2016年12月13日
『自閉症の僕が跳びはねる理由』 東田直樹.
12月11日(日)夜9時からの NHKスペシャル 「自閉症の君が教えてくれたこと」 は とても衝撃的で 感動な番組でした。 自閉症でありながら作家として活動する 東田直樹さんを追ったドキュメンタリーで、2014年8月に放送された 「君が僕の息子について教えてくれたこと」 の続編だそうです。 僕は前作を見ておらず、何の予備知識も持たないまま、真田丸からの流れで見ただけだったのですが、自分のつまらない先入観、思い込みをぶち壊すような内容で、思わず食い入るように観てしまいました。
番組の翌日に買ってきたのが この2冊、東田直樹さんが書いた 「自閉症の僕が跳びはねる理由」と「自閉症の僕が跳びはねる理由2」です。 1作目は東田さんが 13歳、中学生の時に書いたもの(2007年2月刊行)。2作目は通信制高校の3年生の時に書いたもの(2010年10月刊行)です。 いずれも 自閉症に関する質問に東田さんが答える形で書かれているのですが、正直、1作目は自閉症の中学生が こんな文章を書けるのだろうか、こんな言葉を知っているのだろうか、こんなに筋道立てて考えられるのだろうか と疑問に感じる点がありました。先にあのドキュメンタリーを観ていなかったら、親か ゴーストライターが書いたものだろうと想像したでしょう。しかし、あの映像を見た後では、少なくとも2作目は自分の言葉で一生懸命書いたのだろうなと信じることができます。 もちろん、東田さんも中に書いていますが、全ての自閉症の方に当てはまるものではないのでしょう。いわゆる健常者にも多様な個性や能力の差があるように、自閉症者にも個性があるのでしょうから。 それでも自閉症の方を理解する一助にはなりますし、認知症など、自閉症以外の障がいに対する見方も変わってくると思います。 全ての人に一読の価値があると思いますし、出来れば 読む前に東田さんの映像を見て欲しい。読んだ時の感じ方、捉え方が大きく変わると思います。 自閉症とは、社会性の障害や他者とのコミュニケーション能力に障害・困難が生じたり、こだわりが強くなる先天性の脳機能障害で、1000人に1~2人が自閉症を持ち、現時点で根本的な治療法はないそうです。(Wikipedia) 僕の自閉症に対する認識は あまりに漠然としたもので、コミュニケーション障害に 知的障害や精神疾患を伴っているものだと思っていたのですが、知的レベルに問題があるのではなく、感情や衝動、行動や言葉を自分の意志ではコントロールできない障がいなのですね。 自分がやりたい事ができない、やろうと思っている事と違う事をしてしまう、言いたい事と違う事を言ってしまう。毎日がその繰り返しだとすると その辛さはいかばかりか。 人は コミュニケーションが取れず、何を考えているのか判らない相手と対すると恐怖を感じます。 次に 自閉症の方と対した時に、これまでとは違った接し方ができるようになるのでしょうか。 なりたい、と 心から思いました。
posted by aozora |22:36 | 本の話 | コメント(0) | トラックバック(0)