コアなJ1サポーターだけが騒いでいる印象ですが、
「2ステージ制+ポストシーズン」について。
・オフィシャルスポンサーが撤退をチラつかせ、協賛金収入が数億円落ちる見込み。代わるスポンサーはない。
・地上波に売れないため放送権料が落ち、さらにスカパーから減額要請された。
少ない言葉にまとめるのが難しいのですが、発端はこの辺じゃないでしょうか。
合計で十数億円も減収。
Jリーグ配分金の財源である「協賛金収入」「放送権料収入」が落ちる見込みで、
今すぐに手を打たねばならない。
露出が減っているので、企業から広告価値なしと判断され、ライト層はどんどん遠ざかる。
観客数云々の問題ではない。
ライト層がー新規顧客がーって話はメディアも含めたプロモーション手法に問題がある。
つまり、札幌への配分金(J2で約1億)が減るけど、何もしなくていいの?
以下、長文。
私が感じるのは、リーグと固定客(サポーター)との現状認識の差です。
危機感が共有できてないというか、対策のスピード感というべきか。
スタジアムで応援する方が大勢いるのも、魅力ある選手が次々と出てくるのも
サポーター、クラブ、Jリーグの「地道な努力」の成果だと感じられるし、
サポーターが一助を担っていることは否めません。素晴らしいと思います。
「リーグ優勝の価値が落ちる」というのも理解できるし、
「公平性と分かりやすさに欠け最良の選択」ではないというのも理解できます。
こういった観点で考えたとき、
「2ステージ制+ポストシーズン」を反対するのは、正しい意見だと思う。
実にダイレクトな意見だ。
では、「2ステージ制+ポストシーズン」は何を発端として出てきた話なのか。
それを理解するには、Jリーグが公開している情報を見れば理解できる。
■2012年度J1クラブの収入の平均値(百万円)
営業収益 :3,152
広告料収入:1,398 44%
入場料収入: 663 21%
配分金収入: 227 7%★
アカデミー: 169 5%
その他収入: 694 22%
■年度別、配分金収入合計、入場料収入合計、広告料収入合計(百万円)
年度 クラ 配分 入場料 広告料
年度 ブ数 金計 収入 収入
2008 33 7,531 15,408 33,282
2009 36 7,100 15,619 33,488
2010 37 7,237 15,460 33,005
2011 38 6,086 14,189 33,314
2012 40 6,169 15,324 35,096
※Jクラブ個別経営情報開示資料より
http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/documents.html
この背景にあるのは、大東チェアマンの言葉の通りと思います。
「国内リーグであるJリーグを取り巻く環境はこの20年で激変し、
私どももグローバリズムの影響を意識せざるを得ません。」
「地道な努力」では太刀打ちできないスピードと圧倒的な資金力で欧州から攻め込まれ、
日本のマネーが海外へ流出しているのは事実です。
世間の耳目と、企業の資金(スポンサーマネーなど)と、メディアの発信力は、海外に流れています。
今夏、ビッグクラブの興行や、スクール、マーケティングで
どれだけのカネが海外流出したことか(私の概算では、ひと夏で20億円以上)。
企業からは広告価値なしと判断され協賛金や広告料は減り、
テレビからも同様にそっぽを向かれ(昨年から全国地上波放送なし!)て放送権料は漸減し、
地上波含めたメディアを使ったプロモーションを行う原資は目減りし、
サッカーに興味ない層にとっては触れる機会が激減。
(潜在的需要はあると思うが露出減で負のサイクルに陥っている)、
配分金も減り続ける。
(正確にはクラブが増えてるのに配分金の原資となる協賛金と放映権料が減っている)。
こういった問題がすでに発生しているにも関わらず、
反対を表明する方々はどこまで認識しているのか疑問です。
それ以上に、Jリーグからの発信が下手だなあと思っています。
こっちの方が大きな問題かもしれません。
Jリーグがあまりハッキリ言いすぎると
「Jより海外の方が魅力です!Jには広告価値ありません!」と
宣言するようなものですからリスキーですね。
マスメディアに負のイメージキャンペーンを行われ、ブランドイメージを損なう可能性があります。
とはいえ、サポーターにできることは「地道な努力」しかなさそうです。
Jリーグは、インターネットメディアをうまく使いこなせていませんし、物量も不足しています。
金払ってでもオンデマンドで見たい!という層とのバランスが難しいですが、
Jや各クラブの公式youtubeチャンネルには、試合開催から数日後にハイライトが出てますね。
でもこれはクラブを応援する人にしか行き渡っていないし、
賞味期限後(試合開催翌日以後)に公開している。
「地道な努力」によって、これらの問題がすぐに解決したり
協賛金収入やが増えるとは到底思えませんし、時間が掛かかります。
今回の対策は観客増減には直接結びつかないと考えています。
ポストシーズンで得た資金を投資に回すようですが。
メディア露出微増と企業からの協賛金収入減と放送権料収入減を
「一時的に食い止めるきっかけ」を作るのが直接の目的として、
2ステージ+ポストシーズンを提案したのだろうと捉えています。
今回の件は早急に手を打たねばならない問題であることを、
昨年から分かっているのに、Jリーグの発信は不足し、
サッカーメディアもあまり発信せず、
サポーターも問題視していなかったことのほうが問題な気がします。
Jが公開している資料で読み取れるにも関わらず。
(私が気づいたのは3月でしたが、他人事でした)
最後に1つ。
私は地上波民放をほとんど見なくなって数年が経ちますが、
スカパーのJリーグ中継(オンデマンド)には
金払って見る価値があると思いますし、実際加入しています。
ポストシーズン見ちゃうんだろうなー。面白そうだし。