2009年09月25日
"無失点"ができるということ
40節、41節と無失点。 得点はできるようになったが、失点が減らないという状況があった中で、 考えるべき要素がある2試合だと思う。 ただ、その反面で、3試合連続1得点。 失点をしないサッカーをすると、得点するサッカーができない… などという単純なものではないと思うので、攻守を考え直してみたい。 守備については、ここ2試合は配置に変化がある。 守備的MF1枚が、ダニ→芳賀。 左右SBが、上里、西嶋→西嶋、西。 40節、41節は、お世辞にも内容がよかったとは言いにくい試合。 怪我による途中交代などのアクシデントも続いた。 そんな中での無失点である。 守備が安定した要素は、一体なんなのだろうか。 ダニと芳賀の違いを考えることから、見つけ出したい。 また、それと表裏一体的に、得点ができない理由も見つけ出せないだろうか…。 『猛妄想でCBを考える』の中で、私は西嶋と石川の試合後コメントを取り上げた。 対象は芳賀で、いずれも高評価をしている。 もちろん、両名が芳賀とダニを比較してコメントしたわけではないとは思う。 しかし、両名の言葉の中に、キーワードがあるように思えてならない。 西嶋の言った「黒子」と、石川の「しっかりとバランスを取って」「バイタルエリアもしっかり埋めて」。 「黒子」…ダニで考えると、この言葉は決定的にあてはまらない。あれだけ目立つので。 絶対的な身体能力を活かした広範囲でのボール奪取、潰しがダニの長所。 しかし"目立つ"ゆえに、37節の水戸のように、ロングボールやアーリークロス(水戸の攻撃としては違うことをやりたかったとは思うが)でダニのプレーエリアを回避されてしまう。 DFラインは、基本的にその対応に追われる展開になるし、長いボールを頻繁に入れられると、どうしても押し込まれた感じにもなる(そこには低い位置からのビルドアップにコンサが課題を残していることも関係する)。 また、広範囲をプレーエリアにできるダニは、大きく動くことになる。ということは、ポジションを空けるということ。 ダニが動いてボール奪取に成功すれば問題ないのだが、ダニであっても100%ボール奪取に成功するわけではない。 CBはダニが空けたスペースを意識していなければならないし、CMFに配置される西、宮澤も同様に意識しなければならない(というか、この意識をもってバランスを取れるから、西、宮澤がCMFに配置されていたと思う)。 CBはその上で、39節までは、左SB上里が空けたスペースも意識しなければならなかった。はっきり言って、"脳内疲労"はするだろう。左SB上里の攻撃参加でできた穴は、予測が立てられるので、ある意味まだマシで、ダニの動きはチームメイトであっても予想外のことがあるだろう。その上で、ロングボールが飛んでくる…。 守備的MF1枚に配置されたダニは、鬼神のごとき潰しを見せてくれるので、つい目を奪われてしまうし、あれだけ効いてくれたらDFラインは楽だろうな…と思ってしまっていたが、それは錯覚なのではないかと私は思い始めている。 「しっかりとバランスを取って」「バイタルエリアもしっかり埋めて」…ここは芳賀に分がある。というか、ダニのような圧倒的な身体能力を持っていない芳賀が、プロとして生き残るために培った"武器"と思う。 芳賀は基本的に、自身のポジションを空けない(空けることももちろんあるが、それは経験に基づく判断が伴うものになっている)が、的を絞って潰しには出て行く。私が気づけた部分では、"相手チームが入れた楔"なんかには、しっかり当たっているように思う。 ダニは、"自身がボール奪取できるか否か"の判断でプレーしているように思う。念をおすようだが、それはダニの長所であり、ダニにとっての"的絞り"であると思う(しかし、そのために、上記したような"バランス感覚に優れたCMF"を配置しなければならないとは思う)。 「エリアを埋める」ということについては、両者には意識の違いがあると感じる。 例えば、相手チームにサイドを使われて、CBがサイドに引っ張られ気味になった上でクロスが入るような場面。 芳賀は、この場合、CBが空けたスペースを埋めることが多い。上げられたクロスに対する1stDFになる意識。 一方ダニは、このような状況でも、スペース埋めよりは、むしろ"セカンドボール処理"を意識していることが多いのではないだろうか。 "最終ラインに組み込まれる芳賀"は試合中、何度も確認できる。が、ダニが最終ラインに組み込まれる姿は…あんまり観た記憶がないように思う。 どちらの意識も大切で、優劣をつけられるものではない。守→攻という切り替えや、二次攻撃を回避するには、ダニのプレーは最適といえる。 逆に、逆サイドのSBが絞れない状況があったり、エリア内に飛び込んでくる選手がいるような場合には、芳賀のプレーが活きる。 ただ、セカンドを拾われてミドルなどを撃たれたとしても、精度が高いとはいえないJ2では危険度が低いので、CBの心情としては、芳賀のようなプレーをしてくれた方が"楽"なのかな…とは思う。 ダニと芳賀の決定的な違いのひとつに、パスコースの選択があると思う。 『0-1は…良し?!』でも少し触れたが、芳賀は安全性重視の無理無いボールの動かし方に特化するように思う。 自身がボールを失うと危険度が高いことを意識し、かつ自分にできることを確実にするという考えがそこにはあるのではないか。なので、ダニに比べると、顕著に最終ラインに戻す丁寧なパスが多い。 一方、ダニは、基本的に前を向く意識をもっていると思う。シーズン当初から観ると、パスもかなり上手になったように思う。ただ、そのパスが相手に読まれやすいようにも感じる。サイドに出すことが多いように思うが、そこに潰しをかけられていると、効果的な展開につなげられずに、ピンチを招くこともある。もちろん、これはダニ個人の問題というよりは、チームとしての問題であるが…。 まだ、考察(妄想か?)は不十分とは思うが、ダニでも芳賀でも、4-1-4-1は成立する(芳賀の方は、もう少しゲームを観てから断定したくもあるが)と言えそうである。ただ、ダニの1枚は"攻撃的"であり、芳賀の1枚は"守備的"であるということが言えるのではないだろうか。 得点ができない理由…これは、コンサが本来狙っている攻撃の形を、よりベターに実行できる配置を、妥協して変えているから(って言ったら言い過ぎかな)。 36節の草津戦で観られたような、流動的な攻撃をするには、まだ、CMFに西、宮澤、守備的MF1枚にダニでいく必要があるように思う。 上里がCMFに配置されて2試合。甲府戦は4-2-3-1。この3試合は1得点ずつしかあげられていない。 攻撃は急に改善できるものではない。故障者もあって、組みたい配置ができない状況にあるのは、仕方がないとは思う。しかし、誰が出ても同じような狙いで攻撃ができるようにはしていかなければならないと思う。 (配置のこと以外にも、低い位置からのビルドアップやハイプレッシャーを回避する策など、課題は残していると思うが…) 次節の注目点は…、今からは決めにくい(苦笑)が、強いてあげるならば、CMFになるか。守備的MF1枚がダニでも芳賀でも、鍵を握っているのはCMFと言えるのではないだろうか。 システム、スタメン、サブを確認してから、注目点を決めよう。 ただ、上位「湘南」とのゲームなので、変に偏った部分に注目するのではなく、"勝敗を含めた全体"を観られるような注目点を、設定したいとは思う。 あまりに細かいところを注視してゲームを観てしまうと、さすがにサッカーの"面白み"を感じにくくなる(苦笑)ので…。 "観戦"は"楽しむためのモノ"であることに、変わりはない。
posted by はげお |23:09 | 私的思考≒妄想? | コメント(0) | トラックバック(1)