2006年10月15日

システム論

「皆さんは何を見に来たのか?システムか?サッカーじゃないのか?」
インド戦の前にシステムについてしつこく聞いてきたインド人記者に向かってオシム氏は苛立たしげにそう言ったそうだ.激しい運動量を要求し,GK以外の選手がポジションに縛られてスペースを有効に使えない事を嫌う監督らしいコメントといえよう.インド人記者もワールドカップなどで「トータル・フットボール」という理想を知ってはいただろうが,このアジアでその美しきフットボールを目指すチームがあろうとは思っていなかったのだろう.オシム氏は我が日本代表においてかつてない美しいフットボールを実現しようとしている.

否定する気もないがオシム氏にかぶれている.笑われる位のかぶれっぷりで,少年サッカーのコーチに行っても小学生相手に「いいか,オシムはなぁ・・・」と語っている.殆どの子はポカァ~ンとしてこっちをみているのだが.

さて,本題に戻りたい.44節対山形戦.今季厚別最終戦と言うのに仕事で行けず,TV観戦となったのだが,集まったサポータの歌がTVからも力強く聞こえてきてそこにいれない自分が腹立たしかった.
風が強くスリッピーな厚別.アウェーの選手が滑るのは理解できるが,ホームのウチの選手がコロコロと転がり消耗していく様をみて試合以前の問題じゃないかと憤る.ミスを恐れて足元のパスが増えてしまい早い山形の寄せに苦しむ羽目となる.逆にウチのDFは引いて守るため相手へのプレッシャーが弱い.クロスも殆どフリーで打たせてしまっている.受けに回ると人は足が止まり易い.ボールウォッチャーと化し人畜無害なでくの坊へと堕ちてしまう.引いて守るにしてもボールホルダーには積極的に詰めて行きプレッシャーを早く与える.フリーにした自分のスペースは他の選手にバックアップして貰う.これが守備の基本だ.残念ながら西澤・加賀・西嶋の3人にはこの基本が出来ていなかった.局面でいかにいいプレーをしてもシステムが機能しなければDFは失格なのだ.オシムにかぶれたヤツが何言ってやがる,そんな言葉が聞こえてきそうだ.だが,自分の中では矛盾していないつもりである.何故ならばオシムは,試合中の変形(transformation)が必要となることがあるから,システムという形,3-5-2だとか4-4-2だとか言うものに拘ることを拒否したのであって,一つ一つの局面では”よく機能する”システムが必要なのだ.そして現代のフットボールではいかに相手の良さを消すかがテーマであり,それ故相手がプレーするスペースを如何に潰すかの勝負なのである.
我がチームが目指しているのは,ボールを動かし自分たちから仕掛けて崩すサッカーであるはずだ.ビルドアップするためには守備からの切り替えが課題となるはずだ.昨日の試合で”切り替え”が問題となる場面を何度目にしただろうか?これが問題とならない時点でウチのシステムは問題を来している事になるはずだ.何故か?一言で言えばDF・ボランチからトップ下やFWへの距離が長すぎるため展開が大きくなりすぎる.どうしても正確性に問題があるのに加えて,バックアップの上がりに時間がかかる.従って攻撃に厚みが出ない.やはりDFは下がってはいけないのだ.裏を取られてもいいから押し上げないといけないのだ.プロだったら歯を食いしばってフィジカルな勝負をしなくてはならないのだ.
サイド攻撃では度々惜しい局面を作れていた.特に関はプレーにムラがない.よく走り,よく守る.だが・・・・クロスがねぇ.クロスがちゃんと上がれば拝みたくなる位いい選手なんだけどなぁ.行ってこいクロスなんだもの.

J2では最早defaultとなりつつある非道いジャッジ.ルールの誤解や吹きたがりならばまだ許せるが,ジャッジの基準が一定しないとDFは守れないよ.あのPKのシーンなんて小原はいい守備してたのに,それをイエローなんてあれは非道い.
色々書きたいことを書きましたが,こんなJ2とは早くおさらばしたいので,残り踏ん張りましょう.(結論)

posted by 番台番 |19:42 | リーグ戦 | コメント(2) | トラックバック(0)

スポンサーリンク

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.consadole.net/bricks/tb_ping/171
この記事に対するコメント一覧
Re:システム論

先に当方へのコメントを読んでから来ました。向こうでも返事を書いたのですが…。御指摘はもっと根本的なところに根があったようですね。また、仰る今節の問題点についても、なるほどと思えます。

ただ、ウチはオシムではなくヤンツーのサッカーを指向しているチームで(かと言って柳下監督の理想とするサッカーができているとも未だ言えませんが)、同じ“ボールを動かし自分たちから仕掛けて崩すサッカー”でもシステムは重視していますよ。独創性(その場の各人の判断)以上に“全員が同じ絵を描くこと→そのために繰り返し同じことを続ける”を大事にしているチームですし。

またそれを完成させるためにかける時間についても、ジェフや代表以上の覚悟をもってやっています(そのはず)。まあ、見守る方も長い目を要求される部分はありますね。

posted by MasaMaru| 2006-10-15 21:55

Re:システム論

> MasaMaruさん
ウチにオシムのサッカーをやって欲しいなどとは思っていません.ただヤンツーさんが求めるものとオシムが指摘するものに共通点が多いことはご理解頂けるかと思います.
まず,シンプルに走ると.パスやトラップは技術を要しますが,走る事はシンプルです.シンプル故に奥が深いのですが,走るプロはムラがない.関のように.
所がそのシンプルなことが出来ていない選手が如何に多いことか.おまけに気持ちで押し込まれて前に足が出ない選手達にふがいなさを感じてしまいます.
そして最も残念に思うのは,奇しくもMasaMaruさんがご指摘のあった“全員が同じ絵を描く”事が未だに出来ていないことなのです.この2試合はあまりに下手くそな絵を見せられました.(自分は元々DFなのでDFに対しては厳しいのかも知れませんが)

posted by 番台番| 2006-10-15 22:00

コメントする