2006年07月23日

バーンアウト

というわけで、朝になりましたよ。

札幌の選手がスポイルされる、その原因の答えだが、
模範解答的には「夢が持てない」ということかな。
身も蓋もない答え方をすれば、「金がない」につきるが(笑)

人間というのは、目の前にハッキリ目標となるものが
あれば、モチベーションが上がり、火事場のナントカ的に
本来以上の力が出ることがある。
それが「今まで成し遂げていないこと」であればなおさらだ。

今の札幌以外のJ2のチームには、ほぼ全部にそういう目標が
設定できている。
降格組3チームは、「一年で復帰する」という切実な目標。
3チームともJ2経験がないから、復帰を目指す、ということ
も初めてのこと。自信と不安が交錯し、それでもJ1の矜恃と
まだ残っている資金力で何とか這い上がろう、と切実だ。

他の従来のJ2チームには、優勝もしくは昇格、という具体的な
目標がある。たとえそれが現在は下位であっても、未経験の栄光が
近くに存在することは確か。草津や徳島であっても、その実力の
ほどはさんざん味わってきたわれわれ札幌サポ(自虐)
彼らがJ2優勝や昇格を具体的な目標として、今年はムリでも
未来に明確な「夢」として抱いていけているはず。

翻って、札幌はどうか。
実は札幌には、この「夢」がない。
昇格も降格も、優勝も、全て経験済みのことだ。
「新しくチームが目指すこと」「今まで経験したことがないこと」
が、J2においては何もないのだ。

これは、意外とけっこう厳しいのではないか。

J1への昇格も経験し、その中で札幌がどれほどのレベルのチームか
すでに見えてしまっている。今の甲府のように、あまり変わらない
チームでどこまでやれるか、というフレッシュなチャレンジ精神も
札幌には持てないだろう。

そういうチームにいる選手に「夢」は持てるか?
もっと生臭い話を言えば、この札幌というチームで活躍する
ことによる「見返り」を期待できるのか、ということだ。

サッカー選手として高く認められるか。
もっと上のステージで活躍するための土台としてふさわしい
場所にいるか。
自分の実力に見合った高給を期待できるか。
代表監督などの目に触れ、選出される可能性を抱けるか。

選手の心理の中に、しかし、こういう意識はないか。

「札幌で頑張ったって、サッカー界全体として注目もされないし
スポンサーもしょぼいから収入も期待できない。昇格や優勝したって
過去の繰り返しに過ぎないから、あまりおいしい思いもできない。
これじゃモチベーション下がるよなあ」

というわけで、結局は金持ちで首都圏に近いチームの
充実度にはほど遠い、しかも眼前のささやかな目標すら設定できない
チーム状況が、無意識に選手のやる気を阻害している、と見る。

首都圏から遠くて注目もされず、移動に負担がかかってパフォーマンス
にマイナスな札幌に、有能な選手が、それでもいてもかまわない、と
思えるようにするには、それに見合った厚遇(練習環境、試合環境、
そして年俸)をするしかない。それが出来なければ、こんな条件で
しか選手としてやっていけない食いつめもののたまり場になるばかりだ。
同じ食いつめものでも、ハングリー精神を発揮するには、当然
「目に見える目標」のあるチーム、お偉いさんの目にとまりやすい
首都圏チームから選択肢を選ぶことになるから、札幌はどっちの意味でも
どん底の下位だ。

結論としては、北海道の景気が劇的に良くなり、大口スポンサーが
代表格の選手を雇用してもいい、くらいの資金を(それも首都圏チーム
よりも割増で)用意してくれないと、札幌というチームが上に這い上がる
可能性は低いわけだ。

で、これは以前のエントリにも書いた
「地域密着のチームに、しかし選手はストレンジャーである
ことの矛盾」に繋がるわけだが、これはまた別の話。
そして、業腹だがそういうチームであることを自覚した上で
オイラたちは応援せねばならないわけやね。

posted by FT |08:48 | コンサドーレ札幌 | コメント(1) | トラックバック(1)

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ブログの海へ(札幌編) 【みどりのろうごくblog】

W杯中は何となく慌しくて封印してたので久しぶりのこのシリーズ。 ここまで来ると早く全チームに面通ししないとなんか落ち着かない感じ。(笑) 『百鬼夜行』『きた哀』など、ブログ時代到来以前からテキスト系については

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Re:バーンアウト

おはようございます。
そうすると札幌はなおのこと育成路線で行かなければならなくなりますね。
指導者が魅力のある人に来てもらえば、出場機会を狙って若い選手が集まってくるでしょう。
でも、数年したら選手がキャリアアップのために退団という「代償」を払い続けなければならないと思いますが。
確かに10年の歴史は急進的すぎたのではないかと思います。
例えば新潟の例ではないけれど、地域密着が定着するためには漸進的に進まなければならなかったんでしょうね。
後戻りはできないから、これからどうするかが大事なんですけど…

あと、読んでて思ったことは、今J1の下位にいる福岡や京都が再び降格した時はどうなるんでしょうか。
資金力がある京都は別として、特に福岡ですね。
降格1年目はまだモチベーションがあるでしょうが、それで失敗したら札幌と同じように閉塞状態になってしまうんでしょうか。

ビッグクラブとそうでない所との住み分けが一層進んでいくような気がします。

posted by equip | 2006-07-23 11:01

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