2007年02月06日

ななめ上から見上げるフットボール――小田島隆「サッカーの上の雲」


サッカーの上の雲―オダジマタカシサッカ~コラム大全

司馬遼太郎の本ではありませんよ(挨拶)。

小田島隆という人は生粋のサッカー畑ではなくていろんなコラムを書いている人なんだけど、この人がサッカーを語るとこんなに面白いのかと爆笑しながら読んでました。
だって2つめのコラムのタイトルがいきなり

「伸二の食生活が心配だ!」

ですよ。

小田島氏は浦和サポなので当然浦和系の話が多いんだけど、その合間に挟まれるいろんな選手のことを主に妄想をネタにして書いてます。たとえば伊東輝悦が年に一度見せるか見せないかの長距離ドリブル(ただし20メートルくらい)の美しさとか、服部年宏のニヤつき具合とか、大熊清の大声とか。そういう「ななめ上からだけ見えるフットボール」について語っていて、読んでいると思わずニヤニヤしてしまう。かしこまった「〇〇戦記」とか、プロのスポーツライターの書いたルポなんかもじっくりと読むのもいいけど、小田島氏でしか書けないであろうこのコラムも一読の価値あり。
(どうでもいいが、「伊東輝悦」も「服部年宏」も一発で変換できた。すごいぞATOK!)


考えてみればこういう「妄想系」って、友人とサッカー系バカ話をしてるときの感覚によく似てる。飲み会とかアウェーの帰りとか、そういう時にしたことありませんか、バカ話。旬なところでいえば札幌のキャンプ、こないだのオフに曽田選手が熊本城に行ったなんて記事がありましたけど、

「熊本城って籠城戦向きの城だよな」
「籠城戦のために銀杏とか植えてあったらしいぞ」
「銀杏くさいDFはイヤだよね」
「あと仁丹くさいDFもキツイよね」
「水戸の選手が全員納豆くさいとかな」
「でも熊本城って落とされなかったんでしょ?」
「そうだけど、結局原因不明の失火で焼けたんだよね」
「オウンゴールかよ」
「しかも曽田さんですよ」
「そうですか」
「そうですよ」

みたいな。
そういうことを延々と語り続けられるひとにおすすめです、この本。

けれど、もっとも読んでほしいのは最後にあるコラム「浦和をビッグクラブと呼ぶ日」である。『Number」667号「超浦和主義。」』に掲載されたコラムだけど、浦和一色のこの特集の中にあって小田島氏のこのコラムだけは異彩を放っていた。小田島氏だけが書けるであろう、ちょっとひねくれた愛情とひたむきな狂気(もちろん、いい意味での「狂気」だ)が彼の過去のエピソードと一緒に語られている。ベストエンドを目前に控えたチームを見続けてきたプライドと、一足早い歓喜と、それをクールさで押しとどめようとする理性のぶつかり合い。頭の中が混沌として「どうすんのよ、オレ」みたいになっちゃう、そんな気持ちが手に取るようにわかってニヤニヤしながらしみじみしてしまう。
このコラムだけは、何よりもオススメです。

最後に、小田島隆氏著作のおすすめをもうふたつほど。

「イン・ヒズ・オウン・サイト-ネット巌窟王の電脳日記ワールド」
「テレビ標本箱」

いずれもサッカー関係ではないコラム集ですが、お手にとってみては。

posted by ishimori |22:22 | books | コメント(2) | トラックバック(1)

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Re:ななめ上から見上げるフットボール――小田島隆「サッカーの上の雲」

初めまして。
コメント欄がありますからつけていいのかなと?
この本、偶然ですが三日ほど前購入しました。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」は文庫で全巻揃えているのですが未読・・・。しかし、タイトルに惹かれ思わず手に取り立ち読みしているうちにニヤニヤしてしまい恥ずかしいので買ってきました。面白いです!

実は失礼ながら Mes que un club のエントリーで初めて拝読しました。
感銘を受け、駄文を書いてしまった次第です。
トラバするには場にそぐわないと思い、(やり方もわかりませんが)しばし躊躇っておりましたが、このエントリーで思わず興奮しコメントします。
過去のエントリーも読ませていただきたく、私のところにリンクししたいのですが。
ご検討下さいませ。
活字が趣味とあられて、読ませますね。

posted by aru | 2007-02-12 08:12

Re:ななめ上から見上げるフットボール――小田島隆「サッカーの上の雲」

>aruさま
はじめまして。
リンクもコメントもトラックバックも大歓迎です。
「サッカーの上の雲」は、自分にとっても久々にヒットのサッカー本でした。
ああいういい意味でハズした話を書ければいいんですが、なかなか固い文章でしか書けなくて……。
今後ともよろしくお願いします。

posted by ishimori | 2007-02-12 17:53

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