コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2013年12月02日

Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その5/地上波と放映数規制)

前回までの記事
Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その1)
Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その2/神奈川・千葉は放送ゼロ)
Jリーグが地上波放送されない理由(その3/札幌vs北九州どっちが放送多い?)
ホームゲームの地上波放送回数は規制されているの?(地上波分析その4)


J1の地上波放送回数
J2の地上波放送回数


その1で、motoさんという方から、実に刺激的なコメントをいただきました。

それに対する回答をする前に、私の考えを改めて整理しました。
(実は半年前に、長すぎるのとソースに乏しいのでボツにした記事ですが、再構成しました)

かなり長いので、何回かに分けます。


地上波放送を分析するにあたって、「地上波」をきちんと分類して理解する必要があります。

■放送エリア:全国ネット、ローカル(都道府県、地域など)
■放送局:NHK総合、NHK地方局、
     全国ネットキー局(TBSなど)、全国ネット系列局(STVなど)、独立U局(東京ならMXなど)
■放送形態:生中継、録画
■視聴料:有料(NHK)、無料(地上波民放)

これにスカパーやBSを加え・・・
1)金払ってまで見る気はない⇔金払ってでも見たい
2)密着した地域の外側にいる⇔密着した地域の内側にいる
3)好きなクラブはない⇔応援するクラブがある
という分類で、視聴者視点で市場を論述していきます。
2と3は似て非なるもので、本当は分けて考えねばなりませんが、
今回はごちゃ混ぜにします。

上記の1を横軸、2&3を縦軸にすると、以下のように分類します。





私の考えるポイントとずれてしまうとあまり議論が発展しないので、
motoさんに挙げていただいた4つの論点ごとに分析と私見を述べます。

・放映数規制(その5)
・制作費(その6を予定)
・スポットCM単価とのからみ(その6を予定)
・時間帯(その7を予定)


■放映数規制
「アウェイ○○戦、スタジアムへ行けない方はスカパー!」
「ホームはスタジアムへ!アウェイはスカパー!で」
「ホームはエディスタへ!アウェイはスカパー!で、ウォッチ!ウォッチ!」

というキャッチフレーズをJクラブの公式サイトでよく目にします。
これはスカパーのアウェイ放送の規制を指すわけですが、
私は市場の住み分けのためには必要な措置と判断しています。
(ホームゲームの放送回数規制は10回までとして話をすすめます。)
放送回数規制10回の根拠については、下記を参照。
ホームゲームの地上波放送回数は規制されているの?(地上波分析その4)

アウェイゲームの放送規制は、
密着した地域内にいてホームスタジアムへ行きアウェイはテレビで見たい層や、
密着した地域の外側にいるが思い入れのあるチームをテレビで見たい層を、
スカパーの全試合生中継(つまり有料放送)へ引きずり込むために最低限必要な線引きです。
後者の市場は侮れません(例:関東にいる札幌サポ。フクアリゴール裏埋め尽くしますから)。
どちらにせよ、ホームからアウェイへ行くことや、遠方からホームゲームに行くのは金がかかるが、
その分の費用を使ってでもテレビで見たい層をスカパー!がつかむのがメインと捉えています。

スカパーの独占をやめて地上波に依存すると「視聴率」に左右され、放送が行われるかどうか不安定になりますし、
広告代理店に中抜きされて思うように収益も放映数も伸びず、放映権収入は大幅減になると思います。
「金払ってでも見る層」のマネーが浮いてしまい、取りっぱぐれるのは意外に痛い。

金払って見たい人のマネー⇒スカパー⇒Jリーグ という商流ですが、これを地上波に置き換えると
広告主のマネー⇒広告代理店⇒放送局⇒Jリーグ となってしまいます。
スカパーも広告流してますから、視聴料+広告料のハイブリッドな収入構造ともいえます。

長くなってきたので一度整理すると、私はJリーグのテレビ視聴者市場を以下の4つに分類しています。
(スタジアムへ足を運ぶ層はホームゲーム見ない云々もありますが、ここでは省きます)

1)金払ってでもホーム&アウェイの試合を見たい層⇒スカパー加入、スカパーオンデマンド
2)金払っててサッカーやってれば試合を見たい層⇒NHK総合、NHK地方局、NHK-BS(一応すべて有料です)
3)金払う気はないが思い入れあるチームの試合を見たい層⇒独立U局、民放ローカル
4)金払う気はないがやっていればなんとなく試合を見たい層⇒地上波キー局(今年は放送ゼロ)、独立U局、民放ローカル

能動的に動くマネーの規模では、1>2>3>4の順ですが、
視聴者数や世帯数でいうと、4>3>2>1の順です。
後者はそのまま、保有するマネーの順でもあります(財布とタンスから出てこなければ意味はないが)。

Jリーグが目指すのは、2の人を1に誘導することが第一ですが、
3や4の人にシチュエーションを提供して、2や1のように金を落とすところへ誘導することも重要。
しかし3や4の人は決してマネーを落としませんから、いかにしてマネーが循環するようにするか。
ここをテレビ局+広告代理店は、広告収入得て放映するビジネスモデルを確立したわけですが、
彼らの言い値ではJリーグの試合放映に広告はつかず、放映枠を買う程のメリットもない。
Jリーグは放映許諾料を、条件によっては低く抑えて提供することで放送回数を増やし、
試合の放映は厳しくても、ハイライト番組は増やせそうです。
広告の斡旋もできればなおよしですが、やはり広告代理店が邪魔だなあ。

3や4の人から直接収入(入場料やグッズ収入)はあきらめてしまいがちですが、
彼らにはインパクトのあるわかりやすいシチュエーションやオプション(おまけ)を与えることで、
年に1回くらいはマネーを落としてくれるよう誘導する工夫が必要ですね。
(これがポストシーズンや、昇格だったりしますが、省略します)

つづく。。。

posted by sca25 |23:51 | Jリーグ地上波放送分析 | コメント(2) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その5/地上波と放映数規制)

WEB上でソースが見つからなかったですがスカパーがJリーグのリーグ戦の優先放映権を獲得した2007年の終盤の時期のスポーツ紙の道内版にコンサのJ1昇格のXディとなるホーム戦の放送権を道内ローカル局が競っているという記事で地上波の生放送の制限について書かれていました。
それによると民放ローカル局(独立U局も含む)はホーム戦の最大6試合まで、NHK地方局は最大4試合で合計すると10試合となります。実際2007年のコンサのホーム戦の生放送はNHK4・STV2・HBC1・HTB1・TVH1・UHB1の10試合でした。
http://www.j-league.or.jp/data/view.php?d=news&t=program&g=j2_1&y=2007

さて2007年ですが7月までの前半戦でNHKが2試合で民放ローカル局はHBC、STV、HTB、TVHが各1試合ずつ放送しUHBのみ未放送だったので、まずUHBが独走時にXディとなる可能性が高かった10月の草津戦の放送権を獲得し残り1試合を5局で抽選を行った結果STVが最終戦の放送権を得ましたが、この時点では昇格が決まった後の消化試合になっていると思われたのですが終盤の大失速で結局この試合がXディとなりSTVが笑う結果となった訳です。

もう6年も経っていてJリーグとスカパーの放送権契約も2012年に更新されているので現在は変わっているかも知れませんが、それでも地上波の生放送の制限はある筈です。

posted by EBT| 2013-12-03 21:19

Re:Jリーグが地上波で放送されない理由とは?(その5/地上波と放映数規制)

さすがEBTさん。
この辺の情報も押さえているのはすごい。
やはり生放送制限はNHK入れて10回あたりなんでしょう。
EBTさんのご指摘から思うのは「民放地上波からするとリーグ戦は買いづらい」ということです。
最終節で優勝や昇格がかかっているようなシチュエーションでないと買いませんし、
展開を読んで二ヶ月前には編成を決めねばなりませんから、
リスクの方が高い。
しかし、決まった日に行う優勝決定戦なら買いやすい。

北海道価格が落ちると放映するかもしれませんが、
放映しても対費用効果が高いとは思わないのが、私の見解です。

posted by sca| 2013-12-05 00:01

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