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2005年12月08日
『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見える』
木村元彦・著、集英社インターナショナル、ISBN4-7976-7108-4
2005年12月10日第1刷発行
『誇り-ドラガン・ストイコビッチの軌跡』『悪者見参-ユーゴスラビアサッカー戦記』と続いた木村元彦氏の著作は、サッカーを題材にしながらも旧ユーゴをめぐる政治・社会の話が前面に出すぎていた感があったが、本書では、オシムのサッカーとオシムの生い立ち、そしてオシムという人間を作りあげてきたものが何であるかが、バランスよく描かれている。オシムへのロングインタビューだけであれば、ここまで奥の深い作品にはならなかっただろう。
監督としてのオシムの言葉には、現在のコンサドーレ札幌、柳下正明監督の姿をオーバーラップさせたくなるところも少なくない。たとえば-
「ただ、それより重要なのは、ミスをして叱っても使い続けるということだ。選手というのは試合に出続けていかないと成長しない。どんなに悪いプレーをした時でも、叱った上でそれでも使う。ミスをした選手を、それだけで使わなくなったら、どうなる?その選手はもうミスを恐れてリスクを冒さなくなってしまうだろう。いつまでも殻を破ることができない」(p.126)
「私が思考するのは、観客やサポーターはいったい何を望んでいるのか、そして何が目的なのかということだ。(中略)私としては、いる選手がやれる最大限のことをして、魅力的なサッカーを展開したいと考えている。そういうサッカーを目指すには、リスクが付きものだ。(中略)すべての監督が大きなプレッシャーを感じている。ほとんどの人たちが、試合の内容よりも結果に注目しているわけだからね。やはりチームが負けないようなサッカーを監督は選択していくだろう。ただそういうことを続けていたら、残念ながらいい内容の試合は展開されないだろうね」(p.195)
「要するに、この『リスクを冒す哲学』を、私個人だけではなく、千葉の選手たちと共有し、ともにやっていけるのかということだ」(p.196)
何がなんでも勝たなきゃいけない、とにかく目の前の勝ちを拾わなきゃいけない、というチームなら、こんなことは許されないだろう。守備を固めて、エメルソンとジュニーニョを連れてくればいいのか。いや、それでも、勝てばいいのかな。
オシムの本だというのに、最後は結局、なぜ柳下監督なのか、柳下監督のチームとどう付き合うべきなのか、なんてことを考えて、2003年や1999年の記憶を反芻して、付箋をつけたページへと戻って、オシムの言葉をふたたび読んだ。
木村元彦氏の「いい仕事」に感謝。
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