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2006年11月06日

【小説】居酒屋こんさどおれ 第九話

この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係ありません。

居酒屋こんさどおれ
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第九話 監督論

「監督どうなるのかなぁ」

おとなしい中原君が小さな声でつぶやくように話す。

「解任!解任!解任だって!」

対照的にマキちゃんは相変わらずテンションが高い。そして一気にまくしたてる。

「3年監督やってこの結果なんだから、解任であたりまえ。だいたい7位ってなによ。TOP3はどこいった?これじゃ去年より悪いじゃん。育成、育成って言うけど、全然育ってないじゃない!成績が悪ければ監督解任するのが当然。アクションサッカーったって「どこがアクション?」みたいな試合ばっかだし。これで監督留任してほしいなんて言う人の気が知れないね!」

マキちゃんのペースが上がってきた。早くも水割り3杯目に突入。飲む割りに本当はあまり酒に強くない。だいたい潰れては中原君が介抱するのだ。

「マキちゃん、本音は池様あんまり使われてないのが気に入らないんじゃないの?」

ゲンさんはストレートにマキちゃんに聞いた。というよりチャカした。

「そうに決まってるでしょ、悪い!?」
「池様使わないで、それで成績がよければ仕方ないけど、使わないでこんな成績なんだからバッカじゃないのってこと。池様がもっと試合に出てたら今頃絶対昇格争いしてたって。全部無能監督のせい!!」

「でも、池様使う監督だったら誰でもいいってわけにはいかないんじゃない?」

「なに、ゲンさん。じゃあゲンさんはどう思ってるっていうの」

「うーん、確かに来年ヤンツー監督っていうのは厳しいかもしれないなぁ。コアサポにはヤンツー支持が多いような気がするけど、スポンサーがどう思ってるかというのも気になるし。そもそも、ヤンツー本人の意思がどうかがわからない訳だし・・・」

「何それ。煮え切らないなぁ。男ならもっとビシッと留任!とか解任!とかはっきり言えないの?」

マキちゃんはなかなか手厳しいのだ。

「じゃ、中原君にもビシッと聞いてみようかな」

とっさに中原君に話を振るゲンさんだったが、マキちゃんは相手にしない。「中原君に聞いてるんじゃないの!」

すると意外にも中原君が口を開いた。

「留任して欲しいなぁ。結果は出てないけど戦術が浸透してきたとは思うし、今辞めるのは勿体ないと思う。それに・・・」

マキちゃんは「ええっ!?」っと声をあげて中原君を見た。

「中原君はアタシの敵にまわるっていうの?中原君はいつでも私の味方だと思ってたのにぃ」

そう言って水割り4杯目を飲みきってマキちゃんはカウンターに伏してしまった。もうそろそろマキちゃんは定量なのだろう。そのまま寝てしまったようだ。

「ところで中原君、さっきの「それに・・・」の続き聞かせてよ」とゲンさんは聞く。
中原君は、マキちゃんが寝ているのを一応確認してから監督論を語り出した。ゲンさんは中原君がこんなに熱く語るのを見るのは初めてだった。

posted by たじ |09:40 | 小説 | コメント(2) |

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この記事に対するコメント一覧
Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第九話

中原君の話をもう少し詳しく聞きたいです!

posted by こんびに| 2006-11-06 10:28

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第九話

>こんびにさん
私も聞きたいです(笑)

posted by たじ| 2006-11-07 10:25

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