2007年03月26日

平準化された試合

引き分けと勝利は価値点差2の違い、累積する成績には
大いに影響を与える差がある。
だが、その試合内容において、湘南戦と山形戦に何の差異が
あったのか。

直接会場で応援したサポとは温度差があるだろうが、
スカパで見ていたオイラにはそれほどの差は感じなかった。
まあ、確かに高く浮かせたボールを処理するDFは前回よりも
安定していたかもしれないが、後半20分の臼井にキリキリ舞い
させられたシーンは、前回アジエルたちに翻弄されたシーンの
再生のようだった。
ちなみに、微妙な機微はわからないが、ほぼ同じタイミングで
中山がOUTした直後から札幌の守りは格段に悪くなった。
そういう意味では貢献度が高いのだなあ、と実感。

結果のみ、もしくは新聞報道ではほんのわずかしか触れられていないが、
西谷のPKゲットのファールは、全くファールではない。
もちろんそこは、西谷の果敢な切り込みがあってこその誤審を
呼び込んだという成果とは言えるが、どうみても棚ぼたであるから、
ファール判定を得、正確にPKを決めた西谷は殊勲ではあるが、
1-0の得点差で勝った勝ったと威張れるほどでもない。
徳島戦のようにきちんと攻撃の形の中で得点してこそ、勝利の価値は
(観客の立場としても)高まるというものだ。

また、同じく主審絡みでは、山形のカウンター攻撃を、後回しにすべきな
笛で中断させたシーンがあり、山形の選手を激怒させた決定的な場面が
あった。これが流されていれば本当に山形が得点できたかは神のみぞ知る
だが、明らかに主審の未熟による僥倖だったことは確かだ。
うちもさんざん審判の判定には泣かされてきた過去はあるゆえ、
秘かに溜飲を下げたサポもいるかもしれないが、審判が勝敗に関わる
ような展開で試合を左右したというのは後味が良くない。

というわけで、オイラの目にはスコアレスドローでシーンとなった
湘南戦と、今回の山形戦と、見るべきところ、という意味では
残念ながら大して変わらない。すなわち、選手のアビリティや
パフォーマンスを堪能したい、というサッカーファンの期待を
満たすものではなかった、ということだ。

毎試合を録画しておいているオイラだが、札幌の選手達の
ワクワクさせるプレイをもう一度楽しみたい、と何度も再生する
試合はいくつかある(もちろん去年も二度と見たくないような
カス試合も数多くあることは否定しないが)。
しかし、残念ながら今回の試合はそうではなかった、前回の湘南戦
同様に、ということだ。

ただ、昇格のための勝利を得る、という目的においては、
もちろん大きい意味がある。大したもんだと思う。
今季のチーム作りが「面白い試合よりも勝つ試合を」
という至上命令で成り立つ以上、キビシイ言い方だが、
(そして前にも言ったが)「勝てない試合は意味がない」
わけだから、その意味で今回は「意味」を持たせることに
成功したので、よかったよかった。

でもそれって、過酷だな。
もし負けたら、その試合には一切の価値がないことになるのだから。
勝つことが何より優先される、ということは、負けても得る物があった
という言い方は一切許されないわけだから。

まあ、開幕戦以後は負けていないのだから、もしかしたらこの後
ずっと負けることがない、という可能性も(蓋然性は低いが)
無いとは限らない。勝つことだけを目的にしたチームが果たして
どんな道を進むことになるのか、憎まれ口叩きながらも
不安で心配で堪らないオイラは、現在室蘭行きのやりくりを何とか
できないかどうか必死である。

posted by FT |20:11 | 070325vs山形inNDスタ | コメント(8) | トラックバック(0)

スポンサーリンク

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.consadole.net/minerva/tb_ping/298
この記事に対するコメント一覧
Re:平準化された試合

どうもこんばんわ

正直なところ、多少疑問に思うところがあったので書き込みさせていただきます。

勝つことが最優先されたのは今年に限ったことではないと思うのですが。去年までも、同じように勝ちという結果を最優先でやっていたはずでは…少なくとも育成>勝負ということはなかったはず。

去年と今年で違うのは、勝ちに向けてのアプローチの仕方だけだろうと僕は思っています。

それと、(プロに限らず)試合をやるにあたって、勝つこと以外の目的ってなんでしょうか?

僕も、長いことサッカーやってるんですが、今日は勝てねーなとかいいつつも、やはり始まってみると、勝とうとしてやりますもの。

また、負けにいい負けも悪い負けもないかなと。負けは負け。負け試合に何かしらの価値があるとしたら、問題点があったということを確認できるというぐらいのことかなと思っています。

あと、(PKかどうかなどの)判定は、審判が下すものであって、それ以外の人間が口をさしはさめる問題ではないと思うのですが。
もっとも、自分が応援してるチームに不利な判定が下された時は文句の1つも言いたくはなりますが。

posted by ramone47| 2007-03-26 21:20

Re:平準化された試合

どもです。
件のPKについて、アレはPKじゃない。
あんな点だけで1-0とはと言う意見は他でも見ます。

ただ、自分はあのシーンがPKで有ろうが無かろうが、それを論じる事に意味は無いと思います。
アレがPKで無ければ、他に手を打っていたでしょう。
1点取った場合と取っていない場合で、その後の展開が全く同じだとは、今年のチームでは思いません。
(その結果取れない事は有ったかもしれませんが)

基本的に1-0で十分と言うゲームプランを立てているチームに、「アレはPKじゃないんだ」「2点目を取れて無いからスコアレスドローと同じだ」と言うのは自分としては違和感を感じます。
1点を取って、結果守りきった。色々と小細工しながら。
これを誇る事に自分は何のためらいも感じません。
現実は現実なんです。

三浦さんの場合、事象に対し、対応を打つ。
1点取れたから、後は守る。
一つ仮定が有れば、その後に連なるものは現実ではありません。仮定を基にした、更なる仮定のはずです。
今のチームは単に無策では終わらないと自分は考えています。
(それが実るかは神のみぞ。)

後、審判の話は山形行って小一時間説教をしてあげてください。
それの後味はチームの誰も責任取れないっす(^_^;

勝利が至上命題と言うのは今年の十字架。
ただ、その真剣勝負の中から磨かれていくものも有るでしょう。

去年まで自分がガマンならなかった事に
目的の欠如があったもので。

>>負けても得る物があった
無目的じゃあ、なかなかこれはモノにならない。

後、観客動員の話ですが・・・
勝てなくなって来てくれなくなったお客さんも相当数居ると思いますよ。
サッカーに詳しい者目線だけで見てると、一般の感覚からは離れるんだと思います。
USの議論もその辺が怪しいと自分は見てるもので。

面白いサッカーをしていたはずの3年間。
観客は増えなかったと思います。
(少なくとも2万人レベルまで戻る事は無かったですよね。)

相変わらず長い!
ホント申し訳ない

posted by 竜神 | 2007-03-26 21:38

Re:平準化された試合

コメントサンクスです。
多少補足をこめてレスを。

<ramone47さん

ええと、まずオイラは立て直しの三年間を
「勝つことが最優先された」ものだったとは正直
思っていません。ま、このへんがヤンツー厨と揶揄される
ゆえんなのでしょうがね(笑)
勝つことだけを最優先にすれば、最初の年からも
そこそこ行けたかもしれない、カテナチオをかけ、
カウンターをかけるサッカーをすれば、と思います。
しかし、そうはしなかったわけで、そこはオイラも
そう思うんですよ、今でも。あのままでは札幌は
ダメになって消える、と思ったからこそのアクション
サッカーの標榜と実戦だったのだと思ってます。

それと、負けは負け、負け試合に意味はない、
と言うなら、負け試合を貴重な時間と労力を消費
して見に来た観客は、全くのいい面の皮でしょう。
ま、これはオイラがスポーツのエンタメ面を冷ややか
ながらも依拠しているせいでもありましょうが。

それと、審判の判定もゲームの一部、ということは
無論わかっています。しかし、それがゲームの全てを決する
ような結果になったとしたら、ゲームの主役の
立場がないんじゃないか、と観客が感じても
おかしくはないと思うし、主役はあくまで我が選手達、
であってほしいと願うのは自然だと思うのですがね。

も少し正確に言えば、別にオイラは審判の誤審を
非難してるんじゃないんですよ。(自チームに有利であっても
あまり愉快じゃないことは確かですが)
そうじゃなくて、誤審のPKだろうと、テクニックで
得たんだろうと同じ1点だろ、勝った勝ったと
無邪気に喜んでしまうような発想がイヤなのかも
しれません。選手には罪はないのですが。

<竜神さん

ううむ、オイラは逆に、あの1点がなければ
「無策」だった気がして仕方ない、それこそ湘南戦の
リプレイだったんじゃないか、と思わずにいられない
から「差異がない」と言ったのでした。
どっちかというと、今のチームなら「スコアレスドロー
で一点」というオプションをとりかねないという気が
しますので。それを払拭するためにもダヴィにはアレを
決めて欲しかった、と思いますけど。

審判のことについては上記の通り。
山形に行く気も、審判に説教する気もありません。

勝てなくなって来なくなった客は多いのは事実。
オイラも悔しくて悔しくて、毎度空席を見て落ち込みます。
しかし、竜神さんが「無目的」と切り捨てた過去三年に
も、1万になんなんとするサポが、観客が見放さず
来てくれていることも、また現実でしょう。

posted by FT| 2007-03-26 22:20

Re:平準化された試合

FTさん
>負け試合を労力を消費して…のところは確かにその通りですね。ただ、見に行く時は、負けると思って見に行く人っていないと思うので。

というか、むしろ僕は、昨年までの3年間、仮に最優先されるべき事項が勝利でなかったならば、その方が観客に対して失礼だと思います。観客が何を求めているかと言えば、やはり贔屓のチームの勝利でしょうから。

審判の判定ですが、試合の主役が選手であるというのは、全くもってそのとおりであって、僕自身も、必要以上に、試合をコントロールしようとする審判は好きではありません。で、あの判定が正当かどうかは、今は置いておいて、1つの事実としてですが、あの場面、PAまで攻め込んで、審判がPKを取りたくなるような仕掛けをしたから、ああいう判定になったというのも1つの事実ではないでしょうか。僕はそう考えているので、あれを恥に思うとか、喜べないとか、タナボタに過ぎないとは思っていないです。

度々の長文失礼しました。

posted by ramone47| 2007-03-26 23:19

Re:平準化された試合

<ramone47さん再度どうもです

力のある選手がいなくなった札幌が、まさに
張り子の虎、中味のないマトリューシュカだったことが
露見したからこそ、がらんどうな中味を糊塗するような
試合をするよりも、敗北しても問題点を剔抉し、
ボールを奪い合って得点するというサッカーの基本から
たたき直すことを敢えて行い、札幌をまともなサッカー
クラブチームに立て直すことがめざす地平だったこと
を思えば、異常ではありましょうがあのころ(とりわけ
3年前)の札幌が最優先だったのは勝利ではありません
でした。

確かにあの川崎大虐殺の事件などありましたが、それでも
(練習試合を金払って見に来たんじゃない、との声は
確かにありましたが)サポもチームも敢えてじっと耐えた
のでした。それは、ただ勝つためでなく、胸を張れる
誇りのあるサッカーを出来るようになって勝つ、という
理想があったからだと思います。

PKに関しては、本文に書いたとおり、西谷のアクションが
大きな貢献をしたことを、当然オイラも認めております。恥だとは思っていません。しかし、「与えられた機会」
であるPKをあまりに誇大に評価してはマズイだろう、
という戒めの心は持つべきだと思います。
竜神さんへのレスに書いたとおり、オイラはあのPKの
一点がなければ、今のチームは勝ち越し点を取る果敢な
攻めをするよりは、湘南戦の轍を踏んでスコアレスドロー
で勝ち点1を確保する方を狙うのでは、という懸念が
どうしても消えないためです。

posted by FT| 2007-03-27 00:29

Re:平準化された試合

自分も再登場♪

湘南戦でも、砂川入れて4-4-1-1にしてみたり、
石井を入れてみたりとそれなりのチャレンジは有ったと思いますよ。
ただ、決定力の御旗の前に屈した感は有りますが・・・。

まぁ、その辺は両方見方が成り立つと思うので
まだこれからをゴロウジロな世界な気もします。

ただ、三浦さんはハナからオプションで勝ち点1を拾おうと言う殊勝なサッカーはしないと思います。
リスクとのせめぎ合いで最終的にその結論を出す事も有るとは思いますが。
(でも、それは試合の最終盤だと思う)

で、横やり的で申し訳無いのですが、自分の中では
>>胸を張れる誇りのあるサッカーを出来る
これは結局勝ち負けの問われた真剣勝負の中で作り上げるものではないのかという思いがあります。

負けてもイイよーと温室の中で作られて、誇りあるサッカーって本当にできるんでしょうか。
どうしてもその辺が疑問なんですよ。

どうも、個々人の魂の話に帰結する自分がいる訳で。

観客の話については、後半が始まって、DJの観客数の発表に耳を澄ましているのは多分同じなんだろうなぁ。。

柳下政権下の3年間、その手法を黙認はしていても容認はしていなかった人間も数多く居たと思います。
(FTさんはお分かりだと思いますが。)
でも、大半の人間はそこで応援やーめたとはならなかったと思うんだけど、どうでしょう。
それがチームへのサポートでは無いのかと自分は思っています。
数の中にはそういう人も多分に含まれていたのかなとも思います。

そういう意味では、今年の開幕の13000と言う数字は色々な意味で失望しました。
16000ぐらいは覚悟していたんですけど。

最後に明るい話。
ダヴィはやってくれる子です。
だって普通あんなに1対1って作れないですから。
その内、ドンドコ決めてくれますよ・・・多分(^_^;

やはり長い!申し訳なく。。。

posted by 竜神 | 2007-03-27 16:56

Re:平準化された試合

猫の所から来ました。
コメント有難うございます。
上記全文じっくり読みました。
まだまだ周りの選手のストロングポイントを
生かしあっていない今のコンサの守備は『鉄壁』
や『城砦』なんていわれるレベルではないんだと思います。
そのベースが出来るまで見守ろうと思っています。
甘いかな?(笑)

とりあえず西が丘にいってこの眼で見てこようと思います。
TVじゃ解らない事が多いですからね。サッカーは

posted by 神奈川サポ | 2007-03-27 20:31

Re:平準化された試合

はい、どうもこんばんわです(笑)

<竜神さん

もちろん、柳下監督とて「負けてもいい」という
スタンスで試合に臨んではいなかっただろうし、
選手もそんな気はなかったと信じています。
(もっともしばしば厳しさの欠如を指摘されては
いましたが)
あえて勝利を第一目的に置かなかった、という意味は、
あくまでもクラブサッカーの「基礎」を作るために
茨の道を選んだ、ということだと思っています。
高性能のレンタル選手によるカウンターサッカー
で岡ちゃんは結果を出しましたが、どうなったか。
誰もそのハリボテの中味を充実させるべきことに
気づかず、気がついてみれば札幌はプロのレベルすら
維持できなくなっていました。
J2優勝、J1昇格という結果を出しても、その
足元をきちんと整地することを怠ったのが、その後の
低迷であり、ある意味必然の「バチが当たった」わけです。
そんな札幌に何とかクラブチームとしての土台を
作る「修行」をさせた、という意味をこの三年間に
与えられると思っています。

そういう札幌の歩みを三浦監督がきちんとわきまえて
チームを進化させてくれることを、オイラも願いたい
と思っています。逆に、そこを忘れてもらいたくない
がゆえに、オイラはネガティブと言われようと批判者
でいようと思っています。

<神奈川サポさん

ねこのお写真は大変癒されました(笑)
オイラは無類のねこ好きですが、実はねこアレルギーが
あるので、悲しいかな側に寄れません(汗)
おっきいねこちゃん、かわいがってくださいね。

オイラは喧伝されるほど今の札幌の守備がいいとは
思っていないので、個人能力の高い福岡の攻めをどう
受け止めるのか、受け止める力量があるのか、やはり
関心があります。西が丘よろしく応援お願いします

posted by FT| 2007-03-27 21:01

コメントする