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1978年生まれ。 コンサドーレ創立年度から応援を始め、1998年よりアウェイコールリーダーとなる。2003年春に札幌へUターン。 またコラムサイト「コンサイズム」では2001年末~2003年末までコラムを掲載。このブログではそのアーカイブと、当時を振り返るアフタートークをお送りします(予定)。

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CONSAISM clasics #21/22

2008年02月16日

チームは既に熊本キャンプに突入していますが、こちらは粛々とclasics #21/22をお送りします。

なんで「clasics #21/22」っていうことかというと、このあと宮城にワールドカップを見に行けることになって、そのことを2回に分けてコンサイズムに載せていただいたんですね。で、まあわざわざこのブログにまで分けて載せるほどのものでもないだろうということで今回は2回分。それではどうぞ。


まずは渡辺さんのコラムに関して、自分は渡辺さんとchooさんに謝らなければいけませんね。
・・・ごめんなさい、ワールドカップをこの目で見てしまいました。(笑)
 
金曜日の夜遅くに宮城で行われるメキシコ対エクアドルのチケットが手に入り、そこから一気にアドレナリンが吹き出てきました。だって絶対手に入らないと思ってもうほとんど諦めの境地でしたから。大げさかもしれませんが、「世界がこの目に映る、この手で触れられる」のです。興奮しない訳がありません。テレビの前の日本戦より、自分の目で見る試合の方がずっと大事だし、価値あるものですし。
そして日曜日、早朝に一路仙台へ。ワールドカップの行われる街の雰囲気に早く触れたかったのもあるし、手に入れたのはチケットの「引換券」です。まずは指定場所で本券と引き替えなければどちら側のサイドなのかも全くわかりませんし、引き替え場所が混乱して時間がかかることも十分予想していたので。特に今回のチケットをめぐる騒動は何が起こるかわからないので、不安なところもありました。
朝6時半過ぎの新幹線はかなりがらがらでしたが、ちらほらとメキシコやエクアドルのレプリカを着た人たちを見かけました。夜が遅かったのでうとうとしながら新幹線に揺られ、仙台駅に着いてみるともう駅前には緑、白、赤の国旗を身にまとい、鍔の広い帽子をかぶった人たち。紛う事なきメキシコ人です。仙台の人には物珍しいのか(というか、どこでも珍しいですよね)格好の記念写真の的になってしまっていました。ともかくも、こういう人に出逢ったらまずは挨拶です。

「ビバ、メヒコ!」
 
そうしているうちに新幹線から降りるメキシコ、エクアドル双方のファンの数は日が高くなるにつれてどんどんと増えていきます。しかし圧倒的にメキシコ人が多いです。みんな改札を出て出口に向かいながら
 
「メヒコ、メヒコ、ラ、ラ、ラ!」
 
と歌っています。そしてその数は膨れ上がっていき、中南米の陽気な騒々しさが一都市の朝を賑わせています。たまにエクアドル人がちょっとした対抗意識で応援歌を歌いながら通りますが、その声を聞きつけるや一斉にブーイングです。でもそこに悪意は感じられません。ちょっとした礼儀みたいな感じです。今回、双方のファンがにらみ合うような場面には出くわしませんでした。それどころか互いにすれ違いながら握手したりとか、そんな感じで友好的な感じすらしましたし。
そうして引き替え開場の開く10時になり、チケットの引き替えも無事に済ませ(スムーズでした。5分も待たないくらいで本券が手に入りました)、会場の宮城スタジアムへ。列車とバスを乗り継いで行くのですが、乗り換えも待たされることなくすんなりと移動でき、特に迷うこともなく到着しました。行きも帰りも、交通機関の混乱というのは特に大きなものはなかったです。徹底した交通規制によって、バスと列車、地下鉄に輸送手段を絞り込んだのが良かったのでしょう。
この間にボランティア、駅員、警備員、警察官、消防などいろいろな人たちの姿を目にしましたが皆表情は優しく親切だったのが印象的でした。個人的にはもっとものものしい警備を予想していたので、とても好感が持てました。

到着したスタジアムの周辺では人々が思い思いに開場までの時間を過ごしています。ずっと騒いでいるというより、静かに皆佇んでいるという感じでしょうか。でもそこには、これから始まる90分を待ちこがれる高揚感がありました。強い風に時折あおられながら、青空の下で自分もその中の一人になっていました。
自分にとってのワールドカップが始まる、そう思うと自然と笑顔になってきます。そしてここにいる人たちも、みんな笑顔です。
仰ぎ見る宮城スタジアムの銀色と日光に照らされて、キックオフの笛の音を待ち望むのと同時に、このまま試合が始まらなければこのままみんな笑顔で、こんな幸福な時間が過ぎてしまうのがとてももったいないような気もしたりして、複雑な思いにふけりながら開場を待つのでした。
 


で、その続き。


そうして開場となり、早くスタジアムの雰囲気に触れたかったので早々に入場することにしました。ゲートの向こうではメキシコ、エクアドル双方のサポーターが集まり、歌を歌って騒いだり、のんびりひなたぼっこしていたり思い思いに時を過ごしています。
思っていたよりも入場はスムーズで、最低30分以上は並ぶのかなと思っていましたがそれほど待たされることもなく、ボディチェックも特に問題なく通る事ができました。今回は駅からスタジアムの流れがとてもスムーズで、関係者もとても好意的で気持ちよくスタジアムへ向かうことができています。
今回手に入れたのは赤色の区分のチケット、つまりはエクアドル側。郷に入れば郷に従えとばかりにエクアドルのマフラーを購入してにわかエクアドルサポーターです。後からは続々と入場してくるサポーターたち。陽気さをいっそう増して入場するなり歌い出します。4年に一度のこの祭典の場を楽しもうと、みんな明るく騒いでキックオフを待ちこがれます。そして選手が練習のためにピッチに現れるとその高揚はさらに高まり、声援が一段と大きくなります。
その中でよく聞いたのが「si se puede!」というエクアドルサポーターのコール。この言葉は日本語で言えば「やればできる」みたいな意味なのですが、エクアドルのサポーターが周囲の日本人を応援の輪の中に取り込もうと「si se puede! ガン、バ、ロウ!」と続けていて、それが日本人の観客にとても受けたらしくとても盛り上がっていました。単純に言えば「頑張ろう」っていう意味だよな、となんだか納得です。
そうして選手入場。一瞬スタジアムが静まり、その後に今までよりももっと大きい歓声が空を震わせるように上がる中、メキシコ、エクアドル双方の選手達が入場し、スタジアムの興奮が一気に沸騰します。もちろん自分もその中の一人になっていました。ワールドカップの舞台が今ここにある、テレビで見るだけでは終わらない自分のワールドカップが今始まったんだ、そんな気持ちが高まってくるのを感じながら、サポーター達が大声で、誇りを持って堂々と歌うメキシコの、そしてエクアドルの国歌を聴いていました。

試合開始の笛が鳴り、そして幕が開きました。
 
いきなり前半5分にエクアドル・デルガドがヘッドで先制、そしてこれがエクアドルのワールドカップ初ゴール。そのときのエクアドルサポーターはチーム初のゴールに驚喜するかと思いきや、ゴール裏からは見にくい位置のゴールだったので喜びよりも驚きの方が大きい感じで、でもなんだか激しく喜ぶというよりもこのワールドカップで点を獲ったという事をかみしめるような喜び方でした。しかしそれでかえって選手達は集中が切れてしまったのかボールを奪われる事が多くなり、ついには前半28分、メキシコ・ボルゲッティのゴールで追いつかれてしまいます。しかしエクアドルサポーターは落胆の顔を見せず、そんなことはわかっているさとでも言うような表情で応援を続けています。そこには自分の国を代表しているチームに注がれる変わらぬ愛情が感じられるような、そんな感じがしました。その後もなかなかボールをつないで攻めていく事ができず、後半12分、トラドのミドルシュートがエクアドルゴールに突き刺さり逆転を許します。それでもやや歓声は小さくなったとはいえ、途切れることのない「エクアドル! エクアドル!」、そして「si se puede!」の声。「やればできる、だから頑張ろう」と選手達に声をかけ続けます。

試合終了後間際に何度か惜しいチャンスがありましたがゴールにつなげる事はできず、結局エクアドルはグループリーグ2連敗となり、決勝トーナメント進出は絶望的になってしまいました。そのときにエクアドルサポーターは悲しいのか苦笑いなのかわからない、複雑な表情をしていましたが、その中にはチームが初めてゴールを決めたと言うことに対する満足の気持ち、「これがサッカーというものさ」という諦めにも少し似た感情も少し見られたような気もしました。いまでもあの表情は記憶に深く焼き付いています。
 
できればこのまましばらくスタジアムにとどまって、それぞれのサポーターの表情を見たかったのですが、ここから仙台駅まで混雑すると思われたので後ろ髪を引かれる思いで早足にバス乗り場へと向かいました。ワールドカップの余韻というものを楽しむという点においては、このスタジアムは少し遠かったのかもしれません。結局試合終了後すぐにスタジアムを出て、仙台駅から新幹線に乗ったのは7時少し前。そして家に着いてテレビをつけると横浜に試合終了の笛が響きわたるところでした。
 
人生で初めてのワールドカップ観戦は少し駆け足気味で過ぎて行った一日でした。しかしそこで触れたものはとても大きかったように思えます。サッカーを通して知らない人と言葉を交わし、気持ちを伝える楽しさや、サッカーがさらに祭典という場を得たことでその輝き、楽しさを増し、その場にいる人を笑顔にさせるということ。サッカーの楽しさという物を、この一日で改めて実感できたような気がしました。
 
ちなみにあの一日以来、少しきついな、辛いかな、と思うことがあると、こっそり口の中でつぶやく言葉があります。

「si se puede!」と。


post by retreat

23:39

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