2010年10月28日
石崎サッカーを考える 晩秋編
スポーツグラフィック「Number」692号をテキストにする。 2007年12月6日号だから、コンサが優勝した頃の雑誌だ。 70ページから「愛と哀しみのフットボール。」という特集が組まれた。 オールカラーで5ページ。 レイソルと石さんのファイナルエモーションが描かれている。 育成者としての手腕や悲運の名将という誰もが知っていることの裏付けが 続いたあと、ある石さんの言葉がこの記事に深みを持たせた。 その言葉を現在のコンサドーレにあてはめて、来季監督は誰かという 方程式を解くと、答えは「続投」と出た。 青字で引用してみよう。 「…でも、勝ち負けよりも自分のやりたいサッカーを最後まで貫きとおしたんです。 言い方は悪いですが、J2で勝ち上がれるサッカーはある。前線に1対1で勝負できる外国人を置いて、あとは岩のようにゴール前を固めればいい。でもそんなサッカー面白いですか?」 ここで、2007年の三浦コンサを思い出す。ダヴィが居て、札幌山脈という4バックがあった。 個人的には勝てて面白かったし、NHKの実況アナも戦術が安定していると絶賛していた。 最後のドームの京都戦、水戸戦は大感動に包まれた。「面白い」って一体何だろう…。 「柏に来てからも昇格するためのサッカーではなく、わしは美しくて面白いサッカーをやりたかった」 今も石さんはわしは美しくて面白いサッカーをやりたいと思っているだろう。俺は確信している。 マッチデープログラムにサインをもらったあとの満面の笑顔は、その信念を感じさせた。 その時俺は勝手に思った。「お前は赤黒い恰好をしているから年季の入った札幌ファンなんじゃろ。だったら今まで見たことのないような面白いサッカーを見せてやるから、もう少し待っておけ」。 「Number」の記事を改めて読んでつくづく思った。石さんはコンサドーレで成功すべき人なんじゃないだろうかと。 「わし、いろんな監督がおったらいいと思うんですよ。勝ちに徹した戦術を使ってもええし、お金で選手を買い集めてもいい。でも、わしは常勝軍団なんて作りとうない。だって常に勝ってたら面白くないでしょう。サポーターには叱られるかもしれないけど、たまに勝つから面白い(笑)。」 J1の華やかなチームが脳裏をよぎる。スカパーでしか見られないきらびやかな世界。でもコンサドーレが住む世界じゃないこともわかってしまった…。あまり声高には言いたくないが、身の丈経営を考えればエレベーター(昇格降格の繰り返し)がせいぜい。 「ここ(柏)は今までいたチームよりお金はあるけれど、何年に1回ぐらいしか優勝できないと思うんですよ。だからその何年に1回を目指せばいい。それよりも面白いサッカーやろうやって」 さて、揺るがない信念についていけるサポーターはどれくらいいるんだろうか。 寒い寒い最終戦の厚別に、その答えはあるのかもしれない。 スタッドレスタイヤのCMの季節になると、話題はストーブリーグに移行せざるをえない。来季陣容を固めるまでの時間はわずか2カ月しかない。フロントは水面下で動いているだろう。 経営面からサポ心理から、あるいは絶対昇格の観点から、監督人事やチーム編成の考え方はまちまちだろう。 例えばの話、石さんの「育成」を必要としない選手(大伍、ダニルソン)はそのままJ1でというのは一般的考えのような気がするし、面白いサッカー云々にこだわるならば、「面白いの定義は何よ」って話になり、点が取れない今のサッカーにはダメ出し(究極は石崎解任論)当然だし。 話はそれるが、ベイスターズと横浜スタジアムの40年長期契約の話を見聞きして、コンサが「サッカー専用スタジアム」を保有するのはかなり厳しい話だな、なんて思ったり(収入が必ずしもクラブに入らないという点において)。 今オフはコンサドーレというクラブが、どういうビジョンを打ち出せるかが最大の焦点になりそうだ。夢をとるのか現実に走るのか。 5段階計画に代わる長期計画は果たして策定されているのだろうか。
posted by odo |21:37 | コメント(0) | トラックバック(0)
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