サッカー・J1サガン鳥栖の運営会社サガン・ドリームスは23日、臨時株主総会を開き、第三者割当による2億2千万円の増資を決めた。
2014年度決算で2期連続の赤字が見込まれるため、増資により債務超過を回避する。
佐賀新聞(2015年01月24日 10時06分)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/149041?area=ranking
前回記事
鳥栖)債務超過解消のため増資して半年でまた増資。5位は安定した財務のおかげ?
前回は、鳥栖の増資について触れました。
年2回も増資する状況が、正常なのか、異常なのか、まともな経営なのか。
では、この2期連続(2013&14)の増資=億単位の赤字原因はどこにあるのか?
Jリーグが公開している経営情報資料(2013年まで)を見れば、一目でわかる。
★サガン鳥栖2011~2013の経営状況
金額は単位:百万円
2011/J2→2012/J1→2013/J1
営業収益 689→1,454→1,704(1,015増 147%増)★★
広告料収入 253→ 493→ 632( 379増 150%増)
入場料収入 166→ 495→ 548( 382増 230%増)
配分金収入 99→ 202→ 234( 135増 136%増)
アカデミー 37→ 45→ 74( 37増 100%増)
その他収入 135→ 219→ 216( 81増 60%増)
客単価(円)1,130→2,246→2,510(1,380増 122%増)(客単価のみ単位:円)
営業費用 826→1,362→2,039(1,213増 147%増)
team人件費 353→ 610→1,012( 659増 187%増)★★
試合関連費 48→ 116→ 129( 81増 169%増)
販管費 304→ 541→ 602( 298増 98%増)
当期純利益▲357→ 90→▲299→(2014の赤字額は不明)
資本金 455→ 605→ 605→999(2014年度に3億9500万円増資)
↑↓4/30訂正。2014年8月の資本準備金が考慮に入っていませんでした。
資本金 455→ 605→ 605→890
(2014年度に5億7000万円増資。うち資本金2億8500万+資本準備金2億8500万)
債務超過額▲298→ 92→▲207⇒0?
入場者数146,893→220,383→218,326→254,623(J1はナビスコ含む)
まず売り上げ増について触れよう。
2014年の観客増で、どのくらい売上増になったかを推測する。
(2013年単価)2,510円 x 約36,000人増 = 90,360,000円
仮に単価がUPしたとしても、約1億円の売り上げ増。
これでも2014年は2億円以上の赤字だったのだから、入場者数の増加ペースが
支出の増大に追いついてないことになる。
2014年入場者は、J1でいえばまだまだ少ない25万人であり、1試合平均で12,731(ナビスコ含む)。
好成績で増えたともいえるが、経営を劇的に改善するほどに増えたわけではない。
前評判を覆す活躍をしたといえるが、それが黒字に転換するほどではない。
次に、2013年でまさかの10億円超えを果たしたチーム人件費について。
★2013年J1チーム人件費順(百万円)(J1平均以上のみ)
親 チーム人件費 営業収益 収益に締める人件費率
日立 木白 2,118 3,412 62.0%
-- 鳥栖 1,012 1,704 59.3%★★★★★
楽天 神戸 1,160 1,960 59.1%(J2)
トヨタ名古屋2,348 4,226 55.5%
パナ G大阪1,486 2,786 53.3%(J2)
Docomo大宮 1,606 3,228 49.7%
富士通川崎F1,557 3,214 48.4%
-- 仙台 1,169 2,429 48.1%←
-- 甲府 707 1,481 47.7%←
東京ガF東京1,637 3,545 46.1%
== J1平均1,390 3,078 45.1%==
なんと、対収益比のチーム人件費率がJ1で2番目に高い★★★★★。
人件費率だけなら、Jリーグ2位。
ちなみに、ビッグな親会社のあるクラブは、
親会社からの補てん額によって人件費率は隠れちゃいますので、参考程度に。
(それでも柏の60%超えは、驚異的)
ビッグな親会社のないクラブで言えば、仙台、甲府を10%以上も上回っている。
しかも、仙台よりチーム人件費が少ないのに(鳥栖1,012<1,169仙台)、
人件費率は仙台よりも10%以上高い(鳥栖59.3%>48.1%仙台)。
ちょっとこれは、無理してますよね。
ビッグな親会社の後ろ盾(=補てん)があるなら、まだマシなのですが、
それがないのに、収入増のペースより、費用増のペースが上回っている。
5位とか、ACL出場を逃すとか、終盤まで優勝を争うとか、
成績だけ見てれば、大躍進とか、大健闘とか言えますが、経営面で言えば失敗の部類に入ります。
出資したがる企業を止めるつもりはありませんが、
収益&費用ベースでは、無理してるようにしか思えないのが、私の結論です。
おそらく来年は、増資がなくても「財務基盤の安定した経営を行う」んです、まちがいなく。
だって、鳥栖の経営陣は、そう言っているのですから。
それを実現するために、チーム・フロント・パートナーは、
惜しみない経営努力して、結果を残してください。
サポーターは、今まで以上に、利益率の高いところへじゃんじゃんお金使ってください。
サポーター1人あたり2014年より年間30万円くらい多く使うx2000人=6億円の売り上げ増。
利益率50%なら、3億円の利益増。
これで年間2億円の赤字は解消できますね。
このくらいやれば、黒字に届くかもしれません。
鳥栖のチャレンジに注目するとともに、大いに期待しています。