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2006年07月03日

【小説】居酒屋こんさどおれ 第六話

この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係ありません。

居酒屋こんさどおれ
第一話 第二話 第三話 第四話 第五話

第六話 五段階計画

もう11時か・・・・
ゲンさんは壁に掛かっている時計を見た。
居酒屋こんさどおれは午後6時開店、午前1時閉店だ。
今日はこの時間になっても、お客さんが一人も来ない。
月に1、2度はこういうお客さんの来ない日、いわゆるボウズがあるのだが、ほんの5日前もボウズだったので、さすがにゲンさんも元気がない。

開店以来、なんとか営業を続けてきたものの、経営状態はかなり厳しい。
「こうなったら、居酒屋こんさどおれも五段階計画で立て直しをはからないと」
ゲンさんはそう独り言を言って考え込んだ。

まず、第一段階だ。やっぱり最小コストの経営だよな。最小コストといっても従業員は自分一人だし、この店で削れるコストはたかがしれてるなぁ。ということはコスト削減は生活の方か。

ゲンさんは独身である。正確にはバツイチ。もう10数年前に離婚している。子供もいなかったので、現在の暮らしは一人気ままである。自分さえ食べる分だけ稼げればいいのでなんとかこの店もやってこれたのだ。1DKのアパート住まい。食事は店の残りで済ませているし、こまめに電気を消すとかいう省エネも、電気使う時間はほとんど店にいるのであまり効果ない。あんまりコスト削減する余地はないのだった。コンサ関係の支出を削減したのではこの店の意味がないし。去年から登録したサポートシップスポンサーはこの店の生命線だし。なんだかコストは既に最小に近いみたいだ。

じゃあ、育成路線だ。高級な食材を買ってくるのではなく、自前で育てる。というか、高級な食材なんて使ってない。もともと庶民派の居酒屋だ。しかし、自前で育てるってのは魅力だな。自分の畑で取れた野菜を使って旬の料理を出す。これだ。よし、ここからスタートだ。今は畑なんてないけど、アパートのベランダでプランターで野菜作りから始めよう。いずれは家庭菜園用の土地も買って本格的にやりたいな。

ゲンさんはおもむろにペンを持ってなにやら書き出した。
「居酒屋こんさどおれ五段階計画」
「第一段階 食材の育成」
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ゲンさんが夢中になって作ったこの計画、五段階目ではススキノに定着した居酒屋チェーンのオーナーになっていた。
時計は午前一時半を指している。閉店時間を30分オーバーしていたが、結局ゲンさんのこの計画書作りは誰にもジャマされることはなかった。

posted by たじ |09:57 | 小説 | コメント(4) |

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この記事に対するコメント一覧
野菜はイイね、野菜は…

たじさ~ん、いやゲンさんリアル過ぎて身につまされる小説ですな~。

でも家庭菜園はイイですよ~。 私は旭川なんですが隣町の遠い親戚の農家の畑を借りて、今年で四年目です。

今年は芋やトマトやササゲ豆に加えて、玉葱やブロッコリなんかも作ってます。有機バイオの液肥が効いたのか?例年になく、みな順調です。

私の計画は既に、四段階目に入ってますが、来年には親戚のおじいちゃん夫婦が引退で、転売するのか?畑がもう借りられなくなる~!

わたしの五段階目は、海の見える丘の上に居を構え、毎朝、古びた漁船で出漁、季節のお魚を釣り、昼間は畑を耕すというものでした。

準備は全て整いました、あとは覚悟と脱サラだけだ。
しばらくは四段階目を続けますか…(笑)

posted by やんつーぱちんっ。| 2006-07-05 13:00

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第六話

>やんつーぱちんっ。さん
もちろんゲンさんとたじは別人です(笑)
私は現在家庭菜園はしていませんが、子供の頃実家の庭ではいろいろ作ってました。トマトなんかは本当に美味しかった記憶がありますね。

posted by たじ| 2006-07-06 12:01

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第六話

今回もおもしろかったです。たまに私も自分の5段階計画を夢想する時がありますw。

posted by こんびに| 2006-07-06 15:01

Re:【小説】居酒屋こんさどおれ 第六話

>こんびにさん
ほっと12の五段階計画は・・・内緒です

posted by たじ| 2006-07-07 12:04

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