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2006年11月28日

【小説】居酒屋こんさどおれ 第十二話

この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係ありません。

居酒屋こんさどおれ
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第十二話 閉店

200×年、コンサドーレは激しい昇格争いを繰り広げ、3位。入れ替え戦に進出することとなった。J1の16位は大分。大分とのJ1をかけての戦いである。

「えっっ。ホントなの??」

さとみちゃんが驚いた声で聞き返す。

「うん、前からこの建物の前の道路の拡幅計画があることは知っていたんだけど、正式に工事が決まったらしいんだ。それでこの建物も取り壊して建て替えるって話で。」

ゲンさんは寂しげに言った。居酒屋コンサドーレは閉店することになった。建て替えたあとの建物にもう一度テナントとして入ることはできるのだが、家賃がぐっと高くなってしまうらしい。

「この場所の近くには他にあんまり物件無いし、全く違うところに移転して一からこの店続けるっていうイメージもできないし。ここがちょうど止め時なんだなと思ってね。」

「そんな・・・。で、やめてどうするの?」

「いったんは田舎に帰って、じっくり考えようかなと思ってる。でも、この店やめてもサポやめる訳じゃないから・・・」

ゲンさんがそう言ったときガラガラっと戸が開いた。

「ちわっ」と軽いあいさつでハル君がやってきた。

「あ、ハル君いらっしゃい」というゲンさんを遮るようにさとみちゃんはハル君に聞く。
「ちょっと、ハル君っ!ゲンさんに聞いた?ゲンさんこの店やめちゃうんだって!」

まだ店に入って座っても居ないハル君はコートを脱ぎかけたまま固まってしまった。右手が袖から抜けないままだ。

「そんな話聞いてないよ!どうしたの、ゲンさん!」

ゲンさんはハル君にももう一度同じ説明をする。

いつ閉店のことをみんなに言おうかゲンさんはずっと悩んでいた。立ち退きは11月いっぱいにしてほしいと大家さんに言われていたのだが、12月頭の最終戦とひょっとしたらの入れ替え戦までなんとか営業をさせて欲しいとゲンさんは大家さんに頼み込んだ。サポーターが一番盛り上がっている時期に、なんとかサポーターの仲間とこの店、この空間を共にしたいと思っていた。しぶしぶながら大家さんが入れ替え戦第2戦までの営業を認めてくれた。しかし、ゲンさんは閉店のことをみんなに言いそびれていた。みんなの盛り上がっているテンションを下げるようなことは言いたくなかったけど、入れ替え戦進出が決定したのでいつまでも黙っている訳にはいかなくなったのだ。

「じゃあ、入れ替え戦の2戦目が最後の営業なのね。じゃあ、絶対に昇格しないとね。ここで最後はみんなで盛り上がりたいね」と、さとみちゃんはしみじみと言った。

「最後はもちろんコンサドーレ昇格記念&居酒屋こんさどおれ閉店記念パーティーでみんなで盛り上がればいいね。もう最後の営業だから、店の中のもの全部出すから。飲み放題食べ放題で会費1000円。持ち込み自由のなんでもありってことでみんな来てくれるといいな」

ゲンさんの言葉を聞いてハル君は気まずそうな顔をした。

「ゲンさん、ゴメン。オレ、その日大分までいくから。ここに来れない・・・。でも、ゲンさんの分も、さとみさんの分も、みんなの分も闘ってくるから。絶対勝つから。大分から電話するから・・・・・」

ハル君の目が少し潤んだ。ゲンさんは「任せたよ!現地からの電話待ってるからね」といってハル君の肩をポンっと叩いた。


【ポジティブキャンペーン】
新監督候補の名前がいろいろ新聞で報道されている。実際に誰が新監督になるのかはわからないが、最近のチーム状況、試合内容を考えると、「札幌の監督をやってみたい」と思ってもらえそうな気がする。

posted by たじ |09:46 | 小説 | コメント(4) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第十二話

とうとう最終回をむかえてしまうのですか。寂しいなと思いつつも、最終回がオールキャスト総登場で展開するのではないかと考えると楽しみでもあります。

posted by こんびに| 2006-11-28 11:57

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第十二話

え”っ!!最終会??今日、初めて見始めたのに...。

posted by コンサバカ| 2006-11-28 13:10

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第十二話

会じゃなくて、回です。

posted by コンサバカ| 2006-11-28 15:07

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第十二話

>こんびにさん
ご推察の通り、次回が最終回です。一応これまでの登場人物は全部出る予定です。

>コンサバカさん
初めて見て頂きありがとうございます。お暇でしたら第1話から読んでやって下さい。

posted by たじ| 2006-11-29 10:17

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