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2009年07月24日

負の遺産

昨日の議論を補足する。

 現在の札幌の得点力不足、勝ちきれない現状は、かなりの部分、三浦監督時代の負の遺産なんだと思う。

 三浦監督のサッカーは失点に繋がるリスクを極力排除することが基本。セットプレイなどのセーフティな形で得点をあげ、その後はゲームを膠着状態に持ちこんで、僅少差で「結果」を得ることを目指すものだ。

 相手ゴール前でのコンビネーションや、パスを繋いだ崩しなどは、失敗するとカウンターに繋がるリスクとしてほとんど推奨されてこなかった。ボールを奪ったらできるだけ手数をかけずに、最前線に放り込む。そんなサッカーだった。

 ところが、こうした確率論に頼ったサッカーではJ1への定着が難しいというのが昨年の教訓。やはりパスを繋いで、コンビネーションによって得点を奪おうというのが、今、石崎監督が取り組んでいるものだ。

 そして、三浦監督の過去2年間、こうした練習をほとんどやってこなかったことのツケが今巡ってきている。中でも今の主流の若手組は、わずか数年のプロ選手経験の中で、崩しによる攻撃に取り組んだのは、遠い柳下時代。それも1,2年しかない。

 今シーズンに入ってから、ここで私は「コンビネーションによる得点を見たい」と何度か書いたが、石崎監督がいくらゴール前での工夫を求めても、そもそも体が覚えていない。だから指示に付いて行けない。そして、ゴールに近づくと、どうしていいのか、わからなくなる。現場で試合を見ていると、ゴール前でボール受け取ることを恐れているような消極性を感じる。

 これに加えて、FWのキリノは典型的なカウンタータイプの選手のようなのだ。裏に抜け出したボールを長い距離を走って追いかけて決めるというタイプだ。パスを回しながら、相手を翻弄し、アイディアやひらめきでゴール脅かすタイプではない。日本人の経験不足を補うことができない。

 そうこうするうちに、相手の守備戦術と研究が進んで、いよいよ得点が取れなくなってしまった。そうなると、回りからは「やる気を見せろ」「死ぬ気でヤレ」という圧力がかかる。それがやる気の空回りを見せて、いよいよゴールから遠ざかっていくという悪循環。それが今の札幌だろう。

 これはけっこう時間がかかると思う。

posted by hibari |17:43 | コンサドーレあれこれ | コメント(10) | トラックバック(1)

2009年07月24日

チームの完成まで残り25%

 昨日の夜は、北見で美味しい地ビールを飲んでいた。北見の人たちといろんな話をしながらも気になるのは、試合経過。定期的に携帯をリドロー。0ー0が続く画面にため息をついてしまった。

 そしてさっき富山でのゲームを見終わった。金は金に集まると言うけれど、ゴールはゴールに集まる。反対に言えば、ゴールを遠ざけるものにゴールは離れていく、ようだ。

 朝のホテルで見た新聞では、後半に富山に圧されたように書かれていたが、実際に見ると、後半の富山は、シュートを打てという監督の檄に応えて、可能性の少ないボールを何回か蹴っただけだった。札幌は前後半とも相手を十分に抑えていた。

 今、快調に上位を走っていたならば、2-0ぐらいで、危なげなく勝ち点3をゲットした試合に見えた。だのに得点が入らずにまたまた引き分け。
 
 ここ何試合もまともに点が取れず、勝ち星にも見放されている。そんな中で、得点のチャンスが目の前に転がり込むと、無用に力が入ってしまうのだろう。後半はじめの藤田の消極的なプレイに象徴されるように、逆に、得点することに意識が過剰になりすぎて、逆にナーバスにもなっているようだ。

 藤田以上に問題だなと思ったのは、変わったばかりの砂川が、ゴールラインの手前から後ろに折り返したグランダーのパス。これに反応する選手が誰一人いなかったことだ。

 ペナルティボックスの横、ゴールラインの手前からキーパーから遠ざかるように走るグランダーのパスは、もっとも得点の可能性の高いパスだ。これが調子のいいチームだと、砂川があそこに走り込んだだけで、ゴールを求めて選手が積極的に動き出しただろう。しかし今節の札幌の選手たちは、最大の得点機に棒立ちだった。

 一部掲示板などでは、監督解任論なども出始めているようだが、バカバカしい。

 札幌の課題は「ゴールにいたるコンビネーションの確立」、これだけに絞られている。

 時々ポカはするが、守備戦術は確立されているし、アグレッシブなプレスからショートカウンターという戦術も浸透している。中盤のボール回しもだいぶ改善された。

 本当に残す課題は「ゴールにいたるコンビネーションの確立」だけなのだ。チームの75%は完成している。なのに、ここで監督をクビにして、再び0からチームを作ろうという意見は正気の沙汰とは思えない。

 チームの完成にはあと25%を残すだけなのだが、前監督の2年間はこの25%の完成を早々に諦めて、残りの75%だけで戦ってきたようなものだから、ゴールにいたるコンビネーションにおいては、石崎監督にとっては0からどころか、マイナスからのスタート。砂川のラストパスに無反応だったことが、これを象徴していると思う。

 だから、名将石崎をもってしても、わずか半年で昇格チームレベルに押し上げることなど、どだい不可能なのだ。

 ヤンツーさんの後に、石崎監督だったら、と思わないこともないけれど、三浦さんのような戦術を選ばなければ、誰が監督をやってもこの順位だと思う。

posted by hibari |00:29 | コメント(0) | トラックバック(1)