2008年09月13日

できる/できない

投稿しないうちにyohは3か月越え。
ブログはとことん性に合わないメディアなのだろう。笑


Tomoはパズルマニアである。
その昔研究で使っていた50ピースのジグソー:アンパンマンに
自ら手をつけ始めたのはたしか1歳11か月(←ちょっと変)
飽き足らなくなって50ピース弱のパズル(カーズ>アマネちゃんパパのパズル)と、
ビミョウなつくりの木のジグソー(セントレアフレンズ)を手に入れたのはこの夏。
カーズは4~5歳児程度?で、某保育園の5歳児クラスにあるのと同じものらしい。
最近も変わらず引っ張り出してはせっせと取り組んでいる。フシギ。

ここまではなんということはない話なのだが、
ふとしたきっかけで、園では最近ある保育者に、できないのに難しいパズルを出す子、とみられているようだと知って、なんかちょっと面白いと思い授業でしゃべってみた。

Tomoはパズルができるのか/できないのか?

ヤツは、何をどこに置くか、という水準はほとんどわかってやがる。笑
この点だけからみれば、アンタほんとに2歳8か月?というかんぢ。
しかし、ヤツのパズルは多くの場合、一人では達成されない(→精神間機能?)。
ピースを探すことをすぐにあきらめちゃったり、既にできたパズルが汗で手にくっついてずれたとき
「ズレチャッタ!!」と素早く気持ちが乱れちゃうから。
オトナ(←俺)がそばにいて、さりげなく当該のピースを近づけたり、
「ずれても直せばいいだろ!!ぢんせい長いんだから」とか支えられて、はぢめて達成できるのだ。

こういう「くずれちゃってももう一度!」ってのは、やっぱり内言あってこそだよねぇ、
と最近しゃべってみた。ちなみに4歳児の講義。
パズルができる力とは、表面的には「絵を理解して、ピースとピースの関係を知る」ということなのだろうけど、実際にはそれに加えて「自分で根気よく探す」「ずれても直して回復させる」力が含まれる。
だから、あのパズルが4/5歳用と書かれているのには、
結果論としてはそれなりの妥当性があるのだよ~ということ。

で、結局ヤツはできるのか、できないのかについて。
家では「できる」/園では「できない」というのは、どちらも正しいだろう。
だって、2つの「できる」は違うものを指しているのだ。
オトナがそばで付き合ってパズルをする環境では、ヤツは「できる」のだし、
オトナの援助を内化させて、1人ですることが求められる環境では、今は「できない」のである。
どちらの「できる」も肝心。まぁそれだけの話。


乳児の有用性研究、というのは発達心理学の中でいまだに盛んで、
これまで1歳半の力といわれていたものが、実は13か月からできるのだ!/9,10か月といわれていたものは、6か月児にもできた!という種の研究成果が、国際的学会誌にわらわら掲載されている。
「成果」としてきわめてわかりやすいという事情があるんだろうけど。

そういう研究の多くって、率直にいって「面白くないな―」と思っていたんだけど、なんで面白くないのかなというのを、これまで自分としてはなんかうまく説明できなかったわけです。
なんだけど、今回のパズルのことがあって、ちょっとハッとしました。

そうか、表面上は同じ行動の「できる」を問題にしている研究でも
実は、まったく違うレヴェルの「できる」を扱っている可能性があるな、ということ。
ある行動の、より発達早期の達成を謳う研究の場合、
その現象を成り立たせるために、綿密に組み立てて実験するうちに、
子どもの達成にとって決定的なサポートを知らず知らずのうちに
与えている可能性ってあるんだろうな、と。

家庭での「できる」と、園での「できる」、検査場面での「できる」の違いも、
もしかして同じようなことから説明できるのかも。

たいした気づきではないが、ほっとくと100%忘れそうなのでメモしてみた。
9月は次から次へいろいろやってくるので
次から次へ忘れてしまうなあ。

写真はワル2名。いわゆるワル自慢(笑)

073108


posted by housan |00:32 | 研究 | コメント(5) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:できる/できない

すっごい悪そう(笑)いい味出してますよ、2人とも◎

なるほど~、「できる」は環境によっても違うってことですね(?!)。うちの乳児クラスにも、小難しいパズル好きちゃんが数名いますが、対象年齢より上っぽいものやってるのは、そういう援助があってこそだったのかも:)

でも、うちの3歳クラスに「帰りの支度するから、帽子をかぶろうね」とひとつのことをゆっくり伝えても、3歩歩いてるうちに見事に忘れて友達とふざけんぼしてて、結局ママが来ても帰れない(^_^;)って子もいるけど*

年齢じゃなくて、個人差?!って話ずれてますか??

posted by はに*| 2008-09-13 16:29

Re:できる/できない

なるほど~!!!久しぶりに保育に触れ、そしてビビッと刺激を受けました。できる/できない・・・サポートを知らず知らずのうちに与えてしまっている・・・よく分かります。(あぁ・・なんだか反省する点あるなぁ。私もそうしていたのかも・・・。)保育士時代、「まだ○ヶ月なのに、もうできてる~!△△ちゃんすごい!」という声をよく聞いたような・・・でも、なんとな~くピンとこなかった理由が分かった気がしました。私が働いていた園では、発達の記録用紙に、できるようになって○をつけるのではなく、『やろうとする姿』が見られたら○をつけます。なので、保育士によっては曖昧な面もあったけれど、やろうとする姿に保育士がどんな援助をしているかをきちんと把握し、明確にすることこそ、子どもの成長をとらえることができるのだなぁと、基本的なことですが、改めて気づかされました。うまく言葉になりませんが・・・もうすでにブランクかな(><)
☆写真、二人ともすごい!!まっちゃんサングラスって・・・そしてともちゃん・・・(笑)

posted by ウエノエリ| 2008-09-13 23:03

Re:できる/できない

ワルぢまんを評価!?してもらえたこと(笑)
&卒業生のみんながこのエントリーでコメントしてくれたの、なんか嬉しいです!

>はにーさん
ずれてないずれてない。
むしろ「3歩歩いて忘れる」ってところに、3歳児の真髄が隠されているような……
「ある物事がわかっている」→「できる」ってストレートにつなげてその子の力を評価してはいかん、ってことなんだと思うんだよね。

>エリ
そうそう「やろうとする」の先が実は肝心、って場合があるかもしれんよね。もちろん「やろうとする」も「できる」も、どっちもそれなりに意味があるんだけど。
全てが1人でできなくてはいけないってことはなくて、オトナと一緒にできること自体が大事だったりする場合もあるしね。

14日、例の本の編集会議で東京いったのだけど、ちょっといろいろ慌ただしくてとんぼ返りだったのだよ~。会えなくて残念。
10月にもいくよ。また連絡するから!

posted by housan| 2008-09-16 02:54

Re:できる/できない

なんか読みこんでしまいました☆

うちのクラス(年少)に発達遅滞のある子がパズル好きで、よくやってるんです!!
でもその子の発達レベル以上の対象年齢のやってるから、いつも不思議だなぁと感じてました。

その子は集中できる時間が短いんだけど、パズルの時は30分以上かけて根気よく完成させてます。
形・絵も見比べながら置いてるし、完成させるまでは途中で投げ出したりしないから、構成したり組み立てる力がついてるのかなぁって思ってみたり。。。

なんか自分でも何を言いたいのか分からないんですが、なるほどって思ったのでコメント残しました。

posted by へんりぃ@まこ| 2008-09-17 00:49

Re:できる/できない

ひさしぶり>まこ

そうかー。3歳児で30分以上楽しめる活動があるのがたいしたものだね(^-^)
パズルが性に合うのか、まわりの何かがパズルを成り立たせているのか……
今はパズルが表に出ているのだろうけど、それ以外にもきっと何か楽しめるものがあるかもね!

posted by housan| 2008-09-18 07:08

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