきれたんでしょうけれど、さすがにJ1。神戸の同点弾は、相手を誉めるべきゴールでしたが、考えてみれば、あのへんの距離からは開幕戦の新井場、川崎のチョンテセにも決められている。中盤が押し下げられて、ちょうどフリーキックでは入れ頃の距離が開いちゃうと、J1の技術だと決められてしまうんですね。

 そこから神戸は逆転を狙ってさらに前がかりになりましたが、これは明らかに攻守のバランスが崩れたもので、逆に美味しいカンターのチャンスが広がりました。しかしクライトンは、ボールがキープできるためか、逆に速攻に向かない、ということもも明らかになりました。

 相手ゴール前に広大なスペースがあるので、ワンタッチでゴール近くに転がしてやれば、ビックチャンスという場面で、ボールをキープして(たぶんダヴィを探しているんだろうけど)、相手に戻る時間を与えたり、また札幌の選手も簡単に前にはたけばいい場面で、クライトンを探して預けたりして、自ら速攻のチャンスを潰していました。

 決勝点よりも同点ねらいの時間潰しだったのかもしれませんが、時にはセンターラインから3秒でゴールに達する高速カウンターで決勝点という展開も覚えておきたいものです。

 この試合、ちょっと別な方にこぼれると3失点、4失点が十分にあり得ました。ナビスコで神戸は、主力を規定ギリギリまで落としてのぞみました。神戸にしてみると、3連敗の悪い流れを、ホームで、しかも最弱と言われる札幌に勝つことで止め、あわよくば大量点で上昇気流に返り咲くことを夢見ていたんでしょうね。

 それなのに勝ち点1を持って帰れたのはラッキーだったというべきか。ナビスコの千葉戦を完封し、守備陣が自信を得たのが大きかったのか。いずれしろ、半歩前進できたのはよかったと思います。

posted by hibari |00:50 | 試合の感想 | コメント(2) | トラックバック(0)

2008年04月02日

【第4節川崎フロンターレ戦】ダヴィ、帰ってきて!

GK曽田
 まぁ、あれだ。  負けてもいい試合なんてないし、プロである以上結果が全てなんだし、勝つという強い気持ちがどんなときにも必要だって事はわかってますよ。でも、まぁ、今日は、選手紹介を見て、これは勝てないわ、と正直に思ってしまいました。  フッキの電撃移籍後の最初の試合。しかも、相手はナビスコでふがいなく負けた昇格チーム。代表選手も戻ってきて、絶対に負けるわけにはいかない川崎と、前節に初の白星を挙げ、どこかほわんとした札幌。しかも、あろうことか、ダヴィがいません。(本当にどうしたんでしょうか)  開始早々の鄭のゴール。開幕戦の新井場のゴールと同じようなものでしたが、J2の時には、あんなシュートは無かったし、あったとしても入りません。確かに、チェックだとか、マークだとか、いろんなことで防げた失点なのかも知れませんが、あれは、入れた選手を誉めるべきですね。敵ながら執念を感じました。  それからは、川崎がしっかり守って、札幌が前に出てきたところでカウンターを食らわせるという展開。川崎というチームは、カンターの鋭さ、早さで、今の強豪という地位を築いてきたのでしょうね。後半4分の川崎の2点目も、開始早々に同点を狙って前に出た札幌の隙を突いた、まさに電光石火のカウンターでした。あんな切れ味のカウンターも去年にはありません。  その2点を除くと、札幌の組織的守備は機能していたと思いますよ。鹿島の時のような一方的な展開ではありませんでした。最終ラインの高さは勝っていました。特にルーキーの柴田は本当によかった。曽田さんも落ちついていました。セカンドボールも拾えていたし、川崎の攻撃を2点に留めたのは十分に評価できると思います。  しかし、ダヴィの存在がこんなにも大きかったとは思いませんでした。クライトンは相変わらずの鬼キープで、札幌と川崎にステージの違いがあったように、クライトンと、川崎の選手をも含めたすべての日本人選手との間に大きな違いがありました。ブラジリアンはすごいわ。  クライトンは川崎の選手に囲まれても、強いし、うまいし、ボールを失わないのですが、ダヴィがいないことで、クライトンのボールの出しどころがないんです。試合が進ごとにすべての札幌のマイボールはすべてクライントンに集まるようになりました。しかし、そこからがどうしようもない。クライトンにボールを預けたがる選手はたくさんいても、クライトンからボールをもらいたがる選手がいないんです。  今日のツートップの中山も石井も、軸となるフォワードがいて、そのサポートとして生きるタイプで、サポート役が二人そろっても何も出来ないという感じでした。 特にJ1初試合となる石井には、明らかに戸惑いがあったようで、何もできないまま時間が過ぎました。いわゆるほろ苦いデビューというヤツですね。  後半、中山がさがって、クライトンがFWになりましたが、今度はクライトンに出す選手がいないんですね。それでクラインはさがってボールをもらいに行き、もらうと鬼キープでいいんですが、やはりクライトンからのボールの受け手がいない。川崎は2点リードの余裕があったためか、結構、セカンドボールを奪えたんですが、ゴールの臭いのしない展開が続きました。  ぜんぜん勝てるというか、得点が入りそうな気がしないけれど、それでも、まぁ曽田さんのゴールキーパーという面白いものを見れたから、まぁいいか、というところでした。まぁ、スポ根漫画的には怒られるかも知れないけれど、別にこちとら優勝を目指しているわけじゃないしさ、こんな試合もあるよ。今日の試合は早々に忘れちゃいましょう。。。という試合でした。  それにしても、こんな状況なのに、ベンチにも呼ばれないノナトは・・・


posted by hibari |22:34 | 試合の感想 | コメント(6) | トラックバック(0)

2008年03月31日

J2は負けて悔しく、J1は勝って嬉しい。

リーグ戦、初勝利ですね。
勝つとようやく、J1になったような気がします。
前にも書きましたが、
J2は負けて悔しく、J1は勝って嬉しい。
そしてまた勝ち星の数だけ、J2の記憶が薄くなるような。

さて、今節は録画に失敗したということもあって、
あまり深く見ていません。ざっと印象だけ

でも前の試合で、札幌のJ1仕様と言うようなことを書きましたが、
今日の試合は、終了間際に池内を入れて逃げ切りをはかるところを含め、
まったく昨年のサッカーでしたね。

これは、雨の悪いピッチを嫌ってロングボール主体にしたのか、
それとも、札幌のサッカーは変わっていないのか、
次節のドームで明らかになると思います。

それはそれとして、クライトンがいいですね。久々に当たりという感じがします。
これは1週間でお引き取りいただいたアウセウに感謝しなければなりません。

ダヴィはうまくなりました。一対一が決められないのは相変わらずですが、
そこにいたるプロセスが、確実にワンランク上がったように思います。

今日の試合、岡本はちょっと出したけど、西はだんだんと馴染んで、
ついに初ゴールです。

基本的に昨年仕様のままだけど、若手がレベルアップした、そしてクライトンが入った。このことで、ようやくJ1でも戦えてるようになってきたのかも知れません。

いずれにしろ次節は、リーグ戦の前半を占う試合になると思います。

posted by hibari |01:05 | 試合の感想 | コメント(2) | トラックバック(0)

2008年03月23日

【ナビスコ杯 第2節】札幌のJ1仕様

  ただいま、室蘭より戻りました。(すみません、今回は写真は無しです)。
 この試合は、中継がないということのなので、すこし詳しく報告させていただきます。

 前半、早々にセットプレイで失点したときには、川崎と最後に厚別で戦った試合を思い出してしまいました。2004年のJ2第27節。開始0分と9分、立てつづけに我那覇に決められ、後半38分にジュニーニョにだめ押しで、1-3で敗れるという試合でした。奇しくも今日の川崎のツートップは、同じ我那覇とジュニーニョ。得点者こそ我那覇なではなく寺田でしたが、前半3分という時間での失点は、04年の悪夢を思い出させるの十分でした。

 失点後、川崎がゲームを支配しつつも、札幌が時折するどいカウンターを見せるという、ちょうどドームでのマリノス戦の前半のような展開になりました。ダヴィはJ1相手でも存在感を示しましたが、初先発となったノナトは、ファン感謝デーで見たときよりも絞れてスポーツマンらしくはなりましたが、動きがちぐはぐでゲームに入りきれていない、という感じでした。たぶん前半はシュートゼロ。ボールタッチも2-3回という感じじゃないでしょうか。

 後半、三浦監督は動きました。ノナトを下げて西を入れました。表記としてはクライトンとダヴィのツートップとなるのかも知れません。実際のところは、ダヴィの1トップで、西がボランチに入り、クライントンが前目で自由に動く、という布陣になったと思います。

 そして札幌が徐々にゲームを支配し、川崎を押し込みます。後半16分に砂川に代えて岡本が入ると、ますます札幌ペースになり、後半29分、鄭が入ってすぐのペナルティキック、入ったばかりの鄭が壁からの跳ね返りを打ち返して同点。ここまでずっと札幌が圧してました。その後、少し川崎が戻してイーブンゲームとなりましたが、40分に西島が、クライトンの上げたコーナーから、うれしい同点ゴールをたたき込みました。

 この試合で、目を見張ったのは後半、特に岡本が入ってから、今季の優勝候補と言われたあの川崎を相手陣内に押し込んだことですね。得点も相手に、押し込まれながらも一瞬の隙を突いてのカウンターではありません。力で相手を押し込み、ゴールを奪いました。これはシュート数こそ6対7とほぼ互角ですが、コーナーキックは7対4と、ほぼ札幌が倍打っていることでも示されます。

 これはどういうことかというと、三浦監督は明らかにサッカーを変えて来た。そしてその新しいJ1仕様のサッカーが、今日始めて機能したということだと思います。

 J2を制した札幌のサッカーは、カウンターのリスクを排除するために、シンプルにロングボールをツートップに当てるというものでした。ところがJ2を制したこのサッカーは相手に中盤の支配権を明け渡すことになり、著しい消耗を招くことが、開幕の鹿島戦で明らかになりました。J1を戦うためには、やはり中盤を作らないと試合にならないのですね。

 そこで今節、とくに後半。ノナトを外し、ダヴィの1トップ気味にし、岡本と西というテクニックのある若手を中盤に入れることで、中盤に数的優位を作った。少なくとも奪ったボールを簡単に前にはたくのを止めた、少しはつなげる、貯められる技術のある二人を入れた。そしてクライトンを前目に上げて、前にボールの収まりどころを作った。

 そして最終ラインは昨年よりもさらに高いラインを保った。これが効いたんですね。川崎もラインが高いですから、いわば満員電車状態なんですね。そうなるとパス交換のスペースが潰されて、札幌と川崎はイーブンな状態となった。そこにクライトンが前目で抜群のキープ力を見せるんです。クライトンが持っている間に、札幌は全体として押し上げる。こうして川崎を押し込みました。

 一方、後半28分に変えられた藤田ですが、札幌のこの新しいJ1仕様のサッカーに一番対応できていない感じでした。あと、ノナトはこの新しいサッカーの中で居場所を確保するのは正直言って厳しそうです。

 もっとも川崎にしても代表組がいない中での試合で、彼らが復帰するとどういう展開になるかわかりませんが、J1に上がって初めての勝利。それも押し込まれてのカウンターではなく、相手を押し込んでの力づくの逆転勝利は、「これで戦える」という自信を選手に植え付けたと思います。

posted by hibari |19:24 | 試合の感想 | コメント(5) | トラックバック(1)

2008年03月17日

【第2節ホーム横浜戦】デジャビュ

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 鹿島との開幕戦と比べ、前進したと捉えるのか。そうでないと捉えるのかで、評価の分かれる試合だと思います。    前半だけに限って言えば、シュート数やボール支配率こそ横浜でしたが、ゲームを支配していたのは確実に札幌でした。きわどいオフサイドやPKをはずしたシーンなど、ゴールに直結する決定機の数は札幌の方が多かったと言えます。もっともこの決定機を決められないところで、勝利を逃がしたわけですが。  この変化を生み出したものは、ラインの押し上げだったと思います。生観戦で比較したわけではないので、違うかもしれませんが、鹿島戦よりも何メートルか高くなっていたんじゃないでしょうか。  ラインが高いので、ラインとゴールの間に距離があり、相手のシュートに対応する時間的ゆとり(といってもコンマ何秒ですが)があったように思います。 もう5メートルとか最終ラインが低かったら鹿島戦の二の舞だったでしょう。  また、ラインが高いため、前線との距離が近く、鹿島戦よりもはるかに相手ゴールを脅かすシーンが増えました。また繋ぐ意志も出てきたと思います。後半も初めは前半の良かったイメージが引き継がれ、それがダヴィがうれしい今期初ゴールにつながりました。それこそ三浦監督の目指しているサッカーでした。 line ※最終ラインはセンターサークルのすぐ側まで上がっています。


 しかし、ラインを高いまま維持するのは大変なことなんだと思います。失点によって攻勢をかけてきた横浜の勢いに次第におされ、しだいに防戦一方に。そんな苦しい時間帯を何とかしのぎ、残り10分。池内の登場もまもなくかと思われたところで、痛恨の失点。それにおそらく気落ちしたんだと思いますが、すぐさま逆転されました。

 見ていてデジャビュ感というか、昔一度見た展開だなと思ったのは、札幌が前にJ1にいた2002年の試合にこんな試合が良くあったんですね。先制しても、後半に息切れして防戦一方になり、同点、逆転を食らう試合が多かった。http://www.consadole-sapporo.jp/info/topteam/2002/
 あのときも開幕が1-5で敗れ、続く第2節は0-1で、年間に5勝しかできないで降格でした。

 ただあのときは、ラインを上げると言うよりも、イバンチェビッチ監督の作戦で低いところで構え、ボールを奪ってからゴールにまで運ぶオートマチズムが徹底していたように思います。それに対して守りにはあまり策がなかったような。勝てない試合が続くと、イバンチェビッチ監督は、お手上げと言って札幌を去りました。

 しかし、今年はまだ始まったばっかりで、高さでは確実に相手を凌駕し、ラインを高く保てればJ1相手にも勝負ができることが、この2試合を通じて掴めたました。
 あとはこれをどうやって90分保つかということですから、課題はハッキリしているので、2002年よりも比較的やるべきことは、明解じゃないでしょうか。もちろん楽観論ですけど。



marine
※大勢のマリノスサポ。こういう風景はJ2時代にはありませんでした。



posted by hm1644 |00:25 | 試合の感想 | コメント(4) | トラックバック(1)

2008年03月08日

【第1節アウェイ鹿島戦】ハイリスク・ハイリターンのツケ

 明らかに格上の相手とギリギリの勝負をし、途中まで拮抗していたけれど、何かが折れた途端にすべてが崩れて、グタグタになるという展開でした。

 前半、ダヴィと中山を前に置いた07年仕様でした。前から追い込んで、相手にプレッシャーをかける戦法は、ギリギリのところでJ1チャンピオンである鹿島にも効いていました。

 しかし拮抗した展開といえども、あくまでもギリギリのところで相手を押しとどめるのが精一杯という展開で、勝ちは望むべくもなく、このまま行けば少なくとも1失点はあってしかるべきという展開でした。

 0-0で前半を終えて、指揮官には二つの選択があります。

 一つは拮抗した展開を後半も維持すること。0-0を狙って勝ち点1を持ち帰る。
 しかし、たとえ後半も均衡を維持できたとしても、こちらがゼロで抑える可能性よりも、相手が1点取る可能性の方がはるかに大きい。たとえば後半2店目の新井場の得点などは、昨年にはあり得なかった得点です。この作戦だと勝ち点1以上を持ち帰る可能性は15%ほど。それでも0-1で負けても、“守備は通用したという自信”を持ち帰るのか。

 もう一つのゲームプランは、思い切ってギャンブルに出ること。
 どうせ拮抗した展開を続けても、精一杯やって0-0の勝ち点1。現実路線では勝ちは望めない。だったら、まだシーズン序盤なんだから、たった1の勝ち点にこだわらずに、わずかでも可能性にかけてみよう。当たれば儲けものだし、はずれても貴重なテストができる。

 こうした二者択一の中で、三浦監督が選択したのは後者のギャンブルだったようです。

 サッカーに限らずいつの世も従前の予想を覆すのは若い世代の爆発。先発に西を使ったこと。後半に藤田、岡本を入れたこと。これは、J1チャンピオンの鹿島を倒すというサプライズが起こりうるならば、若手の爆発という、想定外のミラクルしかない、という監督の思いだったんでしょう。

 しかし、これらの采配はハイリスク・ハイリターンなギャンブルなわけで、鹿島から勝ち点を奪うというハイリターンの裏腹には、0-4というハイリスクが当然に存在していました。

 個別に言うと、監督の想定を裏切ったのは西の不甲斐なさでしょう。
 サプライズを期待して先発起用した西がJ1チャンピオンに、飲み込まれ萎縮してしまってはサプライズなども起こりようがない。萎縮しきった西の前半のプレイでは、後半とともに下げられも、しかたがないものでした。

 西が失敗したならば、鹿島を倒すと言うことはほとんど望めない。どうせ勝てないのならば、毒くわば皿まで。もっとギャンブルしよう。加入して1週間もたっていないクライトンをFWで使うわ、岡本を入れるわ。後半はまったくのプレシーズンマッチになってしまいました。

 そんなギャンブルの結果として、0-4のツケは順当でしょう。それ以上の点差も十分にあり得ました。

 今日の0-4は、序盤だからこそ許されるギャンブルとして、監督の予想の範囲内ならば(と思いたいですけど)、次節ホームの横浜戦をどうするのか、大変注目されるところです。

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2007年12月02日

【第52節】育成路線が生んだ優勝

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 この一年を集約したような試合でした。    立ち上がりから積極的に動きだしはむしろ水戸の方。前節にセレッソに勝ったということはウソではありません。一方、札幌は、第3クールに始まった大失速を再現するかのような動きの固さで、水戸にゲームを支配された揚げ句、前半10分にコーナーから1失点。  審判も、ささいな接触にも笛を吹くタイプで、本来ならば3万人近いホームの大声援を受けて勢いに乗るところなのに、神経質な笛が勢いを止めてしまいます。自分の過去の記憶をたどると、先制失点、勢いを止める審判という要素は典型的な負けパターンで、審判を目で追いながら嫌な気持ちになっていました。  勝負事ですから勝ちもあれば負けもあるんですが、この試合だけは絶対に負けの許されない試合。もし負ければ確実に3位転落。シーズンの大半を首位を独走してきたチームが、土壇場で3位に落ちることの精神的なダメージははかりがたく、入れ替え戦の勝利など、まったく想像できません。  そして昇格に失敗でもしたならば、クラブが消滅しかねないほどの強烈な反動を受けたでしょう。そういう意味で、今年最も重要な試合であるばかりか、ひょっとするとここ10年で最も大事な試合でした。  もっとも水戸が開始早々の勢いを前後半を通して持続できれば、今の順位にはいないわけで、前半半ばから水戸の勢いが落ちると、札幌も少しずつ盛り返し、30分過ぎからは波状攻撃をかけることができるようになってきました。そして前半43分にダヴィが同点弾をたたき込むと選手にも落ち着きが生まれ、後半は失点しないようにゲームをコントロールしながら、スキを見て追加点を狙うといういつもの札幌の試合運びになりました。そして後半38分、優勝を呼び込むダヴィこの日2点目の決勝点。  札幌の昇格、優勝を三浦監督の戦術の徹底だとか、いろいろと分析できると思いますが、ここで私は5段階路線で掲げた育成路線が大きな決め手となったと言いたい。決勝の2点はいずれもダヴィのすぐれた身体能力が生んだものでしたが、それをお膳立てしたのは西と岡本の若い二人。  長丁場でけが人や警告累積でレギュラーが組めなくなると、問われるのは選手層の厚さと途中補強の充実ですが、資金の限られた札幌は、大枚をはたいてJ1から即戦力を移入するかわりに、ユースから育てた若手が活躍して、西谷や大塚など負傷リタイアしたレギュラーの穴を埋めました。  J2の中でユース組織が実績を示しているのは札幌だけです。一昨年には高松宮杯でJ2として唯一決勝に駒を進めましたし、最終節でも3人ものユース出身がベンチ入りしていました。2点目をアシストした岡本はユース上がりではありませんが、しまふく寮の中で、西や石井、藤田といった同年代のユース組みと寝起きを共にし、刺激を受けて成長したと思います。  三浦監督が言うようにJ2でも資本力が順位に比例している中で、資金力では6番目の札幌が優勝したのは、ひとえに他のチームにはない育成路線の成果だと思います。過去の昇格チームが、途中補強で昇格を決めていったのに対し、資金力の資金力の乏しい札幌は、高い金を出して他から即戦力を移入するかわりに、自前の若手を育てて途中補強の代わりとしたのでした。これは今までのJ2にはなかったパターンだと思います。  そうした意味で、西と岡本がお膳立てした最終節の逆転劇は、今年の札幌を象徴するゲームだったと思います。


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2007年11月18日

【第50節】監督力で得た勝ち点1。失った勝ち点2

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 まさに昇格のかかった大一番。  何となく、道内マスコミを中心に今日勝って昇格決定というようなムードが流れていましたけれど、この試合こそが生死の境と思っていましたし、客観的に見て、ホームのアドバンテージを加えてようやく五分五分、実のところ4・6で分が悪いと思っていました。  ディフェンスが安定してきた札幌ですが、サッカーなのでやはり点を取らないと勝てない。その札幌の攻撃は、左の西谷と右の藤田、そして後半から入って流れを変える砂川の存在、これが札幌の攻撃の要でした。  ところがリーグが進み、けが人や累積警告の蓄積などで、攻撃編成が取れなくなってきた。なかでも西谷のケガや、藤田のケガ、警告が痛く、総体的な攻撃力が低下していました。愛媛、徳島などの下位チームには、この攻撃力でも守備の力で0-1でかろうじて勝ちを拾ってきましたけれど、第4クールに入ってから中上位のチームには勝っていません。  こうなるとモノを言うのは選手層の厚みですが、こと攻撃力という意味では経験の薄い若手に、調子の良い時期の砂川のように、途中から出て試合の流れを変える力があるとは思えなかったのです。けが人や警告が増えるのは京都も同じでしょうが、こと選手層の厚さということでは、長年J1にいた京都に分があると思っていました。 その京都も昇格という大目標に向かって本気で来るでしょうから、なんとかだましだまし先取点を奪い逃げ切るというのも苦しそう。先取点を奪われると鳥栖戦の二の舞い、と思っていたのです。  実際に、試合が始まってみると予想したような展開でした。ダヴィのあわやのオフサイドやPKで、決めるべきときに決めないでいるとなんとやら。ゲームが相手に渡ってしまい、相手の見事な連携で1失点。札幌は京都相手に重いビハインドを背をってしまいました。  こうして札幌は追いかける展開になったまま後半へ。満員のドームも試合の苦しさに意気消沈し、ほんとは後半開始すぐにも行われるはずの人文字が現れませんでした。  ところがここで監督の采配が大きく明暗を分けたのですね。  札幌の三浦監督は、曽田と砂川という二枚看板を同時に下げるという大胆な作戦に出たのに対して、京都の加藤監督は、まずアンドレ(ケガだったようですが)を下げた。それを見て三浦監督は、西澤を下げて石井を入れて3トップに。さらにそれに対応して加藤監督は徳重を下げて、FWを無くしてしまいました。京都が、あからさまに守りに入ったことが西、岡本、石井の若い3選手を勢いづかせました。それが立て続けの逆転劇を生んだ。  京都としては、守りに入らずに、3選手の経験の薄さに思いっきり突っかけて、守備に回らせれば良かったんですよ。そうすれば京都の完勝だったと思いますね。ところがそうならずに、本来恐れる必要のない札幌の攻撃に恐れをなして、早々と逃げ切り体制を京都にひかせてしまったのが、昇格という大目標のかかった大一番からくる気持ちの萎縮、そして3万人のホームの圧力なのでしょうか。  しかし札幌にも、鉄壁のシステムディフェンスを崩してしまった代償、そして若手主体の経験の薄さという代償は大きく、札幌が逆転すると、どのように守っていいのか、意思統一ができず、バタバタとして不必要なPKを与えて同点となりました。  勝てる試合を落としたという見方ができるかもしれませんが、私としては、負ける試合をホームのアドバンテージと、両チームの監督力の差で、引き分けに持ち込んだと見たいですね。負ければ仙台の状況(負けたようですが)では4位以下もあり得たわけで、私としては、よくやったと評価したい。  それにしても虎穴に入らずんば虎児を得ずとして、この大一番で、先発に西を起用し、後半とともに砂川を下げて岡本というルーキーを投入した三浦監督の凄み。勝負師としての度胸。そして、その期待に応えた若手3選手の躍動。これを目前に見れただけでも、すごく良い一日でした。


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2007年10月30日

【第48節 愛媛FC戦】奇蹟の起こる夜

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 月がとてもきれいな夜。  奇蹟がおこる夜があるとしたなら、こんな月夜だろう、と思って空を見あげていました。  それにしても、ロスタイム2分に、決勝ゴールが決まるとは。  それも、急遽南米から呼び寄せた試合出場2試合目の  さらに育成路線の象徴であるユース出身の西が決めるとは。  サッカーだって物理法則の上に成り立っており、サポーターの声援が選手のアドレナリンをほんの少し上昇させることができたとしても、所詮はその程度、のはず。    しかしアウェイの愛媛戦は、サポーターの後押しが、実際の戦力になることをまさに目してしまった。かりに、そうでないとしたならば、ロスタイムの西のゴールを説明することができません。  札幌から遠く離れた四国愛媛に集まったサポーターは300人とも600人とも。その声援は、ホームであるはずの相手を凌駕し、愛媛運動公園陸上競技場は、あの何時間、確かに厚別公園陸上競技場と化していました。 ehime



 西がボールを受けて足を振り抜き、ゴールにボールが吸い込まれるまで、おそらく2~3秒。スポーツマンガだと、そのわずか2~3秒を何十コマにコマ割りし、いろんなセリフをはさんで盛り上げますが、実際には「あ」とか思ったら、事は決している短い時間です。

 そんな短い時間なのに、ボールがクロスバーに当たって、ネットに吸い込まれる瞬間が、4コマぐらいのコマ割りで、私にはスローモーションのように見えてしまいました。

 とくにバーに当たってから、何か見えない手がボールをつかんで引っ張ったように、不思議な軌跡でゴールネットに向かった様子は、物理法則では説明ができないと思います。

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 その後、ゴール裏が興奮のるつぼと化したことは言うまでもありません。

 愛媛サポもとあるブログでこんな発言をしています。

>結果だけみれば『棚ぼた』のようなゴール、
>しかし、それはたまたま棚から落ちてきたぼた餅ではなく、
>サポーターの後押しを受けた札幌がチーム一丸となって、
>棚をゆすった結果手に入れることのできたぼた餅でした。

 これがおそらくあの日の決勝ゴールを説明するもっとも適切な言葉でしょう。

  
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posted by hibari |23:03 | 試合の感想 | コメント(9) | トラックバック(1)

2007年10月29日

【第48節 愛媛FC戦】攻守のバランス

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 愛媛戦は久しぶりのアウェイと言うこともあり、ゴール裏から声をからしての応援となりました。ゴール裏からの眺めは、普段見ているサイドからの視界とはまた違って新鮮です。  おそらく土曜日の試合を、愛媛の人たちは五分五分の試合、まぐれの事故で札幌が偶然拾った試合、と考えるでしょう。シュート数などは確かにまったく互角です。しかしゴール裏か見ると、札幌と愛媛には大きな確かな違いがありました。  一つは札幌の方がボールの動く振幅が大きいこと。右から左、後ろから前、あきからに2割増で札幌の方が大きくボールが動いていました。 この大きなボールの動きは柳下さん3年間の遺産だと思います。  もうひとつ目を見張ったのは守備の落ち着き。相手が攻め込んだように見えて、しっかりとシュートコースを塞いで前進を阻んだかと思うと、そのスキにきちんとカバーが入り、いつのまにか、可能性の少ないシュートを打つか、ボールを戻すしかない状況を、流れ作業のように札幌は作り出しました。  シュート数は10対9と互角ながら、ゴールキック数が札幌9に対して愛媛は19なのですね。これは愛媛のシュートやセンタリングがキーパーの手に渡る前にたたき落とされていることを示しています。  こうしてみると札幌の守備は、攻め込まれて守っている、というよりも、自らの懐に相手を誘い込み、わざと前がかりとならせて、相手ゴール前にスペースを作るという高度な誘いのように思えます。おそらくそうなのだと思います。  このように札幌の試合を何試合も見てきたはずの私でもあらためて舌を巻く札幌の守備ですが、攻撃の方はあまり誉められたものではありません。何というのか、最後の最後のフィニッシュに迫力を欠く。  肝心なところでパスしてしまう、スルーしてしまう、上げてしまう、そらしてしまう。または下げてしまう。「お上品」という言葉につかわしい攻撃でした。  しかし札幌の攻撃だけを取り出して見ても意味がないのでしょう。札幌で攻守は一体で、絶妙な守備の裏側にお上品な攻撃があり、お上品な攻撃の裏に鉄壁の守備がある。だからウエイトが攻撃に傾くと守備が不安定になります。攻勢を強めた後半は、確かに前半よりも危うい場面が増えました。  三浦サッカーの神髄は、鉄壁の守備のように語られますが、核心はやじろべえのような攻守の絶妙なバランスにあるのだと思いました。  チームとしての個々の力の合計は昨年と変わらないか、フッキがいないことを考えると低下しています。それなのに現在首位ということは、これ以上行くと攻撃偏重になり、これ以下だと守備的になりすぎるという、ギリギリのバランスを追求することに成功したということなのかと思いました。  昨年までの札幌のように、攻撃が70で守備が30のウェイトでは、大勝ちもあるけどれどこぼす試合も多い。一方、守備が70では、受身になりすぎて、結局、こじ開けられてしまう。個々の力の強いチームだと、守備と攻撃のバランスの幅が大きいけれど、力のないチームだと、ほんのわずかな幅しかない。  しかし、札幌はそのわずかな幅の中に攻守を収めることに成功した。それが現在首位にいる理由なのかなと、試合を見ながら思いました。 (続く)   ehime3



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