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2007年09月29日

『くじらの降る森』  薄井ゆうじ

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忙しい時ほど本を読みたくなるのは 何故? 現実逃避?
学生の頃は 試験の前になると 本が読みたくなったなぁ 
今はバスや地下鉄 お風呂の中で読むことが多いかな、、、 




10年くらい前に 一度読んだ事があり かなりインパクトがあった本 

細部は忘れていたが
異常なまでに潔癖症な女性が
ゴミとして捨てられたコンドームに残っていた精液で処女懐妊し 
子供を産む というストーリーは ずっと記憶に残っていた 

出生届を出さなかったため 名前も戸籍もない18歳の青年が
都会に出て 「マサル」 という名前を付けられた時から始まる 悲劇 
多くの人の思惑や 利害関係に振り回され 
使い捨ての 大量消費社会の中で 消耗していく青年 

詳しい話は 省略、、、、 



今回 改めて読んで感じたのは 「名前」 の重さ

陰陽師 安倍晴明の どれかの本の中で 
「名も呪のひとつだ 
 呪とは ようするに ものを縛ることよ」 
というようなセリフがあったが 

名前を持たずに育った青年が 
名前を持ったことで世の中に縛られ 自由を失っていく 
或は 世の中と関わるために 名前を持たされる
というストーリーとダブった 



名前を持つという事は 特別な存在になること 
犬や猫も人間も 名前が無ければ ただの犬 猫 人間 ワンノブゼムでしかないが 
名前を付けると 自分にとっては特別な存在 オンリーワンになる 

ただ 名前が無くても 特別な存在にはなれるし 
戸籍が無くたって 充分生きていける (世界には戸籍の無い国も多い)



文庫版の装丁は 安西水丸さん 

だからというわけではないが 
この小説からは 村上春樹と同じような 匂い を感じた 



くじらのTシャツ が欲しくなった



posted by aozora |15:27 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(0)

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