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2005年11月24日

掴み取る者、手放してしまう者

勤労感謝の日。
例によって早朝の東京を駆け抜け、8時には千歳に着いた。
土曜日とは打って変わって、いい感じに晴れている。
何か吉兆と思えるような、そんな光の差し方だった。
北の大地に一筋の光

試合が始まる。今までに見た事も無いぐらい飛ばすイレブン。
圧倒的な勢い、裂帛の気迫でもって攻めまくる。甲府とは何かが違う。
そのうち清野が信じられないドリブル突破から、甲府ゴールに突き刺した。
ドームは大沸騰。びっくりするようなドリブルだった。
今年の始めに「無気力」「当たりに弱過ぎる」とか言われていた事が嘘のようだ。
あのドリブルからのシュートを見ていると、
素質というか、持って生まれたものというか、
そんなのが違う奴だという事を感じてしまう。なんつーか、バケモノ。

札幌はその後もボールを支配し、決定的なチャンスを作り続ける。しかし決まらない。
攻め続けて尚攻め続けた果てに、一瞬のスキを突かれて甲府に追いつかれた。
ドームのテンションはガックリと落ちる。
京都戦のような、なにくそ!という気持ちが萎え始めている。

後半が始まり、10分も経たないうちに札幌にチャンス。
前を向いて相手DFラインの隙間に走る選手が3人。
誰かから砂川に渡り、遠いかと思ったところで足を振りぬく。
信じられないファインゴール。
これまで札幌の攻撃を担い、甲府を押し込めてきた砂川のゴール。
サポーターはまた爆発した。ちょっと長いが多分大丈夫なんじゃないかと
その時は思っていた。

しかしそれでも甲府は諦めない。
徹底してサイドチェンジし、藤田にボールを預け、臆せずに上がり、
サイドのスペースを突き、その間に真ん中を押し上げる。
守備は体を張り、軽率なプレーをしない。
一つ一つのトラップと、パスの質が疲労によって落ちない。

札幌は自陣に送り込まれてるボールへの対応がいよいよヤバくなり、
沖合で阻止していた守備が、段々と水際になり、それが砂浜での上陸作戦阻止になり
終いには本丸まで攻め込まれるようになってきた。
ロスタイムの表示は3分だったと思う。
そこから先は、忘れようにも忘れられない。

ゴール右側に誰かが抜け出して、決められた。2-2同点。
甲府の選手、ベンチが沸き立つ。
この時の札幌はまだ死んでは居なかったと思う。だが、心身ともに疲労しきっていたのだろう。
疲労ゆえ再開後雑に攻めようとしたところ(これは仕方ない)すぐさまボールを奪取された。
真ん中にボールが行ったと思ったら、決められた。2-3。まさかの逆転。
完全に大部分のサポーターの気持ちは、切れた。恐らく選手も切れただろう。

再開。甲府もリスクはもう負わない。
林にボールが渡る。パントしようとしたら、項垂れたDFに当たり、押し込まれた。2-4。

試合が終了する。札幌ドームは力無くどよめいていた。
センターサークルで整列した後、チームをブーイングで迎えるサポーター(の半分)。
ゴール裏の真ん中辺りから、怒りに満ちた声が飛ぶ。

「お前らブーイング出来る程応援したのかよ!やれるだけやったのかよ!」

ちょっとした(看過出来んのもあるけども)ミスでスタジアム中が大きな溜息をし、
ゴール裏なのに応援を放棄して味方に野次を飛ばしまくる。
審判の判定に異議を唱え続け、負けて帰ってきたらブーイング。

負けたから思うのかもしれないが、甲府のサポーター、選手は諦めていなかった。
奪い取る、勝ち取る、掴み取る。相手が持っている「勝ち」をふんだくる。
それまでは絶対に諦めない。無様に見えても声を張り上げ前を向く。
そんな思いで一つになっているチームに、叶うはずも無かったのかも知れない。
2005年J2第42節札幌対甲府リザルト2-4
試合が終わった後は、結果やら何やら色々悔しくて動けなかった。
まだシーズンは終わらない。ある意味終わったが、まだ2試合ある。
この2試合、来年、どんな気持ちでサポートをするか、
コンサドーレに関わる全ての人、一人一人が試される。


posted by アラブの旅人 |17:51 | 観戦記 | コメント(0) | トラックバック(0)