2008年02月23日

今日の気になるニュース

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【IUCN調査終了 厳しい指摘で「激励」 総合的には高評価】(北海道新聞)

 世界自然遺産・知床の再評価に訪れた国際自然保護連合(IUCN)のデビッド・シェパード保護地域事業部長らが、自然遺産地域内の一部の砂防ダムについて将来的な撤去を求めたそうです。

 知床が世界自然遺産登録に名乗りを上げたとき、これまでの自然遺産の区域内に知床のように住民生活区域が含まれる例がなかったことから、事前調査したシェパード氏が魚類の遡上を阻害しているダムの撤去、トドなどの海洋動物の保護、スケトウダラなどの漁業の在り方などについて、速やかに改善計画を策定し実施すること、と指摘し、いわば宿題付きで知床が自然遺産として登録された経緯があります。なんとなく、宿題付きでJ1昇格を認められたコンサドーレに似ている気がします。
 この指摘を受けて、時の斜里町長がダムの全面撤去を公言したこともありましたが、あの時のシェパード氏の指摘に比べると、今回の「一部の砂防ダム」発言は、ずいぶんソフトになったものだ、と感じます。

 シェパード氏が撤去を求めた「一部の砂防ダム」とは、ルシャ川のダムのようです。
 知床半島の構造を基部からたどって見ると、遠音別岳、知西別岳と続く高峰が途切れて一段低くなったところが知床横断道路が通っている知床峠で、そこから標高を上げ、知床最高峰の羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳、オッカパケ岳と続き、最後の硫黄山から標高三百数十メートルまで急激に下りますが、この最低鞍部が「ルサ乗り越し」と呼ばれる場所です。そこから再び標高を上げたところに知床岳があり、そこから徐々に標高が下がって知床岬に至るという構造になっています。

 ルシャ川というのは、この「ルサ乗り越し」を源頭とするウトロ側の川のことで、反対の羅臼側の川はルサ川といいます。
 ルシャ川は、標高三百数十メートルという低いところに源を発しているだけあって、途中に一つの滝もない穏やかな川です。鞍部は強風の通り道になっているため樹が育たず草原になっています。イワナは川のゴミ、と言われたほどイワナがうじゃうじゃ棲息していたと言われているのは、この川の上流のことで、昔は、アイヌの人たちが知床半島横断の道として使っていたようです。
 今この地域を実質的に管理統治しているのはヒグマです。まあ、ここのヒグマは人擦れしていないので安全だ、と割り切らなければ、とても入り込む気になれない怖い、怖い地域です。

 人間と自然との共生という知床の理想を守りつつ、求められたダム撤去を実現できるのか、ということが今後の課題になりますが、行政側は「ダムには建設当時の目的がある」との立場を崩しておらず、今のところ撤去を予定しているダムはないそうです。
 ダムを意識してルシャ川を遡行したことがないので記憶が非常に曖昧ですが、確か河口から30分ほど歩いたところに最初のダムがあり、全部で3基の砂防ダムがあったような気がします。仮に、このダムを撤去したとしたらどうなるか。河口には、人とヒグマがお互いに無関心で共存していることで有名な番屋と孵化施設があるだけなので、住民に係る防災上の問題はないと思います。
 この問題、いつまでも突っ張ることは不可能なので、海への土砂などの流入で関係が出てくる漁業者と話しあって、来年度、撤去する方針が決まると思いますよ。

 と、おじさんは、思うわけです。

posted by masa2007 |18:54 | コメント(0) | トラックバック(1)

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