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2008年12月03日

-4度の冷凍倉庫の中で、サッカーの試合は出来るのか

署名用紙の1枚目が埋まった。
と言っても、3名はウチの家族なので。書いてもらったのは7名だけど。
7名中5名がサッカーに興味がない人達。
それでも皆、快く書いてくれた。
快くというよりは、進んで書いてくれた。

用紙をみせると、まず「なぁに、コレ?」と聞かれるから。
そこで説明。
「Jリーグは今、3月から12月までってスケジュールで試合をやってますが、この日本サッカー協会会長さんっていうサッカー界のお偉いさんが『Jリーグもヨーロッパに合わせて、秋から春にかけて試合する様に変更しよう』って言い出したんです」
ここまで言うと、その5人の内4人が全員同じ反応をした。


「出来るわけないじゃん!」


見事に異口同音。
「はぁ?!」とか「なにそれ?」とか、一番若い子には「バカじゃね?」とまで言われたよ。
それ以上説明する前に、皆さっと署名してくれた。
サッカー知らない人達でも、冬の北海道は良く知っている。
道民ならどんな人でも、真冬の札幌はサッカーの試合なんて出来る状態じゃない事を、良く解っている。
道外の人達でも、解らないなりに見当は付けてくれている。

けれど。

やっぱり解らない人達は根本的に解っていない様で。
今回の冬開催問題で、改めて実感した。
ある新潟のサポさんのブログにコメントを入れた他チームのサポさんの言葉。
「寒いから観戦したくないとか、そんな程度の気持ちなんですか」
思わず叫びそうになった。

いや、違う!!
『そんな程度の気持ち』じゃなくて!!
『そんな程度の寒さ』じゃないんだ!!!


我慢すればなんとかなる・なんて、そんなレベルの世界じゃない!!!


秋春制賛成派の人達には「いきなり反対しないで、まずは議論を」って人がいるけれど。
そういう人達が論じたがっているのは大抵、日程の事とか代表の強化とか、野球がオフだからマスコミに取り扱ってもらえるとか、あとは欧州との移籍の事ばかりだった。
でも、そういう問題は後回しで良いから。
まず最初に論じて欲しいのは。

「どうすれば真冬の雪国でサッカーの試合がまともに出来るか」

そんな根本的な問題からなんだ。
この問題がクリア出来ない事には始まらないだろう。
試合が出来る状況が整わない限り、どんな議論も意味が無い。



札幌の積雪量が世界的に見ても相当多い・と言う事は、もうあちこちで書かれている。
過去30年間の平均なら630cm。5年間でも519cm。
縦に6mが見当付かないのなら、天井を見てみると良く解る。
一般的な部屋なら、床から天井までは2.5m弱ぐらい。
その2~2.5倍の高さに至る雪が、一冬で降るのだ。
自分でも、ありえねぇ・と呟いてしまった。実感するとなお怖い。

その雪と同じぐらい問題なのが、気温だと思う。

札幌の1月の平均気温は-4度だ。
2月でも-3.5度。12月はまだ暖かめで-1度。
それでも12月後半から2月上旬にかけて、気温がプラスになる日は、まず無い。
そしてそれも、あくまでも「気温」のみの話であって。
晴れていればまだしも、太陽が陰ればそれだけで体感気温は軽く3度下がる。
風が吹けば更に2~3度。
雪なんて降った日には……想像もしたく無い程に。
札幌の冬は氷点下の気温の世界なのだ。
それなのに。

その氷点下の世界で、選手達にサッカーやれ・だなんて、絶対に言えない。口が裂けても言いたく無い。

しかも、-4度っていうのは、あくまでも「平均気温」。
試合が始まる午後1時や2時は、既に気温が下がり出している頃なのだから。
キックオフと同時に下がって行く気温の中で、パフォーマンスを落とさないで試合しろ・なんて絶対、無理。
しかも、あんなペラッペラのユニフォーム姿で。
……どんな不可能に挑戦させるつもりなんだ、本当に。


秋春制に賛成の人、構わないと思っている人、むしろ積極的にやるべきだと思っている人。
どうか、まず理解して欲しい。
真冬の札幌で試合をやると言う事の過酷さを。






『 -4度に設定した冷凍倉庫の中で、選手の身体に負担をかけず、且つ、パフォーマンスを落とさないで試合を行う為には、どうすれば良いのか? 』







こう例えれば、気温が氷点下にならない土地の人達でも理解し易いかと思うけれど。

真冬の札幌でサッカーをやる・ってのは、こういう状況にも等しいんだって事を理解して欲しい。
それに、倉庫の中なんてまだマシなんだし。だって風も吹かなきゃ雪も降らないんだから。
選手にスキーウェアでも着せるしかないんじゃないのか。
まさか、スキーウェア並みの防寒性能を持つ新素材の開発が進んでるワケじゃないだろうし。


北海道の寒さなんて、本質的には理解されてないんだろうなぁ。
そう言えば前に「行ってQ」で道東方面にロケに来た時、ナレーションが
「辺りは-8度の極寒の世界」
って言ってて、唖然とした事あったっけなー。
……そうか、東京の人達にとっては、-8度って極寒なのか。
しみじみとそう思ったっけ。
まぁ確かに、東京の1月の平均気温は5.8度もあるから、理解し辛いのかもしれない。
札幌で平均気温5.8度って言ったら、4月か11月並の気温だもんな。
そりゃあ、そんな程度なら札幌サポだって、頑張って試合行くか・って気になるよ。
でも、-4度はそんな世界じゃないからなー。
そんな中でのサッカー観戦なんて、生死に関わりかねない。いや本気で。
60歳以上と、5歳以下の子供連れの家族は、まず来なくなるだろう。
だって、試合終わったら本当の意味で冷たくなってました・なんて恐ろしい事が、真面目に起こりかねないもの。
そんなのあり得ない・って言い切れないから、本気でイヤだ。
そんな土地なのに、真冬にサッカーなんてどうすれば出来るんだ。

そして、そんな冬を乗り切る為に、北海道民が考えついたの最良の方法は。




「極力、外出しない事」




…………そんな風習の土地に、冬期開催が根付くとでも?








異国の風習に合わせる前に、自国の風土に合わせて欲しい。本当に。










気温データはこちらから。

http://www.sweb.co.jp/tenki/index.html

色んなデータがあって面白い。
あと、この中の「データで見る札幌の気象」のNo.1「等温線をたどる旅」
これによると、ヨーロッパで1月の平均気温が-4度になる土地は、北欧の南部なんだそうだ。
北緯55度以上の土地と同じなのか!札幌、43度なのに!!
これは、札幌が寒い・っていうよりは、ヨーロッパが暖かい・って事らしいけどね。
でも、北米見ても、札幌よりは緯度が高いよ。


posted by 半月 |20:51 | サッカーを想う日々 | コメント(4) |