コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2012年10月15日

赤黒憂者 vol.1「危機感」

スポーツ新聞の記事に札幌ドームの損益分岐点となる入場者数が書いてあった。後半のある時間になると厚別でもドームでも観衆の数が発表される。サポーターはそこで一喜一憂する。入場収入がクラブ経営の大きな柱と知っているからだ。

古参サポは年々、周りの平均年齢が上がっていくのを感じていた。選手の平均年齢は若返る一方、サポーターの平均年齢は上がっていく。親が子を育てる感覚になってきている。実際クラブの方向性は「選手育成」サポーターは選手の成長を楽しむ。自ら種を撒き、自ら育て収獲する。「コンサ・土・ファーム」のコンセプトとチーム作りは似ている。土壌からこだわる。肥料や低農薬にこだわるように「日本人」「道産子」「下部組織」「はえぬき」にこだわる。

サポーターも新しい動きを見せる。赤黒学生連合が発足したのを古参サポが歓迎し、クラブは運営を委託した。学生の目線はさらに下の世代に目を向ける。下の層に行くほど固定観念がなくなり、アイディアが出てくる。コンサドーレの可能性とは何か。代表サッカー、海外サッカー、バーチャルなサッカーゲームでは味わえないライブの魅力。もっと多くの札幌市民、道民に知らせていきたい。若い層がそう思ってくれないとクラブは近い将来行き詰る。

社長は端的に述べた。「集客増に切り札は無い」。
勝ち続け勝ち点を重ね上位をキープし、昇格争いをすればドームは満員になる。昨年の最終戦のように。
しかしそんな熱狂も長くは続かない。エレベーターチームの宿命。成績が低迷した時でも、雨が降っても雪が降ってもスタジアムに足を運ぶのは厚別7千人、ドーム1万人。コールリーダーはこの動員すら危ういと訴えた。今までどんな場面でも支えてきたコアサポが離れていきかねない状況。4度目の降格に対して危機感を持っているか、北海道フットボールクラブの社員全員へ訴えた。猛省と新たな取り組みを期待しての事だ。「金が無い」で終わりのシャンシャン総会にだけはしたくなかった。

危機感の元になる要因は小さなことの積み重ねだったように思う。サポーター十人居れば十通りの考えがある。だが根っこは似た思いなのかもしれない。札幌ドームの広い会議室に集った300人のサポーターは、真剣に社長と強化部長の言葉を聞いていた。クラブの幹部から直接聞かなければいけないと思ったからだ。

コンサドーレのサポーターは負け続けたからといって、それを恥じることはない。ではなぜ今季あれだけの野次がスタンドから飛んだのか…。
「戦っていない」ように見えたからである。強化部長は語気を強め「選手達は戦っていました。ハーフタイムにも確認しました」と何度か言った。しかし、同時にそれを「ピッチで表現できなかった」とも言った。ピッチで戦っている姿を表現できなかったという事は、観客に伝わるサッカーが出来なかったという事だ。降格後の浦和戦のようなゲームを初めから出来ていれば…サポーター、解説者が異口同音に残念がった。
「遅いよ」。

無格好だったかもしれない。5バックなんてと言われるかもしれない。でも勝利への執念、執着心が垣間見えた。全員が身体を張った。コンサドーレのサッカーは泥臭くささが売りだったではないか。下手だからとかパスミスがなんて言い訳は要らない。同じ監督の下、4年やってもダメなのだから不器用は直らない。言ってるヒマがあるなら球際で削ってみせろ。そんな試合の〆はやっぱり芳賀だった…。そんなもんさ。


あるライターが「筆頭株主のサポーターが株を引きあげたらどうなるか」とつぶやいていたが、持株会の一口株は負けが込んだくらいで譲渡するものではない。持株会に入り経営に参画した気分を味わっているのである。スポンサーの商品に肩入れするのも、いつもクラブの広告収入を気にしているからである。持株会もスポンサーへの肩入れもサポートの一環としてやっている。誰に頼まれたものでもない。札幌が好きだからやっているのだ。

「好きですサッポロ」の歌詞じゃないが、雪の重み耐え抜いたライラックの芽のように、監督が決まり選手が決まりキャンプが始まれば、またドームのキックオフパーティーが待ち遠しくなる。サポーターなんて単純なものだ。今年は降格が早々に決まったため、来季への課題を考える時間がたっぷりとある。そして、来季のJ2をイメージしながら、J1の高いレベルで残り6試合戦う事ができる。無駄な時間は1日もない。コンサドーレ強化五段階計画の継続が確認された。まずこれが全ての考えの基礎になる。

契約更改でのポイントは2つある。一つは限られた予算、当然緊縮予算だ。切ないが誰もが覚悟していたことだ。もう一つは強化部長の言葉を借りる。
「札幌市民、道民に対してピッチから何かを伝えられる人」。
そういう選手でないと赤黒縦縞のユニフォームを着る資格は無いと言い切った。
強化部長の発言に疑問もあった。例えば「2-1で勝つサッカーを目指した」というくだり。どう考えても石崎コンサの4年間で、「2-1で勝つサッカー」に向いている選手ほど放出される傾向にある。得点感覚がある選手ほど移籍しているのだ。強化部長の方針で放出したと言える選手も何人かいる。極端に言えば、失点に絡んでも、必ず得点に絡む選手がいないと1-1という場面にすら持って行けない。攻守の切り替えを重視した割にはシュートが極端に少なく、得失点差マイナス二桁は目を覆うばかりだ。今季は早々に0-2のビハインドになって攻守のバランスを保てず、追加点を次々に奪われて戦意喪失になった。2-1で勝つサッカーどころか、2-2、2-3にも出来ていない。「取られたら取りかえすという意識」まさにメンタルが弱すぎた。これは強化部長が1番目に大切と述べた項目だ。2番目にフィジカルと述べたが、鍛え過ぎて本番の試合前に練習で選手が壊れた。

強化部長は鳥栖に学びたいと言った。勝ち越していて一ケタ順位なのだから当たり前だ。だが鳥栖には豊田選手がいる。結果を出すストライカーがいるのだ。J2で圧倒的強さを見せた甲府にはダヴィがいる。中東から帰国してまさかの30得点だ。結局、サッカースタイルに関係なく点取り屋は必要なはずだ。もし緊縮予算、育成しながら勝つ路線で行くなら、ストライカーも自前で育てなければならない。できればアカデミー出身から得点王を出したいところだ。

サポーターミーティングは、何かを解決する場ではない。現状を把握した上で、現状を打破していくための一つのステップなのだと思う。
「考える事から逃げちゃいけない」
踊一はクラブから出された議事録を読みなおし、問題点を洗い出していこうと考えている。問題解決策をフロント、サポーターみんなで考えて行かないと、また同じ過ちを繰り返してしまう。クラブの価値を高めて行かないとファンもサポーターも増えない。その結果コンサを応援する輪がどんどん縮小していく…
踊一はコールリーダーの切実な訴えに共感を覚えながら会議室を後にした。
「このままでは、俺達の居場所がなくなる!」
クラブ存続の危機は過去何度もあった。今回の危機感はクラブ全体が靄につつまれたような危機感だ。方向性は打ち出しても、立ち位置がわからず方位磁石も持っていないような状態なのである。

                             つづく

posted by odo |21:00 | 坂大楽 踊一 | コメント(0) | トラックバック(0)

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