2005年11月13日

早朝の話

福岡行きの朝は早い。早いなんてもんじゃない。超早い。
何せ日が昇ってない。ヤバすぎ。植物すら光合成できないなんてヤバすぎる。
何せ鶏も鳴いてない。街に響く音は
仕事に向かう暴走ダンプカーの走行音ぐらいのものである。
フジテレビは試験電波で、テレ東は深夜映画のクライマックスぐらいの時間。

そんな寝静まった街を、一人でかいバッグを抱えて電車で移動する。
周りは酔客や釣りに行くおっさんなどカオス極まりない。
今日は決戦だ。血で血を洗う血戦だ。
隣でいちゃつくカップルにやられつつ、テンションをあげていく。
負けるわけには行かない。

羽田に到着し、挫けそうになる自分に気がつく。
畜生、負けちゃ駄目だ。
今日は、いや今日に限らないが、ともかく今日は絶対に勝たなければならない。
勝てればいい。じゃない。マストだ。マストに行きマストだ。照瑛だ。筋肉番付だ。
絶対に勝たなければいけない試合がそこにあるのだ。

そう思っていると、不意にあの歌が口をついた。

バモ札幌 行こうぜ 我らと共に 自らの力信じ 熱い気持ち見せて戦え

止まらない。
バモ札幌 行こうぜ 我らと共に 自らの力信じ 熱い気持ち見せて戦え
段々大きくなってきた。
バモ札幌 行こうぜ 我らと共に 自らの力信じ 熱い気持ち見せて戦え
もう止められない。
バモ札幌 行こうぜ 我らと共に 自らの力信じ 熱い気持ち見せて戦え

搭乗待合室の人たちは何事かと俺を見る。
空港警備隊の屈強な男二人が走ってきて俺を取り押さえた。
だが止める訳にはいかない!潰れる喉でなおも歌い、叫ぶ。
大男に組み伏され、涙と鼻水と血反吐で汚れなおも歌う俺。
しかし喉を押さえられては声も出ない。
もう駄目かと思ったとき、誰かが歌った。

バモ札幌 行こうぜ 我らと共に 
     自らの力信じ 熱い気持ち見せて戦え

それは、徐々に人数を増やし、大きな輪となり、雄大に羽田を包んだ。
ふっと俺を抑える力が抜けた。
警備員に迷惑をかけた事を謝り、一般客に頭を下げる。
余りに感動的な光景に、俺は搭乗を許可された。
搭乗待合室の一般客と共にWe are SAPPOROコールを繰り返し、搭乗。

羽田を発つ。轟音に包まれる機内で、俺は自然と敬礼していた。
勝って帰って来ます。
差し込む朝日は涙で歪んでいた。 

※斜体部分はフィクションです。 

羽田発6:30



posted by アラブの旅人 |08:53 | 妄想日記 | コメント(0) | トラックバック(0)

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