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2010年04月27日

『万寿子さんの庭』  黒野伸一

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家内が買ってきた本で、自分では 多分買わないだろう本です。
手元に読む本が無くなったため、家内の「面白いよ」という薦めもあって 読んでみました。
たしかに 読みやすく 面白い作品でした。



右目の斜視にコンプレックスを持つ社会人1年生の京子(20歳)と、偏屈な独居老人の万寿子(78歳)が、ご近所として出会う。この二人の奇妙な出会いがなかなか面白い。

京子はそのコンプレックスのためにボーイフレンドが出来ないのだが、好きな男の子、気になる男性はいる。その2人の男性の間で揺れ動く乙女心、同期会の飲み会での微妙な雰囲気もなかなか面白い。
(作者は男性なのだが、現実の女の子もこんな感じなのかな?)

結局、京子と万寿子は友達となり、20歳と78歳の 奇妙だが温かい友情が始まるのだが、万寿子に認知症の症状があらわれたところからが本筋で、そこからの京子の奮闘振りは凄まじい。

いろいろ紆余曲折があって、悲しい出来事もあって、最後は まぁ 落ち着くべきところに落ち着いて行くのだけど、京子あてに残された万寿子さんの手紙など ホロっとさせられる所もあります。



ただ、この作品は万寿子さんの症状が一気に進んだ為に成立しているものであり、症状の進行がゆっくりであったなら 全く別の作品になっていただろう。
先が見えないまま延々と続くのが 現実の介護であり、その苦労は こんなものでは済まないぞ、とひねたオジサンは思ってしまうのでした。



posted by aozora |23:34 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(0)

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