2005年12月01日

読書管見・五木寛之『みみずくの夜メール』

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五木寛之『みみずくの夜メール』
(幻冬舎 ISBN:4344407008)

頭がオーバーヒート気味・「ちょっと思い詰めすぎかな」と思った時にお薦めの本。


 タイトルは「ヨルメール」と読みます。朝日新聞に連載されていたエッセイの文庫版。
 この本を読んでまず感じたのは、五木寛之という作家は、結構いい加減な人なんだな、と(笑)。


 例えばこの人、歯を磨くことが大嫌い。「歯を磨かないと恐ろしいことになる」と聞かされてもこんな感じ。

 「一日やすみ、二日なまけして、週末となる。仕方がないから日曜日の午後、一週間分まとめて磨いたりする。テレビを見ながら一時間以上もゴシゴシやっていると、歯ぐきから血が出てきて、すこぶる痛い。(「歯垢と健康の挟間に」)」

 イヤ、そりゃ痛いでしょ(笑)。挙げ句の果てに、

 「それにこりて、最近では気がむいたときに、ちょっとだけ磨くことにした。これが妙に具合がいいのである。(同上)」

などと言い出す始末(きれい好きの人、五木さんに代わってゴメンなさい)。
 他にも作家のくせに筆無精だとか、夜更かしばっかりしている(これは作家だから仕方ないのか。でも読めば分かるけどヒドイんですよ、この人の夜更かしは)とか。ああ、いい加減(笑)。

 でもそれは、ただだらしないだけという「いい加減」ではなく、ありのままの自分・ありのままの周囲を受け止めながら生きてゆくのが上手いという意味での「いい加減」さだな、と。今の自分に欠けている部分だと思います。「人間、いろんな生き方があって良いじゃないか」と諭されている気分がします。

 私にとって一番堪えたのは、どうしてもウマの合わない人間もいる、ということを書いた「人の性格は直らない」の、この部分ですね。

 「真情あふるる直言、苦言も、ありがたくはあるが、正直に言って、うっとうしいのだ。
 気持ちが萎えているときなど、ことにそうである。相手の意見が、的を射たものであればあるほど、うんざりする。」

 でも五木さん、あなたも若い頃は「人の顔色も見ずにズバズバ言いたいことを言う」タイプだったんですよね?ボクも変われますかね?
 あ、そうか、エッセイって「固まった答えを提示するものではありません」でしたね(笑)。


posted by tottomi |23:52 | 読書管見 | コメント(0) | トラックバック(1)

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