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2009年07月17日

正面突破か、迂回路か

 J2で上位に入るだけならば、J1に昇格するだけならば、守備を鍛えればそれは可能なのかもしれない。しかし、J1に定着できるかどうかの分かれ目は、守りに入った相手を崩して得点を奪えるかどうか。そのことを、私たちは一昨年から昨年にかけて学んだ。

 j1に定着するチームは、引いて守った相手から得点する術を少なからず持っている。いわばゴールをこじ開ける鍵を持っているのがJ1に定着するチームだ。逆に言えば、そんな鍵を持っている相手に、ゴールの扉を閉めても、こじ開けられてしまうのは、昨年経験したとおりだ。鉄壁も守備と言っても、ちょっとしたことで崩れると立て直しが難しいのは大分を見ればわかるとおりだ。

 ゴールをこじ開ける「鍵」とは何か。昨年の三浦監督は「高さ」にそれを求めて失敗した。昇格初年度の甲府やウィルのいた札幌ののように外国人の高い能力の場合もあるだろう。しかし、個人に依拠しすぎたカタチは、その個人がいなくなってしまえば、失われてしまう。

 そうなると、やはり「鍵」は、チームの連動した動き。コンビネーションによる崩しだろう。札幌のように個人の能力がスーパーではないチームの場合は、相手に守備体系を作られる前に、一人ひとりが手間をかけず、できるだけ素早くゴールを陥れる必要がある。と監督は考えただろう。

 しかし、ダイレクトでゴールに迫ろうとするならば、ワンタッチ、ツータッチの素早いプレイが求められる。ワンタッチコントロールで、良いポジションにボールが運ばれればよいが、あさっての方にボールが行ったり、相手にボールが渡ってカウンターを食らったりすると、逆に危機になってしまう。

 そういうことが続くとやはり慎重になってしまう。ボールコントロールして、相手と見方を十分に見定めて、安全な選択をしたくなる。でも、そうなると相手に時間を与え、よけいダイクレトプレイが難しくなる。

 またダイレクトプレイは、ボールの受け手にとっても、ダイレクトにどこに叩かれるのか、把握しにくい。ボールをコントロールしてもらえば、“ため”の間に、アイコンタクトなりで、受け方がわかるのに、その時間がない。味方のボールがどこに出てくるのかわからないので動き出しようがない。いきおいボールウォッチャーになってしまう。そうなると、出してはまた出しどころが無くなる。

 ダイレトプレイは成功するとゴールをこじ開ける最強の武器だ。これに必要なのは、受け手と出してのあうんの呼吸なのだが、これがずれて疑心暗鬼にが生じると、途端に悪循環に陥ってしまう。今の札幌の現状は、こんなところなのではないか。

 J2で攻撃を旗印に掲げたチームが必ずぶつかる「壁」だ。この壁はあまりに高く、正面突破しようとすると、跳ね返されてしまう。時には、空中分解もあるだろう。

 だからといって、この壁を回り道して避けて、乗り越えるのがよいのか。札幌は、いま、この岐路に立っていると思う。

 チームの崩壊もあり得るなかで、あくまでも壁に対して正面突破を目指すのか。真壁を迂回する方法を探るのか。函館での戦いが注目だ。

 明日早く函館に向かいますので、今日は寝ます。

 
 

posted by hibari |23:51 | コメント(0) | トラックバック(0)

2009年07月17日

クライトン退団を読む

本人が満身創痍なのは確かだ。父のことも心配だったのだろう。それにしてもと思うのは、厚別で一人少ない相手に負けた前節だ。後半30分の勝負所で、クライトンが退き、岡本が投入された。この采配が、退団の直接的な原因になったのではないだろうか。

この試合の後、監督はこんなコメントを発している。

「ボールを止めると相手が間合いを詰めてきてなかなかリズムがでないと思います。やはりそういうところと、シュートにしてもダイレクトで打てばいいところを、コントロールするから、相手は1人少ない分、体を寄せてくるのは当たり前なので、ダイレクトだったらコースが開いてるけど、1度コントロールすると寄せられてコースが開かなくなってしまう。そういうワンタッチでのプレーというのが、ミスを恐れているのかどうかはわかりませんが、まだまだできていません」(jsゴール)
 
実は、これはほとんどクライトンを名指しにしたコメントだったのではないか。

今期の最大の課題は、守備ではなく、引いて守った相手をどのように崩すかという攻撃だった。これまで札幌の得点は、セットプレイや相手のミス、または偶然のような個人技でのものばかりで、攻撃陣の連動した動きの中でのシステマチックな攻撃は見られなかった。

監督のコメントをずっと追っていくと、監督の理想とするのは、激しいプレスで球を奪った後に、ワンタッチのダイレクトプレイでゴールを陥れる早くて連動的な攻撃だ。

20試合を過ぎても一向に完成しない攻撃のカタチ。その原因をついにクライトンに求めたのではないだろうか。

ところが、キープ力のあるクライトンが入るとコントロールしてしまい、そこでプレイの「ダイレクト」さが途切れてしまう。そして何よりも他の選手が、ボールをもらうと、コントロールしながらクライトンを探してしまう。クライトンが上手ければ上手いほど、監督の理想とするダイレクトプレイから離れてしまう。

ここ何試合かの勝ちきれないなかで、水面下では、石崎監督志向するダイレクトプレイとクライトンのコントロールプレイの水激しいせめぎ合いがあったのではないだろうか。

そうして、ついにクライトンを切るという選択が為された。そして、札幌とクライトンのメンツを立てるために、このような発表になったと。

クライトン退団後の補強の早さ、そしてそれが石崎監督の薫陶を受けた二人が電光石火の早業で入団が決まった経緯を見ると、そんな気がする。

posted by hibari |00:04 | コメント(4) | トラックバック(0)