2009年01月13日

高校選手権決勝戦雑感

昨日午後、高校選手権の決勝を自宅で観戦した。噂の鹿児島城西・大迫のプ
レーをまだじっくり見ていなかったのもあったが、マスコミの報道が「大
迫」「大迫」と騒いでいるのが気に入らない部分もあった。


準決勝までの試合ぶりを数字で見たが、鹿児島城西の失点が多い。広島皆実
の1失点に対し鹿児島城西は11失点。広島皆実の守備力が何故それほど評価さ
れないんだ?と首を傾げながらTV前に陣取る。


開始早々両チームの「色」の違いに気付く。2トップへボールを集中させる鹿
児島城西に対し、広島皆実は丁寧にボールを繋いで両サイドからのクロスに
活路を見い出す。


そんななか、先制は鹿児島城西。短いクロスで大迫にボールが収まると、
キープし、キープし、そして相手DFを背負いながらのシュート。上手い! 
確かに高校生の中では頭抜けている存在かも知れない。しかしながら印象と
しては細い、の一言。高校生故、体作りはこれからの課題なのかも知れな
い。


そんなことを思っていた3分後、広島皆実の左サイドからクロスが上がると丁
寧なヘディングでの折り返し。それをさらに金島が豪快にボレーで蹴り混
む。あっという間の同点劇だ。


後半に入ってからの金島の決勝弾もきれいなヘッドだった。これは右サイド
からのハイクロスで、GKの届かぬ先に飛び込んだものだ。


チーム同士の決勝戦としては、明らかに皆実のサッカーに一日の長があっ
た。丁寧にパスを繋いでボールを運ぶ皆実に対し、城西のサッカーは明らか
に2トップにボールを集め、個の力で打開するサッカーだった。


両チームの監督に関して興味深いシーンがあった。皆実の監督は前半ほとん
ど動かなかった。ベンチに座ったままで指示らしい指示もなかったように思
う。これはいかに選手を信頼し、これまで積み上げてきたものに自信を持っ
ていることの所以だろう。対して城西の監督。ハーフタイムに大迫に対して
の「点を獲ってこい!」という一言しか紹介されていない。指示がこの一言
だけだったとは思えないが、大迫中心にチームを考えていたことも表してい
るのではないだろうか。


城西は試合前の「失点が多い」という心配事が現実のものとなった。明らか
に力を持つ2トップに対し中盤の底からGKまでに不安感を抱いた。対して皆
実。スーパースターは居ないものの全体にバランスの取れた良いチームだっ
た。去年1年で両チームは3回練習試合を組んだそうだが、3度とも皆実の勝利
だったそうな。


それにしてもTVの実況…… 「大迫」一色の放送だった。サッカーとは個人
が何点取るかを競う競技ではない。歴代の得点王と比べることがそんなに大
きな事なのか。いうまでもなくサッカーの試合は「チーム」vs「チーム」の
競技である。高校選手権という場に「スター主義」を持ち出すTV局には辟易
した。

posted by ボーナス |16:31 | サッカー全般 | コメント(8) | トラックバック(0)

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この記事に対するコメント一覧
Re:高校選手権決勝戦雑感

まことにもって同意します。
アナと解説者がうるさくて消音して見ていた。
サッカーが他のスポーツとちと違うとの認識はやっぱりないのかねぇ。

間というのをどこの社会にもある。

まさか歌舞伎にこの放送をやるんじゃあるまいな。
歌舞伎座では確か解説をイヤホーンをつけてくれると聞いたが、こんな放送を聴いたら××されるぞ。

posted by 去舟庵海人| 2009-01-13 17:15

Re:高校選手権決勝戦雑感

STVの中継が評判悪いのは、あれ日テレと同じなんですよね。日テレで修行(?)積んでくるのかしら……

あと、鹿児島城西のパスは足元へのが多かったんですが、広島皆実のそれは空いたスペースへのものが多かったですね。そのスペースへちゃんと選手が走り込んでいる。

これも、この両校の大きな違いでした。

posted by ボーナス| 2009-01-13 19:04

Re:高校選手権決勝戦雑感

鹿児島の失点の多さは去年の某プロサッカーチームを彷彿させられました。

posted by ふるふる| 2009-01-13 19:09

Re:高校選手権決勝戦雑感

こんにちは、この前は鉄分の濃い時間を堪能させてもらいました。

私の独断と偏見なのですが、日本では多くの人が無意識のうちに「スポーツはスターが存在すべきもの」と考えている、ということではないでしょうか。
(私も偉そうなことは言えませんが・・・)

野球はこれまで多くのスターを生んでいますが、生涯成績を見ると確かに素晴らしいですが決して1番とは言えない長嶋茂雄さんが、なぜか国民への知名度という面では群を抜いている(と言って良いでしょう)。例えばこういう所に「なぜ無理くりにスターを作るのか」を解く鍵がありそうな気がします。

とにかく、ゴルフ然りテニス然りフィギュアスケート然り。競技が注目されるのは良いのですが、マスコミ更にはその背後にいる私達自身のエゴが、本来なら大成する筈の選手を潰すのではないかと、特に最近は非常に心配です。

posted by Gekitei | 2009-01-13 22:33

Re:高校選手権決勝戦雑感

>ふるふるさん
忘れようと努力しているのに何故に思い出させる???
鹿児島城西との違いは決定的な仕事の出来るFWの存在かな?

>Gekiteiさん
基本的におっしゃるように野球との比較になっているんでしょうね。野球文化の上に成り立っているスポーツ文化なんでしょうね。
大迫が第2の平山にならないよう願っています。

posted by ボーナス| 2009-01-14 01:15

Re:高校選手権決勝戦雑感

後半画面で判るところでラフチャージとか、副審につばはいたりとか、主審を罵ったりとか、大迫の本来の黒性格が遺憾なく発露されてるときに限って、「性格がまっ直だと部員は言います」とか「鹿島アントラーズへの入団が決まってます」とか「家族が苦労して高校に入れさせました」みたいな話するんで、誰かに袖の下もろてんのとか、大迫をつぶす誰かの意図がとか、藤井は鹿島でやなことされた復習かとか妄想したり。いやぁ、こころゆくまで黒く楽しませてもらいました、ビバ日テレ。
古館にトラウマがあるんでしょうけど、やるなら選手の個性を徹底して見極めてレッテル張りしろよと思うんですよ。NHKくらいの徹底取材までは求めないけど、職業倫理って絶対あるよな、そんなんじゃ巨人戦のヒーローインタビューぐらいしか使い道ないじゃん。

広島皆実は7番の浜田君が印象的でした。味方の守備でかっさらったボールを、落ち着き払ってはたいて散らしたり、うまく守備の穴を見つけてドリブルで攻め込んだり。彼の頭の中では、敵味方一人一人の位置取りと動きが完全に把握されてんじゃないか、後ろからプレスがかかっているのにギリまで持っているんだもの。なんであれが進路未定なんだ。
おそらく「あの2トップに1点ずつやられて当然だから、ほかと分断しよう」という前提でゲームプランができてたのかもしれません。前掛りだから攻撃的とか後ろにいくから守備的だとはいえない、絶好の教材だと思ってます。

posted by さいとー@横浜| 2009-01-15 00:02

Re:高校選手権決勝戦雑感

ああ、ありましたね、審判への抗議……
後半かな、副審に意義を主張している場面もあった。
こうしたシーンでも彼が勘違いして育てられたのがよく分かる。
ある意味、鹿島っぽかったけどねw

あと、試合後のインタビューで「自分が点を獲らなかったから負けた」みたいな発言があったのもおかしいよね。サッカーは個人競技じゃないんだから……

浜田ってのはボランチだったけ? 確かにゲームをコントロールできる良い選手でしたね!

posted by ボーナス| 2009-01-16 17:54

Re:高校選手権決勝戦雑感

>確かにゲームをコントロールできる良い選手でしたね!
そうですよね。彼はボランチか、というのにど素人が正確な答えは用意できないのですが、少なくとも守り手と攻めてが全幅の信頼を置いてましたよね。単純にタスクをこなすというより、昔ベンゲル閣下の名古屋でデュリックスを見たときのショックに近いです。

皆実卒業生のTBSの久保田アナが「2時ちゃお」で戸惑いつつも控えめに喜んでいて、満足してます。昨年は「めざにゅー」で、ナビスコで私の誕生日一日違いの大分出身杉崎美香さんが喜んでいて、このところお気に入りのアナがサッカーで喜んでなんかよかったっす。ちなみに私と同じ誕生日の有名人はは、作家の清水義範、htb遠藤アナ、スザンヌです。何か他人に思えないし勝ち組っぽくていけそうな気がするが、多分関係ないですね。
自分も喜ぶ方向が間違っているような気がするが(以下「そこの北海道放送の俺の後輩、日テレの宮崎と一緒にヘキサゴン行けェぼけが」とか北海道出身者の悪口がとまんないので略)。

posted by さいとー@横浜| 2009-01-18 02:57

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