2006年07月17日

世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

 決して「終わったこと」で済ませてはならない諸々が詰まったワールドカップ2006・ドイツ大会を振り返るシリーズ、第2回は「ワールドカップの試合から考える札幌のサッカー」について書いてみたいと思います。テーマは「守備」。

 今大会はイタリアの優勝で幕を閉じました。彼らに限らず組織的な守備が出来ていたチームがやはり強かったという印象です。翻って札幌。現在失点がリーグで4番目に多く(39点)、お世辞にも守備の堅いチームとは言えません。
 被シュート数自体は鳥栖と並んでリーグで最も少ない(248)。これは、打たせない守備が出来ているというより「ボール支配率を高めて相手にチャンスを与えない」という当初の狙いが出来ている、と解釈すべきだと思います。一方でヒドイのが「被シュート数/失点」で、248/39=6.358となり、シュート6本につき一点献上という何とも言えない数字を残しています。「打たれるときは決定的なチャンスを与えている」というのが札幌の現状です。
 逆に言えば比較的少ない相手のチャンスにきっちり応対できれば良いわけです。ここ一番の踏ん張りが必要だ、と。そこで「90分間ずっと『ここ一番』な守備をしている」イタリアです。
 データがないので印象で語ってしまうことになりますが、今大会のみならずイタリアのチームの守備に対する私のイメージは「ゴール前を固める」というものではありません。自陣に引いてボールを網にかけるというより、中盤でプレッシャーをかけて苦しいパスを出させてそれをカットする、という守備が、決勝はおいておくとして今大会はとりわけ目立ったように思います。あんまり「受け身の守備」というイメージはないのですが、どうなんでしょうか。ガットゥーゾ・ペロッタあたりが常にプレッシャーをかけ続け相手のミスを誘う。カンナバーロが常に前でのカットを狙っている。自分が取れなくてもいいから周りが連動してボールに行くきっかけを作る、それに周りもきちんと呼応する。これには相互理解が必要で、もういい加減札幌も出来て欲しいのですが、この点はまだまだなようです。
 そうは言ってもシュートを全く打たれない守備なんて不可能。実際、イタリアは結構たくさんシュートを打たれていた印象があります。これを防いで大会を2失点で終えたのはもちろんGKブフォンの活躍があってのことです。彼の27セーブは今大会最多です。ただ、彼一人で守ったのではなく、シュートを打たれる時にDFが体を寄せて上手くコースを限定していたと思います。「このコースを切っておけばキーパーがキャッチ(セーブ)できる」という守り方も時には必要です。これも組織的な守備の一つです。

 ボールを取れないけれどそこに走ること自体がとてつもなく大きな意味を持つファーストディフェンダー、派手に見えるビッグセーブの影にあるDFの「一歩」…。イタリアの選手を貫いているのは「自分が犠牲になることでチームを助ける」という姿勢だったと思います。札幌の選手にそれが全くないとは言いませんが、もっともっと意識してもらいたい。

posted by tottomi |22:03 | サッカー全般 | コメント(6) | トラックバック(1)

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Re:世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

ど~も~イタリア嫌いな拝田です。
いや~仰る通りイタリアは結構シュート打たれているんですよ。
でもゴールは割らせないんですよね。
私のイタリアの印象と言えばDFがシュートブロックしているかDFがコースを切ってブッフォンがキッチリはじくというものなんですよね。
準決勝延長後半10分くらいだったと思いますが、ポドルスキーがフリーでボールを受けてシュート体勢に入ったんですがカンナバーロは寄せてきてもコースをキッチリ限定しているからスライディングもしないんです。案の定シュートはブッフォンがキッチリはじきました。
『あぁイタリアだなぁ』と感じた瞬間でした。
カンナバーロとブッフォンはパルマ時代からの付き合いですし、これにテュラムも加えるとまさにユーベのDF陣です。
ホントにイタリアの守りは奥が深いですねぇ~

posted by noboru | 2006-07-17 22:00

Re:世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

>拝田さん
そんなに打たれてないのに失点が多いのは、準備が出来ていなくて決定機を作られることが多いのと、もう一つは「打たせてもいい守備」が出来ていないからかな、と思います。人数揃っているのにやられるっての、結構ありますし。カンナバーロのそれみたいに一番危ないところをまず押さえる嗅覚みたいなものを磨いて欲しいですね。
>まさにユーベのDF陣
何とも言えない事情で「崩壊」してしまうのはちと惜しいw

posted by tottomi| 2006-07-17 23:01

Re:世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

>「ボール支配率を高めて相手にチャンスを与えない」という当初の狙いが出来ている、と解釈すべきだと思います。

ここ、もっと大きな声でお願いします(笑)。そうなんですよね、でも“こぼれた”ところで確実に決められる。要は“ずっと頑張っていられない”ということなんでしょう。まさに

>ここ一番の踏ん張りが必要だ

ですね。まあ、ブッフォンは凄過ぎますけども。実際。

次はマスコミとスポンサーですね?期待してます(←プレッシャー)。

posted by MasaMaru| 2006-07-19 07:55

Re:世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

>MasaMaruさん
本当はもう少し書きたいことがあって、それは「攻撃と守備」という風に分けて考えるのはどうだろう、ちょっと違うんじゃないか、という主旨のことでした。で、そのことと関連して"ずっと頑張っていられない"という点について書くと、やはり攻めでバランスを崩したり狭いところを強引にいったりすると、その後の相手の攻撃が危険なものになるんですね。だからふとした隙を突かれているような失点もこっちの攻撃のミスから生じていることが多い。単なるお題目としての「攻撃は最大の防御」ではなくて、奪われ方にも気をつけてもらいたいと思います。

posted by tottomi| 2006-07-19 22:01

Re:世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

お久しぶりです。J1や代表でさえも、寄せきれずコース限定が有効にできていないのが日本のDFレベルと感じています。その背景にあるのは、「一発で行くな」とか「飛び込むな」とか「ディレイ」とか「リトリート」等の定石・常識・戦術的な発想・指示ではないでしょうか?行く行かないの一瞬の判断時に少しでも迷えば「ディレイ」になり、全体「リトリート」で責任回避。

加茂はゾーンプレスを取り入れたが、放り込みに対してコンパクトネスが維持できず解任騒動へ発展(協会の不手際で継続指揮)。
トルシエは「日本には守備の文化が無い」と発言。日本にとってラジカルなまでの高いDFラインでコンパクトネスを達成。
ジーコは一人余るクラシック戦術(ユーロ2004優勝のギリシャも同じ)でDFライン後退、ゴール前釘付け。
オシムJEFは一人余るマンツーマンを一貫して採用。責任明確化していました。ただしえぐられて横からのクロスにはめっぽう弱かった。
イタリア的守備も無理そうなので、オシムJAPANもマンツーマンでしょうか?

posted by バルデラマ| 2006-07-22 22:00

Re:世界レベルのサッカーを見て札幌を思う-ワールドカップ2006閉幕に思う諸々(2)

>バルデラマさん
どうもお久しぶりです。
分かっているつもりでもなかなか身に付かないのが、「サッカーは攻撃と守備の明確な区別がないスポーツだ」ということだと思います。「守備のための守備」って大体上手くいかなくて、
>全体「リトリート」で責任回避。
な戦い方をしていると絶対どこかでツケが回ってくる。今、札幌は、基本的には全体が下げるような守備をしているわけではないんだけれど自陣での致命的なミスで、または逃げ切りたいという時間帯に不用意に下げて失点している。後者なんか守備を受け身の作業と勘違いしている典型的な失敗例ですね。
その点オシムの守備の仕方、というか奪ってから攻撃につなげるという意識の植え付け方(例の「インターセプトしてそのまま出ていけば即時に数的優位ができる」というアレ)は、守備と攻撃の連動性について代表ミーハーの蒙を啓いてくれる気がします。マンマーク一辺倒かは分かりませんが取ったら前へ出ていけ、は徹底してやって欲しい。

posted by tottomi| 2006-07-22 23:00

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