「平日なのにいつもと同じ価格」「魅力が低い対戦カードなのに定価だった」
「雨降る予報なのに晴れの日と同じ価格」などなど、
チケット価格に不満を感じたことは誰もが一度くらいはあるのではないでしょうか。
私は、三ツ沢での横浜FC戦のバックスタンド席の価格で、
札幌の試合が他の試合より500円高いことに不満を覚えたことがあります。
カテゴリー1(500円高い)なのは、2015年だと
ホーム開幕戦(栃木)、磐田、大宮、札幌、C大阪、千葉、ホーム最終戦(群馬)です。
参考:横浜FCチケット価格こちら
参考:カテゴリーは試合日程にありますこちら
でもこれって、見方を変えれば「札幌の集客力はすごい」と評価されていることにもなります。
こういった取り組みで、昔から有名なのが「巨人戦価格」ですが、
最近では、プロ野球の東北楽天が「フレックス・プライス」として、
5段階で分けて導入しているのが有名なところでしょうか。
こちら
札幌でこれに近い事例を挙げると、ドームと厚別で価格が違うとか、
平日の夜に「仕事人ナイト」があるとか(これはイベントの側面もあり)、
ってあたりでしょうか。
さて、この仕組みをさらに追及し、進化させている国があります。
またしてもアメリカ。
「ダイナミック・プライシング・システム」
日本語で直訳すれば、「動的な価格付けの仕組み」ってところでしょうか。
こういうことを考えさせたら、新しいことが出てくるのが多いのはアメリカですねぇ。
これについての説明は、以下の記事がわかりやすいので、興味ある方は一読していただきたい。
MLBで導入事例が拡大している「ダイナミック・プライシング・システム」とは?
(from sponavi ぶんきち日記)
あと、最近出てきた記事も紹介します。
米スポーツ界に革命を起こしたダイナミックプライシング(上)革新的な値付け手法の誤解と真実
米スポーツ界に革命を起こしたダイナミックプライシング(下)日本のスポーツ界に価格革新は起こるか?
(from 日経ビジネス 米国スポーツビジネス最前線)(途中から会員限定になってます)
さて、私が考えるポイントは3つあります。
1)曜日、対戦カード、天候、イベントなどをもとに、座席ごとの適正な価格設定を動的に変える。
2)過去の動員実績データを多く集積し、正確に分析できるほど効果が大きい
3)試合日の、警備員やアルバイトの調達にも効果があり、経費削減になる。
1)については、「適正な価格設定」がポイントです。
人が集まらないから、安ければいいってわけでもなく、そっちばかり追求すると
「発売日に買ったのに、雨予報で直前に安くなってしまった」とか
「シーズンチケットを購入しているのに通常販売より安くない」といった不満もどこからか
出てくるような気がします。
逆に満員とまではいかなくても、かなりの売れ行きが見込めるチケット価格は
通常より高く設定したっていいわけです。
(先に挙げた三ツ沢カテゴリー1がよい例)
(ちょっと脱線)
そもそもシーチケのいいところって、安いかどうかではなく、
来場の頻度が高い人にとって、座席が確保されていて、便利に入場できて、
シーチケユーザというステータスを得られて、
満員になるくらいの試合で二次流通で高値売買されてもシーチケ価格では入れること
だと思います。
2)については、今の時点でもかなりの蓄積があると思います。
単なる経験則ではなく、実績のデータとして。
これは、試合数が多いほど効果が出るわけで、先に挙げた記事でも、
主にMLBがシステムを利用しているとありますね。
3)については、盲点になってしまいがちですが、
動員が少ない⇒チケットを安めに設定する⇒入場者が増える⇒運営経費をどのくらいかける?
といったあたりを、より適切な経費を出そうというものです。
ムダなく減らすことも大事だし、足りなくて運営が回らないという事態にしないことも大事。
これについても、経験則や実績データでクラブは押さえていると思います。
入場料収入が330百万円、試合運営経費が212百万円(それぞれ2013年実績)なので、
このダイナミック・プライシング・システムを導入する効果が、
それほど大きいものではないのは承知の上ですが、いち早く導入して主導権を握って、
他のクラブの展開において優位に進めるという夢があります。
しかし、これもまたJリーグが主管で動いて、設立、運営し、
そこに各クラブがシステムを使用するような形態がよいと感じている。
チケットの販売力があるJ1クラブから導入して、効果が見込めるならJ2にも導入。
もしくは、浦和や横浜FMといった集客力と投資力のあるクラブが導入を先行する。
こういう流れになってしまうのかなーと予測しています。
試合直前の木曜、金曜、土曜の前売り券購入が多いので、
なかなか「動的orリアルタイムな価格設定」というのは難しいかもしれませんが、
新たな取り組みとして、「ダイナミック・プライシング」について
頭の片隅に入れておきたいところです。
おまけ。
スポーツに限らず、同じような例は他にもありますね。
一時「ダイナミック・プライシング」という言葉が出回ったのが、「電気料金」です。
電気の需供にあわせて価格が変動することで使っていました。
たくさん使う真夏は高くて、あまり使わない時期は安いという価格設定を
リアルタイムに変動させるやつです。
これについては、調べれば事例がたくさん出てくるので、詳細は割愛。
おわり。