コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2019年11月03日

涙の理由を探して(2019ルヴァン杯FINAL)

 あの日頬を伝った涙の理由を探している。
後半アディショナルタイム。ラストプレーで深井のヘディングシュートがゴール右隅に突き刺さった瞬間に溢れた涙は歓喜の涙だとはっきりと分かる。
PK戦にもつれ込み、進藤のシュートが川崎GK新井にキャッチされ沸き立つアウェイゴール裏を呆然と眺めながら零れた涙。
翌日札幌の自宅に帰る山手線で、快速エアポートの中でコンサドーレの健闘を讃える記事を読みながら零れた涙。
 悔しくないと言ったら嘘になる。だが断じて悔し涙ではなかった。
達成感?準優勝というクラブ史上に残る偉業達成。だが負けは負けだし、札幌はまだ道半ばだ。
 あの日から1週間以上たち、だんだん冷静になるにつれ感情の整理がついてきた。
そこでようやく納得する答えに辿り着いた。

 そうだ、嬉しかったんだ。
エレベータークラブと揶揄され、満足な人件費を用意できずに有望選手の引き留めもままならない。
その中で先制ゴールを決めた菅、同点ゴールを叩き込んだ深井、縦横無尽にピッチを駆け回った荒野、残念ながら最後のキッカーとなってしまった進藤。
北海道に生まれ、コンサドーレのユースで育ち、そして決勝の舞台を踏んだ宝物達。
それだけじゃない。決めれば優勝となる5番目のキッカーとなった石川直樹。
キャプテンを任せられる人材がいなかった当時のコンサドーレで、柏からのレンタルの身ながらその重責を担った直樹。
その彼が晴れて完全移籍となり赤黒のユニフォームを身に纏い、このクラブの節目にあのような役回りを担ったのだ。
 ここまで来れた。「あの」コンサドーレがここまで来れたんだ。
この嬉しさが溢れ出した涙だったんだ。

 涙の数だけ強くなれるよ アスファルトに咲く 花のように
岡本真夜の名曲「TOMORROW」の1節だ。
そう、やっとコンサドーレは分厚いアスファルトの裂け目を突いて蕾を付けたところだ。
もう少し、あと少しで花が咲くところまで来た。
 だから「明日は来るよ 君のために」
コンサドーレに関わる「君」たち。
新しい景色を見に行く旅は終わらない。

posted by kitajin26 |23:50 | 試合感想 | コメント(0) | トラックバック(0)

2017年02月24日

開幕戦

 幕が開くと書いて「開幕」。幕を開けて芝居などが始まること。転じて、大会・行事などが始まる、また、それを始めること。だそうだ。読者諸兄にも思い出深い開幕戦があったと思う。例えば2013年。前年惨憺たる結果であえなくJ1降格の憂き目にあい、主力選手の退団も相次ぎ先の見通せない暗闇にいた。その闇を払った砂川→内村のホットライン。例えば2010年。炎のゴールハンターが赤黒の戦士としてもっともゴールに迫った、後半アディションルタイムのヘディングシュート。私がサポーターとしてスタジアムに通うようになって早8年。また開幕戦の記憶が増えていく。
 春の訪れの遅い北の大地。一足早く大輪の花を咲かせるのはどちらのチームか。コンサドーレとしては早く1勝を上げ、自分たちの戦い方は間違っていなかったのだと自信を持つためにも大事な初戦。ベガルタとしたらホームの大観衆の前で昨季J2を戦った相手に対し無様な戦いはできない。おそらく両チームとも同じく3-4-3、3バック・Wボランチ・2シャドー・1トップ、のフォーメーションを用いてくると予想されている。いわゆるミラーゲームだ。昨年を3-5-2で戦ったコンサドーレに一日の長があるといえるが、2010年以来J1残留8年目を迎えるベガルタ仙台も、チームの大黒柱であるリャンヨンギをサイドからよりゴールに近いシャドーストライカーとして起用するとのこと。加えて1トップ候補として国見の怪物、平山相太を獲得し攻撃力を増大させている。J1残留という点に対し一日もとい8年の長を誇るベガルタは、コンサドーレの今年1年を占うには最適な相手と言えるだろう。
 ミラーゲームを打開するために重要なこと。それは1対1に勝つこと。ピッチ上のあらゆる局面で相対する相手選手をチンチンに翻弄してやればいいのだ。かつてのコンサドーレにはそういう選手がいた。バルデスしかり、エメルソンしかり。個の力で打開し得た1点を守り切る。極論、全34試合すべて引き分ければ勝ち点は34。例年の残留ラインが35ということから考えると、J1はいかに負けないかということが問われてくる。この引き分けを1点でも取り勝ち点3に変えることができるかが残留への分水嶺だ。
 昨年のコンサドーレは得点数・失点数でリーグ2位の好成績を収めている。さすがJ2チャンピオンと言える素晴らしい結果だ。得点は少なくなると思うが、いかに失点をしないか。1年かけて磨いてきた守備網をJ1という舞台でも変わらず披露することができるのか。心配である。ただただ心配である。だが、泥臭く、ピッチを走り回り、ただひたむきに勝利を目指す。そんな赤黒の戦士たちの姿を目の当りにしたら、不安はどこかへ行ってしまうことだろう。
 ユアテックスタジアムのアウェイゴール裏は完売したようだ。僕らが余計なことを考えずに声を嗄らし、彼らを鼓舞する12人目の選手になることができれば勝ち点は目の前に転がってくると信じている。泣いても笑っても明日。今年も忘れられない1年になる。
 

posted by kitajin26 |22:34 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2017年01月29日

J1初戴冠

 ぼくサッカーで優勝したよ!…ということでね。お約束となっているからね。
そう、優勝したのである。昨日行われたJ3所属FC琉球戦、我らが北海道コンサドーレ札幌は見事2-1で勝利し、JリーグDAZNニューイヤーカップ 沖縄ラウンドの勝者となったのである。昨季の主力を惜しげもなく投入し、必死に勝利を狙った琉球の波状攻撃に曝されながらも、前半を0-0で折り返し、さらに後半開始に当たり8枚替えという「奇策」を用いきっちりと2点を決め勝利をもぎ取って見せた。昨年に続き勝負強さは健在である。
 この試合の殊勲はもちろん菅大輝であろう。この試合では数少ないフル出場した選手であり、結果的に決勝点となった2点目を決めて見せたのだから。かつての古田寛幸や神田夢実、中原彰吾があえいだ公式戦無得点地獄。これをあっさりと打ち破り、落ち着いてゴールネットを揺らして見せた。先輩選手に遠慮してボールを要求しきれないところがあるらしいが、ゴールという実績をもぎ取ったことが自信になってくれることを祈っている。
 それにしても見事なゴールだった。久しぶりにボランチに入った河合竜二の身体を張ったタックルから上原慎也へのロングパス。改めて上原の身体能力の高さを見せ付けられた。河合がタックルを仕掛けた時には彼の横を走り抜けたばかりだったにも関わらず、トップスピードでパスを受けそのまま相手DFをぶっちぎって見せた。なるほど彼が身体能力はJ1級と言われるだけある。そして冷静にゴール前でフリーになっていた菅へ折り返すと、お手本のような「ゴールへのパス」がGKとDFの間を抜けていった。若手選手にありがちな力が入ってふかしてしまうということもない。やはり、このルーキーはただ者ではない。今年からルヴァンカップの規定が変更になり、「21歳以下の選手を1名以上先発に含める(決勝を除く)」という一文が追加された。おそらく進藤亮祐が第一選択になると思われるが、これからの活躍次第では菅にも充分チャンスはある。野々村社長が待ち望んでいた「ラッキーボーイ」の誕生が待ち遠しい。
 さて、私がこの試合で注目していたのは守備時のフォーメーションだった。スタートのフォーメーションは3-4-2-1。1トップに金園英学を置き、その背後に2シャドーとして菅大輝、内村圭宏を据えた。少し驚きだったのは2試合とも早坂良太をWBとして起用していることだ。てっきりシャドーストライカーとして考えているものと思っていたが、素人とプロの考えは違うということだろう。実際早坂はサイドで躍動し、時折鋭いクロスも上げていた。運動量とクロスの精度が求められるWBとして、十分戦力になるだろう。
 話が反れてしまった。そう、守備時のフォーメーションだ。三上GMも四方田監督も「5バックにならない3-4-3を目指す。」とキャンプイン前に語っていた。だが試合の映像からは、昨シーズンと同じく両WBがDFラインに落ちてくる5バックを敷いていたように見て取れた。無論まだキャンプが始まったばかりで、戦術面の落とし込みは二の次になっていることは重々承知している。その中で琉球の猛攻を凌ぎ切ったということは好意的に捉えるべきだろう。…試合を見返せないので守備の時のスライドを確認できないっていうのもあるんですがね。一部4バックになっていたようにも見えたんだけど、基本的には去年と守り方一緒だったと思うんだけどねぇ。中盤でボールを持たれた時は5バックで、サイドで持たれた時は4バックとか使い分けていたんだろうか。
 なんにせよ、初戴冠だ。喜ぶとしよう。またサッカーのある、最高の週末がやってきた。

posted by kitajin26 |14:40 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2017年01月24日

システムを考える。5バックにならない3-4-3とは?(後編)

 アルベルト・ザッケローニ。1953年生まれのイタリア人監督はプロ経験こそないものの、95年当時セリエAに昇格したばかりのウディネーゼを率いてリーグに旋風を巻き起こした。その切り札となったのが3-4-3だったのだ。その導入は偶然出会ったという。…この話は有名すぎるので割愛します。気になる人はググってみてね。簡単に言うと4-4-2で戦っていたが、DFに1名退場者が生じ、そのまま3-4-2で戦ったところユヴェントスに3-0で勝ってしまったというもの。これがきっかけで本格的に3-4-3システムを志向するようになったようだ。この3-4-3を大胆に活用しウディネーゼを3位に押し上げたザッケローニは遂にACミランの監督に登り詰める。そして99-00シーズンのスクデットを獲得するのだ。
 と、簡単にザッケローニ氏の経歴を紹介した。この後、紆余曲折を経て極東の島国で彼の運命を変えるあのスパイスと出会うことになるのだが、それはまた別の話。ここではあくまでも3-4-3について語るとしよう。
 なぜザッケローニの3-4-3を紹介したか。理由は単純。守備の時にはCBが攻め込まれているサイドにスライドし、逆サイドのサイドハーフがディフェンスラインに落ちて、一時的な4バックを形成するシステムだからだ。守備時に5バックになってしまうことは3バックを用いるシステムの宿痾と言っても過言ではない。いかに全体をコンパクトに保ち、かつスペースを埋めるか。これがザッケローニの処方箋というわけだ。
 だが、思い出してもらいたい。ザッケローニが日本代表を率いた時、この3-4-3のシステムは宝の持ち腐れとなったことを。どうしてこうなったのか。それは単純にディフェンスから攻撃、攻撃からディフェンスの時のポジショニングを、選手たちに上手く落とし込めなかったからだろう。当時は4-2-3-1全盛期。バルセロナ式4-3-3も持て囃される様になりポゼッションサッカー華やかりし頃だ。そんな時代に屈強なCFWを中心に置き、彼に絡むようなプレーを求められる2シャドー。残りの7人でボールを拾い潰すというようなリアリスティックなサッカーは、テクニックや創造性に溢れた代表選手たちには馴染まなかったのではないか。そもそも当のザッケローニが「日本に空中戦の文化はない」と明言していたのだから失敗したのも仕方がなかったのかもしれない。
 とはいえその3-4-3というシステム自体は文句の付けようはない。それゆえ一番の課題となってしまったのが3バックから4バックへの移行だ。前編で触れた3バックから5バックへの移行の最大のメリットは、「CBが持ち場を離れないこと」だった。攻撃側からすれば敵のギャップを作るためにまず彼らがすることは、ボールを回し相手守備陣のスライドを促すこと。常に正しいポジショニングを取ることは困難を極める。このリスクを最大まで減らしたのが5バックだったわけだ。サイドプレイヤーは対峙する相手に合せて下がってくるだけでいい。あとは後ろで待ち構えるCBと協力してボールを奪い、カウンターに繋げることができれば少なくとも相手陣内までは押し返すことができる。
 だが、プレーのレベルが上がるJ1の舞台ではサンドバックになってしまう危険性を孕んでいるため、コンサドーレ三上GM・四方田監督ともにシステムのレベルアップを図っているのだ。そう考えればSBの経験のある田中雄大の獲得にも頷ける。右WBのマセードもブラジル時代はSBだった。さらに考えを進めていくと左WBのバックアップは石井謙伍であり、右WBのバックアップは上原慎也ということになる。そう、彼らもSB経験者だからだ。改めて思うのが堀米悠斗の移籍である。ザッケローニ式3-4-3であれば、左WBとしての出場機会は彼が考えるより多かったのではないかと悔やまれるのだ。むしろボランチもこなせる分重宝されたのではないかと思う。そもそも田中の獲得は堀米の移籍に端を発している。今更言っても詮無いことではあるが、昨年彼の背番号を背負って戦ったものとして恨み節の一つも言いたくなるのだ。
 さて前編ではアントニオ・コンテ、後編ではアルベルト・ザッケローニと異なる3-4-3を紹介してきた。攻撃の手法としてコンテを、守備の手法としてザッケローニを「良いとこ取り」することができればJ1残留が見えてくるという感じだろうか。そんな中でいよいよ明日ニューイヤーカップ・ジェフユナイテッド千葉戦が組まれている。私が見ることができる試合は28日のFC琉球戦になりそうだが、自分の予想が当たっているかも含めて結果を楽しみに待ちたいと思う。

posted by kitajin26 |00:35 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2017年01月23日

システムを考える。5バックにならない3-4-3とは?(前編)

 去る21日、北海道コンサドーレ札幌2017年初の対外試合が行われた。30分ハーフで行われたこの試合は開始早々失点を許すも、都倉賢のチーム初ゴールを含め計6点を決め6-1というスコアで大勝した。相手が大学生ということもあり開始早々の失点は猛省しなければならないが、新加入の兵藤慎剛や金園英学もゴールネットを揺らし実力を示してくれ、実りの大きな試合だったといえるだろう。
 この試合はWボランチに1トップ2シャドーという形でスタートしたと報道にあった。そうであるならば、やはり今年のフォーメーションは3-4-3.そう「5バックにならない」3-4-3が軸になるということだ。以前の記事「J1残留にむけて」で私は「ぼくのかんがえるさいきょうのこんさ」とでも言うべき3-3-1-3のフォーメーションを書いた。アップして初めて「これ、バルセロナじゃん!?」と驚愕したが後の祭りだ。そう現実的に考えれば、昨季用いた3-5-2のトップ下をトップに挙げた3-4-3がベストであるに決まっている。なによりチーム戦術の継続性がJ1残留には欠かせないからだ。そこで改めて昨年用いた3-5-2について見直し、3-4-3がどのようなシステムであったか考えていきたいと思う。
 まずこれを見ていただきたい。

         コスタ
   アザール      ペドロ
アロンソ マティッチ カンテ モーゼス

   ケーヒル  ルイス  アスピリクエタ

         クルトワ
 
 これはカタカナが並ぶ通り海外のチームのスターティングメンバーである。フォーメーションは3-4-3だ。開幕時は4-2-3-1でスタートしたものの守備に安定感を欠き、そこで監督の慣れ親しんだ3-4-3を導入したところ、これがチームにフィット。クラブ新記録の13連勝を飾り、現在17勝3敗1分と2位トテナムに勝ち点6差をつけて首位を快走している。そんなチームのスタメン。もう、察しがいい人は気づく頃だろう。そう、イングランドプレミアリーグ所属、チェルシーFC。昨季10位と低迷しながらもある男の監督就任を機に不死鳥のように甦ったリーグ屈指の名門チームである。その男の名はアントニオ・コンテ。ユヴェントスを3連覇に導き、イタリア代表監督も務めた名将である。
 …もったいぶったけども、みなさんご存じだよね。海外サッカーに疎い私はつい最近知ったんだけどさ。そんな状況で解説なんておこがましいとは重々承知ですが、コンサとチェルシーの共通点が多いもんで…。おそらく今季のコンサドーレは、このコンテ式3-4-3を参考にチームを組み上げていくんじゃないかと思う。そこでそのキーマンを5名、、、その、footballchannel(https://www.footballchannel.jp/2016/11/24/post186505/)の記事を参考にして、彼らはコンサドーレでは誰に当たるのかを紹介していくことにする。

 ●セサル・アスピリクエタ(右CB)
 「本職は右サイドバックにもかかわらず、ジョゼ・モウリーニョ体制下では左サイドバック、そしてコンテ監督のもと3バックの右センターバックにコンバートされた。対面したサイドアタッカーを的確に封じることができる、いわゆる“守備のできるサイドバック”として知られているが、その守備力はセンターバックに移ってからも変わらない。俊敏性と危機察知能力の高さで相手FWからボールを奪い、必要に応じてサイドバック然として持ち上がることができる。」…らしいですよ。身長は178㎝とCBとしては小柄ではあるが、守備力は折り紙付きな様子。彼をコンサドーレに置き換えるとすれば、やはり菊地直哉になるだろう。2015年のサガン鳥栖でセンターバックの中心を担った実力者である。昨季も夏場からの加入ながら違和感なくフィットし、DFラインを支えた。特筆すべきはボランチをこなせるレベルの技術の高さである。最後尾からのロングフィードは左サイドの福森と並んでコンサの攻撃の軸となった。2017年も昨季同様の活躍が望まれる。

 ●ダビド・ルイス(CB) 
 「3バックの中央にポジションを取ることで、持ち前のパスセンスやフィードの正確さが生き、攻撃面での貢献が顕著となった。ヘディングにはめっぽう強いタイプで、負傷明けでベンチを温めているキャプテンのジョン・テリーに比べればスピードにも優れるため、DFラインを高く設定できるのも利点のひとつである。」…とのこと。ヘディングにはめっぽう強いタイプと言えば増川隆洋だが、新加入の横山知伸も負けていない。手元にあるELGOLAZO year book2016によると、昨季の増川は自陣における空中戦は125回記録し勝率は60%、他方横山は42回記録し勝率73.8%と勝率だけで言えば増川より優れている。横山の42回はMF江坂任と並びチーム4位の数字であり、決して見劣りする数値ではない。横山も菊地同様ボランチ経験があり、事実昨季はボランチでの起用がほとんどだった。スピードという面では増川より優れていると思われる彼の加入は、今季のコンサドーレの守備陣をスケールアップしてくれるだろう。その一方で、彼が活躍してくれるか否かがチームの浮沈を左右することになる。

 ●ビクター・モーゼス(右WB)
 「持ち前のスピードでサイドを駆け上がったかと思えば、抜群の運動量で守備にも参加する。6試合連続の完封勝利に裏には、モーゼスの貢献が大きいことは明らかである。ハードワークが求められるウイングバックのポジションにおいてコンテ監督の要求を完全に満たしている。」…です。それに付け加えるとするならば、キレのあるステップを武器に失わないドリブルで鋭く侵入するアタッカータイプであるというところだ。その特徴を活かした「カットイン」が右サイドの特徴だ。カットインと言えばマセードの特徴でもある。昨年加入した陽気なブラジリアンは精度の高いクロスとリズムに乗ったドリブルで相手DFを切り裂いた。故障が重なりフルシーズンの活躍はできなかったものの、チームクロスランキングでは3位、ドリブル企図ランキングでは5位にランクインしている。その彼と切磋琢磨しているのが石井謙伍だ。クロスランキングでは福森に次ぐチーム2位、ドリブルは内村圭宏と並びチーム3位となっている。個人的に驚いたのはその成功率である。クロスの成功率は25.7%、ドリブルの成功率が49.2%。マセードのクロス成功率が28.8%、ドリブル成功率が55.4%。なぜ比較するようなデータを提示したのか。ただ単純に自分のイメージより石井の数値が悪くなかったという点に尽きる。J1屈指のドリブラーとして鳴らしている斉藤学のドリブル成功率が53.5%であり、彼ですら5割を少し超える程度である。そう考えれば石井も決して悪くないのだ。運動量には折り紙付きの二人。彼らがどの程度攻撃にアクセントを加えてくれるか。彼らのドリブル突破に注目したい。

 ●マルコス・アロンソ(左WB)
 「希少な左利きでキックの精度は正確。攻撃のセンスも高く、守備面では対面のウイングへのマークも怠らない。」…選手です。モーゼスがアタッカータイプなら彼はSB。ペナルティーエリアの角で左ウイングのアザールや1トップのコスタとボールを回して崩していくのが、左サイドの特徴と言える。左利きで「SB」と言えば、一昨年のJ2クロスキング田中雄大である。ヴィッセル神戸では定位置を掴むことはできなかったが、左足の精度は中々のもの。新潟へ移籍してしまった堀米悠斗もいいクロスを上げていたがミドルシュートの精度は今一つであった。その点田中は問題ない。ペナルティーエリア左隅から放たれる弾丸シュートは惚れ惚れするというより怖気の走る凄まじさだ。だが、彼の問題は守備。アロンソのようにサイドに蓋をすることができるのか。見ものである。

 ●エデン・アザール(左ウイング)
 「好調の要因は守備の負担軽減にある。4-2-3-1ではサイドの守備に走る時間が長く、攻撃面で100%の力を発揮できなかった。しかし、3-4-3では中盤の4枚と3バックが献身的に守備をこなしてくれるため、アザールは攻撃に専念できるようになった。守備から解放されたアザールはセンターフォワードのジエゴ・コスタとゴールを荒稼ぎ。新布陣採用後は、2人で6試合10得点を叩き出している。」…絶好調みたいですね。2年連続プレミアリーグで14点を挙げたベルギー代表のストライカーは守備から解放されることで全力を発揮できるようになったようだ。サイドを主戦場に相手を恐れずドリブル突破を試みる。そして足の振りの早いシュート。やはり彼を当てはめるとしたジュリーニョしかいない。ドリブルの成功率こそ33.3%と低いが、12ゴールを挙げた得点力は非の打ち所がない。ブラジル人特有のトリッキーなプレーはJ1でも十分通用すると思われる。…思われるんだよ。

 とまぁ、このように今年のコンサドーレとチェルシーを重ねてキーマンを紹介してきた。そのうえで予想フォーメーションを書き殴るとすれば、以下のようになる

        都倉賢
 ジュリーニョ     早坂良太
田中雄大             マセード
    宮澤裕樹  兵藤慎剛

  福森晃斗  横山知伸  菊地直哉

       クソンユン

 右ウイングの早坂とボランチの兵藤、彼らのオフザボールにおける献身が中盤と前線をうまくつなげてくれるはずだ。不確定要素は多いものの、そんなものは開幕前だ、多くて当たり前だ。そもそもジュリーニョや都倉が得点を量産してくれるとは限らないからだ。より一層コンテ・チェルシーと化した2017版コンサドーレがJ1に旋風を起こしてくれることを祈っている。

 …とここで終われば綺麗なのだが、そうは問屋が卸さない。コンテ式3-4-3はひとたび守備に回るとどのフォーメーションは5-4-1となる。両WBが最終ラインに吸収され、ウイングがWBに代わりボランチの横にスライドする。がっちりと2ラインを敷き、相手を待ち受けるのだ。
 変更前のチェルシーの布陣は4-3-3. サイドバックのやや積極的な攻撃参加が必要とされていたことや、攻守の切り替え直後のロスト、大外へボールを展開している途中でのロストはバランスを崩すきっかけとなり守備に安定感を欠いていた。そこで5バックだ。このシステムで改善された点は、センターバックが持ち場を離れないことである。そのうえWBが相手SHを、シャドウが相手SBを対応してくれるため、ケーヒルやアスピリクエタの左右CBはニアゾーンへの侵入口を埋めるだけとタスクを簡素化されることになる。カットインやトップ下を絡めた攻撃は2つのラインが距離を縮めて、ごちゃっと密集する事でフィニッシュを許さない。実際ゴール前のごちゃごちゃは昨季のコンサでもよく見られたと思う。だがこのフォーメーションでは4-1-4-1(4-3-3)と対戦した場合、サイドの崩しや中央の密集で相手に支配を許すことはないが、浮いたアンカーを軸にMFブロックの前でポゼッションを許してしまう。そうなれば、そこを軸にポゼッションを許しサンドバックのスタートになる。無論チェルシーならカウンターの精度も高く、パスカットから容易く相手ゴール前に迫ることができるだろう。そう、昨季のコンサドーレのように。
 だからこそ5バックにならない3-4-3を三上GMも四方田監督も志向しているのだろう。昨シーズンの戦い方を踏襲したうえで、どのように進化させていくか。守備的な3-4-3.そこで思い出されるのは「Udinese dei miracoli」。ジャーマンタワーことオリバー・ビアホフを中心にした「奇跡のウディネーゼ」だ。そのチームを率いたのは誰だったか。次回は大のワサビ好きであったイタリア人監督を紹介し、「5バックにならない」3-4-3を考えていきたいと思う。

posted by kitajin26 |22:34 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2017年01月15日

キックオフ2017を終えて

 トンネルを抜けると、そこはきたえーるだった。
皆さまキックオフ2017、お疲れ様でございました。集いに集った4029人。開始時間も19時半と遅かったにも関わらず、この参加者数。相変わらずコンサドーレのサポーターは熱い方が多いなと思いを新たにした。
 さて、笑いと歓声と生暖かいぬるっとした空気に包まれて大団円を迎えた今回のキックオフ。トークショーの部分が多数を占める異色のラインナップとなった。内容としてはメインMCを買って出た野々村社長の無茶ぶりに金山隼樹と荒野拓馬が必死になって付いていくも、マイペースな選手たちに振り回され結局グダグダという、いかにもキックオフらしい代物であった。
 右往左往する彼らを見ながら、私は不思議な感覚に囚われていた。かつて2010年のベストアメニティースタジアムで感じたのと同じあの感覚。アウェイゴール裏に陣取る私の目の前に中山雅史が居て、絶妙な動き出しからヘディングシュートを狙ったあの瞬間。それと同じ感覚を背番号6が姿を現した時に感じたのだ。
 兵藤慎剛。まだ彼が赤黒のユニフォームを着ていることが信じられない。中山の後も小野伸二、稲本潤一というビッグネームがコンサドーレのユニフォームに袖を通したが、その時には感じなかった「スゲー」というこの感じ。言い方は悪いが小野や稲本はビッグネーム過ぎて一周回ってしまっていたとでも言おうか、野々村社長のサプライズ報告もあったこともあり、妙にストンと受け入れられていたように思われる。今回の兵藤に関しては降って沸いた移籍話であり、新聞報道からあれよあれよという間に完全移籍となった。この変化のスピードに気持ちが付いて行っていないのだろう。
 だが彼はここに居て、背番号紹介の時にはマリノス時代の大先輩である河合竜二の横に並んだ。馬場ちゃんの横にカッパが並んだのだ。より一層不思議な感じを覚える。Jリーグに興味を覚え、サッカー関連誌を読み漁っていた学生時代にマリノスを支えていた2人がコンサドーレに居る。…やっぱり夢じゃないだろうか。
 つい先ほどのことだ。1日経ったにも関わらず狐につままれたようなフワフワした気持ちだった私は携帯電話を握っていた。通話口の男は何用であるか私に問うてくる。何者であるか答えた私は口が回るのに任せて用向きを伝えた。結果として、今季のユニフォームに入れるネームの変更依頼は成されてしまったようだった。…悩んじゃったなら仕方ないよね。濱ごめんよ。たぶん手元に届いても信じられないままだろう。選手たちにはこれから苛酷なキャンプが待っている。福森のBefore Afterを楽しみしつつ、2月25日の開幕を待つとしよう。

posted by kitajin26 |11:30 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2017年01月14日

キックオフ2017

 遅ればせながら、皆さま明けましておめでとうございます。また、本年もよろしくお願いいたします。
補強ポイントを検討したいと思うなどと大言壮語しながらも、すでに補強は終了し全体練習も始まっている。まして今日はキックオフの当日である。検討もへったくれもない。
なので、今季の補強の「感想」を述べたいと思う。結論から言えば、文句のつけようがないという言葉に尽きる。堀米悠斗の新潟への移籍は残念であるが、満額の育成費用と移籍金を得ることができ短期的に見ればwin-winの移籍となっている。加えて彼の穴埋めとして一昨年のJ2クロス2位、田中雄大をJ1ヴィッセル神戸から獲得しており、穴は埋まったもしくはスケールアップしていると考えられる。それ以外の主力の離脱は見られず、まさしく補「強」となっているという印象だ。
 CFWである都倉賢のライバルとしてJ1通算27得点を挙げている実績充分の金園英学をベガルタ仙台から、2列目ならどこでもこなせる早坂良太はサガン鳥栖から、コンサ躍進の屋台骨として獅子奮迅の活躍を見せた増川隆洋の代役として大宮アルディージャから横山知伸を期限付きで獲得した。加えてクソンユンとリオ五輪を戦った大型ボランチのキムミンテもベガルタ仙台から、国外での注目度はNO1、タイのメッシことチャナティプ・ソングラシンも7月から加入する見込みだ。前回昇格した2012年シーズンは3位での昇格ということもあり補強が急務であった。にもかかわらず1年かけて育て上げた山下達也が移籍してしまい、終盤の快進撃を支えたジオゴも退団したことでセンターラインに課題を抱えてしまった。この穴を埋めきれずにあえなく1年でJ2に降格。このような印象だ。まともに戦力になったのは清水エスパルスから移籍してきた山本真希ぐらいではなかったか。その二の舞になるまいと強化部が入念に調査し口説き落としてくれた結果が表れている。
 そしてなにより忘れてはいけない男がいる。兵藤慎剛。名門横浜Fマリノスでバリバリのレギュラーを張り、中心選手として活躍してきた男がトリコロールのユニフォームを脱ぎ、赤黒縦縞に袖を通すことになったのだ。…夢でも見てんじゃないかな。モンバエルツ体制になり冷や飯を食ってはいるが、実力は折り紙付きだ。奇しくもコンサドーレには、彼と同じくフロント主導の世代交代の煽りを食った河合竜二という大先輩がいる。プレーした期間も重なっており違和感なくチームに溶け込めるはずだ。そう、今回移籍してきた選手はそれぞれ共通点がある。兵藤と横山が早稲田大学の同級生、田中と金園は関西大学の同級生、早坂はサガン鳥栖で菊地直哉とプレー経験あり、キムはそれこそリオ五輪をクソンユンとともに戦っている。勿論彼らはプロであり新しい環境に溶け込まなくてはならないのであるが、それでも知った顔があるという安心感は何物にも代えがたいだろう。ここまで計算してオファーを出していたとしたら脱帽ものである。
 三上GMは今季のフォーメーションを「5バックにならない」3-4-3を考えていると述べている。昨年は主に3-5-2を用い、守備的になると5-2-1-2ととれる5バックに移行することが多かった。目標勝ち点を40とするなら10勝10分け14敗という星勘定になるため、5バックではカウンターの精度が余程高くない限り現実的ではない。そう考えると中盤をトリプルボランチとした3-3-1-3、間の3-1を4と勘定すれば3-4-3になる、を想定しているのではないだろうか。そこで主観が入りまくっているが、新年の賑やかしと思ってお目汚しを失礼したい。

  '2017年 予想フォーメーション

          都倉賢
ジュリーニョ        早坂良太
          ヘイス

深井一希   宮澤裕樹  兵藤慎剛

福森晃斗   横山知伸  菊地直哉

         クソンユン'

 …どうですかね?ヘイスがボールキープしてくれれば押し上げが効くと思うんですよ。3ボランチにしたことにも理由がありまして、鹿島を始めとして4-4-2を採用しているチームが6チームあり、中盤のスペースに出たり入ったりする選手を捕まえやすいように3人並べてみたんです。3人並べることでスペースを消すこともできるし…。この3人で相手の攻撃にフィルターをかけて、そこで奪ったボールをヘイスに預けてそこからカウンター。イメージは石崎体制での柏レイソル、そのフランサ役をヘイスに担ってもらえれば最高かな。
このような落書きができるくらい今年の補強は夢が広がる有意義なものだ。目標はあくまでJ1残留。今日選手たちはそして野々村社長は何を語るのか、それを楽しみにして筆を置きたいと思う。

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2016年12月03日

数字で見る2016年

 さて、前回の記事では2016年新加入選手がどのように戦力となりえたか、また若手選手の活躍による戦力の底上げについて触れた。そこで今回はざっくりと2016年のチーム戦術について振り返りつつ、来季への課題について考えていきたいと思う。
 何といっても今季のベースは堅守を誇ったクソンユン、増川隆洋を中心にしたDF陣だ。無失点試合は20試合。過去J2優勝を果たした2001年、2007年とも無失点試合は20を超えており、データ通り優勝しての昇格となった。ただ彼らの仕事は「守る」だけではない。そう、彼らが攻撃の起点となったことで、前線に陣取る都倉賢やジュリーニョらFW陣の爆発につながったのだ。左CBの福森晃斗は言うまでもなく、中央に陣取る増川、そしてシーズン途中にサガン鳥栖からレンタル移籍で加入し右CBとして定位置を確保した菊地直哉、彼らのフィードから数多くのチャンスが産み出された。どうしんウェブコンサドーレJ2優勝特設サイトに掲載されている吉原宏太氏へのインタビューの中でもこの点に言及されている。以下に内容を引用させていただく。「福森選手の左足の精度は説明不要ですが、増川選手も菊地選手も、長い距離で正確なボールを蹴ることができます。そうなると、慌ててボールを奪いにいかなくても、一歩下がって相手に合わせながら、じっくり守ることができるため、守備も安定します。」
 これを裏付けるデータがある。たびたび参考にしているFootball LABに掲載されている9月8日付のコラム、「北海道コンサドーレ札幌・首位を走る原動力は」で紹介されている「タックルのエリア比率とボール奪取ライン」のデータがそれだ。タックルをしたエリアを見てみると、ディフェンシブサード(ピッチの全長を3つに分割し、自陣に最も近いエリア)での比率はリーグでも最も高い60.1%。2位が56.4%で讃岐、3位は55.2%の横浜FC、ようやく5位に54.2%でセレッソ大阪が顔を出してくる。また、ボールを奪取した平均位置ではゴール前から32.3mとほぼディフェンシブサードとミドルサードの境目にあたる。これはJ2で4番目の低さである。これは1位が讃岐の30.8m、2位が北九州で31.8mと押し込まれているチームが上位を占める結果となっているが、その中に首位のチームが加わっているのは異様に映る。しかし、下位チームと違う点が自陣PA内での空中戦の勝率だ。勝率57.2%と押し込まれても増川を中心としたDF陣が最後に攻撃を跳ね返すことができた。押し込まれたところでボールを奪取し、前線へロングフィード一発。敵陣に攻め残っている状況がカウンターの餌食に最もなりやすいのは自明の理だ。この効率的でシンプルなカウンターの起点となったのがDF3人衆だったというわけだ。
 また、氏は「適当にクリアすることも少なかった。『一つのクリアは、10本のパスをつなぐ機会を失うのと同じ』という言葉があります。ビルドアップが下手なチームは守る時間が長くなり、失点も増えます。」と今季の奮闘ぶりを讃えながらも、今後J1で戦ううえで重要なポイントも浮き上がらせてくれた。いかにJ2でできたことをJ1でも同じように行うか。これが今後の課題になってくるだろう。
 攻守の「守」の部分に目を向けてきた。であればこちらもカウンター。福森からのフィード受ける「攻」の部分を掘り下げていくとしよう。先ほども触れたが、今年のコンサドーレの基本スタイルは「堅守からのカウンター」と言える。どこのチームも突き詰めれば「堅守からのカウンター」となるのだが、今年はその精度が高かった。それを示しているのがリーグ2位の得点数であり、二桁得点者3名というチーム史上初となる快挙達成である。開幕前に漠然と思っていたのが、前線のFW2人が合わせて30点取れれば昇格できるかなという夢物語だった。2人合わせてというトコロがミソで、誰かスペシャルな点取り屋が爆発するのではなくコンスタントに2人して得点を重ねていく点を重要視していたのだ。そしてこれが叶ってしまった。都倉19点、ジュリーニョ12点、内村11点、ヘイス7点…。チーム編成に携わった三上GMもこれほど上手くいくとは考えなかったのではないかと思うほどだ。この得点源の分散は無論いい面に作用する。序盤から快調にゴールを積み重ねてきた都倉が、9月11日の群馬戦から11月3日まで7試合2か月近くゴールから遠ざかってしまう。その間の成績は2勝2敗3分け。エースの不調とともにチームの成績も低迷してしまったが、その中でもヘイス2ゴール、ジュリーニョ2ゴール、内村1ゴールとドロー沼に入り込むことなく勝利をもぎ取ることができた。やはり大きかったのはジュリーニョの加入。彼のおかげで故障明けの内村をベンチに置くことができ、ベンチワークの選択肢を増やすことになった。内村本人としては全試合先発出場を目指していたと思うが、ベンチに置かれることで負担軽減にもなり結果として全試合出場につながったのではないだろうか。
 ここでもFootball Labのデータを参考に今年のコンサドーレの攻撃面を客観的に見ることとしたい。開幕前から野々村社長がこだわっていた「ゴール前のクオリティ」、これがどのように改善されたか。そこを「チャンス構築率」・「1試合における平均ゴール数」,「シュート数に対するゴール決定率」、「総ゴール数」の4つの数字から確認することにしよう。

年度 チャンス構築率 平均ゴール数 決定率   ゴール数   
2013 10.4% (9位)       1.4 (6位)       9.5%(7位)    60 (7位)
2014 9.7% (12位)    1.1 (14位)     8.4%(11位)  48 (15位)
2015 10.9% (3位)     1.1 (7位)       7.8%(11位)   47 (8位)
2016 10.7% (5位)       1.4 (3位)      10.8% (2位)   65 (2位)
※()内はリーグ順位

 J2で戦った近4年のデータを列挙したものが上記のデータになる。チャンス構築率の高さの割にゴールに結びつかなかったここ数年の苦闘が数字から見て取れる。昨年と比較して飛躍的に伸びているのはやはり「決定率」。3%の向上というのは簡単にできることではない。チャンス構築率を維持したまま、「ゴール前のクオリティ」を上げることができた、その証左である。最後までプレーオフ圏内を争っていた2013年は比較的今年と似たような数値が出ている。ただこの年はイチかバチかというところがあり、引き分けに持ち込めず負けてしまう試合も多かった。その点から攻守ともに秀でていた今年のチームはやはり優勝チームにふさわしい成績を収めたと考えられる。そしてこの「決定率」向上に貢献したといえるのが、都倉賢・内村圭宏・ジュリーニョのコンサドーレ史上初3名の二桁ゴーラー達だ。
 都倉賢。1986年生まれ、30歳。187cmの体格を活かしたポストプレー、フィジカルの強さを生かした長身から繰り出すヘディングと左足でのシュートが武器。今季19ゴール、7アシスト。J2ゴールランキング2位。決定率15.1%。(昨季10.7%)
内村圭宏。1984年生まれ、32歳。スピードに乗ったドリブルとDFラインの裏をつく飛び出しから得点を量産するストライカー。今季11ゴール、2アシスト。J2ゴールランキング19位タイ。決定率16.2%。(昨季11.5%)
ジュリーニョ。1986年生まれ、30歳。独特のリズムに乗ったドリブルで相手ディフェンスラインを切り裂くドリブラー。今季12ゴール、3アシスト。J2ゴールランキング13位タイ。決定率15.8%。
  彼らなくしてゴール前での精度改善はならなかった。そして彼らの存在が「堅守速攻」の軸にもなっていた。その根拠となるのは「ボール支配率だ」。ポゼッションサッカーが持て囃される様になって久しい。そんな中、今季のコンサドーレの支配率は50.3%。これがどの程度の位置にいるのかと言えば、22チーム中10位である。トップのレノファ山口で57.2%。昇格のライバルとなったセレッソ大阪が53.4%で3位。爆発的な攻撃力で2位に滑り込んだ清水エスパルスが51.8%で6位となっている。比較的相手にボールを持たれているコンサドーレが強みにしていたのが、パスの成功率である。少し前のデータになるが数値は75%を超え、上位4チームに食い込んでいる。カウンター攻撃の成功は前線の選手がカギになる。このパス成功率の高さは前線で頑張る彼らが的確にボールをキープしてくれた結果だろう。
 このカウンターが手詰まりになってしまった時、チームを救ってくれるのがセットプレーだ。今まで攻守両面で弱点となっていたセットプレー。今季はこれが劇的に改善された。「守」では増川隆洋。「攻」ではそう、福森晃斗だ。直接FKで3点、そしてアシストは10と彼の左足から13ものゴールが産み出された。川崎フロンターレから完全移籍が秒読みとなっている若きレフティーの存在はチームの浮沈を左右するまでに高まっている。最終戦の消化不良は彼の不在に端を発したとも言えるのではないだろうか。
 キーマンの不在がチームの低迷につながる。このチームの好不調のバイオリズムをいかに一定に保つか。来年J1を戦うにあたって重要なのはその点に尽きる。今年はボランチの不在に悩まされた。稲本潤一の離脱。クラッシャーとして獅子奮迅の活躍を見せた深井一希も勝負の夏場に離脱してしまった。深井の離脱とともにアウェイで引き分けることが増え、そしてあの崩壊を招いてしまった。ボランチがフィルターとして攻撃の芽を摘んでいたからこそ、ウノゼロでの5連勝を成し遂げることができたのだ。そう、まだまだコンサドーレの選手層は薄い。J1に残留、定着するにあたってチームのスケールアップは欠かすことはできない。
 引用させていただいた吉原宏太氏は、来年J1を戦うにあたり「今シーズンやってきたパスサッカーが出来れば、ある程度は通用すると思います。」と今季のチームの完成度について評価していた。そのうえで「ただ、ゴールを決めるべきところで、しっかり決められるようにならないと駄目ですね。」と釘を刺す。前回J1を戦った2012年は25ゴールにとどまり、あっけなく降格してしまった。ゴールを奪うことができれば勝ち点3はグッと近づく。そこで次回は各ポジションを見直し、補強ポイントを検討したいと思う。

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2016年11月23日

2016年(J1昇格、J2優勝)

 まずは皆さま、J1昇格、ならびにJ2優勝おめでとうございます。…おめでとうございます!最終戦の試合内容には触れません。ええ、触れませんとも。むしろ、あんな稀有な試合を見ることができたことを喜ぶとしましょう。得難い経験をしたと。昇格と優勝を決める試合を見れただけで眼福じゃないですか。そうですとも。…そう自分に言い聞かせたところで、無駄に対戦相手を分析したり、アジッてみたりと駄文を書き散らかしてきた当ブログらしく今回と次回は2016年シーズンの振り返りと2017年シーズンに向けての展望なぞを述べていきたいと思っています。
 25勝10分7敗、勝ち点85。得点65、失点33、得失点差32。北海道コンサドーレ札幌が2016年シーズンに残した結果である。2位清水エスパルスとは勝ち点1差とはいえ、優勝でJ1昇格を決めた。得点65は85点のエスパルスに次ぐ2位、失点33は30店の松本山雅FCに次ぐこちらも2位と高いレベルで安定していたことが昇格の要因となった。
 コンサドーレは比較的守備をベースにチームを組み立てている。降格した2013 年は最小失点である長崎の40点に対し49点で8位。翌14年は5位、昨年は11位。大崩れはしないものの肝心なところで踏ん張れず、失点を喫してしまう。昇格したチームがことごとくコンサドーレより失点を喫していないことが、勝負弱さを浮き彫りにしている。
 「2点取られても3点取れば勝てる。」これも自明の理である。しかしコンサドーレは点が取れない。降格初年、ガンバ大阪旋風が吹き荒れた。99ゴールを記録したガンバに対しコンサドーレはそれでも健闘し、60ゴールで7位。しかし、それ以降は点が取れず得失点差が一ケタに収まる都市が続く。14年は15位、16年は8位。14年が顕著だろう。失点はプレーオフ圏内の5位にも関わらず、得点は15位。これは結果に如実に表れ15勝13敗14分でプレーオフ圏内と勝ち点5差の10位。引き分けた試合のいくつかを勝利に変えていればと悔やまれるシーズンだった。これは無論13年15年にも言えることであるが、「勝ちきれない」これが近年のコンサドーレに付き纏う宿痾になっていた。
 野々村社長は双方の課題を克服するために「パッチ」を充てることにした。「大巨人」増川隆洋とブラジル人トリオの加入である。
名古屋グランパスを初のJ1優勝に導いた増川の加入で、昨年の主な失点パターンとなっていたクロスからの失点が12点から4点まで減少した。もっともクロスを上げられた回数そのものに変化はなかった。1試合平均で15年は13.9本、16年は14本と大差はない。ゴール前に経験豊富なセンターバックが加入したことで、クロスを跳ね返すことが可能になった。加えて、両サイドに控える進藤亮祐・福森晃斗ら経験の浅い選手に対する現場監督としてその経験を余すことなく伝え成長を促してくれた。これもまたベテラン獲得のメリットだろう。
 翻って攻撃陣だ。「ゴール前のクオリティー」この向上が至上命題となっていた。クロスの精度向上のためマセードを獲得し、ストライカーとしてヘイスを、そしてサイドからテクニックを活かしたドリブル突破を期待してジュリーニョを獲得。マセードは期待通りの活躍で、すぐに定位置を確保し豊富な運動量と精度の高いクロスで得点機を演出した。意外だったのがジュリーニョだ。サイドではなくトップ下として定位置を確保。変幻自在のポジショニングで相手を幻惑し、あれよあれよとハットトリックを含む12ゴールを挙げた。ヘイスもコンディション不良が続きなかなか出場機会に恵まれなかったが、勝負どころとなる夏場に本領を発揮。貴重なゴールをあげコンサドーレを再び上昇気流に乗せた。彼らがそろって離脱した後半戦に失速し、松本・清水に追いつかれる体たらくを演じてしまったのも彼らがいかに重要な戦力となっていたかの証左であろう。
 補強が当たり、まさしく「補強」となったことが昇格の一因になったことはご理解いただけただろう。だが、それだけでは優勝をつかみ取ることまではできなかったはずだ。そう、戦力の底上げ。若手選手の台頭があったのだ。シンデレラボーイといえば、背番号35、進藤亮祐の名前を挙げねばならないだろう。開幕スタメンを勝ち取り、足の裏でアシストをしてしまうファンタジスタに僕らは狂喜した。その勢いに乗せられるかのようにチームの成績も上昇し、5月4日のツェーゲン金沢戦に勝利しJ2首位に躍り出た。その進藤起用の理由を四方田監督は優勝特番に出演した際にこう話していた。「キャンプを通じてアピールを続けていた」「今年のコンセプトとしている『チャンスがあれば後ろから仕掛ける』という形をトレーニングから実践してくれた」「どんな選手にもチャンスがあるんだというところを示すために起用し続けた」、要点をまとめるとこのようなところだ。進藤のアピールも勿論だが、ある程度チームの活性化も見込んでの起用であったことがうかがえる。実際今年の若手の成長は目覚ましく、進藤をはじめボランチとして獅子奮迅の活躍をした深井一希、左サイドで輝きを放った堀米悠斗、ケガに苦しんだが最後の最後にいいところを持って行った荒野拓馬、忘れてはならないチーム最年少出場記録を更新した菅大輝。彼らの活躍なくして今シーズンは語れない。
 一方で、若手の登用はしばしば「重用」につながる。傍から見れば当然とも思える世代交代も、プレーする選手にとっては理不尽に感じるところもあるだろう。某名門チームが数年ごとにフロント主導の世代交代を行い、選手・サポーター双方から不興を買っていることは他山の石とは思えない。このあたりを四方田修平監督は積極的なコミュニケーションと気配りで解消した。ユース出身では最年長の石井謙伍やディフェンスラインを束ねる増川隆洋などを先発起用から一転ベンチ外とする際には、なぜ外すのかについて細かく丁寧に説明をしたうえで納得・理解を得る様に心がけたと新聞各社が報じている。この心配りがチームの一体感を産み、若手選手の遠慮することなく伸び伸びとプレーすることができたのだと思われる。そしてキャプテンとしてチームをまとめた宮澤裕樹の成長も大きかったようだ。優勝特番に出演した四方田監督も彼の成長を評価し、今シーズンのMVPだと讃えていた。
 ここまで長々といかに今シーズンが素晴らしかったかを述べてきた。というより述べ足りない。目の前で「フクアリの奇跡」を目撃し号泣した身としては、まだまだ歓喜に浸っていたい。だが、そうもいかない。月日は流れていく。今日にもCS第一戦、川崎フロンターレVS鹿島アントラーズが開催される。彼らと来年は勝負し、勝ち点を積み上げなければならないのだ。14時からの試合を観戦し、レベルの違いに頭を抱えるとしよう。さて次回は戦術面の振り返りとJ1残留に向けた現状の確認をしたいと思う。なるべく早く更新する予定ではあるが、気長に待っててくださいな。

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2016年11月20日

天国と地獄

 久しぶりのエントリーである。肝心な負けが込んでいるときに記事を書かずに、今更書き込むのかとお叱りを受けるのは百も承知だ。だが書かざるを得ない。今日決まる。泣いても笑っても今日決まるのだ。
負ければプレーオフ、負ければ降格。これほど痺れる試合があるだろうか?まさしく天国と地獄。両者明暗くっきりと分かれる天王山。ここまで来れば両者を分かつのはただ一つ、「気持ち」である。この違いを我らは目の当たりにしたであろう。前節のジェフユナイテッド千葉戦。後半アディショナルタイム5分過ぎ。そこに神は居た。諦めず、愚直に、「お前だけはゴールを狙ってくれ」という言葉を信じて走り込んだ。両脚を攣ろうとも走り続けた男が居た。声の限り鼓舞し続けた男が居た。その姿を力に変えピッチに立ち続けた男が居た。チームの勝利を信じ、声を嗄らし続けた者たちが居た。
 気持ちである。勝利を信じ、声を嗄らし、走り続け、ゴールネットを揺らす。巧拙の議論を待たない、泥臭く、愚直に、結果を追い求めた結果が結実するのだ。5年ぶりだ。あるいは9年ぶりの歓喜の時だ。遠慮はいらない。勝負は一瞬。万感の思い、溜め込んだその思いを一瞬の力に変える時が来たのだ。腹の底から、メインだ、バックだ、ゴール裏だ、カテゴライズはどうでもいい。ただコンサドーレが好きだ、その気持ちを爆発させよう。
 90分先の未来を悲観するのは止めにしよう。目の前の試合に向き合ったから前節の結果があったのだと、私は思う。ただただ一瞬一瞬に向き合い、狂喜乱舞し選手と感情を共有し合った時、最良の結果を得ることができる。溜息を吐く場面が多い試合になるだろう。だが、声援が絶えることはない。拍手が鳴りやむことがない。そんな3万人を超える観衆が居れば、昇格、そしてJ2優勝は難しいことではない。
 一騎当千。一意専心。皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ。悔いのない一戦としたい。明日は月曜日?だから何だ?明日をも知れぬ彼らのためなら、声帯の一つや二つ惜しむことはあるまい!?
 試合開始前の声援一発。度肝を抜く声援をドームに木霊せようじゃないか!

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2016年08月24日

ミラーゲームの誘惑(VS 京都サンガFC戦 感想)

 ミラーゲーム。両チームが同じフォーメーションで対戦している状態のこと、そのような試合のこと。京都サンガ石丸清隆監督は首位北海道コンサドーレ札幌相手に前節の4バックから3バックを採用し、全体がマッチアップする形で試合に挑んだ。これにはある一定の成果があり、京都MF本多勇喜も「今日はほぼミラーゲームだったので、一対一で負けなければ問題はなかった。そこはやらせなかったと思う」と手ごたえを口にしている。石丸監督としてはこの試合の入り方に対し、「札幌が)先制点を取ると90%以上勝っているというデータからすると、初めのうちに失点するとかなりしんどくなる。ゲームプランとして「やられない」というところからスタートした。」とまず主導権を奪われないようにと安全運転を心がけたと試合後のインタビューに答えていた。
 とはいうものの、石丸監督の手ごたえとは別に試合の主導権はコンサドーレにあったように思われる。特に前半のシュート本数はコンサドーレ4本に対し、サンガは2本。ボールポゼッションはサンガ42.9%に対し、コンサドーレは57.1%とコンサドーレがボールを保持する時間が長かった。しかし、この時間を無失点で凌ぎ切るというのがゲームプランだったのだろう。…あくまで石丸監督の。
 先ほど引用した本多勇喜のコメントには続きがある。「そこはやらせなかったと思うが、手応えがあるのはそこだけ。」エスクデロ競飛王はもっと辛辣だ。「前半を0-0でいけたのはいいけど、後半はもうちょっと「点を取りに行くんだ」という気迫が必要だった。追越しが遅かったり、3人目の動きが全くなかったりとか……。僕とゴメ(堀米 勇輝)で崩している時も、もっとほかの選手に絡んでほしい。後ろが(失点)ゼロで抑えていることは評価に値すると思うけど、サッカーは守るだけじゃない。攻撃しないと勝てない。」と攻撃に関してチームの連動性がないことを嘆いている。ゲームプランを遂行しようと選手が心がけた結果が5バックでは情けないではないか。勝ち点差12離れているとはいえプレーオフ圏内の5位に位置するチームだ。まして相性のいいコンサドーレ、そしてホーム西京極。もっと積極的に攻めても良かったのではないかと思ってしまった。首位から勝ち点3を奪うことができれば、勝ち点差も9に縮まり波に乗り切れなかったチームにも勢いが付く。石丸監督は「引き分け狙いではなく、その中で勝機は絶対にあると思っていた。」と逃げ腰で3バックを選択したわけではないと弁明に追われた。だが、こうも口にしている。「(札幌の)3トップがかなり強烈なので、うちの4バックのスライドと前線からのプレッシャーが間に合わないかなというところで、3バックを敷くことを選択した。」これは明らかにチームの力不足を認め、クリンチ寸前のミラーゲームを挑まざるを得なかったと監督として責任を認めていると見て取れる。
 5バックを敷き、スプリンターがいるわけでない京都攻撃陣は脅威が半減していた。3バックの中心として対応した増川隆洋は、相手のカウンターに対応できたかという質問に対し、「そこは注意していたし、僕の役割はそこがメイン。周りの選手が上がる傾向があったし、ボランチと連係してリスクマネジメントすることは常にやっていた。」と守備連携の深まりを感じさせた。そのうえでキーマンとしてエスクデロ、堀米、イ・ヨンジェの名を挙げ、守備陣のリーダーとして上手く対応できたと胸を張った。エスクデロの感じたチームの問題点が露呈した格好だ。
 この京都に対し無失点で終わってしまったことは改善しなければならない。決して驕りではない。これは横浜FC戦で手痛い敗北を喫してしまったことの延長線上にある。再び増川のインタビューから引用すると、「後ろから見ていると、(攻撃で)最初のボールは入るけど、そこからのつながりはなかなかうまくいっていなかった。」「向こうのファーストディフェンスはそんなに来なかったので、後ろではゆっくりとボールを持てたし、配球もできていた。」そう、ベタ引きに対しどのように崩していくべきか。これがこれからの課題になる。
 京都戦は山瀬功治や堀米勇輝といった両サイドアタッカーに対応するため、攻守両面にバランスの良い堀米悠斗や荒野拓馬をスタメンに起用した。しかし、5バックを敷く京都に対し裏への抜け出しが持ち味である彼らでは、局面を打開するには至らなかった。事実、後半開始から投入されたマセードは自分のポジションである右サイドにこだわることなく、中央に切り込み配球役も務めて見せた。この交代策は四方田修平監督も狙い通りだったようで、「後半はマセードを入れて組み立てのところでボールが動くようになり、少しチャンスを作れるようになったと思う。」「後半の内容に関してはポジティブにとらえている。」と前を向いた。Football LABのデータを見たところ、枠内シュート率以外はコンサドーレの指標が良かった。にも関わらずアタッキングサードと呼ばれる30mライン進入に関してサンガ34回に対し、コンサドーレ38回と大差がなかった理由をコンサドーレ宮澤裕樹主将の言を借りて述べるとすれば、「ミスからの自滅が多かった」この点に尽きるだろう。たびたび引用している増川は「サイドからどうやって入り込めるか。勢いがあるときはいいが、引かれたときに難しい。それができる選手が揃っているのであえて言いたい。まだまだこんなレベルじゃ満足しちゃいけない。」と危機感を口にしていた。
 そう、まだまだ足りないのだ。2位松本山雅FCと勝ち点差6しかない現状ではまだ足りない。J1昇格を一刻も早く手中に収め、天皇杯を来シーズンの予行演習にするぐらいの余裕と打開力を身に着ける必要があるということだ。…意訳しすぎかね?しかし、もどかしい試合であったことは確かだ。サイドプレーヤーにはより一層の奮起を期待したい。特に奮起を促したいのが、燻ぶっている神田夢実だ。独特の感性で突っ掛けるドリブルは荒野や堀米には無い武器だ。6失点しアウェイに乗り込んでくるロアッソ熊本は、相手に合せ様々なシステムを併用してくる変幻自在なチームだ。今節もミラーゲームを挑まれる可能性は充分ある。無論、中1日という強行日程で27日に天皇杯1回戦があり、神田としてはそこをラストチャンスと捉えコンディションを整えているかもしれない。だが、今のメンバーに割って入れるような練習でのアピールを期待している。熊本戦に向けてどの程度メンバーを弄ってくるのか。四方田監督の手腕が問われる連戦が続く。
 引き分けで勝ち点1を分け合ったのは残念であるが、日が沈んでも30℃を超える蒸し暑いコンディションの中よく戦ったと選手たちを褒めたい。上位陣がコンサドーレに付き合ってくれたおかげで、熊本戦の結果次第では2位松本に勝ち点差9を付けJ2優勝に向けて独走態勢を築くことが視野に入ってきた。あわよくば首位から勝ち点をと自陣に引きこもるチームは今後も増えるだろう。そこをいかに崩していくか、目を離すことができない暑い夏は終わらない。

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2016年08月21日

決戦 西京極(VS 京都サンガFC戦 展望)

 1勝1分け10敗。鬼門。春先に日本平で使ったこの言葉をまた使うことになるとは…思っていた。京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場。なぜか夏場に日程が組まれることが多く、文字通り熱い戦いが繰り広げられている。なにかとキーポイントになることの多い夏場のアウェイではあるが、京都戦は特に印象深い試合が多いように思われる。個人的に印象深いのは前回昇格した2011年の西京極。前半押せ押せムードで若手主体の京都を翻弄し、勝ち点3は間違いないだろうとテレビの前で油断しきっていた。そこから後半のみで0-4.そしてここから連敗し、迎えたのが昇格を争うライバルの徳島ヴォルティス。天国と地獄を味わう夏となった。
 そんな熱戦の幕が今、切って落とされようとしている。19時キックオフだ。現地に赴かれる方のご多幸を祈念したい。といったところで、近5戦の京都サンガFCの試合を振り返ってみたいと思う。

後半戦のみの順位
01位 札幌 △△○○○○●○ 勝点17 +9 
07位 京都 △●○△△○△○ 勝点13 +3 

上位陣星取表
 札幌松本桜大京都岡山町田清水山口 
札//○●○△○ー○△ー●○○○○26(残2)
麿ー●●ー▲○//ー△○△○ー○△16(残4) 

 まずは参考までに、後半戦のみの順位と星取表をご覧いただきたい。後半戦のみの順位で行くと京都は7位。3勝1敗4分けとなっており、近5戦では2勝3分けと無敗で来ている。総得点は7、失点は4、ここ3試合は無失点と守備も固まってきている。25節のレノファ山口戦は先制されたものの、すぐに同点に追いつきシュート数も20体14と圧倒し、アウェイの地で貴重な勝ち点1をもぎ取った。だが、関西ダービーとなった26節のセレッソ大阪戦では悪夢に見舞われる。0-0で迎えた後半18分の菅沼駿哉のゴールから5分間で3ゴールを決め、1万人を超える観衆を飲み込んだホーム西京極を歓声で揺らす。が、悪夢は後半アディショナルタイムに待っていた。30分31分と立て続けにゴールを割られ、左サイドで奮闘していたMF山瀬功治をDF内田恭兵に交代するなど逃げ切りにシフトしていたにも関わらず、最後の最後にセレッソ大阪FW杉本健勇にこの日2ゴール目となるヘッドをぶち込まれジ・エンド。ライバルから奪い取れるはずの勝ち点3は露と消えた。
 勝ちきれなかった2試合を糧にしたのか、その後3試合で無失点の2勝1分け。だが、後半戦未勝利のモンテディオ山形に0-0の引き分けはアウェイの地とはいえ、「取りこぼし」と捉えざるをない。勝ち星を積み重ねてはいるものの、エスクデロ競飛王や堀米勇輝などの個人技による中央突破から「なんとなく」ゴールが生まれている印象だ。以前の様な「右SBの石櫃洋祐からのクロス」というほど明確な武器は今の京都には見られない。目につくのがアンドレイ、エスクデロ、堀米という中盤3名のパス交換だ。特にアンドレイは攻撃のスイッチを入れる選手のようで、彼がボールを預けるエスクデロは4ゴール9アシスト、堀米はチーム得点王の6ゴール8アシストを記録している。アンドレイ自体も186㎝の堂々たる体格を活かし、空中戦でも無類の強さを誇っている。コンビを組む佐藤健太郎も177㎝と長身であり、32歳と円熟味を増したプレーで攻め上がりがちな山瀬・堀米の両ワイドとのバランスを取っている。
 とはいえ、京都は守備からリズムを作るチームではないように思われる。なぜそう思うかといえば、無失点で「切り抜けた」ここ3試合を見ていても守備の粗さが見えるのだ。基本的に相手ボールになったらリトリートしてラインを整えるのが約束事なのだろう。27節の東京ヴェルディ戦後の石丸清隆監督へのインタビューの中で、「しっかり守備をしてからゲームに入ろうというところで、コンパクトな陣形を取りながら我慢強くゲームを運べた。」「基本的には、今日は相手に持たせていた感じ。(中略)スリーラインもきれいに保てていた。」とボール狩りよりもラインコントロールを重視して守備を組み立てていることがうかがえる。先制点を奪うことができればいいが、試合の入り方を間違え相手に主導権を渡してしまうと途端に苦しくなる。石丸監督もそれを認めているようで、0-0に終わった28節モンテディオ山形戦後のインタビューで、「ゲームの方は、前半はちょっと相手のボール回しというより、自分たちが引き込んだイメージがありますし、若干主導権を取られた中でゲームを運んでしまったので、かなり苦しい時間が続いてしまったのは少し残念です。」「前半からもう少し自分たちからアクションを起こしてボールを取りに行くようにやっていかないと、体力も奪われますし、自分たちで首を絞めたなというようなゲーム展開になってしまったのは少し残念でした。」と受け身になった時の弱さを吐露している。ラインを整えコンパクトな陣形を整えるのはもちろん大事だ。だが、京都守備陣のスライドやプレスのかけ方を見ていると前回対戦した時と大差がないように思われるのだ。無失点で終えられたのも、相手のゴール前での精度の低さに助けられたのではないかと。
 決して貶めているわけではないのだが、3連勝以上がなく9試合負けなしで勝ち点23を荒稼ぎし上位戦線に殴り込みをかけた後に2連敗を喫するなど波に乗り切れていない今季の京都を見ていると苦言を呈したくなるのも事実だ。おそらく2011年のコンサドーレが傍から見ればこのような状況だったのだろう。
 京都の攻略としては、ゲームの主導権を握ること。例年のように日が落ちても残暑が残り過酷な試合環境になることは間違いない。だからこそ、前半のうちに出足の早いコンサドーレのサッカーで京都守備陣の粗さを突き、先制点を挙げたい。ビハインドになれば京都はバランスを崩して攻めに出ざるを得ず、さらに綻びが生まれてくるだろう。そこをこじ開けていけば春先の対戦と同じく複数得点での勝利が見えてくるはずだ。詰まる所、いつも通りに試合を運ぶことだ。
 そのうえであえてこの試合の見どころを述べるならば、前半15分までと後半30分過ぎからだろう。前半はどちらがゲームの主導権握るか、後半30分からはどちらの「精神力」「集中力」「監督力」が上回るかベンチワークも含めて目が離せなくなりそうだ。…改めて書き出すとどの試合もそうじゃないか。…まぁいいか。なんにせよ!手に汗握り、心臓に悪いシーンが展開されるものと覚悟している。足が止まりそうになる選手たちに知らず知らずテレビの前で声が出てしまうだろう。背番号12番は彼らを支えることしかできないのだ。さぁ、行こうぜ!道は険しくても、突き進め!世界を切り拓け!! We’re Sapporo!!

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2016年08月20日

後半戦…スタート…済み、なのでここらへんで振り返り

 後半戦がスタートして早8試合が経過している。デスクトップPCを使っていることもあり、クーラーの利かない密室での記事作成に心が折れ涼しくなってからの活動再開となりました。前回の記事からひと月以上空いてしまい、心待ちに…してくれていた人が居たら嬉しいです。ということで、ここまでの後半戦で好調不調明暗分かれた各チームと、我らが北海道コンサドーレ札幌の現状を振り返ってみたいと思っております。それでは、お付き合いのほどよろしくお願いします。
 まずご覧になっていただきたいのが、以下の順位表です。後半戦の8試合のみ抜き出して順位付けをしたものになります。

01位 札幌 △△○○○○●○ 勝点17 +9 
02位 横縞 ●△○△○○○○ 勝点17 +4 
03位 長崎 ○○○●○○●△ 勝点16 +3 
04位 松本 ○○●○△△△○ 勝点15 +4 
05位 清水 ○△●○○●○△ 勝点14 +7 
06位 岡山 ●△●○○○△○ 勝点14 +4 
07位 京都 △●○△△○△○ 勝点13 +3 
08位 山口 ○○△△●○●△ 勝点12 +4 
09位 水戸 ○○●△○△△− 勝点12 +3 
09位 徳島 ○○●○△●△△ 勝点12 +3 
11位 東緑 ○●○●○●○● 勝点12 0 
12位 群馬 △●△○●○○− 勝点11 +2 
13位 愛媛 △△△●○△△△ 勝点09 -1 
14位 熊本 ●△○△●●△○ 勝点09 -2 
15位 金沢 ●○○△●△●△ 勝点09 -6 
16位 桜大 △○●●△●○● 勝点08 -1 
16位 町田 ○●○△●●△● 勝点08 -1 
18位 千葉 ●○△●●△○● 勝点08 -3 
19位 讃岐 △●●○○△●● 勝点08 -5 
20位 北九 ●●△△●△●△ 勝点04 -9 
21位 岐阜 ●●●●●△△△ 勝点03 -10 
22位 山形 ●●△●●●△● 勝点02 -8

 自作ではなく、2chの「●●2016J1へ昇格するチームは?part18●●」から拾ってきました。非常に見やすいので引用させていただきます。失速が目立つセレッソ大阪、FC町田ゼルビアに対し、コンサドーレは着実にどころか引き離す勢いで勝ち点を積み上げ、後半のみの順位でも首位に立っている。引き離されまいと勝ち点2差で松本山雅FC、同3点差でファジアーノ岡山、清水エスパルスが追う展開。とはいえ、折り返し地点の接戦を考えると思いのほか差が開いてしまったという印象だ。その印象を裏付けるのが次の表だ。同じく、2chの「●●2016J1へ昇格するチームは?part18●●」から転載させて頂く。

J2上位陣星取表 
 札幌松本桜大京都岡山町田清水山口 
札//○●○△○ー○△ー●○○○○26(残2) 
松○●//●○ー○ー●○ーー△▲ー14(残5) 
桜▲●●○//●△○ー●○ー○●○17(残2) 
麿ー●●ー▲○//ー△○△○ー○△16(残4) 
雉▲●○ーー●▲ー//▲ー▲ーー△08(残6) 
町○ーー●●○▲●ー△//●ー●○11(残4) 
清●●▲ー●ーー●ー△ー○//▲○08(残6) 
口●●ー△●○▲●▲ー●○●△//10(残2)

 上位8チームにおける直接対決の星取表だ。コンサドーレ同様1試合少ない勝ち点40の横浜FCと同37のV・ファーレン長崎が表には記載されていないが、後半戦から調子を上げプレーオフ圏内に殴り込みをかけに来ている両チームだけに、記載漏れも致し方ないだろう。残り2試合を残すだけのコンサドーレの上位陣との対戦成績は8勝2敗2分けで奪った勝ち点は26。同じく残り2試合を残すセレッソ大阪が5勝5敗1分けの勝ち点17に留まっていることから考えると、今季のコンサドーレの安定した強さが見て取れる。
 後半戦でも維持されているコンサドーレの好調の要因は「選手層の厚さ」に尽きるだろう。オフの補強で獲得してきた増川隆洋、マセード、ジュリーニョ、ヘイスそれぞれ戦力になっているだけでなく、シーズン途中から加入した菊地直哉が更なるアクセントを加えている。7月9日のセレッソ大阪戦から進藤亮佑に代わりスタメンに名を連ね、さすが世代別代表経験者と言うべき視野の広さと技術の高さでコンサドーレ守備陣に安定感を与えている。進藤が対応に拙さを見せ始めている時期だったこともあり、非常に大きな補強になっている。
 いつも参考にしている「football lab」のデータから引用し、進藤と菊地を比較したいと思う。「守備」の数値を比較しようと思ったのだが、どうやらこの数値は攻められば攻められるほど数値的に向上していくようなので単純比較が難しかった。ちなみに進藤は8.62、菊地は7.40となっている。そのため、視野の広さを比較する指標として「パス」の項目を参考にしたいと思う。進藤が平均0.88に対し、菊地は1.11だった。参考までに守備の要である増川の平均値は0.65、正確なロングフィードで攻撃を牽引する福森が1.62となっている。菊地に関して特筆すべきは、やはり視野の広さにあるだろう。「ここは相手を引き付けてパスを通す」であるとか、「ここはシンプルにフィードを入れる」だとかの判断が的確だ。この印象を客観的に裏付けたいという意味も込めての比較になったが、その印象通りの結果が出た。左の福森、右の菊地とパスを散らせる起点がDFラインに増えたことは、コンパクトな陣形を保ち相手を引き出して崩すコンサドーレにとって非常に大きな意味を持つ。
 もう一人の嬉しい誤算が上里一将の復活だ。肉離れで離脱した宮澤裕樹に代わり、7月9日のセレッソ大阪戦からスタメンに起用された。途中出場となったジェフ千葉戦とは打って変わり、持ち味である大きな展開と強烈なミドルシュートで相棒である深井一希にはないアクセントを加えている。一番の変化がワンタッチでボールを捌くことを意識している点だ。安易に相手選手を背負うことをせず、ワンタッチで相手を交わし前線に数的有利を作り出す。ただ、この意識が裏目に出て最近ボールロストが目立ってしまっている。事実、前節のモンテディオ山形戦でも彼のボールロストから失点が生まれている。とはいえ、彼の活躍は目覚ましいものがあり、先ほど比較として持ち出した「パス」であるが、上里の平均値は1.72。他方、宮澤は1.81と遜色のない数値を叩き出している。激戦区のボランチであるが、頼もしい男の復活によりスタメン争いは目が離せなくなりそうだ。
 他方不安な面もある。トップ下だ。今のコンサドーレのトップ下に求められているのは「キープ力」と「推進力」の2点だ。これを完璧にこなしていたヘイスが肉離れで離脱してしまったことが、コンサドーレの泣き所となりつつある。第28節の横浜FC戦。夏場の連戦ということもあり、ジュリーニョのベンチ入りも見送りジョーカーとして小野伸二、内村圭宏をベンチに入れて試合に臨んだ。トップ下に入った宮澤も奮闘したが、推進力を発揮するまでには至らない。その結果相手の苦しい時間帯に先制を許し、内村、小野とカードを切ったものの、「もうちょっと、良い距離とか、連動してやりたかった。(攻撃が)単発っぽい感じしかなかったので。」と内村が語ったようにスタメン出場選手だけでは打開することができなかった。ジュリーニョが疲労からか途中出場が続いている今、新星の登場が待たれるといったところだ。推進力なら荒野拓馬、キープ力なら宮澤裕樹。ブラジル人コンビ不在時にどのようにカバーしていくのか、四方田監督の悩みは尽きない。
 ここまでコンサドーレの後半戦を振り返ってきた。改めて思うことだが、いつの間にこんなに選手層が厚くなったんだと戸惑いを覚える。FWやCBに一抹の不安を覚えるものの、元気一杯走り回る背番号9を見ていると、それも杞憂のように感じてしまう。J1に昇格したらとかは昇格してから考えることだ。まずは目標を見据えて着実に勝ち点を積み重ねていくこと。これが肝心だ。いよいよ週末には鬼門が大口を開けて待っている。灼熱の京都、西京極。この鬼の腹を食い破り、最高の結果を勝ち取ることを願っている。

posted by kitajin26 |07:44 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2016年07月09日

大阪 夏の陣(VS セレッソ大阪戦 展望)

 夏の大阪アウェイに良い思い出はない。初めて遠征した2011年は春先の完勝とは程遠く、自力の差を見せ付けられた。唯一の救いである古田寛幸のJデビューも、試合後のゴール裏に飛び交うサポーター同士の罵声に掻き消され惨めな思いをしたものだった。夏の大阪。陽炎立ち上る昼間の熱気が晴れることなく、時折吹くやる気のない風がその熱気を運んでくる。乾くことのない汗が肌に纏わりつき、不快指数を上げていく。目の前で展開される試合も相まってか、目の前が真っ白になるほどの激情が込み上げ爆発する。長丁場であるJ2リーグの折り返し地点を向かえ、チーム力が問われてくる時期だ。そのため今まで牙を研いでいた本命と目されていたチームが一気に浮上してくる。そんな時期。遂に雌雄を決する時が来たのだ。7月9日、キンチョウスタジアム。5連勝、4連勝。そして前節5点ずつ取り合い準備万端整えた両チームによる首位攻防戦。日が暮れてなお暑い大阪の夜に、もっと熱い試合を見せてくれることになるだろう。
 と、ここまで書いたのだが…。どうにも様子がおかしい。右足関節靭帯損傷で離脱したFW柿谷曜一朗の穴を埋め、3試合連続ゴールでチーム5連勝を支えてきたトップ下のブルーノ・メネゲウが中国1部の長春亜泰に完全移籍することが決定的という報道が出たのだ。報道に間違いはないようで、すでに全体練習にも参加せず9日のコンサドーレとの一戦にも出場しない見込みのようだ。セレッソ大阪大熊清監督はトップ下の代役に関し、「経験値なら玉田が主軸だし、ソウザや関口にキヨ(清原)。満(丸岡)もいるしね」と候補はたくさんいるとばかりに嘯いたが内心はいかばかりだろうか。柿谷の全治は4週間、負傷したのは6月9日と単純計算で行けばこれから始まる後半戦に間に合う見込みではある。とはいえ回復状況まではネット記事を検索する限りは伝わってこない。コンサドーレとの試合後、下位ザスパクサツ群馬を挟んでプレーオフ圏内を狙うFC町田ゼルビア、またカマタマーレ讃岐を挟んで京都サンガFCと気の休まらない試合が続く。その緒戦であるコンサドーレ戦に「ベストメンバー」で挑めないことは悔やんでも悔やみ切れないものがあるのではないだろうか。
 とはいえ首位攻防の大事な一戦である。簡単ではあるが基本陣形を紹介していきたいと思う。セレッソ大阪は4-2-3-1を採用している。4バックを採用しているチームらしく、サイドアタックが軸になっている。左の丸橋祐介、右の松田陸はクロス数ランキングにおいて、丸橋5位松田7位とそれぞれリーグ屈指のクロッサーとしてセレッソ大阪の攻撃を支える両輪となっている。彼らからのクロスを待ち構える1トップには、長身187cmを誇るリカルド・サントスを据える。長らく「電柱」として活躍する時期が長かったが、近5戦で4ゴールとポストプレイヤーとしてチームにフィットしつつあるようだ。攻守の切り替えを担うボランチは人材豊富で、序盤のセレッソを支えてきた山村和也をベンチに据える余裕を見せ付けてくれる。ブンデスリーガから先日復帰し、スケール感を増したプレーで観客を魅了する山口蛍とコンビを組むのがソウザだ。183cmという抜群のフィジカルを活かしドリブルで前線にボールを運び、長短のパスを織り交ぜて攻撃を組み立てていく。まさしくセレッソの「心臓」ともいえる選手だ。総得点は31とリーグ屈指の破壊力を誇る攻撃陣に加え、加え…。日本代表の玉田圭司、関口訓充、ジーコイズムを体現するストライカー田代有三などベンチには錚々たるメンバーが名を連ねている。恐ろしい相手である。一体何点取られてしまうのだろう。しかもアウェイ大阪、不快指数MAXでスタミナを削られJ1レベルの攻撃力でコンサドーレの守備陣は引き裂かれてしまうのではないか…。
 …ザルッソ。皆様はこの蔑称をご存知だろうか?3点取っても4点取ったら勝てるんじゃとは、青黒のチームを率いたマイアミの奇跡の首謀者の弁だったように思われる。どうにも大阪の2チームは得失点の出入りが激しいようだ。笊+セレッソ=?というわけで、セレッソのウィークポイントはセットプレーとクロスの守備にある。総失点数は20とリーグ6位と決して「ザル」ではないのだが、そのうちセットプレーで8、クロスで4と計12失点。つまり半分以上をクロスへの対応で失っているのだ。実際前節の熊本戦における1失点もクロスから喫している。これは間違いなくCBの田中裕介と山下達也、そしてGKキムジンヒョンの連携ミスから起きている。前半戦を終えようかという時点でも改善が見られていないというのは致命的だ。特にコンサドーレはセットプレーに強みがあり、すでに10点と全体の3分の1強。クロスからの7点をあわせれば17点と全33ゴールのうち50%強を占める。無論コンサドーレの守備にも弱みがあり、混戦からのこぼれ球を決められてしまうケースが散見される。前節の横浜FCイバの2点目がそれだ。こぼれ球を決められたのは4と全15失点のうち4分の1強を占める。シュート数でいけばおそらくセレッソに軍配が上がるだろうという今節。いかにゴールマウスに襲い掛かるシュートをブロックした上でこぼれ球を弾き出すか、これがコンサドーレ守備陣の課題となるだろう。
 以上を踏まえた上でセレッソのキーマンを挙げるとすれば、左サイドバック丸橋祐介と中国へ移籍するメゲネウに替わりトップ下に起用されるだろう玉田圭司だ。無論セレッソの「心臓」ソウザも恐ろしい存在だが、彼の存在を消すためには前述した2名を封じる必要がある。セレッソの攻撃の軸を成すのがサイドアタックであるというのは先ほども書いた。コンサドーレもクロスからの得点が多いが、福森晃斗のクロス数はリーグ39位と突出した数字ではない。これに比べてセレッソの両SBから供給されるクロス数は丸橋5位、松田7位と明らかに偏重している。今回コンサドーレの右CBには先日J1サガン鳥栖から移籍してきた菊地直哉が入ることが濃厚だ。ボランチもこなしてきた元日本代表は今シーズン出場機会に恵まれなかったものの、昨シーズンは4バックの中心として活躍しサガンのJ1残留に貢献している。まさしく実績充分であり、左の福森と同様に高い足元の技術を活かしてサイドを活性化してくれるもとと思われる。マッチアップは杉本健勇だが、その後ろでは丸橋が虎視眈々と攻め上がりの機会を狙っていることだろう。加入してからまだ間もなく、石井謙伍や増川隆洋と連携面で不安があるものの報道を見る限り、練習中に彼らと距離感やボールを奪いに行くタイミングを何度も確認し改善を図っているようだ。増川も「声をよく出してくれるし、ボールを持ったら落ち着く」と手ごたえを口にしている。試合中の調整も勿論あると思うので、前半15分まではきっちりと右サイドに蓋をするように安全運転を心がけてもらいたい。今回のスタメンにはボランチ深井一希の相棒にベテランの上里一将の起用が予想されている。前寛之の怪我は残念だが、上里には上里の武器として「展開力」がある。前線には出場停止明けでエネルギーが有り余っている都倉賢と絶好調ヘイスのモンスターコンビが田中・山下のセレッソCBコンビに襲いかかろうと舌なめずりをしている。そこに福森と上里の裏を狙うロングフィードが届けば必然とセレッソのDFラインは下がらざるを得なくなるだろう。そうなれば攻め急ぐ前線と中盤の間にギャップが生まれ、コンサドーレ自慢の「深井過労死システム」が機能する。
 セレッソもう1人のキーマン玉田圭司であるが、なぜ取り上げたかと言えば彼の交代タイミングが得点のチャンスになるからだ。第20節東京ヴェルディ戦。セレッソ大熊監督はトップ下に玉田を起用し、前節徳島ヴォルティスにあわやという失態を演じてしまったチームに梃入れを図った。だがこれが上手くいかず、前半に先制点をあげたものの攻撃は低調。そのため62分に玉田に変え藤本康太を投入しボランチに入れて守備を厚くするとともにソウザをトップ下の位置に上げた。しかしその10分後に、ボランチ山村和也に代えてFW澤上竜二を投入してソウザをボランチに戻しシステムを変更するなど手詰まりを露呈した。つまり中盤における攻守両面におけるソウザへの依存度が高いため、メゲネウが抜けた今トップ下の出来が試合結果にシビアに反映してしまう結果に陥っているのだ。選手配置を弄り、連携を確認する10分間これが得点のチャンスになる。もし、今節トップ下にソウザが入ったとしたらそれは好機と捉えるべきだ。はっきり言って今年のセレッソは昨年のセレッソではない。ドイツの空気を吸ったからといって新しいチームですぐに連携が上手く行き超絶パスが繋がるわけではないのである、誰とは言わないが。油断は禁物ではあるが、トップ下が穴になってしまった今節のセレッソは厳しい戦いを強いられることになるだろう。だからこそ、コンサドーレとしてはセレッソのサイド攻撃を封じ中盤にボールを集めさせたい。コンパクトな陣形を保ち、ボール奪取からショートカウンター。これぞサッカーの王道というべき美しい攻撃を魅せてくれることを願っている。
 熱い試合になるだろう。諸事情がありテレビ観戦も叶わないが、リアルタイムで観戦できないことが残念だ。残念だと思わせるような試合を見せてもらいたい。夏の関西という呪縛を振り払い、5年ぶりのJ1へ向けて正念場が始まる。現地に行かれる方は熱中症に気をつけて、全身全霊魂を選手達にぶつけて貰いたい。きっと選手たちもあと一歩が出るようになるはずだ。We’re Sapporo!!

posted by kitajin26 |09:33 | 試合展望 | コメント(0) | トラックバック(0)

2016年07月06日

函館ゴール祭り(VS 横浜FC 感想)

 思わず声が出てしまった。予定が合わず函館での現地観戦は見送ったものの缶ビール片手のテレビ観戦。2点目のヘイスのゴールだ。荒野拓馬の左サイド突破からゴール前で待ち構えるヘイスにグラウンダーのクロスが飛ぶ。これを一度DFに寄せてからトラップし反転、落ち着いてゴールに流し込んだ。確かに荒野が左サイドを突破した時点でゴールのチャンスは限りなく高まっていた。とはいえヘイスの技術の高さには目を見張るものがある。1点目のジュリーニョのミドルを呼び込んだゴールへ向かい相手選手を惹き付ける動き‐相手選手が寄せていればシュートは防げていたとは思うが‐や、惜しくも南雄太に防がれてしまった後半のこぼれ球に反応したシュートなど自分の色を出せるようになってきた。開幕時より10kg近く身体を絞り、ここ5試合で3点と波に乗ってきた。そのうえで、ジュリーニョと近い距離でプレーさせるように腐心した四方田修平監督の手腕も見過ごせないだろう。
 チーム得点王の都倉賢を出場停止で欠く中で5得点というのは文句のつけようがない。2失点については反省材料だが、4-0と試合の大勢が決まっていたので守備意識が甘くなってしまうのは仕方がなかったのかもしれない。なんにせよ4連勝で首位をキープした。下位に取りこぼさず上位3連戦に臨む事ができることを喜びたい。
 3番勝負の先陣を切るセレッソ大阪は山口蛍が加入し、これを名将大熊清がどうチームに組み込むか手腕が問われている。直近のロアッソ熊本戦に5-1と大量得点で勝ち点を積み上げ、これで連勝は5に伸びた。思いも寄らぬ相手にぽろっと負ける「意外性」を持った今年のセレッソ。付け入る隙はまだまだあるはず。熱い夏はこれから始まる。

posted by kitajin26 |07:32 | 試合感想 | コメント(0) | トラックバック(0)