コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2015年06月20日

ダイナミック・プライシングは、札幌のチケット革命になり得るか?

「平日なのにいつもと同じ価格」「魅力が低い対戦カードなのに定価だった」
「雨降る予報なのに晴れの日と同じ価格」などなど、
チケット価格に不満を感じたことは誰もが一度くらいはあるのではないでしょうか。

私は、三ツ沢での横浜FC戦のバックスタンド席の価格で、
札幌の試合が他の試合より500円高いことに不満を覚えたことがあります。
カテゴリー1(500円高い)なのは、2015年だと
ホーム開幕戦(栃木)、磐田、大宮、札幌、C大阪、千葉、ホーム最終戦(群馬)です。
参考:横浜FCチケット価格こちら
参考:カテゴリーは試合日程にありますこちら

でもこれって、見方を変えれば「札幌の集客力はすごい」と評価されていることにもなります。

こういった取り組みで、昔から有名なのが「巨人戦価格」ですが、
最近では、プロ野球の東北楽天が「フレックス・プライス」として、
5段階で分けて導入しているのが有名なところでしょうか。
こちら

札幌でこれに近い事例を挙げると、ドームと厚別で価格が違うとか、
平日の夜に「仕事人ナイト」があるとか(これはイベントの側面もあり)、
ってあたりでしょうか。


さて、この仕組みをさらに追及し、進化させている国があります。
またしてもアメリカ。
「ダイナミック・プライシング・システム」
日本語で直訳すれば、「動的な価格付けの仕組み」ってところでしょうか。
こういうことを考えさせたら、新しいことが出てくるのが多いのはアメリカですねぇ。

これについての説明は、以下の記事がわかりやすいので、興味ある方は一読していただきたい。
MLBで導入事例が拡大している「ダイナミック・プライシング・システム」とは?
(from sponavi ぶんきち日記)

あと、最近出てきた記事も紹介します。
米スポーツ界に革命を起こしたダイナミックプライシング(上)革新的な値付け手法の誤解と真実
米スポーツ界に革命を起こしたダイナミックプライシング(下)日本のスポーツ界に価格革新は起こるか?
(from 日経ビジネス 米国スポーツビジネス最前線)(途中から会員限定になってます)

さて、私が考えるポイントは3つあります。
1)曜日、対戦カード、天候、イベントなどをもとに、座席ごとの適正な価格設定を動的に変える。
2)過去の動員実績データを多く集積し、正確に分析できるほど効果が大きい
3)試合日の、警備員やアルバイトの調達にも効果があり、経費削減になる。

1)については、「適正な価格設定」がポイントです。
人が集まらないから、安ければいいってわけでもなく、そっちばかり追求すると
「発売日に買ったのに、雨予報で直前に安くなってしまった」とか
「シーズンチケットを購入しているのに通常販売より安くない」といった不満もどこからか
出てくるような気がします。
逆に満員とまではいかなくても、かなりの売れ行きが見込めるチケット価格は
通常より高く設定したっていいわけです。
(先に挙げた三ツ沢カテゴリー1がよい例)


(ちょっと脱線)
そもそもシーチケのいいところって、安いかどうかではなく、
来場の頻度が高い人にとって、座席が確保されていて、便利に入場できて、
シーチケユーザというステータスを得られて、
満員になるくらいの試合で二次流通で高値売買されてもシーチケ価格では入れること
だと思います。


2)については、今の時点でもかなりの蓄積があると思います。
単なる経験則ではなく、実績のデータとして。
これは、試合数が多いほど効果が出るわけで、先に挙げた記事でも、
主にMLBがシステムを利用しているとありますね。

3)については、盲点になってしまいがちですが、
動員が少ない⇒チケットを安めに設定する⇒入場者が増える⇒運営経費をどのくらいかける?
といったあたりを、より適切な経費を出そうというものです。
ムダなく減らすことも大事だし、足りなくて運営が回らないという事態にしないことも大事。
これについても、経験則や実績データでクラブは押さえていると思います。


入場料収入が330百万円、試合運営経費が212百万円(それぞれ2013年実績)なので、
このダイナミック・プライシング・システムを導入する効果が、
それほど大きいものではないのは承知の上ですが、いち早く導入して主導権を握って、
他のクラブの展開において優位に進めるという夢があります。

しかし、これもまたJリーグが主管で動いて、設立、運営し、
そこに各クラブがシステムを使用するような形態がよいと感じている。
チケットの販売力があるJ1クラブから導入して、効果が見込めるならJ2にも導入。
もしくは、浦和や横浜FMといった集客力と投資力のあるクラブが導入を先行する。
こういう流れになってしまうのかなーと予測しています。

試合直前の木曜、金曜、土曜の前売り券購入が多いので、
なかなか「動的orリアルタイムな価格設定」というのは難しいかもしれませんが、
新たな取り組みとして、「ダイナミック・プライシング」について
頭の片隅に入れておきたいところです。


おまけ。
スポーツに限らず、同じような例は他にもありますね。
一時「ダイナミック・プライシング」という言葉が出回ったのが、「電気料金」です。
電気の需供にあわせて価格が変動することで使っていました。
たくさん使う真夏は高くて、あまり使わない時期は安いという価格設定を
リアルタイムに変動させるやつです。
これについては、調べれば事例がたくさん出てくるので、詳細は割愛。

おわり。

posted by sca25 |03:32 | Consadole Business Report | コメント(5) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:ダイナミック・プライシングは、札幌のチケット革命になり得るか?

ご無沙汰してます。
イベント運営制作を手がける人間の1人として興味をもったのでポチポチと。
日本の興行(特にスポーツ)で事前に定まっている価格分け以外のダイナミックプライシングができていない理由を。。。
海外(特にアメリカ)のチケット販売はチームの公式サイトでの販売がメインになっていて、基本的に代行会社が定価で販売するケースが殆んどありません。
代行会社が販売する場合は手数料が10%〜や時に定価の数倍のプレミア価格で販売されるのが通常です。
というのも、MLB、NBA、NHLなど米スポーツは観客動員数が桁違いですから代行会社を使って促販する必要がないんですね。
自チーム公式サイトでのチケット販売に限定することによってチケットに対する価値を高めている部分もありますし、金額変動で販売しても経理上、社内処理で済むというのがダイナミックプライシングが数多く使われている理由だと思います。
逆に日本はチケ販会社(e+、ぴあetc)を利用することで販売チャネルを増やして購入者への選択肢を広げて客を増やそうとしている点がありますね。
Jリーグチケットも結局はチケ販会社のシステムに相乗りしていてチケ販会社がないとの実券発行ができないという問題もあります。
代行業者を使うということは、そこに関わる手数料等の経費の扱いもシステム化されてしまっているので定価変動にするとそこの修正を常にかける必要があり、それに対する手数料もかかってきてしまいますから。
結局は年パスの様に自社管理のIC発行でチケットレス対応(または自社発券システムを導入)ができるようになれば代行業者を使わずにダイナミックプライシングができると思うんですけどね。
ただし、リーグがチケッティングパートナーとして「ぴあ」と契約している以上「ぴあ」がダイナミックプライシングに対応したシステムを作らないことには出来ないのかなと。

posted by まめまめ| 2015-06-20 19:23

Re:ダイナミック・プライシングは、札幌のチケット革命になり得るか?

とても刺激的なコメントありがとうございます。
まめまめさんの仰るとおりでして、国内はまだチケ販会社の販路が大きく、市場を握っているので、Jリーグ単体でのチケッティング事業算入はハードルが高い。
その代わりというわけでもないのでしょうが、ぴあのシステムを使っていますね。
アメリカでうまくいき始めたのは、年チケで年間の8割を売り切るチームから始まったりしているので、新しい仕組みを考える以上に、もっとチケットが売れるよう価値向上を図るべきなのかもしれません。
とはいえもたもたしてると、他のスポーツやチケ販会社に攻められちゃう気もします。

posted by sca| 2015-06-20 20:55

Re:ダイナミック・プライシングは、札幌のチケット革命になり得るか?

ひとつ余談になりますが、ぴあはいつの間にか二次流通の仕組みは導入してるので、表には出てこない範囲で、ダイナミック~にも手を出してる気がします。

posted by sca| 2015-06-20 20:57

Re:ダイナミック・プライシングは、札幌のチケット革命になり得るか?

ぴあが導入してるのは「定価リセール」なのであくまでも転売に流れる収益を自社の収益として計上するためのシステムなんですよね。
手数料も販売価格の10%と固定されてますし。
しかもリセールを申し込む初期購入者は実券を発券してないのが条件だったり色々と中途半端なんですよ。
2次流通をメインにしてるのがチケットストリートっていうサイトですけど、ここもまた重箱の隅をつついていくと粗が色々と出てくるのが。。。
アメリカの大手リセール会社の「スタブハム」と上記のチケットストリートが提携したってことで広がりそうな気もしますが、結局は主催者の公認が取れないとリセール市場がオープンできないのも事実なのですよね。

とは言え、厳密に定義すると札幌のホーム戦については「主催」がHFCなはずなのでHFCが認めればリセール市場を利用できるってことになるんですけどね。
このあたりをJリーグがどう考えるかによって2次流通の広がりも変わってくると思います。

posted by まめまめ| 2015-06-20 23:57

Re:ダイナミック・プライシングは、札幌のチケット革命になり得るか?

引き続きのコメントありがとうございます。
調べれば調べるほど、コンサが単独で投資するにはキツイなあと感じます。
チケットストリートのような業者と組んだり、ビッグな親会社のないクラブで共同出資したり、浦和やガンバ主導でJリーグが動いたりしないことには、前進しないでしょうねえ。

posted by sca| 2015-06-22 21:40

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