2007年03月08日

この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

 昨日の続きです。が、その前に肝心なことを言い忘れていました。「全然システムの話が出て来ないじゃないか、3バックとか4バックとか」とお思いの向きもありましょうが、本稿では「4-4-2とか書かれる人の並び方は『フォーメーション』、やり方とか戦術といった言葉で表現されるものを『システム』と呼ぶ」という西部02-21の用法を踏襲しています。「フォーメーション」の是非については別に考えるところがあるのでいずれまた。
 
 さて、続きです。昨日は「組織的な守備は、楽して守ることで攻撃に移行しやすくする手段だ(ろう)」ということを書きました。そうするとチームとして次に考えるべきは「どこで奪いに行くか」ということです。
 
 ちょっと遠回りして去年の話。今だから言いますが、去年の天皇杯のサッカーは「リアクション」でした、誰が何と言おうと。気持ちは攻撃的だったと思いますがシステムはリアクション。低いところでボールを奪ってスペースにボールを入れてフッキを走らせる、離脱後は西谷に預けて砂川・相川…。実は天皇杯での快進撃はポゼッションを基調とする本来の柳下サッカーとは懸け離れた戦術によってもたらされたものでした。
 
 「本来のサッカー」を忘れがたい、という気持ちはよく分かります。僕だってそうです。が、チームはすでに2007年シーズンに入り、いまさら元に戻せというのは無理な相談です。第一、元に戻してまた6位になるつもりでしょうか?閑話休題。
 
 で、今年です。格上と当たるため守備を優先して考えざるを得なかった去年の天皇杯では、結構な距離を走ってもフィニッシュまで持っていけるようなスピード(フッキ及び終盤戦での相川とのコンビネーション等)があった。これに対して今年の攻撃陣には今のところそれが期待できない。これだけは一試合見ただけで断言できます。ダヴィにはフッキのようなスピードはない。一人で長い距離を持っていって決められるような選手ではない。「お膳立て」をしてもらわないと点を取れないタイプのFWです。(余談ですが、だから僕は中山ではなくて相棒を活かすのが上手い相川と組ませて欲しいんですが…)
 「だからダメ」と言っているのではないですよ。ダヴィの適正を踏まえた上での「ボールの奪いどころ」を考えないといけない、と言いたいのです。ヤレヤレやっと本題に辿り着いたぞw
 
 「いい攻撃のためにはいい守備が必須」論だと、理想的な守備というのは「フィニッシュのためには相手ゴールからどのくらいの距離でボールを奪うのが良いか?」を考えた上で構築されたものです。低い位置だと守りやすい(はね返しやすい)のに対し相手ゴールまでの距離は遠くなる、高い位置だと奪うためのリスクが大きいがフィニッシュまで持っていきやすい。
 今の札幌には、さっき書いたダヴィの特性も考えて、「カズを生かすための加茂ゾーンプレス」(戸塚03-07)的な考えが理想だと思っています。「開幕戦は全く違ったじゃないか」と言われれば確かにそうですが、今はそこ目指してステップを踏んでいる段階なのでしょう。まずはリスクの少ない低い位置でのゾーンから理解を深めていって、徐々にラインを高くする…こんな感じで熟成していけば、と考えています。
 
 というわけで「確かに京都戦は酷かったが、アレが最終形ってわけじゃねえだろう」ということでした。ただコレ、キャンプもTMも見ていない、報道・監督インタビュー及びリーグ戦一試合だけに基づく、まさに「机上の空論」。真面目に読んでいただいた方には恐縮ですが。「そうじゃねぇ!」という方は是非ご指摘ください。
 


 
 確かに京都戦はつまらなかった。光明は何も見出せなかった。試合終了後、ゴール裏のコア部分から聞こえてきた声には本物の怒気がこもっていました。目の前で展開されたサッカーが去年と全く逆のものに見えたことは事実。でも、去年の反省を活かすにはやっぱり組織的な守備に手を付けることは避けられないんですよ。ここだけは絶対譲れない。
 だから、「攻撃」か「守備」かで思考を止めるのではなくて、「攻撃」のための「守備」が出来るようになるまで、つまんなくても我慢して見てみませんか?システムに慣れれば自然と去年の攻撃を思い出して実践できるはず。実際、神戸とのTMでは出来ていたんですから。去年までの積み重ねはそう簡単には消えない。それとも何ですか、柳下が植え付けていったものはそんな薄っぺらなものだと言いたいのですか?
 僕はしばらく黙っているつもりです、魂こもったプレーさえ見られれば、そして勝ち点さえ稼げれば。そしてしばらく見た結果、「やっぱり守備だけだ」と言うことになれば、僕だって攻撃サッカーを渇望している一人ですからね、今度こそ本気で、全力でネガティブキャンペーンやります。

posted by tottomi |21:18 | コンサドーレ | コメント(9) | トラックバック(1)

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Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

実はいつも愛読させてもらってます。
ここ読んで、感じていたことをtottomiさんが言葉にしてくださったように思い、
本当にすっきりいたしました(^^)

私も京都に行って、足りないもの、そしてまだできないことを見てきたつもりです。
「魂」、天皇杯快進撃時にあったもの。そしてそれを忘れてるわけではないと、
実際に試合見て思いました。

posted by Eri| 2007-03-08 21:53

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

先生ごちそうさまでした!美味しかったです。

>柳下が植え付けていったものはそんな薄っぺらなものだと言いたいのですか?

これこれー。すごい同感。
上の人が変わった途端に出来なくなるようなものだったら
それはもう軽やかに諦めるしかないです。
でも私は、そうでないと思っています。
そう神戸TMのようにできることはあるはず。
幾ら練習試合とはいえ、全部ふざけてやってたわけじゃないはずだし(笑)

posted by 笹姐| 2007-03-08 22:00

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

>Eriさん
はじめまして。ご愛読ありがとうございます。
去年の天皇杯がなぜ我々の心を揺さぶったかというと、みんなが試合に、ボールに集中していたからだと思うんです。そう、「魂」、それがこもっていた。
システムの問題は出来るだけ早くクリアしてもらうとして、そこまでの間、そしてそのあとも「魂」だけは忘れてもらいたくないですね。

>笹姐さん
お口にあったようでなによりですw

神戸とのTMは「ネガキャン番外編」でイチャモンつける材料として使ったのですが、本当は「ホラ出来るやないかポゼッション」と言いたかったのですよ。ただ、決定力不足まで去年のまんまだったのでトサカに来たわけです(笑

posted by tottomi| 2007-03-08 22:29

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

tottomiさん
早速読ませていただきました。
やはり頷かされるところが多いです。
特にラストのくだりはイイですね。
僕も、三浦監督に白紙委任したわけではないので。これじゃダメだと思ったら言います。
ただ、今はまだその時期じゃないと思うだけで。

あと、>魂のこもったプレーさえみせてくれれば。
僕はこれを柳下さんがよく言っていた
”全員が同じ画を描く”という言葉に(勝手にw)置き換えています。

選手全員が同じ目標に向かって戦っていれば、自然と気持ちは伝わってくるでしょうし、そのように戦えていれば勝点も取れるし、無様な試合にはならないと思っているので。

posted by ramone47 | 2007-03-08 22:33

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

>ramone47さん
>選手全員が同じ目標に向かって戦っていれば、自然と気持ちは伝わってくるでしょうし、そのように戦えていれば勝点も取れるし、無様な試合にはならないと思っているので。

いまんところ恐れているのはこれが出来なくなることですね。上手くいかなくなってモチベーションが下がる、のスパイラルに落ちることだけが怖い。だから「つまんなくても勝ち点」なわけです。

posted by tottomi| 2007-03-08 22:42

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

どうもです。
何も言うことないですわ。
「4-4-2」とか「守備的」とかの言葉に惑わされているサポたちに読ませてやりたいっすね(^^)

>去年の天皇杯のサッカーは「リアクション」でした、誰が何と言おうと。気持ちは攻撃的だったと思いますがシステムはリアクション。

そう。
そのことも頭に入れておかなければ、不要な摩擦が生じかねないっすね、チームとサポに。

posted by kabao| 2007-03-08 23:07

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

>kabaoさん
>「4-4-2」とか「守備的」とかの言葉に惑わされているサポたち
がどういう主張の人たちか、僕ははっきりとは分からないのですが、「目指すところは攻撃サッカーだ」という点は僕も同じですよ。だからそれが理由で怒っている人には僕はシンパシーを感じます。
揚げ足取るようでとても申し訳ないですが、もしkabaoさんが上のような理由で怒っている人を指して言っているのだとしたら、僕は「惑わされている」というのとはちょっと違うかな、と思います。

エントリーにも書いた通り、僕が「時間を掛けて見てみよう」と言っているのは「その先に攻撃サッカーがある」と信じてみたいからであって、もしそこに行けないことが分かってしまえば「守備だけじゃねーか!」と声を上げるつもりです。

posted by tottomi| 2007-03-09 00:12

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

三浦監督のコメントとかを聞いていると、
とてもドン引きの引きこもりサッカーを目指しているとは思わないし、僕もそんなサッカーは目指したくないです。
上辺だけの「4-4-2」とか「守備的」という言葉で、今年のサッカーはがちがちに守るサッカーをイメージし、それなのに失点を重ねたことに対し、
「何も出来ていないじゃない」
「去年の取って取られての試合の方がいい」
「4-4-2は札幌には無理」
などと軽々に口にしたくないということです。
(現にそういう輩が多数見受けられましたが・・)

>「その先に攻撃サッカーがある」と信じてみたいからであって、もしそこに行けないことが分かってしまえば「守備だけじゃねーか!」と声を上げるつもりです。

もちろん柳下サッカー3年間からのレベルアップということを考えても、激しく同意しますよ!

posted by kabao| 2007-03-10 08:24

Re:この人達がシステムについて語っているので僕も語ってみる(下)

>kabaoさん
そうですね、三浦の言うことをもう少し注意深く聞くとともに、三浦自身もメッセージをどんどん発していって欲しい。それは言葉だけではなく、サッカーの内容に現れる形で、ね。

posted by tottomi| 2007-03-10 21:58

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