2006年05月14日

今日の言霊・5/14

「いつか」ではなく「今」。

 楽しみにしていたNHK・サンデースポーツ。このような気分で見たくはなかったのですが。
 カシアス内藤という元・東洋ミドル級王者が作った「E&Jカシアスボクシングジム」の特集がありました。内藤については以前ブックレビューで触れた通り、沢木耕太郎『一瞬の夏』で描かれたボクサーです。今回は練習生のプロテストまでの道のりが放送されました。ジムにとって初めてのプロテストです。
 内藤は、練習生の「今」を常に考えて指導していると言います。ボクサーとして頂点に登り詰めることのできなかった自分だからこそ、伝えられるものがある、と。

「いつか」ではなく「今」。

 内藤は、ボクサーとしては結局成功を収めることはできませんでした。類い希なる才能と、ボクサーとして不必要な、そして致命的な「優しさ」を持ってしまった彼は、「いつか」を求めてカムバックし、しかし栄光を手にすることもなく、燃え尽きることもできずに、ソウルでの戦いに敗れました。

「いつか」ではなく「今」。

 内藤は、「今」を大事にすることの意味に、人を教えるようになってから気付いたと言います。プロテストを前に練習生に語りかける内藤。後悔するなよ、オレもそうだったから…。その言葉は多分、自分が「今」を生かすことができなかったという経験を持っているからこそ、より重く、練習生の心に響いたと思います。

 内藤にとってあの夏は「一瞬」ではなく、今も続いている。そしてあの夏を糧にして、今も戦い続けている。


 内藤は、糧にしました。彼らは、どうするのでしょうか?

posted by tottomi |23:35 | 言霊 | コメント(3) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:今日の言霊・5/14

読んで少し考えて、読書管見の方の「クレイになれなかった男」を読んで戻ってきて、また少し考えていますが…。

「今」は単に「いつか」を夢想する場所、「いつか」は単に「今」を忘れるために向かう場所、そんな馬鹿者な人生を送っている私でも、失敗や後悔から学ぶことは幾らかあります。本気でそれを糧にしようと思ったら、どれだけのものが得られることか…。

自分は凡人ですし、もう負けも自覚していますが、プロスポーツ選手、少なくとも、好きなことを自分の道にできたくらいの人達です。可能性は高いはず。勝手に応援しているだけで何ですが、もう、ただただ頑張って欲しいです。

tottomiさんのおかげで、朝から少し有意義に頭と時間を使ったような気がします。ありがとうございました!

posted by MasaMaru| 2006-05-15 09:00

Re:今日の言霊・5/14

私も昨日ちょっと見たー。
そしておなじところに反応したー!

いつか ではなく 今。
本当にそうね。色々と。

posted by 笹姐 | 2006-05-15 22:01

Re:今日の言霊・5/14

>MasaMaruさん

>プロスポーツ選手、少なくとも、好きなことを自分の道にできたくらいの人達
なんですよね、彼らは。だからこそ、出来るだろ?と期待したくなるし、一方で素人の及びもつかない世界で苦しんでいるのかな、とも思ったり…
まぁ、今思えば最後の所は自分に対して書いているのかもしれません。ですから感謝されるいわれは…(笑

>笹姐さん

沢木さんも『一瞬の夏』で書いているように、内藤と沢木さんにとって「いつか」というのは暗号みたいな言葉でして。それを読んでいるからこそ彼が「今」と語ることの意味がすごく大きく感じたんですね。自分も「いつか」と思い続けるだけではなく「今」を考えなければな、と。

「いつか」の為の「今」にしなきゃウソですよ、札幌も。

posted by tottomi| 2006-05-16 00:01

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