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2015年01月09日

『秋月記』 葉室 麟

年末年始に読んだ 東野圭吾の「麒麟の翼」 「赤い指」 「新参者」 「夜明けの街で」 の感想をアップしようと思ったら、SPAMと判定されて アップできませんでした。
4冊とも 殺人事件を扱ったミステリーですから、殺人や 死と言った単語が引っかかったのでしょうね。
チャップリンの映画、「独裁者」の感想に続いて 2度目です。


その代わりと言ってはなんですが、「秋月記」。
舞台となる秋月藩は実在した藩で、現在の福岡県朝倉市に藩庁が置かれていました。主人公、間小四郎(アイダ コシロウ)や 儒学者 原古処(ハラ コショ)、女流漢詩人 原猷(ハラ ミチ)、日本で初めて種痘を行った医者 緒方春朔(オガタ シュンサク)、秋月葛の 高木久助も実在の人物で、作中の大きなエピソードである織部崩れを含め、基本的に史実に基づいて書かれています。
とは言え、立場が変われば 見方や評価も変わりますし、架空と思われる人物も登場する訳で、どこまでが事実で どこからが創作なのかが判らないのが 歴史小説な訳ですが・・・。

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間小四郎に関しては、朝倉市のHPにも記載があります。こちら。
これを読むと、作中の間小四郎とは ずいぶん人物像が違います。
作品の最後に出てくる「静謐」という言葉も ニュアンスは大きく異なります。
この辺が 歴史小説の面白さで、同じ人物を 様々な切り口で取り上げた作品が誕生し、読み比べてみたくなる訳です。

この作品では、一般的には 専横を振るって私腹を肥やした悪人として語り伝えられている 宮崎織部と 間小四郎の2人が、実は 私利私欲の為ではなく、藩の財政再建の為に自らを捨てて清濁併せ呑み、自ら捨て石になることによって秋月藩を守り抜こうとした英雄だった という新しい解釈で 書かれています。 
伏影と呼ばれる忍者の暗躍など、様々なエピソードを通じて、藩の為に人生を投げ打って奔走した 間小四郎の生き様が 生き生きと 力強く描かれています。何かを成す為には 時として 悪役、憎まれ役が必要であり、この小説は そうした損な役回りを敢えて引き受けた(作中では貧乏くじをひいたと表現している)男たちの物語で、なかなか良い小説になっていると思います。


ところで、
福岡藩は 昨年の大河ドラマ「黒田官兵衛」の嫡子、黒田長政を祖とする52万3千石の大名家で、秋月藩は長政の三男、長興を祖とする5万石の小藩ですが、この福岡藩・黒田家を巡ってもいろいろな騒動があり、小説にもなっています。
葉室麟には「風の軍師」「風渡る」「風の王国」など、黒田官兵衛とキリシタンをメインテーマとした作品もあり、そちらも読んでみたいと思います。


冒頭の コメントはSPAMと判定されませんでした。
文中に登場する数も関係するのかな?

posted by aozora |22:24 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(0)

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