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2007年10月25日

最強の盾と最弱の矛

 今日は写真はありません。すみません。カメラを持っていけませんでした。
 さて、写真を撮らない代わりにじっくりと試合を見ました。

 まず守備から、セレッソ戦で復調の兆しをつかみ、草津、福岡と徐々に上がってきた守備が完全に元に戻ったように思います。

 ゾーンディフェンスのスペースを突かれるという課題に対して、カバーリングの徹底ということで打開策を見出したように思います。最終ラインが安定したことで、全体のバランスも戻り、スリーラインがきっちりと並ぶ札幌らしいバランスの取れた守備が復活しました。1-0の展開で、シュート数も相手が上回りましたが、危ない場面がほとんどありませんでしたね。

 一方、攻撃。西谷も、ダヴィも、藤田もいない攻撃陣はまったくのサテライト。ただでさえ小粒なのに、連携が悪くまったくゴールの臭いを感じさせませんでした。それでも1点が取れたのは正直に言って奇跡のようなものだと思います。点はわりときれいな流れの中からの点で、昨年散々やったアクションサッカーの反復練習で体で覚えていたものが、たまたま偶然の巡り会わせで、90分で一度だけ実現した、というところです。

 攻撃陣に力不足は否めませんでしたが、中でもイタカレ。正直に言ってがっかりしました。1対1に近い状況になっても、徳島のさして早そうには見えないディフェンダーを、まったく振り切れない。動き出しが悪く、相手と重なり、スペースに飛び込めない。先制点にからみはしたものの、あれは自分で決めるべき。


 イタカレはストライカーが本職ではないと思いました。むしろ1.5列目のシャドーなのかな。いずれにしろFWとしての動きができていない。私の中では、昔、札幌にいたジネイという選手と印象がかぶりました(知っていますか)。残念ながら天皇杯も終わったことで、今日の試合がイタカレにとって最初で最後のゲームになってしまうんじゃないでしょうか。

 反対によかったのが元気。決勝点を上げたことももちろんそうですが、イタカレと比べてしまうかもしれませんが,本当に頼もしく感じました。攻撃は、中山と砂川、そしてときより岡本の3人だけだったですね。

 その岡本。まずまずでした。守備にはやはり難がありましたが、攻撃に関しては藤田の穴の8割ぐらいはカバーできていた、という印象です。課題は守備とクロスの精度ですが、彼はサイドの専門家でないらしいので、もっとトップ下で使うべきなんでしょうね。

 鄭。後半にカウエが交代で入ってきましたが、右サイドバックにいた鄭が前に上がるのかと思っていたら、そのままでした。バックスとして監督の信頼を完全に勝ち得たようです。

 リーグ屈指の守備力にリーグでもボトムに近い攻撃力が合体し、最下位から2番目のチームと戦ってかろうじて1対0で勝ったという試合。正直に言って、今日のこのメンバーでの試合が、今日でよかった、と思いました。

posted by hm1644 |00:31 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2007年10月21日

10人対12人の試合に勝利

昨日、私はこんなことを最後に書きました。

>なので、明日(あ、もう今日か)、攻撃力を誇る福岡を守備陣が抑えることができれば、再び
>ステップ1入りとも言えそうなので、かなり昇格に近づくんじゃないでしょうか。
>という意味で、勝ち点3はもとより、福岡をいかに抑えるか、守備が完成するか、そこが注目
>の一戦だと思います。

 かなり厳しいゲームになるだろうとは思っていましたが、札幌の守備がこれほど厳しく試されるとは思っていなかった。しかも10人対12人(11人+○○1名)の試合に勝利するとは。

 ところで、ちょうど昨年の今頃は、10月18日に横浜FCとアウェイで戦い0-3の敗戦。続いて、10月21日に、札幌ドームで神戸と戦って1-4の敗戦。

 そう、1年前の今日は昇格の望みが絶たれた日だったんですね。

 J2を何年もやっていると、第4クールの今頃に、理屈の上では昇格の可能性のあるわがチームと実際に昇格を目指して戦っているチームとの「本質的な違い」を何度も体験されらて、その都度、悔しい思いをしてきました。

 でも今年は、おそらく今頃、福岡の人たちが「本質的な違い」について思いをめぐらしているに違いありません。

 そして我々は、昨年までずっと「本質的な違い」の“あっち側”に置かれていたけれど、今年は“こっち側”にいるんだ、という確かな実感を今日の試合から与えられました。

 長かった2007年シーズンもいよいよ大詰めです。
 来週は愛媛に行きます。おっと。その前にドーム徳島戦だ!

ps

 横浜FCが降格決定。残り5試合での降格は、2002年に札幌が記録した残り4試合での降格記録の更新だそうです。何度も引き合いに出されて恥ずかしい思いをしていたから、これもちょっとは良かったかも。

posted by hibari |01:23 | 試合の感想 | コメント(4) | トラックバック(1)

2007年10月10日

オオドササンへ

実は、まだ仕事中です。
負けちゃったみたいですね。
後からでもいいんですけど、どうですか、現場で感じた空気感というか。
現地感というか、そういうのを含めて、今日はどうでした。率直に。

posted by hibari |21:03 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(1)

2007年09月30日

【43節】物損事故

もう何年も昔なんだけど、車対車の物損事故を起こしてしまったことがあります。

車を脇に寄せて、相手の状況を確認して、警察に届け出して、保険会社に連絡する、という手順は分かっているだけど、事故を起こしてしまったことで動揺して、対応がちぐはぐになり、結果的に相手を気持ちを高ぶらせて長引いてしまったという苦い経験があります。

もちろん、事故は起こす方が悪く、起こすような何らかの原因が自分にあったんだけど、一方で、何万、何十万キロと走っていれば、不幸な事故としか言いようのなことは誰にでも起こりうる。(特に冬の北海道では)。だから自動車保険があるんですね。

で、大切なのは、起こしてしまったことは起こしてしまったこととして、どれだけ冷静に、落ちついて対処できるか。なんですが、分かってはいるけれど、実際に当事者になってみると、なかなか落ちついてはいらせまん。

という昔の苦い経験を、今節の東京戦を見て思い出してしまいました。

開始早々のセットプレイの2点で決まってしまいましたね。
長いシーズンなので、相手のプレースキックがピッタリとはまって、どうしようもなく点を取られることもあるだろうし、それが続けざまに続くってことだってある。

それだけなんだけど、第4クールの昇格をかけた一戦という状況の中で、この事故が、札幌のメンタルの不安定を増幅させてしまい、思わぬ大敗になってしまった、と言えますね。

ただ、サッカーでは試合が終われば、すべて終わりなので、いつまでも引きずらないことが大切。

大目標は最終節終了時点で2以上になっていればいいいんで、切り替えましょう。
厚別の山形戦を見れば、わかるように力はあるんです。

だから、冷静に落ちついて対処すれば、いいだけなんです。

posted by Hibari |17:14 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2007年09月27日

【第42節】襲いかかる守備

 前節、湘南戦の話です。
 試合開始5分、相手ボールへの寄せを見て、今日も勝てない、と思ってしまいました。

 相手のボール保持者にプレスをかけに行くものの、何か“おっかなビックリ(←北海道弁?)”で、相手に簡単にさばかれてしまいます。反対に、札幌がボールをもつと、相手はハイエナが群がるように押し寄せ、札幌の選手はキャーと悲鳴を上げながら(たとえ話です)簡単にボールを渡してしまいました。

 たしかにラインデフェンスは保たれ、決まり事は守れているよう見えるけれど、ラインは好調時よりもかなり低く、最終列と2列目の連動性にかけ、ラインとラインの間で相手はいいようにボールをもてあそんでいました。

 攻撃に移っても前線とゴールは遠く、まったく得点の匂いがしません。開始15分でよくて引き分け、相手の勝利を願う気持ちはこれっぽっちもないけれど、「まぁまず負けだろう」と思ってしまったのです。

 昨日の厚別は、まさにこの逆でした。
 
 襲いかかる守備。よく見ると、“どんよりした晴天”みたいな変な表現なんですけど、まさにこの表現がぴったりで、札幌の選手たちがボールに向かって牙を剥いて襲いかかるような、そんな感じなのです。

 前半の10分こそ、前節のぎこちなさが残っていたものの、しだいに自信を取り戻し、セカンドボールを面白いように奪うことが出来るようになると、一方的な展開となりました。

 得点にこそならなかったものの、前半なかばに芳賀がボールを追いかけて、相手のゴールライン付近まで、およそ50メートルくらいグランドを斜めに走り抜けたシーンがあったんですね。はじめて目撃したシーンでした。この時は“チャンスはあるけれど決められない”という展開だったんだったんですが、芳賀の走りを見たときに、前節とは逆に“勝てる”という確信が湧きました。

 歴史映画で、この間の指輪物語にもあったけれど、固く閉ざされた城門の扉を、大きな木のハンマーで繰り返し、繰り返し叩いて破るというシーンがありますね。まさに前半終了間際のゴールは、そんな感じでした。

 そして後半開始早々には、それまでゴールから見放されていたことが嘘のように、セットプレイから簡単に追加点。昨日は久しぶりに“負ける気がしない”試合でした。
 
 なにが札幌の選手を変えたのでしょうか。

posted by hibari |20:37 | 試合の感想 | コメント(4) | トラックバック(0)

2007年09月16日

【第40節】“昇格”という敵

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 札幌と仙台の試合を、2万2000人が見つめる札幌ドームで見ました。 結果として勝てなかったものの、下を向く必要はないと思います。  札幌の組織サッカーの要は、きれいに並んだ2ラインの4-4-2ですが、試合を通じて機能し続けていました。ボール回しのうまい仙台が執拗に、ゾーンとゾーン間を狙うものの最後の一線でちゃんと跳ね返せていました。  負けたのは、後半開始直後の失点に繋がったミスののみ。それを除くとシステムは機能していたいし、その分では悲観的になる必要はない、と思います。  しかし、サッカーはメンタルなスポーツです。システムとして機能しても結果が出なければ、まずかったとして、下を向いてしまう。何か、間違ったことをしているんじゃないかと不安になってしまう。  その躊躇、その不安が、コンマ何秒の遅れ、わずかな躊躇を生み、それが結果として1-0の試合を、0-0にし、0-1にしてしまう。メンタルゲームとしてのサッカーの怖さが出たのが、この試合、というかここ数試合なんだと思います。  札幌の最大の敵は相手チームではなく「昇格」という呪縛でしょう。実際に、今の札幌がおかしくなってきたのは、天王山と言われた京都に勝ち、昇格間違いなしと言われるようになってからでした。  ゴルフで、入れごろ、外しごろ、といわれる1メートルあまりのパット。それを入れれば優勝と言うときに、プロでもプレッシャーで目の前のカップが見えなくなることがあると言います。  ちょうど、今札幌は、そんなプレッシャーの真っ只中にあるんだと思います。圧倒的な実力差があれば、それをはね除けられるんでしょうけれど、ご存じのように戦力的にぬきんでていたわけではなく、システムとしての成熟度で勝ってきたようなものですから、その精密機械のようなバランスが狂い始めると、なかなか立て直せない。  しかし、ここで焦って別なことを始めると、もっともっとバランスが狂う。焦らず、じれずに、自信を持って今やっていることを続けるべきなんだと思います。  私たちもじっく行きましょう。


posted by hibari |18:59 | 試合の感想 | コメント(2) | トラックバック(0)

2007年09月03日

【第38節】捜し物はなんですか。

千代台



 函館に行ってきました。

 うーん、前節の水戸戦で星を落としたためか、函館では、慎重にこれまでやってきたことを復唱しているような試合はこびでした。

 慎重かつ丁寧というと良いことのようですが、サッカーではむしろぎこちなさを呼ぶ。まさにぎこちない展開で、慎重すぎる結果、むしろミスが多くなったようです。

 一方、愛媛は失うもののない強さというのか、水戸が金星を挙げたので、我も続けとばかり、活き活き、ノビノビとした試合運びでした。

 水戸戦の時にも書きましたが、札幌の基本的なポテンシャルは昨年と変わっていないんだと思います。昨年の愛媛には1勝2敗1分けの負け越し。今年も同じような成績になりかねませんね。

 戦術が整備され、それに自信を深めたことによる首位なわけで、水戸、愛媛と下位チームに勝ち点3を取れなかったことは、チームとしての迷いを呼び覚ましそうで、心配す。
 
 ただ、札幌的には西、岡本のフレッシュな若手が試合出場したのが見物でした。岡本はボールに触り、それらしいプレイを見せましたが、2年目で初出場となる西は、試合前の練習でコールがかかってもあいさつもできないほど、緊張が見て取れました。出場時間も短く、ボールにさわったのも2.3タッチ。何とも言えません。

 西谷がいないと攻撃がつくれないという思いを深めただけに、若手の成長を期待します。


posted by hibari |23:20 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2007年09月01日

【第37節】歌を忘れたカナリヤ

 遅ればせながら、水戸戦のビデオを見ました。

 そこに写っていたのは、紛れもなくヤンツー札幌。
 ヤンツーさんの時代に、水戸と何度もやって何度も負けたあの札幌でした。

 見ていてあれっと思ったのは、前半15分は絶対に失点しないゲームプランを続けてきたのに、この試合に限っては積極的なアクションサッカーだったこと。そして、37試合目に始めて開始から15分以内に失点。その後、すぐに同点に追いつくものの、前半のうちにまったく同じ展開で2点目を取られて(曽田も去年の曽田でした)、最後まで追いつけずに終了。

 山形に勝って強豪との連戦を乗り越え、ダビィをはじめ有給休暇のメンバーも戻り、最下位との戦いということで、圧倒的なところを見せようとしたんじゃないですか。

 で、去年、一昨年に何度も見たサッカーで、何度も見た失点をし、何度も見た焦りから何度も見た空回りをし、何度も見た敗戦でした。

 いくら首位とはいえ、基本的なポテンシャルは去年とまったく変わらないんだ、ということがよく分かりました。同じ戦力で、去年は中位をさまよい、今年は断トツの1位ですもんね。チームって戦術一つで変わるんですね。

 これをヤンツーさんの戦術だと勝てなかったと見るか、首位になれるだけのポテンシャルをヤンツーさんが3年かけてつくったと取るかは、任せます。(私は後ろですけど)

 いずれにしろ函館でも下位相手ですが、今年のサッカーを忘れないで欲しいですね。

posted by hibari |00:50 | 試合の感想 | コメント(1) | トラックバック(0)

2007年08月17日

【第34節】夏の熱さは札幌の味方

 鮮やかな勝利でした。
 京都には勝てない時代が続き、苦手意識から苦戦を予想していました。
しかしやってみれば、2-1からの鮮やかな逆転劇。敵将からは『そういうのも含めて首位・札幌とは現時点で差があったように感じます』との言葉がありました。

 数年前、昇格街道を走る京都や川崎などに挑戦して、今日明日の努力だけでは届かない深いものを感じたときに、この言葉を吐いたものでした。年間に5勝、1年通してわずか30の勝ち点しか稼げなかった時代のことを思い出すと、考え深いものがあります。

 個人的な感慨はさておき。
 北国にある札幌の弱点の一つは、本州の湿度の高い夏の暑さだと言われていました。今節は、暑さの厳しさで知られるアウェイの京都盆地。それも、「大文字焼き」のため午後5時20分キックオフと、札幌にとって不利な条件がそろっていました。
 ゲーム開始時になっても気温は33度を超え、両チームの動きは、酷暑に苦しめられたアジアカップの参加国を彷彿とさせました。

 しかし、実際にゲームが始まると動きの鈍いのは、熱さになれているはずの京都でした。ギクシャクした京都を尻目に、札幌は始終ゲームを支配し続けます。
 後半に逆転されましたが、札幌の選手は慌てるそぶりも見せず、冷静にギアを上げてアクセルを踏み込み、京都ゴールに殺到。数分のうちに逆転してしまいました。熱さに弱い札幌に、後半30分から立て続けにゴールを奪う余力など、残されいなかったはず。

 どうしてか。

 これは私の素人意見ですけど、三浦サッカーは夏の酷暑に親和するんだと思います。

 三浦サッカーは相手を膠着状態に追い込むサッカーです。前半はできる限り失点しないようにし、勝負の山を後半に持っていきます。この膠着状態を作り出すローリスクな展開が、酷暑の中で体力消耗を避ける展開とよく似ている、という事じゃないかと思うんです。

 つまり、相手にすると天候を意識して、これまでに継続してきたサッカースタイルを省エネスタイルに変えるわけですが、札幌にすると雪残る時からずっと続けてきたスタイルがそのまま夏の酷暑に対応するわけで、特に変える必要がない。そこに一日の長があるわけです。

 実際、特に前半はロングボールを主体とした同じようなサッカーを両チームが展開しましたが、京都がギクシャクしていたように見えたのに対して、札幌はノビノビとやっているように見えました。ギクシャクが生み出す疲れが後半の逆転を招いたと。

 どうでしょう。
 

posted by hibari |19:43 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2007年08月12日

【第33節】監督のいない土曜日

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 「完勝」という言葉が似つかわしい試合でした。

 1点目は高い位置で奪ってからの西谷の左クロス。このこぼれ球を藤田がきれいに決めたもの。
 2点目は、セットプレーからのバー直撃の跳ね返りを、ダヴィが決めたもの。
 3点目は、中盤から西谷がミドルを放ち、相手に当たってゴールに吸い込まれたもの。

 スーパーな選手のいない(ひょっとすると曽田はスーパーに指先がかかっているかもしれないが)札幌が、得点を取るために狙ってきたパターンのすべてが披露されました。また守ってはブルーノがいないにもかかわらず、セレッソにチャンスらしいチャンスを与えず完封。今年一番の会心のゲームだったと言えます。

 一方、セレッソは、2度ほどオフサイドにかかった惜しいチャンスがあったものの、決定的なのはそれだけ。比較的、ボールを支配する時間があったけれども、支配というよりもいかにも持たされている、という感じで、可能性の乏しいクロスやシュートを闇雲に打つばかりでした。
 早めにスピードのあるクロスを入れてくるのが目立った他は札幌を意識した対策らしい対策を感じませんでした。セレッソは、札幌と戦うにあたってほとんど対策をしてこなかったのかな、と思います。

 監督が替わってセレッソは次第に調子を上げ、前々節は3位の仙台を下し、前節は2位の京都を下しました。クルピ監督としては、札幌の2敗は前監督時代のもので、監督が変わって生まれ変わった今ならば、特別な対策を立てずとも、普通にやれば普通に勝てると踏んでいたのでしょう。

 セレッソはすでに札幌に2敗していますが、いずれも都並監督の時代。クルピ監督になってからははじめての対戦でした。クルピ監督に札幌と戦った経験があったのならば、また別な対応となったかもしれません。

 そしてそのクルピ監督ですが、前節に退場処分を受けため、ベンチに入れませんでした。これも試合展開を左右したと思います。2点目を決められた後に森島を、3点目を入れた後に苔口を、後半の34分になって、これもFWの丹羽を入れるなど、対応が後手後手で、点数が欲しいからと言ってFWばかり次々と投入する采配は、素人のやるサッカーゲームのようでした。
 
 実際、FWが4枚になったからセレッソの攻撃力が増したかというと、そうではなく、決定的な場面ではFW陣の独りよがりのプレイが目立ち、攻守のバランスが崩れたため札幌の逆襲を浴びて、バタバタしたままホイッスルを迎えました。

 セレッソは間違いなく力のあるチームですが、第1クール、第2クールでのクルピ監督の不在。そして今節でのベンチ入り禁止。2つの監督不在が影響を与えたように思います。


posted by hibari |14:13 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(1)

2007年08月06日

【第32節】キーパーの攻撃力

 まず、下をお読みください。これはJsゴールの仙台対水戸戦のレポートの一節です。なかなか興味深いですね。

『逆説的ながら、このアクションサッカーは、昨年までの守備サッカーと組み合わせることで、その効果がより表れることとなった。この仙台戦などはまさにそのもの。序盤守備を固め、攻勢に出たところでしっかり先制点、一度統制が乱れ同点に追いつかれるものの、後半はペースを変えられない仙台を尻目に、ブロックを作り仙台の攻撃を跳ね返したと思いきや、相手の足が止まった頃合いを見逃さずにサイドから攻め込みチャンスを作る。』
http://www.jsgoal.jp/news/00052000/00052532.html

上を札幌的に言い換えると、

『逆説的ながら、このゾーンデフェンスは、昨年までのアクションサッカーと組み合わせることで、その効果がより表れることとなった。この草津戦などはまさにそのもの。序盤守備を固め、相手が攻勢に出たところでしっかり先制点。一度も統制が乱れることなく(本当は前半の立ち上がりに乱れまくりでしたけど)、後半はペースを変えられない草津を尻目に、相手の足が止まった頃合いを見逃さずにサイドから攻め込みチャンスを作る。』

 前節の札幌対草津戦、まさに上の通りの試合でした。

 と、書くと格好いいんですが、実際の札幌の選手は、連戦の疲れか、熱さか、分かりませんがエンジンの掛かりが遅く、立ち上がりにバタバタとし、いつもならば反撃モードにはいるはずの後半の立ち上がりになっても動きが鈍い。勝利よりも引き分けや敗戦の方が現実的でした。(ここ数試合、本当に疲れを感じます)

 しかし、この試合、すごかったのが高木。文句なくMVP。単に決定的なシュート何本か防いだという以上に、古巣相手に、めらめらと立ちのぼる闘志が、体の重い味方の心にも火を付けて後半の反撃を生み出しました。

 キーパーがゲームメイクした試合というのを、久々に見た思いがします。

posted by hibari |21:56 | 試合の感想 | コメント(4) | トラックバック(0)

2007年07月28日

【第31節】疲れました

 うーん、今日は観戦記というあらたまったカタチで感想を残す気になれませんでしたな。一言で言えば、

 負けるべくして引き分けた試合でした。
 
 厚別としては珍しく、ホームからアウェイにかけて風が吹き、それがボールを前に飛ばすのも困難なほど、強く吹くかと思えば、ぴったりと止んだり。この気まぐれな風が、リズムを狂わせたと言うこともあったと思います。風の影響というのは、テレビを見ているとほとんど実感できませんが、現場にいると、大きな影響を与えていることを感じます。天候も日が差したかと思うと、小雨が降る、変な天候でした。

 また審判。今日の審判は典型的な「お役人」でしたね。1点目の札幌のPKもどうかなな?、と言うものでしたが相手のPKも? でした。
 
 それ以上に目を覆いたかったのが、札幌のパフォーマンス。走れない、競れない、つなげないで、元気いっぱいの鳥栖(中山がたくさんいる分けじゃありませんが)に始終ゲームを支配されました。第1クール、第2クールと、昇格を争う上位と死闘を繰り広げた後に、順位が落ちるチームと、楽勝かなと思わせておいて、苦戦するケースが目立ちます。今回もその典型でした。
 
 まぁ、疲れていたんでしょう。そういうことなんでしょうね。監督もそう言っていましたし。

 西嶋の欠場も疲れによるものでしょう。そのアナをカウェが埋めていましたけど。
 
 ところで三浦監督が率い、4バックのラインデフェンスを取って成功したチームに、2004年の大宮アルディージャがありますが、この時はシーズンの前半にもたついたものの、後半には破竹の快進撃を見せました。躍進の原動力は途中からの補強と、長丁場のJ2を戦い抜くための「ターンオーバー制」にあったといいます。
 
 現在、札幌は補強もままならず、「ターンオーバー制」も行われていないように思います。 
 補強は相手次第ですが、「ターンオーバー制」はチーム内のやりくりですから、やろうと思えばできるはず。「ターンオーバー制」とはどういものであったか、機会を見て検証してみたいと思います。

posted by hibari |23:53 | 試合の感想 | コメント(6) | トラックバック(0)

2007年07月26日

【第30節】札幌のチーム作り・仙台のチーム作り

テレビ観戦で、実際にゲームを見た分けじゃないんですが・・・

 仙台のゲームとなると、どうしてもロペスを見てしまいます。
 テクニシャンでありながら、186センチと大柄。ダヴィのボディに西谷のテクニックを与えたような選手で、昨年来、何度も札幌をパニックに落とし入れました。
 風貌といい、二列目からゲームを作るポジションといい、コロンビアの英雄バルデラマを思い起こすのは私だけでしょうか。(ロペスはバルデラマより走りますが)

 今年の仙台は、J1にあがっても通用するサッカーということで、攻撃的なアクションサッカーを標榜しています。実際に見ると、仙台のサッカーは、フィールドを大きく使った、早くて大胆なパス回しが特長のように思います。

 このパス回しの起点になっているのが、言うまでもなくロペス。ロペスのキープ力と展開力は抜群で、彼にボールを預ければボールを失うことなく、次の展開が始まることを仙台の選手は知っているため、ロペスにボールが渡るやいなや、迷うことなく次の動きが始まります。その果断さがまた仙台の攻撃のスピードを作っている。

 さて、このロペスに対して札幌はマンマークを付けて自由に仕事をさせない、という守備ではなく、むしろ、ロペスを遠巻きにして、ボールの出した先をつぶすという守りをしているようです。

 ロペスにプレスをかけにいって交わされると、デフェンスの人数が減ってしまう。それぐらいならばじっと待って、ロペスはいやらしいスペースをついてくるだろうから、そのことを予想して網を張る、という守りが今節では効果を上げたようでした。

 仙台が標榜する攻撃サッカー。それにボールを自由に回され、一見、ゲームを支配されているように見えても、実際は、ロペス頼みのサッカーであって、肝心なところではロペスにボールが回ってくることを知っていれば、対処のしようがある、というゆとりを札幌から感じました。

 仙台のロペスばかりではなく、パウリーニョとアンドレが中心の京都、ヴェルディのフッキ、福岡のアレックス、湘南のアジェル。J2の上位チームは、おしなべて外国人選手がチームの中核になっています。

 そうした中、首位をいく我が札幌は、上位の中で唯一日本人選手が中核となっているチームではないでしょうか。攻撃の起点はダヴィよりも西谷ですし、カウェは仙台戦ではベンチに下げられてしまいました。またブルーノはデフェンスの要ではありますが、曽田の陰に隠れてしまいます。

 よく札幌のサッカーはJ1で通用しない、と言われますけど、外国人選手に頼らず、チームの骨格を日本人選手によって作ってることは将来に向けてプラス材料だと思いますし、このことはもっと注目されても良いと思います。

posted by hibari |23:27 | 試合の感想 | コメント(3) | トラックバック(0)

2007年07月22日

【第29節】厚別はまた伝説を刻んだ 

あつべつ



  一晩をおいても冷静になれない。すごい試合でした。
 私が、コンサドーレサポになったのは、1997年、JFL第7節対川崎フロンターレ戦に逆転劇を目撃してからですが、あの興奮に限りなく近いものが昨日の厚別にはありました。(あの試合も90分だけを見ると、昨日と同じ引き分けです)

 第1クールの7連敗を払拭し、フッキを中心に手堅いゲーム運びで順位を上げてきた東京ヴェルディは、間違いなく最強の敵でした。今シーズン開幕前、ヴェルディの補強を見て、どのメディアも断トツの評価を与えたものです。昨日、ヴェルディはまさに断トツの評価にふさわしいメンバーであり、プレイでした。

 前半、相対的にヴェルディがボールを持つ時間が多いものの、札幌は高いラインを保ち、しっかりとスペースをつぶしてヴェルディに対して効果的な攻めを許しません。札幌ドームでの対戦の時には制空権を握られた船越が先発で入ってきましが、札幌は事前に十分対策していたためか、孤立する状況が目につきました。

 前半15分(この試合に限らず札幌は開始15分間は守りに徹している)をすぎると、札幌は効果的なカウンターを繰り出せるようになってきました。ここから試合は、試合は真剣と真剣で相対峙するような緊迫した展開に。スコアこそ0ー0で終わったものの、一時の脇目も許されない、スリリングな展開でした。

 前半のシュート数はヴェルディ3本に対して札幌1本。一見、札幌が攻められているように見えるものの、間違いなくゲームの主導権は札幌にありました。後半に入ると、札幌は一転して攻勢に出ます。後半の15分過ぎまでヴェルディのゴールを脅かすシーンが続きました。

 札幌のゲームプランは前半は0ー0、後半の始まり15分までに1点を取るというものだったと思います。しかし、後半の1点目が遠かった。守備を立て直したヴェルディのデフェンスも堅い。時折、ヴェルディの厳しい反撃を受けるものの、札幌は砂川や石井を投入するなど、アグレッシブに攻撃を続け、後半84分、曽田のヘッドで、ゴールを奪いました。

 ここでスタジアムは興奮のるつぼ。おそらく、ここから選手に厚別の興奮が乗り移ってしまったんだと思います。気持ちではしっかりと守りたいところなのに、スタンドの興奮が乗り移って体が前にのめってしまう、そんな感じでフィールドの中がバタバタし始めると、ヴェルディの選手がゴール前に大挙してなだれ込み、フッキのヘッドで同点に。

 勝ち越しを狙って札幌は再び攻勢に出ますが、終了間際の89分にフッキのミラクルワールドクラスゴールが出て逆転。これは凄いシュートで、札幌の整ったデフェンスラインの前でボールを受けたフッキは、そのまま突破にかかるかと思いきや、左足を振り抜きました。これは札幌の守備は責められません。

 普通ならば、これでゲームは終わりです。短い間に立てつづけに2失点。守備が信条で、攻撃力に見劣りのある、札幌の心が折れるところです。しかし・・・

 今日の試合は、厚別での100試合目のメモリアルだった(口調が興奮して変わっちゃいます)。このスタジアムでは幾度となくミラクルが演じられてきた。それはフィールドを赤黒に取り囲む12番目の選手、サポーターとフィールドの中の11人に選手が一体となることによって、生まれる奇蹟なのだろう。

 昨年までならば、フッキのような得点を見せられると、サポーターの心も折れてしまった。ところがこの日、残された時間がわずか3分だったとしても、厚別の12番目の選手たちは、勝利を信じ歓声を送ることを辞めなかった。スタジアムの声援に後押しされた札幌の選手たちは果敢にヴェルディのゴールを目指した。

 わずか3分の間に、砂川のシュートがバーを叩き、曽田のヘッドがゴールをかすめる。そしてロスタイム残りわずか20秒。砂川の突破がゴールエリアでのスローインを生む。これを砂川がそのままロングスロー。ゴール前の競り合いがコーナーキックに。この時、試合終了まで残り5秒。

 ここでヴェルディの戸川健太が額から出血。止血するためにフィールド外に。ロスタイムが加算される。ロスタイム3分53秒。砂川のコーナーキックは、予想を裏切って低い弾道でニアに。これをありえない角度から、石井がさわってヴェルディゴールに突き刺した。

 同点! 同点!  奇蹟がおこった厚別公園競技場!!!

 アナウンサーが興奮して叫ぶとともに、終了のホイッスル。
 相手選手に流血を生むほどの闘争心が結果的に同点弾につながった。
 厚別はまた伝説を刻んだ。


posted by hibari |16:18 | 試合の感想 | コメント(6) | トラックバック(0)

2007年07月13日

【第27節】信じる道、迷わずに

 
厚別

  今にも雨の降りそうな
  重苦しい天気でした。





 オオカミに追われたシカがとる行動は2つ。コースを変えるか、もっと速く走るか。
 研究され、勝てなくなるとともに、2位以下に詰められた札幌が、とった行動は、コースを変えるのではなく、もっと速く走ることでした。厚別での福岡戦。2-1の勝利は、これまで続けてきたサッカーを変えることなく、入念に繰り返した結果でした。
 
 1点目のゴールは、札幌の武器として磨いてきたセットプレイからの曽田(西嶋のゴールのようにも見えるんですけど)のヘッド(と押し込み)でしたし、2点目も、2ラインディフェンスがボールを絡め取り、すばやく前線のダヴィに送って得られたもの。札幌の生命線である高いラインとコンパクトなゾーンが保たれ、最後まで選手はさぼらず走り回りました。
 
 一方、失点も、これまでと同じ相手の2列目からの飛び出しによるもの。1点目を奪った後に、無理をしないサッカーに切り替えたことが、相手に主導権を渡すことにつながり、徐々にラインが下げられ、福岡の誇るスピードスター田中佑昌が飛び出しに決められました。前半32分ことでしたが、この10分ほど前にもまったく同じかたちで、わずかにボールがそれたシーンがあったことを思うと、同じことを同じ選手に2度もやられたわけで、決して誉められたことではありません。
 
 同じ選手に何度も、といえば、この試合、ダヴィが3回もキーパーとの一対一を演じました。3回目がようやくPKになったものの(リティはシュミレーションだと言って怒っていました)。まぁ、あんなにGKとの一対一を外す選手にPKは任せられませんね。ダヴィがPKも蹴らせてもらえれば、得点ランキングももう少し上でしょうに。それでも1対1を何度も作り出すことができるのは、FWとしての実力ということもできます。
 
 しかし、この試合に限っては「福岡の方にひとつ、ふたつ問題点があるようなディフェンスの形で」という監督の言葉に、真実があるように思います。「福岡とやるときにはダヴィが相手にとっては嫌な選手だという感じはしました」とも言っています。おそらく、三浦監督は福岡の試合を研究して、ダヴィを中心とする何らかの策を授けたのでしょう。それが見事にはまったと。研究するのは相手だけではない、ということですね。
 もっとも、これについて監督は「非常にいい質問ですが、あと1回対戦が残っているのでちょっとお話できません」と口を閉ざしています。
 
 いずれにしろ、第2クールの終盤にあったモヤモヤ感を見事に払いのけたこの勝利の最大の立役者は、サポーターだったのかも知れません。選手入場とともにゴール裏はもとより、SB、SA、SSのすべても観客が立って「厚別の歌」を合唱。これがちょうど良い発声練習になったのか、試合が始まってからも、歌に合わせる者がいつも以上に多く、入場者数6000人とは思えない、厚別ならではのホームの雰囲気を作ることに成功しました。

観客

   天気は寒くても
  サポーターは熱かった



posted by hibari |00:35 | 試合の感想 | コメント(7) | トラックバック(0)

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