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2008年05月07日

すでにかなり危機的状態なんです、という数字遊び

はじめにおことわりしておくが、監督を替えろと主張するつもりはない(念のため)。

11節終了時点でわれらがコンサドーレ札幌は、勝ち点7(得点9、失点21)。J1が18チームになった2005年以降、昨年までの3シーズンについて調べてみると、11節終了時点で勝ち点7以下だったチームは5チームある。そのうち3チームが降格し、2チームは最終順位を上げてJ1に残留している。

(降格した例)
 05年神戸(11節終了時:勝ち点6、18位)→最終:勝ち点21、18位
 06年C大阪(勝ち点6、18位)→最終:勝ち点27、17位
 07年横浜C(勝ち点7、17位)→最終:勝ち点16、18位

(残留した例)
 06年広島(勝ち点7、17位)→最終:勝ち点45、10位
 07年大宮(勝ち点6、18位)→最終:勝ち点35、15位

降格したほうをみても仕方がないので、残留した2例についてみると、まず、06年の広島については

(06年広島の1試合平均得点/失点)
 11節まで:得点1.27、失点2.18
 12節以降:得点1.57、失点1.39

得点が0.30増である一方、失点は0.79減と、劇的に改善している。この変化をもたらした(かもしれない)要素は、13節から監督がペトロヴィッチに替わったこと。もちろん、それ以外にも、さまざまな要素が絡んでいるのではあろうが。

07年の大宮も、途中で監督が替わり、19節から佐久間監督が指揮を執ったのだが、数字上は実は大きな変化は起きていない。

(07年大宮の1試合平均得点/失点)
 11節まで:得点0.55、失点1.27
 12節以降:得点0.78、失点1.13
 19節以降:得点0.88、失点1.31

監督が替わった後に限ってみても、得点力は上がったものの、失点はむしろ増えている。これで入れ替え戦にもまわらなかったのはミラクルで、なぜそんなことが起きたかといえば、11節終了時点では勝ち点15で11位だった広島が、残りの23試合で勝ち点を17しか積めず(=11試合に換算すると勝ち点8しか取れていないのと同じ)に落ちてきてくれたから、そして、結果的に最下位に終わった横浜FCが「一人負け」だったので残留勝ち点ラインが下がったから。

ここで見方を変えて、入れ替え戦にも出なくて済む15位チームの最終勝ち点をみてみると、07年大宮(35)、06年甲府(42)、05年清水(39)で、平均すると勝ち点は38.7。そこで、勝ち点39を最低目標と考えると、今年の札幌は、残り23試合で勝ち点32を取らなくてはならない。そのためには1試合平均で勝ち点1.39を取らねばならない、という説明ではわかりにくいが、要は、2試合で2.78、3試合では4.17取らねばならない。2試合で勝ち点2.78ということは、きわめて単純に考えれば、1勝1敗ペースで進まねばならないわけで、現状からすれば、かなり厳しい条件になる。

だからもうダメだ、ってことじゃなくって、内容は悪くない、まだ行ける、とか言ってる場合じゃないですよ、ってことです。昨日の試合にしたって、確かに後半は見ごたえがあったかもしれないけれど、残った結果は「勝ち点ゼロ、得失点差マイナス2」でしかない。

考えれば考えるほどはまっていくので、今日のところはここまで。

posted by issey11 |10:36 | 2008その他 |

2008年03月22日

ようやく見えてきた2008年バージョン?

杉山茂樹氏の『4-2-3-1』を読んだら、人の並びが妙に気になりだした(この本、杉山氏がこれまであちこちで書いてきたことのまとめ的な内容なので、目新しいことは書いていないものの、頭の整理になっておもしろかった)。

リーグ第2節の横浜F・マリノス戦でコンサがよく守れたのは、コンサの選手ががんばったのは認めるにしても、3-5-2(マリノス)と4-4-2(コンサ)のマッチアップゆえ、サイドの人数でつねにコンサがマリノスを上回っていることで得たアドバンテージも小さくなかったのではないか…とも思っていた(三浦監督も会見でそれらしいこと言ってるし)。

鹿島アントラーズに(後半だけとはいえ)完膚なきまでに叩きのめされたのも、サイドの人数が同数になると「個の力」の差が出てしまうからではないか、だから、サイドの人数が同数になる柏レイソルとの対戦では、マリノス戦のようにはいかないだろう…

そんな予想は、見事に覆された。

柏戦(3/20、ナビスコカップ第1戦)の何がよかったって、マリノス戦の得点シーン(サイドハーフの藤田がゴール前中央に入ってきてクライトンからのパスを受けた)のごとく、攻撃時に、両サイドの選手がゴール前のいいポジションに顔を出すことが増えたことだ。

いまのコンサの戦い方だと、サイドの選手が中に入りすぎると、守備時にあいたスペースを使われるリスクが大きくなって、それが砂川を先発で使いにくい理由だとも思うのだが(砂川にその仕事を意識させると砂川のよさが消えてしまう)、柏戦での西や岡本は(マリノス戦でダヴィの先制ゴールをアシストしたときの藤田も)、ゲームが膠着したときにその状態を壊すために自ら先に動くのではなく、攻撃のテンポが上がったタイミングで自分のポジションを離れ、ゴール前に顔を出した。

だから、ボールをめぐる攻防だけを見ていると、いつの間にか「あれ?なんでそこにサイドハーフの選手がいるの?」というところに、西や岡本が待っている。マリノス戦までは、ダヴィのドリブル突破なしに局面を打開するのは難しそうにみえたのが、柏戦では、局所的にではあるが「人もボールも動くサッカー」ができていた。

それを可能にしたのは、中盤に入ったクライトンだ。クライトンが簡単にはボールを奪われないことがわかれば、西や岡本は思いきって前に出られるし(それでも岡本はまだまだ遠慮しているように見えたが)、前に出れば(柏の戦い方が「高い位置で相手ボールを奪おうとする古典的プレッシングサッカー」だったこともあって)わりと簡単に裏のスペースに抜けられる。そこに運動量豊富な2トップ(ダヴィ、中山)が流れてくると、サイドバックが上がってこなくとも、わりと簡単にサイドでの数的優位が作れる。そして、相手の守備陣が引き出されればゴール前にスペースができて、逆サイドの選手がゴール前に入っていくことも可能となる。

そうやって考えていくと、このチームでのサイドの選手に求められるのは、ドリブル突破からのセンタリング、よりも、機を見て飛び出す賢さや、まわりの選手を使いながらペナルティエリアに入っていくことなど、攻撃的MFというか、セカンドストライカー的な能力なのかもしれない(ただしこれはもちろん相手によることでもあり、3-5-2でサイドに一人しか置かない相手との対戦であれば、藤田のようなスピード+クロス系の選手が求められてくると思う)。

この辺の(と、あえてぼかして書きますが)ことは、僕が熊本キャンプで見た練習(たった一日ではありましたが)はこういうことだったのか!と、ようやくアレとアレとアレがつながった、みたいなことでもありますので、練習を非公開にしたりむやみに情報を流さないように注意したり、というのは、よくわかりますわね。

あの形がもっと頻繁にできるようになれば(そのためには、出ている選手全員の頭の中に同じ絵が描かれることが必要だが)、父オシムが率いたジェフの2年目から3年目ぐらいのようなサッカーも見られるかもしれない…は、妄想しすぎだな(笑)。

柏戦のような形が作れれば、川崎フロンターレが相手でもわくわくするような攻撃がみられるのではないかと期待したい(シュートが入らないことはとりあえず置いといて)。ああいう崩しであれば、川崎山脈の高さはさほど関係ない。ただ、問題は、あの高い最終ラインでジュニーニョを封じられるかどうか?だろうなあ。

いずれにしても、去年とはだいぶ様相が違ってきているので、あまり「守備的」「つまらない」と言うのはやめたほうがよさそうだ。

posted by issey11 |19:52 | 2008その他 |