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1978年生まれ。 コンサドーレ創立年度から応援を始め、1998年よりアウェイコールリーダーとなる。2003年春に札幌へUターン。 またコラムサイト「コンサイズム」では2001年末~2003年末までコラムを掲載。このブログではそのアーカイブと、当時を振り返るアフタートークをお送りします(予定)。

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CONSAISM clasics #50

2008年05月19日

clasics #50です。これにて一応連載は最終回。


「ハルウララ」という名前の競走馬をご存じだろうか。最近ニュースに取り上げられている「100連敗の競争馬」のことだ。
高知競馬に所属する7歳牝馬の彼女は95戦を過ぎた辺りからマスコミに取り上げられるようになって知名度が一気に高まり、彼女とそれを取り巻く人々のドキュメンタリーが放送され、100戦目には東京からの観戦ツアーも出た。競馬場ではTシャツや尻尾の毛を入れた交通安全のお守り(買っても馬券が「当たらない」から、車にも「当たらない」という意味で)といったグッズまで販売されている。
けれどもハルウララの人気は連敗続きであるということだけではなく、体も小柄で気が弱い、そんな馬でも競走馬として一戦一戦一生懸命に走っている、その姿に心を打たれるファンが多いからだという。リストラに遭った人や単身赴任の人、病気と闘う人……そんな人たちが彼女の走る姿に励まされている、ということを知った。
ひたむきであるということは、ただそれだけで人の心を打つことがある。
 
僕は一時期競馬にすっかりはまっていた時期があった。今では年に数回馬券を買いに行くだけになってしまったが、最盛期は毎週のように競馬場や場外馬券場に通いつめ、中央競馬だけでなく高知競馬のような公営の、俗に言う「地方競馬」に属する道営競馬に顔を出した。贔屓にしていた競走馬なんかもいて、その馬の馬券をずっと買い続けたりもしていた。運が悪いのか自分の推理が足りないのか、馬券が当たることは少なかったがそれでもどの馬が強いのかを新聞片手に検討し、決めた予算の中でやりくりして馬券を買い、そうして臨んだレースごとに一喜一憂できればまだ良い方でだいたい一喜十憂くらい。
けれどもフットボールの魅力に取り憑かれたのち、僕は次第に競馬場からスタジアムへと足を向けるようになり、フットボールと札幌の応援に深くのめり込むのと反比例するように競馬への興味は薄れていった。そんな中、ハルウララのニュースは昔熱中した競馬のことを少し思い出させてくれるとともに、厳しい公営競馬の現状をも僕に知らしめることとなった。
 
JRA(日本中央競馬会)が運営する中央競馬においても馬券売り上げの減少に苦慮している現状ではあるが、それに比べても各自治体が運営する地方競馬はどこも苦しい経営を余儀なくされている。ここ数年でやむなく廃止となった地方競馬もいくつかあり、またそれはハルウララの所属する高知競馬においても例外ではない。約88億円にのぼる累積赤字を県の負担にして一旦帳消しにしたが、今後四半期ごとに経営状況を公表して、赤字経営になると即廃止になるという。
競走馬の一大産地である地元・道営競馬でも開催競馬場の縮小やコスト削減に努めているが、188億円(※)という膨大な負債を抱えている。また生産者側においても能力を秘めながらも血統や馬体が目立たないがために高値で馬主に売れなかったり、生産規模を縮小するなど対策をとってはいるが、近年の不況による売り上げの低下も加わって地方競馬をめぐる状況は一層厳しくなっているのが現状だ。勝てなくても走り続けるハルウララはむしろとても幸せな方で、ピークを越えた馬たちは次々に競馬場を後にして「処分」される。走る馬たちも、それを育て鍛える調教師たちも騎手たちも、経営する自治体にとっても厳しい日々が続いているのだ。

ここまで考えてみると、この状況は今の札幌によく似ているのだ。中央(J1)と地方(J2)の格差、多額の負債、「見て見ぬふり」をしてきた経営状況……。
けれどもただひとつ高知競馬と異なっているのは、ハルウララのように誰からも愛され、応援する気にさせてしまうようなひたむきな存在をどうしても見いだせなかったことだ。今年の僕は最初から最後までどこか猜疑的な視線で札幌を応援していたと思う。どこからかもやもやとした疑問が首をもたげてきてチームを信じられなかったのだ。いや、どこも信じられなかった、と言った方が正しかったのかもしれない。そのぶん自分を信じることで、それを声援として伝えることで乗り越えることができたらよかったのだけれど、胸に手を当てて考えてみるとそれすらもできていなかったのでないかという念に駆られる。先日発表された再生計画や補強の動きも、それを打ち消してくれるには現在では不十分なままだ。おそらくこの不安な気持ちは年を越してしまうことになるだろう。
道営競馬も札幌も今までのツケがもたらした「負のスパイラル」を断ち切るべく行動しているし、それはこれからの未来のために必ず断ち切らねばならないものだ。しかし結果と利益が求められるフットボールビジネスの世界とは言え、良い意味でハルウララのような、ひたむきに走るその姿だけで応援したくなるような、そんな存在が札幌に現れて欲しいと思っているし、そんな光景にこそ僕らがチームを応援したくなる原風景としてのフットボールが、すべての原点が眠っているのではないだろうかと思っている。まずはその「原点」をもう一度見つめることから2004年のシーズンは始まるのだろうと思う。もう一度やり直す、そして失敗の許されないただ一度きりのチャンスが始まるのだ。
来年はいろいろな場面で大きな転換が訪れるだろうということはうっすらと見えてきている。「来年からは」と心機一転を求める気持ち、「来年こそは」と雪辱を求める気持ち、このふたつの気持ちを持ち続けていかなければならない。そのための「原点を見つめ直す」時間は幸いにも与えられたのだから、肩肘張るのではなくむしろそんなことを楽しさに換えていければいい、と思いつつ僕の2003年は暮れようとしている。

来年は良い年になりますように。

(※金額は2002年末時点、うち北海道171億円・北海道市営競馬組合17億円)


post by retreat

23:11

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