2010年04月09日
ジニアス・オブ・バド・パウエル
バド・パウエルは'40年代のモダン・ジャズ革命において、モダン・ジャズ・ ピアノ奏法のパイオニアとして、また即興演奏家としても天才的ひらめきと 高い技術で、チャーリー・パーカーと並び賞される巨人の一人です。 まずはパウエルの天才が遺憾なく発揮され、個人的に愛着ある作品を2枚紹介 します。
【JAZZ GIANTS】 ピアノ・トリオで演奏された名盤。 冒頭の「ティンパス・フュージェット」、アップテンポに乗り鬼気迫る即興が エキサイティングです。この一曲を聴くだけでもパウエルの天才が伝わってき ます。その後も好調を物語るように目くるめく演奏が目白押し!
【Sttit,Powell & J.J.Johnson】 こちらはソニー・スティット(ts)のリーダー作での競演です。レコーディング中 スティットは、パウエルのことを終始”偉大なるバド”と呼び、その煽てに のって快演となった1枚。パウエルの快演を前に、してやったりのスティット、 百戦錬磨のプレイで応酬し歴史的演奏となりました。 ここでの演奏は”カッティング・セッション”と呼ばれる形式で、馴染みの スタンダードをリハなしで演奏している為、豊かな即興性が求められます。 2人の演奏にはカッティング・セッションならではのスリル、熱気、対決と融和 があり、演奏にかける情熱が伝わってきます。
パウエルは常にジニアス(天才)の称号とともに呼ばれる人ではありますが、 精神分裂症を患い、また酒やドラッグの常習者でもあった為、出来不出来の 差が大きい人でもありました。次の作品は、何度かの精神症の治療の後、天才 的なひらめきや技術が失われた後のものです。
【シーン・チェンジズ】 オープニングの「クレオパトラの夢」はTV/ラジオでも頻繁にBGMとして使われ る馴染み深い演奏です。上記2枚と比較するとまるで別人のような演奏です。 でも哀愁のメロディを淡々と、人間味溢れるように奏でる様に、天才という 呪縛から解き放たれ、「本来の俺の姿はこうだよ」と本音で語りかけてくる ような安らぎがあります。時代を越え、本邦ジャズファンに愛聴され続ける 名盤です。 パウエルは晩年、パリへ移り住み演奏活動を続け、1966年41歳の若さで死去 します。数々の名盤と多くのパウエル派ピアニストを生み出した功績は、これ からもジャズ界に大きな足跡として残ることでしょう。
posted by マジック・マジェール |20:56 | 音楽のこと | コメント(0) |
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