コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2017年01月23日

システムを考える。5バックにならない3-4-3とは?(前編)

 去る21日、北海道コンサドーレ札幌2017年初の対外試合が行われた。30分ハーフで行われたこの試合は開始早々失点を許すも、都倉賢のチーム初ゴールを含め計6点を決め6-1というスコアで大勝した。相手が大学生ということもあり開始早々の失点は猛省しなければならないが、新加入の兵藤慎剛や金園英学もゴールネットを揺らし実力を示してくれ、実りの大きな試合だったといえるだろう。
 この試合はWボランチに1トップ2シャドーという形でスタートしたと報道にあった。そうであるならば、やはり今年のフォーメーションは3-4-3.そう「5バックにならない」3-4-3が軸になるということだ。以前の記事「J1残留にむけて」で私は「ぼくのかんがえるさいきょうのこんさ」とでも言うべき3-3-1-3のフォーメーションを書いた。アップして初めて「これ、バルセロナじゃん!?」と驚愕したが後の祭りだ。そう現実的に考えれば、昨季用いた3-5-2のトップ下をトップに挙げた3-4-3がベストであるに決まっている。なによりチーム戦術の継続性がJ1残留には欠かせないからだ。そこで改めて昨年用いた3-5-2について見直し、3-4-3がどのようなシステムであったか考えていきたいと思う。
 まずこれを見ていただきたい。

         コスタ
   アザール      ペドロ
アロンソ マティッチ カンテ モーゼス

   ケーヒル  ルイス  アスピリクエタ

         クルトワ
 
 これはカタカナが並ぶ通り海外のチームのスターティングメンバーである。フォーメーションは3-4-3だ。開幕時は4-2-3-1でスタートしたものの守備に安定感を欠き、そこで監督の慣れ親しんだ3-4-3を導入したところ、これがチームにフィット。クラブ新記録の13連勝を飾り、現在17勝3敗1分と2位トテナムに勝ち点6差をつけて首位を快走している。そんなチームのスタメン。もう、察しがいい人は気づく頃だろう。そう、イングランドプレミアリーグ所属、チェルシーFC。昨季10位と低迷しながらもある男の監督就任を機に不死鳥のように甦ったリーグ屈指の名門チームである。その男の名はアントニオ・コンテ。ユヴェントスを3連覇に導き、イタリア代表監督も務めた名将である。
 …もったいぶったけども、みなさんご存じだよね。海外サッカーに疎い私はつい最近知ったんだけどさ。そんな状況で解説なんておこがましいとは重々承知ですが、コンサとチェルシーの共通点が多いもんで…。おそらく今季のコンサドーレは、このコンテ式3-4-3を参考にチームを組み上げていくんじゃないかと思う。そこでそのキーマンを5名、、、その、footballchannel(https://www.footballchannel.jp/2016/11/24/post186505/)の記事を参考にして、彼らはコンサドーレでは誰に当たるのかを紹介していくことにする。

 ●セサル・アスピリクエタ(右CB)
 「本職は右サイドバックにもかかわらず、ジョゼ・モウリーニョ体制下では左サイドバック、そしてコンテ監督のもと3バックの右センターバックにコンバートされた。対面したサイドアタッカーを的確に封じることができる、いわゆる“守備のできるサイドバック”として知られているが、その守備力はセンターバックに移ってからも変わらない。俊敏性と危機察知能力の高さで相手FWからボールを奪い、必要に応じてサイドバック然として持ち上がることができる。」…らしいですよ。身長は178㎝とCBとしては小柄ではあるが、守備力は折り紙付きな様子。彼をコンサドーレに置き換えるとすれば、やはり菊地直哉になるだろう。2015年のサガン鳥栖でセンターバックの中心を担った実力者である。昨季も夏場からの加入ながら違和感なくフィットし、DFラインを支えた。特筆すべきはボランチをこなせるレベルの技術の高さである。最後尾からのロングフィードは左サイドの福森と並んでコンサの攻撃の軸となった。2017年も昨季同様の活躍が望まれる。

 ●ダビド・ルイス(CB) 
 「3バックの中央にポジションを取ることで、持ち前のパスセンスやフィードの正確さが生き、攻撃面での貢献が顕著となった。ヘディングにはめっぽう強いタイプで、負傷明けでベンチを温めているキャプテンのジョン・テリーに比べればスピードにも優れるため、DFラインを高く設定できるのも利点のひとつである。」…とのこと。ヘディングにはめっぽう強いタイプと言えば増川隆洋だが、新加入の横山知伸も負けていない。手元にあるELGOLAZO year book2016によると、昨季の増川は自陣における空中戦は125回記録し勝率は60%、他方横山は42回記録し勝率73.8%と勝率だけで言えば増川より優れている。横山の42回はMF江坂任と並びチーム4位の数字であり、決して見劣りする数値ではない。横山も菊地同様ボランチ経験があり、事実昨季はボランチでの起用がほとんどだった。スピードという面では増川より優れていると思われる彼の加入は、今季のコンサドーレの守備陣をスケールアップしてくれるだろう。その一方で、彼が活躍してくれるか否かがチームの浮沈を左右することになる。

 ●ビクター・モーゼス(右WB)
 「持ち前のスピードでサイドを駆け上がったかと思えば、抜群の運動量で守備にも参加する。6試合連続の完封勝利に裏には、モーゼスの貢献が大きいことは明らかである。ハードワークが求められるウイングバックのポジションにおいてコンテ監督の要求を完全に満たしている。」…です。それに付け加えるとするならば、キレのあるステップを武器に失わないドリブルで鋭く侵入するアタッカータイプであるというところだ。その特徴を活かした「カットイン」が右サイドの特徴だ。カットインと言えばマセードの特徴でもある。昨年加入した陽気なブラジリアンは精度の高いクロスとリズムに乗ったドリブルで相手DFを切り裂いた。故障が重なりフルシーズンの活躍はできなかったものの、チームクロスランキングでは3位、ドリブル企図ランキングでは5位にランクインしている。その彼と切磋琢磨しているのが石井謙伍だ。クロスランキングでは福森に次ぐチーム2位、ドリブルは内村圭宏と並びチーム3位となっている。個人的に驚いたのはその成功率である。クロスの成功率は25.7%、ドリブルの成功率が49.2%。マセードのクロス成功率が28.8%、ドリブル成功率が55.4%。なぜ比較するようなデータを提示したのか。ただ単純に自分のイメージより石井の数値が悪くなかったという点に尽きる。J1屈指のドリブラーとして鳴らしている斉藤学のドリブル成功率が53.5%であり、彼ですら5割を少し超える程度である。そう考えれば石井も決して悪くないのだ。運動量には折り紙付きの二人。彼らがどの程度攻撃にアクセントを加えてくれるか。彼らのドリブル突破に注目したい。

 ●マルコス・アロンソ(左WB)
 「希少な左利きでキックの精度は正確。攻撃のセンスも高く、守備面では対面のウイングへのマークも怠らない。」…選手です。モーゼスがアタッカータイプなら彼はSB。ペナルティーエリアの角で左ウイングのアザールや1トップのコスタとボールを回して崩していくのが、左サイドの特徴と言える。左利きで「SB」と言えば、一昨年のJ2クロスキング田中雄大である。ヴィッセル神戸では定位置を掴むことはできなかったが、左足の精度は中々のもの。新潟へ移籍してしまった堀米悠斗もいいクロスを上げていたがミドルシュートの精度は今一つであった。その点田中は問題ない。ペナルティーエリア左隅から放たれる弾丸シュートは惚れ惚れするというより怖気の走る凄まじさだ。だが、彼の問題は守備。アロンソのようにサイドに蓋をすることができるのか。見ものである。

 ●エデン・アザール(左ウイング)
 「好調の要因は守備の負担軽減にある。4-2-3-1ではサイドの守備に走る時間が長く、攻撃面で100%の力を発揮できなかった。しかし、3-4-3では中盤の4枚と3バックが献身的に守備をこなしてくれるため、アザールは攻撃に専念できるようになった。守備から解放されたアザールはセンターフォワードのジエゴ・コスタとゴールを荒稼ぎ。新布陣採用後は、2人で6試合10得点を叩き出している。」…絶好調みたいですね。2年連続プレミアリーグで14点を挙げたベルギー代表のストライカーは守備から解放されることで全力を発揮できるようになったようだ。サイドを主戦場に相手を恐れずドリブル突破を試みる。そして足の振りの早いシュート。やはり彼を当てはめるとしたジュリーニョしかいない。ドリブルの成功率こそ33.3%と低いが、12ゴールを挙げた得点力は非の打ち所がない。ブラジル人特有のトリッキーなプレーはJ1でも十分通用すると思われる。…思われるんだよ。

 とまぁ、このように今年のコンサドーレとチェルシーを重ねてキーマンを紹介してきた。そのうえで予想フォーメーションを書き殴るとすれば、以下のようになる

        都倉賢
 ジュリーニョ     早坂良太
田中雄大             マセード
    宮澤裕樹  兵藤慎剛

  福森晃斗  横山知伸  菊地直哉

       クソンユン

 右ウイングの早坂とボランチの兵藤、彼らのオフザボールにおける献身が中盤と前線をうまくつなげてくれるはずだ。不確定要素は多いものの、そんなものは開幕前だ、多くて当たり前だ。そもそもジュリーニョや都倉が得点を量産してくれるとは限らないからだ。より一層コンテ・チェルシーと化した2017版コンサドーレがJ1に旋風を起こしてくれることを祈っている。

 …とここで終われば綺麗なのだが、そうは問屋が卸さない。コンテ式3-4-3はひとたび守備に回るとどのフォーメーションは5-4-1となる。両WBが最終ラインに吸収され、ウイングがWBに代わりボランチの横にスライドする。がっちりと2ラインを敷き、相手を待ち受けるのだ。
 変更前のチェルシーの布陣は4-3-3. サイドバックのやや積極的な攻撃参加が必要とされていたことや、攻守の切り替え直後のロスト、大外へボールを展開している途中でのロストはバランスを崩すきっかけとなり守備に安定感を欠いていた。そこで5バックだ。このシステムで改善された点は、センターバックが持ち場を離れないことである。そのうえWBが相手SHを、シャドウが相手SBを対応してくれるため、ケーヒルやアスピリクエタの左右CBはニアゾーンへの侵入口を埋めるだけとタスクを簡素化されることになる。カットインやトップ下を絡めた攻撃は2つのラインが距離を縮めて、ごちゃっと密集する事でフィニッシュを許さない。実際ゴール前のごちゃごちゃは昨季のコンサでもよく見られたと思う。だがこのフォーメーションでは4-1-4-1(4-3-3)と対戦した場合、サイドの崩しや中央の密集で相手に支配を許すことはないが、浮いたアンカーを軸にMFブロックの前でポゼッションを許してしまう。そうなれば、そこを軸にポゼッションを許しサンドバックのスタートになる。無論チェルシーならカウンターの精度も高く、パスカットから容易く相手ゴール前に迫ることができるだろう。そう、昨季のコンサドーレのように。
 だからこそ5バックにならない3-4-3を三上GMも四方田監督も志向しているのだろう。昨シーズンの戦い方を踏襲したうえで、どのように進化させていくか。守備的な3-4-3.そこで思い出されるのは「Udinese dei miracoli」。ジャーマンタワーことオリバー・ビアホフを中心にした「奇跡のウディネーゼ」だ。そのチームを率いたのは誰だったか。次回は大のワサビ好きであったイタリア人監督を紹介し、「5バックにならない」3-4-3を考えていきたいと思う。

posted by kitajin26 |22:34 | 雑記 | コメント(0) | トラックバック(0)

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