コンサドーレ札幌サポーターズブログ

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2016年05月30日

6連勝(VSレノファ山口 感想)

 あっという間の45分だった。久しぶりに選手が目の前で躍動する姿に目を奪われ、気がついたら前半が終わっていた。面白い。今年のコンサドーレのサッカーは面白い。増川隆洋を中心としたDFラインはボランチと連携し、常にコンパクトに陣形を保っていた。そして統率する増川自身も機を見て攻め上がり、都倉かな?いや増川だ!?とグラウンダーのクロスに滑り込むシーンが見られた。某田中さんの相棒を務めていたのは伊達ではない。山口のキーマンである庄司悦大に仕事をさせず、インターセプトからショートカウンターに移れたのは彼の果たした役割も大きいだろう。
 また、この試合は山口にとって「アウェイの洗礼」を浴びせるものでもあった。羽田空港の滑走路が事故のために閉鎖された影響で、北海道への到着が試合当日となってしまうアクシデントが起きてしまったのだ。新千歳空港に到着したのが午前11時とキックオフの3時間前。長時間の移動で選手たちの疲労もあっただろう。それに重ねてこの日の札幌ドームは通常よりも芝が長めになっており、早いパスワークを身上とする山口にとって不向きなピッチコンディションとなっていた。「なかなか芝生に慣れることができなかった」と上野展裕監督も悔やむように、まさにアウェイの難しさを体感した試合となったようだ。
 戦前の予想とはことなり3-1と思わぬ大差がついたこの試合。守備面での貢献は増川だが、攻撃面ではやはりジュリーニョの果たした役割が大きい。ダメ押しとなる3点目のループシュートも見事だったが、やはり先制点につながるペナルティーエリア内でのドリブル突破は彼ならではのものだった。前線でタメを作り攻撃の起点になる。古き良き時代の10番がしばらくコンサドーレには不在だった。小野伸二を獲得したものの、怪我が続き彼をチームの中心に据える事は出来なかった。その中で彗星のように現れたのがジュリーニョだった。実績十分のヘイス、右サイドの職人マセードの影に隠れ、スキンヘッドが小野と見分けがつかねぇよと口の悪い一部サポというか自分に言われていた彼。あれよあれよという間にトップ下に定位置を獲得し、いまやコンサドーレの中盤に君臨している。遊び心溢れる独創的なテクニックと大きなサイドチェンジで相手ディフェンスを翻弄し、チャンスを生み出していく。都倉賢7点、内村圭宏5点、そしてジュリーニョ3点。チーム全ゴール20点のうち実に75%を彼ら3人で生み出している。1点しか取れないと嘆いていてもなんだかんだ20点はJ2で4位の成績であり、決して今年のコンサドーレは守り勝つだけのチームではないのだ。
 ジュリーニョの活躍について述べてきたが、早いプレスと独創的な攻撃センスを持つ外国人が攻撃を牽引するチームが前にあったなぁと記憶を辿ってはたと気がついた。2007年J1に旋風を巻き起こした柏レイソルだ。この年J1に昇格してきた柏レイソル。石崎信弘監督体制となって2年目となったこのシーズン、石崎監督らしい4-2-3-1を基本とした堅守速攻を武器に一時首位に立つなど台風の目としてJ1を席巻した。ボランチの山根巌とCBの古賀正紘を中心とした守備陣は安定しており、無失点試合は14を数え総失点36は3位タイと着実に勝ち点を積み上げていくことができた。この堅守をベースに仕掛けたショートカウンター。この攻撃陣を牽引したのが「魔術師」フランサだ。ポンテ、ベルバトフとともにレバークーゼンで「デンジャラス・トライアングル」を形成したブラジル人テクニシャンは、1TOPとしてポストプレーをこなすだけでなく、中盤に下がって惚れ惚れするようなボールタッチで相手DFを翻弄した。そこで攻撃のタメが出来ることにより、2列目以降の菅沼実・李忠成・鈴木達也らがDFラインの裏を狙って飛び出しゴールを奪うことができた。総得点こそ43点で下から数えたほうが早いが、李の10ゴールを筆頭にフランサ8、菅沼6など前線のキーマンに得点が生まれていた。
 このフランサの役割を今年のジュリーニョは果たしているのではないかと思っている。コンサドーレは近年プレスからのショートカウンターという戦術が基本になっていた。その基礎となるのが守備陣でセットプレーの守備を除けば、おおむね堅守といって差し支えない安定した陣容を誇っている。一方攻撃陣に目を転じると、ゴールハンターは居るものの、ゴール前での精度や攻撃アイディアを欠き。社長就任から3年目を迎える野々村芳和もこの問題を懸案事項として捉えており、選手の成長を促すために小野伸二や稲本潤一といった世界を知るベテランたちを獲得してきた。そして今年、ついにすべての問題にケリがついた。全員守備、全員攻撃。攻守に連動した素晴らしいチームに進化したのだ。
 唯一つだけ不安な点を上げるとすれば、怪我である。2008年の柏はフランサの怪我での離脱から成績を落としていった。天皇杯で準優勝したものの、2009年にはガラスのエースとなってしまった彼への依存度の高さから16位でJ2に降格してしまった。これからシーズンの折り返し地点、そして夏が始まる。チームとして乗り越えなければならない正念場に無傷で彼が立っているか否か。心配御無用といえるような選手の台頭が待たれる。
…長々と書いてきたが勝てばええんじゃ。勝ったから悲壮感もなく臆面もなくこんな記事が書けるんじゃ。魔術師ジュリーニョ。もっと俺らを躍らせてくれ!!アレ!ジュリーニョ!!

posted by kitajin26 |06:58 | 試合感想 | コメント(0) | トラックバック(0)