スポンサーリンク

2008年02月10日

『マリア・プロジェクト』  楡 周平

青空に恵まれた三連休なのに 夫婦揃って風邪をひいているため 
どこにも行けないで 家にこもっている ブルーな青空です 

>野風さん 
決して女性作家ばかり読んでいるわけではないのですが 
残念ながら 女性作家の方に面白い作品が多いのですよ

という事で 先週読んだ 『マリア・プロジェクト』  
倖田來未の失言が問題となっている微妙な時期でもあり 
若い女性には あまりお薦めできない作品です 



20080210-03.jpg


妊娠22週目の胎児の卵巣には 700万個の卵子が眠っている
それが思春期には 200万個にまで減り 実際に排卵されるのは 400個ほど
もし 胎児の卵子を採取し それを成熟させることができたなら.....

フィリピンマニラ近郊の研究施設で 極秘裏に進行する計画
不妊治療のために 胎児の卵子を使い 処女を懐妊させる 「マリアプロジェクト」  
生命の誕生を意のままに操り 臓器移植にも利用しようとする非情な所業 
自分が愛した女性の卵子が その計画に使われている事を知った瀬島は.....


正直 胎児の卵子を使って人工授精させ 処女を代理母に仕立てて 
子供を産ませる というストーリーには あまり現実味が無いが 
臓器売買では入手困難な 移殖用臓器を確保するために 
子供を産ませ 育てるという計画 = 臓器牧場計画なら 
満更有り得ない事でも無いかな と思ってしまう  
いや 実際にどこかで行われていても 全然不思議ではない時代 
本当 あいつらならやりかねない と思うもの
この作品以外にも このテーマを扱った作品は 他にもたくさんあるよね

フィリピンのトンド(スラム街)で多発する 臓器売買のための幼児・若者の誘拐も 
細かな描写もあってか 妙に現実感があり 
瀬島の片腕で トンド出身のマリオの弟が行方不明になってからは 
ぐっと展開も速く 面白くなる 

ただ ちょっと無理のあるストーリー展開が気になるところがあるし 
ラストは予想通りで お決まりのパターン 
扱っているテーマは重いが ハードボイルドというには ちょっと甘い 
ピカレスク? ミステリー? サスペンス?
まぁ 面白ければ 分類にこだわる事はないのでしょう

僕としては 暇つぶしに読むには悪くない作品 という評価です





posted by aozora |18:33 | 本の話 | コメント(1) | トラックバック(0)

2008年02月10日

「みんな 戦っているぞ」  惜敗 レラカムイ

第2クォーターが終わって17点差と大敗の予感があったが 
第3クォーターに入ると まるで別のチームのように変身 
第4クォーターに入って逆転し 一時は4点リード 
再逆転されたものの 終了間際に 同点に追いつく 
しかし 残り3秒で速攻を決められ 2点差で惜敗 

勝利は掴めなかったものの 本当に惜しいゲームだった 
TV観戦だったが 今日の試合の後半は 熱く スリリングで 面白かった 
この次は 是非 会場で生観戦してみたいと思わせられた

ハーフタイムに 「戦え!」 と選手にハッパをかけた東野ヘッドコーチ
第3クォーターが終わって選手にかけた言葉は 
「みんな 戦っているぞ!」 

敗戦ムードを一掃したヘッドコーチの ひと言
それに応えた選手たち
戦う姿勢が見えると 会場の雰囲気も変わってくる 

練習会場確保もままならない現状の中で 戦い続ける選手たち 
残り3戦で シーズン観客動員5万人達成が目標のレラカムイ 
今シーズンは 何も応援できなかったけど 
最後くらいは 観客動員に協力しようかな


さて 我らがコンサドーレ
J1のシーズン開幕まで あと27日 
 
初戦は J1チャンピオン vs J2チャンピオン 
勝利を掴むのは 難しいかもしれないが 
最後まで 熱く戦い抜いて欲しいものだ
 

posted by aozora |15:51 | 日記 | コメント(3) | トラックバック(0)

2008年02月10日

『あかんべえ』  宮部みゆき

20080210-02.jpg


料理屋「ふね屋」の娘おりんは 
病気で生死の境をさまよっているうちに 三途の河原まで行ってしまい 
それから幽霊が見えるようになってしまう

ふね屋に憑いている幽霊たちが 成仏できないでいるのは 何故? 
幽霊が見える人と 見えない人がいるのは 何故? 
幽霊が見える人も 見える幽霊と見えない幽霊がいるのは 何故? 
いろいろな謎を解く鍵は思わぬところに ...... 


この本は 江戸時代の料理屋を舞台に繰り広げられる 怪談 
人情とファンタジーに彩られたミステリー というところか 
ひとつひとつのエピソードを見ていくと 怖くて重いお話しもあるのだが 
妙に人間臭く魅力的な幽霊 = お化けさんとの触れあいは楽しそうだし 
純粋で優しい少女の視点で書かれているからか 全体に柔らかく温かい 

書名になっている 「あかんべえ」 
お梅ちゃんの 「あかんべえ」 は 本当に切ない
おりんの 「あっかんべえ、だ」 は 微笑ましい

30年前に起きた忌まわしい事件の謎と ふね屋をめぐる人間模様が複雑に絡み合うという なかなかおどろおどろしいテーマなのだが 
宮部みゆきが描くと温かいお話しになる
登場人物の多くが いろいろな業や罪を抱えていても 根は善人として描かれているからかな?

宮部みゆきは 本当にお話しが上手い 
この本も 細かい事を言えば 気になるところが無いではないが 
楽しさや哀しさを含めて この面白さは それを補って余りある 


同じテーマで 桐野夏生が書いたら 興願寺の住職や おつたに焦点を当てて 人間の欲や醜さを描く作品になるのだろうか? 
恩田陸なら 岩井志麻子なら と想像すると 面白いね 




posted by aozora |12:43 | 本の話 | コメント(1) | トラックバック(0)

2008年02月10日

『Q&A』  恩田 陸

20080210-00.jpg


2002年2月11日 午後2時過ぎ、
都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。
死者69名、負傷者116名。
未だ事故原因を特定できず。  

これからあなたに幾つかの質問をします。
ここで話したことが外に出ることはありません。

これぞ小説!
質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する、リアルでシリアスなドラマ。
謎が謎を呼ぶ〈恩田陸ワールド〉の真骨頂。
             ( 単行本の帯より )


村上春樹に『アンダーグラウンド』という作品がある
オウム地下鉄サリン事件の被害者60名へのインタビューを通じて 
あの事件の真相、深層に迫ろうとするノンフィクションで 
とても重いが 読み応えのあるノンフィクションだ  
恩田陸の 『Q&Å』 を読み始めて すぐに浮かんだのがこの作品だった
 

前半は被害者への質問が中心で ぐいぐい引き込まれた。
何が起きた? これは事件なのか? 単なる事故だったのか?事実は? 真実は? 
食い違う証言 店内のビデオに写っていたものは?

誰かの証言の中に 「事実も嘘をつく」 というのがある
「事実がいっぱいあるってことを認識するしかない 
 人の目の数だけ事実はあるんだから」

恩田陸はとても表現が上手い作家だ
前半の緊迫感は申し分なし


しかし 途中から あれ? ちょっと路線変更? 
そして ラストは.......やはり そっちへ行く?

まさしく帯に書かれているとおり 
良くも悪くも <恩田陸ワールド>の真骨頂だ


結局 この作品は 
Q&Aを通じて この事件の真相が明かされるという小説ではなかった
初めにそういう先入観を持って 読み始めたのが良くなかった
その点でも 書名や 帯のコピーは マイナス材料だと思う 
まぁ それを抜きにしても もやもや感は残るだろうけど



この『Q&A』は装丁が気に入らず あえて買わなかった作品
こういうのは珍しい。
3分の2くらいの幅がある 太い帯がついているが 
 (上の写真の カラー部分が帯だ)
そこに書かれているイラストのセンスが悪い
記されているコピーも大げさで 品が無い
帯をはずした表紙は至ってシンプルなのに.....


posted by aozora |08:59 | 本の話 | コメント(2) | トラックバック(0)