2008年11月18日

三浦ゾーンの崩壊

今回はちょっと毛色の違うエントリーを・・。

私は三浦サッカーはどちらかと言えばアンチでした。理由は色々あるので割愛しますが、はっきりと嫌いと言うからにはきちんと三浦さんが何をやろうとしているのかを知っておく必要があると思って何度か練習を見て、素人目におそらくこんな事を目指していて、何が上手くいかなかったのを分析していました。今日はそれを書いていこうと思います。

流れ的に今のサッカーで多く使われている”ゾーンプレス”についてを書きます。基本的に守備というのは”ゴールを守る”ということではなくて”ボールを奪う”事だと思うんです。ボールを奪うためには一人でプレスをかけたところで奪える可能性は非常に低く、複数人がプレスに行って、さらに周りが連動しながら”パスカット”をする形でないとボールは奪えないと思います。

わかりやすく説明するために角度に例えると360度のうち、一人が防げるパスコースは間合いにもよりますが60度くらい。2人になると120度のパスコースを防げます。残り240度にパスコースを限定できるわけです。

1
ゾーンプレスは高い位置でボールを奪う戦術であらかじめボールを奪うゾーンを共通認識として持っておき、そこにボールを追い込んでいくという守備です。バスケットでは”TRAP(罠)DEFENNCE”と呼ばたりしてました。ゾーンプレスは縦横にコンパクト陣形を取り、FWはワンサイドカットと言って、ボール(ボールマン)をサイドに追いやるプレスをかけていき、MFにマークを受け渡しながら、プレッシングゾーンに追いやっていきます。その時、他の選手はボケーっとしているわけではなく、パスコースを切るポジショニングをしていきます。プレッシングゾーンにボールが入った瞬間に追いかけていた選手と待ち構えていた選手でプレスをかけるとボールマンは苦し紛れにパスを出さざるを得ない状況に追いやられるとともにパスコースが限定されます。そこをカットするのがゾーンプレスの基本形です。

先ほどの角度の話になりますが、2人でプレスをかけて120度を防ぐ以外にサイドラインが180度のパスコースを防いでくれます。よって残されたパスコースはは60度分しかありません。

ここまでいくと”鉄壁の守備”のように思われますが、たった一つのほころびから崩れていったりするんですね。誰か一人が守備をさぼってプレッシングゾーンに追い込む前にパスを通されたりすると全てをリセットしてやり直しみたいな感じになるし、ボールに対して2人行くわけですから、必ず一人はフリーになります。

岡田JAPANなんかはこれを使ってると思いました。このデフェンスはボールを奪う位置がどうしても”密集地帯”になるので、細かいパス回しがセットであるべきだと思います。

2

さて三浦ゾーンですが、もう皆さんもご存知のとおり、FWがディレイ(相手の攻撃を遅らせるプレス)しますので、相手が攻めてきたときにはすでに4バックがセットアップされた状態にあることが多いです。相手は攻めてきますが、4バックがセットされてます(今後便宜上”フタをする”という言葉にかえさせてもらいます)のでスペースがなく、どうしてもここでスピードを落とさざるを得ません。そこまでは本当に上手くいってたと思うんです。

しかし、スピードを落としただけでは”ボールは奪えません”。そこで中盤のラインが戻ってきて、前後から挟み込んでプレスをかけていくような形にしたかったのでは・・と思ってます。

このデフェンスのメリットは図のように広いエリアでプレッシングゾーンを設けることが出来る事となによりもボールを奪ってからワイドな攻撃が出来るということだと思います。また角度の話をしますが、角度は2人でプレスしたとしても前記のゾーンプレスより多くのパスコースが出来ますが、間違いなく出てくるパスは横パスになり、見てのとおり横パスには圧倒的に強い守備の形になっています。ある意味理にかなったデフェンスであることは確かだと思われます。


しかし・・・・・・

結果、どうなったかというとJ2時代を含む相手チームのコメントや解説でいやと言うほど聞かされた”DFラインの前のスペースでパスをまわされた”という事態に陥ってしまいました。要するにプレッシングゾーンでプレスをかけ切れなった。きちんとフタはされていたのに・・・。要するに2列目のラインが戻りきれなかった・・という結論になります。

こう書くと中盤のラインがサボっていたように聞こえますが、自分はそうは思いません。次の写真を見て欲しいです。

5

これはつい最近行われた川崎F戦前半5分の写真ですが、DFラインが全員下げようとしているのが分かると思います。でも、ボールの位置は・・・・・いくらなんでも間合いを取りすぎじゃない?って思いませんか?。写真だけ見るともう少し前で出来るんじゃないだろうかって思いませんか?たとえ相手がやっかいなジュニーニョだとしても・・・。こうやってDFラインが下がってしまうと中盤のラインが追いつくはずもなく、いたずらにスペースを与える結果になってしまうような気がします。

箕輪君のコメント

”ゾーンを崩してでも前に出ることは必要”
”DFラインだけじゃ守りきれない”
”ボールを奪っても深い位置からじゃいい攻撃が出来ない”

が当てはまっちゃいますね。

8

最終的にはこんな風にワンタッチのパスをまわされて、4バックが絞らされてしまって、サイドに広大なスペースとフリーの選手が・・・。もはやゾーンも完全に崩されています。結果的には相手がパスミスして大事には至りませんでしたが、このプレーは”?”でしたね。こんなシーンをJ2時代から何度も見せられてきたわけです。DFラインがもう少し間合いを縮められる事が出来たなら、ある程度の得点があっただけに違う結果になっていたのではないかと思ったりします。

しかしながら、致し方ない部分もあるかもしれません。”間合い”というのは相手が速かったりうまかったりすると距離を長く獲りたくなるもんなんですよね。抜かれるのが怖くて・・・。コンサのDFが抜かれないための距離を判断して、これだけの距離を取った訳です。

これが実質的な実力の差

ということなんだろうと思います。DFラインに限らず”間合い”の距離が埋まらない限りJ1では互角には戦えないと思う次第でございます。

えーと、このエントリーをどうやって落とすかな?

自分は基本的に守備専ですので、来季も守備を中心に見ていきます。カバーリング等、見えないファインプレーも探してみようと思いますのでよろしくお願い致します。






posted by z-press |00:24 | TACTICAL-戦術 | コメント(0) | トラックバック(1)

スポンサーリンク

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.consadole.net/z-press/tb_ping/212
この記事に対するトラックバック一覧
フェラガモ バッグ 【フェラガモ バッグ】

三浦ゾーンの崩壊 - 季刊コンサドーレ | コンサドーレ札幌オフィシャルブログ

続きを読む
コメントする